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新型肺炎で年金財源が枯渇する?「決定的な分岐点」を迎えた日本の株式市場=近藤駿介

2020年は大統領選挙の年

こうした状況下で問題なのは2020年が大統領選挙の年であることと、米国の政策金利がすでに1.5%〜1.75%まで引下げられていて金利低下余地に限界があることである。

前述のように、トランプ大統領が就任してから3年強の間に、NYダウは116回、ナスダック総合は142回も史上最高値を更新してきている。こうした現実からいえることは、現在の株式市場にとってトランプ大統領が大統領でなくなる、つまり再選に失敗する、失敗する可能性が高まることで、市場全体が一旦リスクオフに向かう可能性があったということである。

再選を目指すトランプ大統領にとって、史上最高値を更新し続ける株価は大きな成果であり、これを維持することが再選に向けての至上命題だったといえる。そのために、大統領選挙期間中も米中貿易交渉の進展期待を始めとした通商政策やさらなる減税案などで株式市場を鼓舞し続けることを狙っていたはずである。

こうしたトランプ大統領のシナリオを揺るがしたのが、新型コロナウイルスの感染拡大である。中国を中心とした東アジアの地政学的リスクだったはずのこの問題は、米国でも死者が出るなど米国含んだ国際問題になってしまった。

トランプ大統領はインドとの貿易協定の締結やタリバンとの和平合意、さらにはさらなる減税策を公約に掲げるなどして市場の期待を繋ぎとめようとしているが、新型コロナウイルス感染拡大に歯止めがかかる気配が見えない中で、市場の期待を繋ぎとめるのは難しいといわざるを得ない状況である。

利下げに踏み切らざるを得ないFRB

そうした中で高まってきたのが、FRBによる利下げ期待である。昨年10月のFOMCで3回連続の利下げを行ってきて以降「予防的利下げ」の打ち止めを宣言したFRBであったが、その時点で新型コロナウイルスのリスクは織り込まれていなかった。

その点においてFRBが追加利下げ、金融緩和に動く大義名分は出て来ているといえる。

さらに、新型コロナウイルスの悪影響によって米国10年国債利回りが一時1.1%台まで低下し完全な「逆イールド」になり、市場が3月のFOMCでの利下げを100%織込んだ今、追加利下げを行わないこと自体がFRBのリスクになって来ている。

政策金利の引き下げ余地が1.5%としかないことを懸念しているFRBとしては、市場に催促される格好での利下げは避けたいのが本音だとは思うが、金融市場の混乱を避けるためにも利下げに踏み切らざるを得ない状況になっている。

Next: コロナショックがなくても日本経済減退は確実だった…

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