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なぜTOTOは中国で天下を取れないのか?「トイレ革命」の波に乗れず業績低迷=栫井駿介

劣悪な商品を放置したままで良いのか?

そうこうしている間に、中国では温水洗浄便座を自ら作る企業も現れ始めました。

例えば「JOMOO」や「ARROW」などがあります。中には「TOZO」「TIOTIO」など明らかにTOTOをパクったブランドも出てきているのです。

出典:JOMOO

出典:JOMOO

これらのメーカーの評判は必ずしも芳しいものではありません。それもそのはずで、TOTOが長年心血を注いで開発した陶器やウォシュレットの技術はそう簡単に盗めるものではないのです。

ただし、それらの企業をこのまま放置していてもTOTOにとって良い話ではありません。

ウォシュレットを普及させるには、まず体験してもらう必要があります。私の実家にもウォシュレットはなく不要だと思っていたのですが、大学のトイレにあったものを使っていたらいつの間にか虜になってしまい、以後「これなしでは考えられない」と思うようになりました。

しかし、ここで先に劣悪な温水洗浄便座が出回ると、中国の人たちは幻滅してしまい、普及を妨げてしまいます

まだ普及率は5%程度と言われ、経済が発展したからと言って必ずしも必要な商品ではありません。社会的に「いらないもの」とされてしまえば、TOTOのビジネスにも悪影響になってしまうでしょう。

TOTOが秘める潜在力――利益は3倍に伸ばせる

もちろん、このまま高級ブランドとして生き残るのも戦略のひとつでしょう。規模は違えど、トヨタとフェラーリで比較するのはナンセンスです。

ただ、投資家の立場として見ると、今のTOTOの動きでは「もったいない」と感じてしまいます。なぜなら、TOTOには爆発的な潜在力があるからです。

現在、中国では高級ブランドとして約600億円の売上高があります。日本では約4,000億円です。単純に人口で考えて中国は日本の10倍ありますから、日本の半分となる30%のシェアが取れれば売上高は2兆円になる計算です。

利益率が5%になっても売上高2兆円なら1,000億円になります。これだけで、営業利益は会社全体で現在の約3倍になるのです。

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何より私は、ウォシュレットを開発した企業として、これを普及させる義務があると思います。中国で本当に良いトイレを普及できれば、使う人も、TOTOも、株主もみんな幸せになれるはずです。

Next: 自前主義を貫くべきか?ウォシュレット普及へ本気度が試される

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