米朝外交のいざこざはすべて演出
2月末にハノイで行われた2回目の米朝首脳会談では、すべての核兵器や核施設の廃棄を迫る米国に対し、国連制裁解除など段階的非核化を求めた北朝鮮が対立し、物別れに終わったことになっています。
しかし、この場に何かを決めるとか、話し合うことにはそもそもなっていませんでしたので、両者はただ旅行に来ただけというのが実態です。
6月末の板門店での3回目の首脳会談は電撃的でしたが、これも演出の範囲内です。当時は「2〜3週間以内」の実務協議再開で合意しましたが、そもそもそんなに早くできるわけがありません。
それをまともに報じて、「やはり米朝問題は難しい」などと報じているマスコミなどは、いろいろな事情があるのでしょう。そろそろわかってもよい頃なのですが。
一方で、米政府は、北朝鮮が海上で物資を積み替える「瀬取り」に関与したとして、台湾・香港の船舶会社3企業と同社幹部ら2人を制裁対象に指定しています。これはこれで、一応やっておくということなのでしょう。看過すれば、世界の目が疑いをかけてきます。ですので、そのような事実があれば、それはそれで制裁をしておくしかないわけです。
このように、北朝鮮ネタは、出てくるたびに騒がれますが、先は見えてきています。ミサイル発射も含め、一喜一憂する必要はないでしょう。
米ロ問題はただの茶番。軍需ビジネスで儲けたいだけ
一方、米ロ問題は少し状況が違います。
ロシアのプーチン大統領は、地上発射型中距離ミサイルの製造に着手する方針を表明しています。一方で、米政府による日本や韓国へのミサイル配備に向けた動きに懸念を表明し、軍拡競争をエスカレートさせないよう米国側に促したものの、米国側から反応はなかったとしています。
しかし、両国には阿吽の呼吸があります。いまや、大国同士の軍事衝突はありません。あくまで「軍需ビジネス」のためにやっているようなものです。
軍需ビジネスは金額が張りますので、大国にとっては重要な資金源です。米ロが先行しているのがわかるでしょう。大国がみずから軍事設備を増強すれば、他国も同じようにそうします。そうすれば、軍事設備がたくさん売れます。非常に面白い構図です。
交渉上手なプーチン大統領
プーチン大統領は、米ロの中距離核戦力(INF)廃棄条約が前月失効したことを踏まえ、これまで同条約で開発や製造が禁止されてきたミサイルについて「無論製造する」としています。しかし、米国が先行してミサイルを配備しない限り、ロシアがミサイル配備に動くことはないとしています。
これも非常に興味深い「演出」です。
さらに「米国防総省のトップが日本や韓国にミサイルを配備する意向を示していることはよくない」とし、「懸念材料だ」としています。また、「日本と米国の安全保障上の協力関係、その他の問題が、日本との平和条約締結を困難にしている」とまでしています。
米ロ問題を日ロの北方領土問題に紐付けるあたり、やはり交渉上手といえます。
一方、トランプ大統領との電話会談で、ロシアが開発する極超音速核兵器の販売を打診したところ、米国は自国で開発するとして拒絶されたとしています。ここまでオープンしていますが、だからこそ、演出が効いてくるわけです。