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ミニストップ、レジ袋有料化実験へ。なぜ世界は急速に脱プラスチックに動いたのか

日本もゴミを大量に輸出している

先進国で出たプラスチックごみの廃棄方法に「他国への輸出」があります。

環境規制の厳しい先進国では、ごみ処分にともなうコストも高くなりやすいので、安価にごみを引き取り、規制の緩い開発途上国に持ち出して処分する「ごみの輸出」という方法がとられています。

リサイクルされず、輸出されたプラごみの多くは、その他のごみと同じく、最終的に開発途上国で投棄されることになります。開発途上国の郊外や貧困層の多く暮らす地域では、海外から運び込まれたごみがうず高く積み上がっている光景や、そのなかからまだ使えそうなものを拾い集める人々の姿が珍しくはありません。

日本年間150万トンものプラスチックくずを「資源」という位置づけで中国を中心にアジア諸国に輸出していました。

しかし、世界最大の輸入国である中国がリサイクル処理に伴う環境汚染などを理由に2017年から輸入規制を始めたことで、日本のプラスチックごみの行き場がなかなか見つからないといった問題が起こっています。

慶応義塾大学の大久保敏弘教授らのチームによると、日本はプラごみだけで年間500億円分以上が輸出されているとしています。

海洋プラスチック問題における「中国ショック」

海外ごみの輸入を厳しく禁じる。水がきれいで空が青い中国を築いていかなければならない…」。中国李克強首相による、30年に及ぶ国策の大転換でした。

2017年7月27日付で中国政府“国務院”が、全国の省・自治区・直轄市政府ならびに国務院関係部門に対して下達した「外国ゴミの入境を禁止する固体廃棄物輸入管理制度の改革推進実施法案の通知」に基づくものでした。

2017年12月31日、中国は“洋垃圾(外国ゴミ)”の輸入を禁止しました。

中国の国策と表現しましたが、急速な経済発展の一端を、実は資源ごみが支えていました

資源不足に悩む中国は、海外から資源ごみを輸入し、リサイクルする方法を選びました。特に先進国が消費した膨大な廃プラスチックは、石油原料よりはるかに安い、貴重な資源だったのです。経済発展とともに中国の輸入量は年々増加し、世界の廃プラスチックの6割を輸入するまでになりました。

しかしそれは、中国国内に深刻な環境汚染をもたらしました。経済発展と環境汚染には、このような関係があったのです。

汚れた状態で輸入される廃プラスチックをリサイクルするには、手作業による分別が必要でした。人件費の安い農民が、丁寧に仕分けをして汚れを洗い落としますが、その時に出る汚泥や、洗浄に使う薬品の多くが、川などにそのまま流されていました。土壌からは鉛や水銀などの物質も検出されるようになりました。

中国の経済発展は、中国国内からも大量のプラスチックごみを出すことにもなりました。「自国のプラスチックすら持て余すようになった今、環境汚染を引き起こす海外の資源ごみはもはや受け入れられない…」。これが李克強首相の「外国ゴミ輸入禁止」という国策大転換に繋がっていったのです。

Next: 中国が拒否した先進国のゴミはどこへ…? しわ寄せは東南アジアへ…

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