リンガーハット改革の3つの成功要因
なぜリンガーハットは復活を遂げることができたのでしょうか。それには以下のような要因があったと考えます。
<(1)当たり前のことを当たり前に>
前述したように、飲食チェーン店の運営は緩みがちになります。コストの上昇だけでなく、店舗の掃除一つ取ってもきれいに維持し続けることはなかなか難しいのが現状です。
例えば、急速なチェーン店化を進めて現場をおろそかにしたマクドナルドは一時大幅な客離れを引き起こすことになりました。直接的な原因は消費期限切れ鶏肉問題でしたが、汚い店舗では「さもありなん」と、消費者は悪い方向での関連付けを行ってしまったのです。
飲食チェーン店の経営は、ともすると売上高の拡大・店舗数の増加を目指すあまりに既存店舗の運営をおざなりにしてしまいがちです。しかし、その間に既存店ではじわりじわりとコストが上昇し、顧客も離れていきます。
そうならないために、無駄なコストは使わない、店舗は清潔に保つなど、当たり前のことを当たり前に続けることが不可欠となるのです。米濱氏の改革はまずはこれを徹底したことが鍵を握りました。
<(2)創業者のカリスマ性>
経営改革と言っても、ただ掛け声をかけただけでうまくいくものではありません。実行には多くの協力が不可欠ですから、その仕組みが不可欠です。
リンガーハットの場合は、一線を退いていた創業家の米濱氏が復帰したことが大きかったと考えられます。大胆な改革を実行するには、トップのカリスマ性がどうしても必要になります。
例えば、かつて日産が復活したのも、カルロス・ゴーン氏という良くも悪くも飛び抜けたリーダーがいたからにほかなりません。
ゴーン氏が大胆なリストラを行ったのと同じように、米濱氏も大量閉店を行いました。サラリーマン経営者ではこの決断はできないでしょう。経営改革が成功するかどうかは、カリスマ性のあるリーダーがいるかどうかも判断材料になります。