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ネット証券各社「手数料無料」戦争勃発も投資家が喜ばない理由。トクするのはいったい誰か?=九条

信用取引でも無料化は進んでいた

ではデイトレーダーにとってはコストが重しになっていたのかというと、実はそうでもありません。各社は、デイトレ向けのプランとして「一日信用」というものも用意してきました。これは、建玉を翌日に持ち越せない代わりに、手数料を無料とするプランです。

しかも信用取引には、買建には買方金利、売建には貸株料がかかるのが普通ですが、楽天証券やSBI証券は、これも段階的にゼロにしてしまいました。当初は、約定金額が100万円以上ならゼロだったものが、次に50万円以上になり、2022年3月からは約定金額にかかわらずゼロとなったのです。

つまり次の日にポジションを持ち越さないデイトレーダーであれば、手数料も金利も貸株料もかからないわけで、いち早く完全無料化されていたわけです。

さらに、信用取引の買建からの現引、売建からの現渡を使えば、実質コストがゼロのまま、現物株の売買も可能でした。つまり、信用取引口座を開けば、手間はかかるものの、投資単位が100万円を超える銘柄も売買手数料は無料だったのです。

若者はひと足早く無料化されていた

では信用取引口座を開くことができない未成年はどうかというと、こちらはすでに完全無料化が進んでいました。先鞭を付けたのはやはりSBI証券で、2021年4月に25歳以下の国内株式売買手数料を実質無料化しました。

これに対し、松井証券も25歳以下を完全無料化。岡三オンライン証券、DMM.com証券、auカブコム証券、岩井コスモ証券も25歳以下は手数料を全額キャッシュバックと追随しました。さらにGMOクリック証券は27歳以下まで手数料無料化の対象を広げました。

この未成年口座無料化に乗らなかったのは、楽天証券とマネックス証券が主なところです。

このように、手数料を意識する投資家にとっては、ほとんどの場合ですでに手数料は無料化されていました。その意味では、今回SBI証券と楽天証券の手数料ゼロ化は、総仕上げではあるものの、実はそこまで投資家にとって大きな変化ではありません。

では、いったい誰が今回の手数料ゼロ化の恩恵を受けるのでしょうか。

Next: 売買手数料ゼロ化の恩恵を受けるのは誰か?

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