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安倍政権が選択したリフレ政策は間違っていた?なぜ、なかなかインフレにならないのか=吉田繁治

日銀を含む政府系金融による株買い

2014年10月からは、日銀が公的年金を運用している政府系のGPIFのもつ国債を買いあげて、GPIFは国債と振り替わった現金で、日本の株式を36兆円に、海外株式(ほとんどが米国株)を37兆円にふやしています。郵貯もかんぽも、内外の株を買いました。

この政府金融(郵貯銀行の総資産208兆円、かんぽ生命76兆円、GPIF159兆円:合計は443兆円と資金量が巨大)の日銀に国債を売って得た現金での株買いが、アベノミクス株価の上昇の主導をしたものです。

これに、日銀の株ETFの買い26兆円も加わっています(年間6兆円の枠で継続中)。

70兆円の買いが、株の時価総額を直接に210兆円はふやした

日銀の26兆円を含む政府系金融による国内の株買いは、2012年末以降の6年間で70兆円にはなるでしょう。

70兆円の買いは、年間12兆円、月間1兆円です。現在のちょうど600兆円の時価総額(東証一部:19年7月)のうち、株価への直接のレバレッジ率を米国の自社買い並みの3倍と低く見ても、210兆円分(35%)に相当するでしょう。

民間の株買いの誘導分を含むと50%の300兆円

平均指数の日経平均株価で言えば、2万1,500円のうち6,500円分です。ただし、政府系金融が誘導した民間の株買いが上げた分を含むと、ほぼ50%(1万円:時価総額では300兆円)が、政府系金融が惹起した株価と推計します。

前号で述べたように米国株は、2011年から18年に社債で調達した4兆ドル(440兆円)が、株価の時価総額では12兆ドル(1,320兆円)を上げています。現在の時価総額3,000兆円の44%分です。

<リーマン危機後のFRBのドル供給4兆ドル(440兆円):元になったこと>

<社債発行への波及>→低金利の社債発行(負債の増加)による、株買い4兆ドル(440兆円)
<株価上昇への波及>→株価時価総額3,000兆円→米国経済の高成長説が生じる。

これは、もとをたどればFRBのドル発行の増加、つまりFRBの負債の増加が上げた株価です。

日本では、元になったのは日銀の負債増加になる国債の現金化です。

<日銀の国債の買い400兆円により400兆円の現金を増加供給:元になったこと>

<波及(1)>→ゼロ金利の円での2%から3%の金利がつくドル買い(円売り)→40%の円安→対外資産の評価が40%上昇した

<波及(2)>→政府系金融機関の、手持ち国債が、日銀によって現金化された→その現金による株買い(70兆円)→日本の株価を35%(210兆円)は上げた。

以上のように、日米の株価はいずれも中央銀行の通貨増発がもとになったものであり、「大きな負債の上の饗宴」です。宴(うたげ)は、飲み会であり終わりが来ます。いつまでもつづけることはできない。この点が、GDPの潜在成長力を高める設備投資とは違います。

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image by: Frederic Legrand – COMEO / Shutterstock.com

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ビジネス知識源プレミアム:1ヶ月ビジネス書5冊を超える情報価値をe-Mailで』(2019年7月13日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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