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JASDAQ市場は、なぜ急激な動きを見せるのか?小型株を動かす要因とは=若林利明

小型株参加者の嘆き…小型株の下値模索

小型株ファンも複数のタイプがおります。投資の基本的なアプローチからする小型株ファンは、企業の成長プロセスが株価に反映され、大きなキャピタルゲインを得ようとするオーソドックスなアプローチです。経営規模が小さいことは、それだけ成長の可能性が高く、技術力、営業力、経営手腕によって持続的に利益を伸ばす可能性があるからです。

早い段階で株式を購入すれば、会社の成長が株価に反映されることになり、大幅なキャピタルゲインが得られることになります。しかし、一方で投資家の注目度の高まりにより一挙に投資家が殺到、株価は急上昇、短期的に利益の先行きを相当先まで織り込む形の株価(高PER)になります。こうした株価の動きを当初から期待、短期のキャピタルゲインを目指す投資家が活躍する市場でもあります。

つまり、企業業績から入るタイプの投資家と株価から入るタイプの投資家が共存しているのです。このように多様化する投資家の銘柄に対する期待を込めて株価が形成されてゆくのですが、小型株特有の流動性という問題にいつも突き当り、投資家に多くの想いを余儀なくさせるのも小型下部の特徴です。

当初の目論見が外れると、まさしく二階へあがって梯子を外されることもしばしば生じます。つまり降りたくても梯子がなく降りることも出来なくなるのです。この動きを一層際立たせたのは、外国人投資家の小型株への積極姿勢です。

企業の配当に関心を寄せる傾向が強くなっている

ここ数年、そのターゲットを小型株市場へと拡散してきました。その動きが2016年の年央以降のJASDAQ指数の動きに表れています。外国人投資家の場合、入り口は成長性に注目するのですが、資金が大きく、必要株数を短期的に買うため、どうしても株価を押し上げてしまいがちです。もとより流動性で問題のある小型株でもあり、株価の急騰をもたらす結果となります。

さらに、大きな特徴は、こうして成長性に着目したからとしても長い期間、保有し続ける訳ではありません。あくまでもポートフォリオの分散投資の一環であり、その資金は顧客から委託された資金です。顧客の事情により解約が出れば、短期間に換金のための売却をしなければなりません。

すべての外国人投資家がそのような行動をするわけでもありませんが、ごく一部でも大量の売りを市場に晒すことになり株価が急落することになるのです。こうした事例が2017年以降のJASDAQ銘柄にも非常に多くみられております。

一方、市場全般に株価形成要因として企業の配当に関心を寄せる傾向がより強くなっていますが、小型株もその例外ではありません。具体的に投資家の配当利回り指向が強くなると、人気が離散し株価が低迷する時でも、利回りに着目して保有し続ける、あるいは押し目買いを入れるチャンスと捉える、といった前向きに対処する動きが目立つようになりました。

そのような市場の流れが現在も加速しており、小型株投資に入る段階、つまり銘柄選択の際、利回りを含めた投資スタンスを堅持して臨むことが重要です。梯子を外された時でも配当を享受しながら、忍耐の時間を覚悟するぐらいの投資スタンスが望ましいと思われます。

【※ご注意】
投資判断はご自身で行ってくださるようお願いいたします。当講座は投資判断力を強化することを目的とした講座で投資推奨をするものではありません。当講座を基に行った投資の結果について筆者及びインテリジェント・インフォメーション・サービスは責任を負いません。

※本記事は有料メルマガ『資産運用のブティック街』2018年12月4日号を一部抜粋・再構成したものです。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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資産運用のブティック街』(2018年12月4日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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