ニトリホールディングスは10月2日に2019年第2四半期連結決算を発表。それによると、改装などの投資が増加し、営業利益が前年同期比で1%減の555億円した。(『時事問題で楽しくマスター!使える会計知識』柴山政行)
米中貿易戦争激化時の105円で為替予約し、利益を押し上げ
改装などの投資が増えたことが営業利益に大きく影響
ニトリホールディングスは10月2日に2019年3月~8月期の第2四半期連結決算を発表しました。
※参考:2020年2月期 第2四半期決算短信 ニトリホールディングス(2019年10月2日)
※参考:2020年2月期 第2四半期決算説明会(2019年10月2日)
それによると、営業利益が前年同期比で1%減の555億円でした。改装などの投資が増えたことが大きく影響しているようです。
その時に公表された財務データはつぎのとおりです。
2019/8(カッコ内は前年同期比)
売上高321,598百万円(6.6%)
営業利益55,577百万円(△0.6%)
経常利益56,540百万円(△0.4%)
純利益36,847百万円(△2.9%)※親会社株主帰属分
2018/8(カッコ内は前年同期比)
売上高301,694百万円(6.3%)
営業利益55,890百万円(16.1%)
経常利益56,759百万円(16.7%)
純利益37,958百万円(8.3%)※親会社株主帰属分
※参考:2019年8月 第2四半期決算短信 ニトリホールディングス(2018年9月26日)
売り上げが増加しており、その理由として国内既存店の客数2.5%アップが挙げられます。
ベッドマットレス「Nスリープ」や冷感素材を使った寝具「Nクール」といった自社開発商品が顧客の支持を集めているそうです。
なお、通期(2020年2月期)の業績予想は、次のとおりです。
売上高*643,000百万円(5.7%)
営業利益104,000百万円(3.2%)
経常利益106,000百万円(2.9%)
純利益**71,500百万円(4.9%)
ニトリは、商品の9割をベトナムなどの海外で生産し、輸入する方法をとっています。
商品の仕入れが外貨であるため、為替相場の変動により利益がぶれるリスクがあります。そこで、市況を見て為替予約をしてリスクに備えます。
為替予約は、将来の為替相場を今のうちに決めておく約束です。たとえば、いまの為替相場が1ドル107円とすると、仕入れ原価は107万円になります。
つぎに、今の経済情勢を見て、1ヶ月後がたとえば105年などの円高ならば、その時の仕入原価や支払いの額は105万ドルと少なくなり、コストダウンにつながります。
しかし、もしも将来、たとえば110円などの円安になると予想されたら、将来の仕入原価や支払額は110万円のように割高となる危険があります。
そこで、いまのうちに銀行との取り決めなどで、一定額の外貨につき将来の日本円との交換比率(為替レート)を決めておく約束をすることがあります。
これが為替予約であり、本来の使い方は、こういった将来の取引における為替相場の変動によるリスクを軽減することにあるのですね。
ニトリは、業績予想前前提レート110円に対し、8月に米中摩擦の激化などで急激に円高となったタイミングで105.53円での為替予約を締結しました。
この結果、下期の仕入れの決済見込み分などについて35億円の利益押し上げ効果が期待できるということです。
こういった外貨取引への対策もしっかり行うところがニトリの強さの一つと言えそうです。
image by : Hu Siyuan / Shutterstock.com
『時事問題で楽しくマスター!使える会計知識』(2019年10月3日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
無料メルマガ好評配信中
時事問題で楽しくマスター!使える会計知識
[無料 週刊]
旧題「日経でマスター!使える財務分析」。決算書、会計知識、財務分析を、日経新聞等と絡めて解説!効果…(1)お金の流れがわかる(2)企業診断ができる(3)株式で利回り10%以上が可(4)ビジネスで差がつく(5)日経新聞が深く読める!→サンプルは発行者サイトで!