現金以外でも納税できる
まずは、相続税の納税方法の原則について触れさせて頂きますが、相続税は原則、現金で一括納税しなければなりません。
しかし先ほど挙げたように、相続財産の大半が不動産である場合など、現金一括納付が難しければ、それ以外にも認められている納税方法が存在します。
それは、延納と物納。
想像はつくかと思いますが、「相続税を一括で払いたくないから延納にしたい!」「現金を減らすのは嫌だから物納で!」といった自己都合は通りません。
どうしても現金一括納付が困難である場合のみ、延納もしくは物納が認められるというわけです。
相続税は現金一括納付で納めるのが大原則であるというのは、冒頭で触れた通りです。
それでは、現金一括納付が困難であれば、自分の好きなように延納もしくは物納を選択することができるとお思いの方が多いのですが、そうではなく税務署の判断に任されるのです。
具体的には、現金一括納付が難しければ延納、延納も難しければ物納といったように、優先順位が設けられています。
物納は、言わば最終手段であるということになりますね。
延納が認められるケースとは?
延納と聞くと、納税期限を延ばしてもらうことというイメージを持たれるかもしれませんが、期限を延ばしてもらうことだけを延納と言うわけではありません。
期限を延ばしてもらうのはもちろん、分割払いにして納税することを延納と呼びます。
延納では原則、5年間の期間延長までしか認められていませんが、場合によっては最大20年までの延長が認められています。
延納を申請するにあたって満たさなければならない条件は、全部で4つあります。
<延納申請のための4つ条件>
- 相続税額が10万円を超える
- 金銭で納付することが困難である正当な理由がある
- 延納税額・利子税の額に相当する担保を提供する
- 延納申請にかかる相続税の納税期限または延納申請期限までに、延納申請書に担保提供関係書類を添付して税務署へ提出する(ただし、延納税額が100万円以下でかつ延納期間が3年以下である場合には、担保を提供する必要はありません)
相続税の納税は、現金一括納付が難しければ延納、延納も難しければ物納といったように優先順位が定められていますので、この4つの条件を満たすことができない場合に限り、物納が認められるということになります。