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2020年、日経平均4万円へ? 世界経済を襲う7つのリスクと日本株のゆくえ=矢口新

リスク4:欧州におけるユーロ懐疑派の躍進

ブレグジットはもはや世界経済のリスクではないだろう。早期離脱を推進するジョンソン首相が議会を制したことで、ブレグジットは英国と、時間だけの問題となった。

当然、英国と関係がある諸国にも影響は及ぶが、これは悪いことばかりではない。最も悪いのは、宙ぶらりんであることで、これまで関係者の誰もが何の決断も下せないできた。

むしろ、問題はユーロが抱える(1つの金融政策で、各国の様々な経済・財政・社会保障制度などに対応するという)構造的な問題だ。

通貨や金利の変動は、経済の強弱や貿易の不均衡を市場が調整する機能を持っている。ユーロ圏では通貨と金利が変動しないために、各地の経済格差が拡大した。

そのこともあり、各地でユーロ懐疑派が躍進している。

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現状はマイナス金利政策で、誰もが恩恵を受けられると同時に、誰もが大きなコストを払う状態となっている。

<マイナス金利政策のメリットとデメリット>

ここで、マイナス金利政策のメリットとデメリットを整理しておこう。

メリットを以下に挙げる。

1)イージーマネー:企業や家計の借り入れコストを引き下げて経済を活性化させる
2)預金金利ほぼゼロ:預金する意味がないので、消費マインドが高まる
3)通貨安:輸出品が割安となり価格競争力を高める
4)物価上昇:景気回復、消費拡大、輸入物価上昇で、インフレ率が上昇する

ところが、マイナス金利導入後5年半が経過した今も経済は低迷し、インフレ率も低いままだ。一方で、上記の4つは同時にデメリットにもなり得る。

1)イージーマネー:債務が膨張する
2)預金金利ほぼゼロ:年金、保険を含め、資金運用が困難になる
3)通貨安:輸出企業は恩恵を受けるが、国全体の富は国際比較で減少する
4)物価上昇:所得増を伴わない物価上昇は、購買力を低下させる

それに加えて、国債などを大量に購入する量的緩和を行えば、市場に出回る国債がいずれ枯渇する。中央銀行がどこの国の国債を買うかにも、恣意的な判断が紛れ込む。また、銀行収益の低下、収益性の低い「ゾンビ企業」の延命といったデメリットがある。

実際、ユーロ圏の銀行はボロボロで、「ゾンビ企業」を延命させるために、自らがゾンビとなってしまったようなものだ。

Next: 世界経済の伸びが鈍っている? 消費増税の影響は…

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