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緊急事態宣言は人気店も軒並み潰す〜2か月の休業で年間利益がすべて溶ける=井戸実

今や人件費率は抑えられない

次に変動費に触れます。

飲食店で1番大きな費用は原材料費です。原材料費が人件費より下回る業態と言えば、バー、キャバクラ、相席屋みたいなイメージです。

人件費率につきまして、業態にもよるのでなんとも言えませんが、通常の飲食店だと大体27%くらいが大人の会社の限界の数字です。

僕が全盛期のブラック企業状態の頃は、人件費率は22%でまとめて来て合格。25%でふーん。で、28%とかだと「殺すよ?」みたいな感じでした(10年も前の話なので、今では200%そんなことはできません)。

なので、真面目に社員の労働時間を月間230時間以内に収めて、キチンと週休2日を取らせると28~32%とかになってしまいます。年商10億以下の外食企業だと、25%くらいで仕上げて来いみたいな感じになるので、ここでは人件費は25%にしておきましょう。

で、こちらも業態によりますが、正社員を複数名配置して営業しなければならない寿司店や和食店、客単価の高いレストランのような業態と、社員1名が店長して配属されて、あとはアルバイトさんだけで運営できるお店と業態が分かれます。

ここでは40万円の給料の店長と、30万円の給料の社員さん計2名が店舗に配属されているお店という設定にしましょう。

2人合わせて70万円が社員人件費です。月商500万円のお店だとすると、社員人件費率が14%、残りの11%はアルバイト人件費となります。

今ここまでの数字で、家賃比率は10%、社員人件費率は14%とします。

お店を閉じていてもコストはかかる

あとはお店をまったく営業しなくとも掛かるコストと言えば、水光熱費。冷蔵庫の電気代とかガスや水道の基本料金とかですね。

また、「ぐるナビ」や「食べログ」なんかも、月ごとの契約では無く、3ヶ月とか6ヶ月とか1年なんて契約なので、お店は休業しているけど、月額の利用料は問答無用で請求されます。

電話代や有線、Wi-Fiの費用など、ちょこちょこ積み重なると、営業していなくとも2%くらいのコストが掛かるんですね。

これでお店があるということで、営業をやろうがやらまいが掛かるコストが出てきました。

・家賃比率:10%
・社員人件費率:14%
・その他経費:2%
計:26%

コロナ前に月商500万円の売上を作っていた店だとすると、130万円です。

冒頭の月商1億円、年商12億円の会社だとすると、20店舗あるわけですから、総額2,600万となるわけですね。

Next: で、先月4月は緊急事態宣言が発せられ、多くの店が休業を致しました――

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