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いざ日経平均4万円へ!安倍辞任は株高の始まり、世界の終わりは宴の後で=矢口新

日本はまるで成長していない

そこで、世界トップ15の経済国の名目GDPを、1997年と直近の数値2018年とで比較してみた。ドル建てなので、各国通貨が高くなると、その国の成長率も大きくなる。つまり、円高がすすむと日本の数値は大きくなる。

興味深いのは1997年と2018年のトップ15の顔ぶれが同じなことだ。とはいえ、順位は大きく入れ替わっている。1997年のトップ5、米国、日本、ドイツ、英国、フランスの順番に、7位だった中国が2位に割って入ってきた。

2018年の順位は、米国、中国、日本、ドイツ、英国、フランスの順で、21年間の成長率は順番に、2.40倍、13.85倍、1.13倍、1.78倍、1.82倍、1.91倍だった。

7位インドが6.42倍、イタリア1.67倍、ブラジル2.11倍、韓国2.99倍。11位がカナダで2.61倍、ロシア3.82倍、スペイン2.43倍、オーストラリア3.34倍、メキシコ2.44倍と続く。

世界トップ15カ国の経済成長 出典:IMF 世界経済のネタ帳

世界トップ15カ国の経済成長 出典:IMF 世界経済のネタ帳

この期間の成長率を高い順番に見てみると、中国、インド、ロシア、オーストラリア、韓国と続く。中国が突出して高く、日本が何周回も遅れているように低い。当然だ、円建てで見ても1997年からまったく成長していないのだから。

つまり、中国が着実に山を登っている間、日本は中腹で道に迷ったようにうろついていたのだ。

とはいえ、成長率に10倍以上もの差がつくのは、両者の意欲や能力の違いだけでは説明がつかない。この期間最近に至るまで、米国を含め世界中から応援されていた中国に対して、日本は何かと叩かれ続けていたのだ。これは個々の企業の力というより、政治力の弱さとしか言いようがない。それをパワハラ的に、お前が悪い、ここを直せと言い続けられているうちに、日本企業も自分を見失っていったのではないか?

それでも、安倍政権下ではリーマン・ショック後の低いところからの回復期だったとはいえ、戦後2番目の長い期間、それなりの成長率を見ることができた。

危険レベルの量的緩和とマイナス金利政策

しかし、それには大きなコストがかかっている。資金供給量とマイナス金利政策だ。

1997年3月の資金供給量は50.6兆円だった。2013年3月は134.7兆円だ。それが直近の今年の7月には566.8兆円に膨れ上がった。実体経済の規模が大きくなっていないのに、この期間にマネーの量は11.2倍に、量的緩和の前からだと4.2倍に増え、遂に実体経済を超えたのだ。

また、黒田日銀は2016年1月からマイナス金利政策を導入した。マイナス金利とは貸し手が借り手に金利を支払うものなので、低利で調達した資金をより高利で運用するという金融ビジネスの否定につながる。利ザヤが超薄い超低金利政策に続く、マイナス金利政策では銀行経営は成り立たない。成り立っているところは、海外証券投資を含め、本業とは呼べないところのリスクを取っているのだ。倫理的に逸脱したリスクを取ったところもある。ここでも、銀行経営の非効率が指摘されているが、マイナス金利政策で利益を上げられる方が不思議なのだ。

経済成長と資金供給量 出典:財務省

経済成長と資金供給量 出典:財務省

経済規模を超える量的緩和やマイナス金利政策が危険なのは、次の危機に対する打つ手がなくなることだ。実際、コロナ禍だといっても、日銀にこれといった対策はなかった。

Next: コロナ自粛で経済壊滅。失政の穴は公的資金で埋める

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