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ホンダや富士通も…減益にもかかわらず今期増配している企業の特徴とは?=柴山政行

日本企業の配当総額は、2010年3月期を底に9期連続で増加。ホンダをはじめ前期比で最終利益が減ったにも関わらず、増配した企業が3割弱もあったということです。(『時事問題で楽しくマスター!使える会計知識』柴山政行)

減益でも増配が最多に、大手商社や不動産で増加

ホンダの2019年3月期決算を例に配当性向を見ると…

2008年3月期以降にデータが取れる1,904社(金融除く)を対象に、日経新聞が集計した結果だそうです。

配当総額は2010年3月期を底に、9期連続で増加しています。

2019年3月期に増配した企業は948社と約半分にあたります。

前期比で最終利益が減ったにも関わらず、配当額を増やす企業の特徴として、好業績の業界で多くなる傾向があるようです。
※参考:減益でも増配、最多に 19年3月期 株主還元を意識―日経新聞(2019年5月29日公開)

丸紅などの大手商社は7社が揃って引き上げたそうです。不動産などでも配当を増やす企業が多いです。また、増配した企業の3割弱が最終減益でした。

たとえば、ホンダのケースを見てみると、2019年3月期の決算は次のとおりでした。(ホンダの2019年3月期決算短信より)

【2019年3月期(前期比)】
売上収益15,888,617百万円(3.4%)
営業利益726,370百万円(△12.9%)
税引き前利益979,375百万円(△12.2%)
最終利益610,316百万円(△42.4%)

【配当】
2019年3月期:配当額195,545百万円、配当性向32.1%
2018年3月期:配当額178,979百万円、配当性向16.9%

このようにみると、前期比で売上は増えていますが、営業利益以下で減少しています。

しかし、いっぽうで配当は昨年度の178,979百万円を上回る195,545百万円となっていますね。

なお、配当性向は、最終利益に対する配当の比率を表します。当期の稼ぎのうち、何パーセントが配当に回ったかを示す指標です。

当期のホンダにおける決算をもとに計算すると、195,545百万円÷610,316百万円≒32.0399…となります。

切り上げると32.1%となり、いちおう決算短信の発表記事に整合しますね。

利益が下がったにも関わらず、配当を増やしたために、配当性向が16.9%から32.1%と、いっきに2倍程度まで引き上がりました。

配当性向は、企業の利益に対する株主への分配額を判断する一つの指標となります。

業績が増減しても配当額を一定とする場合は、配当性向が大きく変わります。

この場合は、会社のポリシーは株主に対して安定した利益分配をする、というものになります。

配当を継続して増やす方針の企業は、会社の業績面における成長を想定して、それとともに利益還元額を増やしていこうという考えであることが多いですね。

そういった企業に対して投資をしたい!と考える投資家は少なからず存在すると思います。

ホンダのケースで見ると、売上は増えているので、今後は収益構造の面で利益が出やすい体質にするための手を打っていくことになるのかもしれません。

減益増配を実行している企業の今後の業績はどうなるか、期待したいところです。

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時事問題で楽しくマスター!使える会計知識』(2019年5月30日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

image by : Aisyaqilumaranas / Shutterstock.com

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