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米国が中国に敗北宣言?米国防総省の報告書が明らかにした「5G戦争」の結末=高島康司

他の国々の対応状況

このようにアメリカは、不利な点が多く、採算ラインには乗りにくい「mmWave」を使わざるを得ない状況にある。

では、中国はもちろん「sub-6」で統一されているものの、他の国々はどのような状況なのだろうか?

この国防総省の報告書では、5Gの導入準備が進んでいる日本韓国を中心に、他の国々の対応状況を掲載している。

それによると、以下のようになっている。

<中国>

IT製造大手の「ファーウェイ」と国有企業の「ZTE」は、2020年の5Gの本格的な商用利用を前に、「sub-6」のインフラの構築を急いでいる。すでに35万本のアンテナを設置した。これはアメリカの10倍である。また、「チャイナ・モバイル」、「チャイナ・テレコム」、「チャイナ・ユニコム」の大手3社のキャリアも、「sub-6」の5Gのサービス開始に向けて準備している。

また「ファーウェイ」は、すでに1万台の「sub-6」の基地局を海外に輸出した。これからさらに増大する見込みだ。

<韓国>

中国に次いで5Gの開発を急いでいる韓国は、「科学技術情報通信部」によって「mmWave」と「sub-6」の両帯域が「SK・テレコム」、「KT・コープ」、「LG・ユープラス」の3大キャリアにオークションに出された。韓国の企業はアメリカの「ベライゾン」と「AT&T」と協力関係にあるため、「mmWave」の採用を決定すると見られていたが、実はそうではない。韓国はリスクを分散するため、「mmWave」と「sub-6」の両帯域の可能性を追求している。

事実「サムスン」は、「mmWave」と「sub-6」の両方に対応可能なスマホの機種を開発している。

<日本>

中国、アメリカ、韓国に次いで開発が行われているのが日本だ。日本では、「mmWave」と「sub-6」のどちらの帯域でも割り当てやオークションはまだ行われていない。しかし「総務省」は、人口密集地では「mmWave」を使い、人口が比較的に希薄な郊外や地方では「sub-6」を導入する方向で検討している。

日本は、2020年のオリンピックを5G導入の大きな契機にする計画だ。いま「NTTドコモ」、「KDDI」、「ソフトバンク」のキャリアは、5Gのテストを行っている。

<その他の世界の地域>

中国、アメリカ、韓国、日本の後に続く国々がドイツフランスイギリスである。さらにその後には、シンガポールロシア、そしてカナダが続いている。

トランプ政権は同盟国に「ファーウェイ」の通信システムや製品をボイコットするように圧力をかけているが、イギリスとドイツは「sub-6」の「ファーウェイ」の機器を5Gで使う方向に動いている。その他の国々はまだ様子見の状態で、明確な方針はない。

世界の5Gの主流が決まると、それにしたがうことになるだろう。いまのところ5Gをリードしているのは中国なので、中国の「sub-6」が主流になるだろう。

Next: ガラパゴス化するアメリカと安全保障の脅威。中国をブロックできるのか?

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