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なぜ日本だけ消費が戻らないのか?米国と中国はすでに前年水準を回復=吉田繁治

なぜ日本だけ消費が戻らない?

緊急事態の外出自粛に対し、政府は、1人あたり10万円の補助金を決めて支出しました。これが20年5月の世帯所得9.8%増加、6月の15.8%増加、7月の、9.2%の増加の原因です。日本の歴史上、こんなに大きく世帯所得が増えたのは、初めてです。

7月は実収入は、68万5,000円になり、前年比では9.5%(7万円)増えています。増えた所得は、消費支出にはならず(7月の消費は前年比マイナス8.3%:28.8万円)、預金の増加になっています。このため、消費性向(消費÷可処分所得×100)は、所得の51.4という歴史的な低さになっています。

米国と中国に比べ、コロナのなか、またはコロナ後の消費の回復が遅い理由は何でしょうか? 

家計に対して堅実な世帯が多いのか。あるいは「消費節約できる部分」を含んでいたためか。ともかく日本は、世界の消費への態度とは違うのです。

商品支出への消費額を減らしやすいと思える「60歳以上が世帯主」の割合が、52%と過半数以上を占めるためでしょう。外出と観光の自己制限が、さほどは苦にならないのでしょうか…。

国民は何にお金を使ったのか?

2020年7月の26万7,000円の消費支出の内容は、どうなっているのか?消費支出全体では、前年比−7.6%(実質:数量ベース)でした。その内訳を見ていきましょう。

<食費>

項目:平均支出額 実質前年比(筆者補足)
食費:7万9,290円 -2.6%
・穀類:6,702円 +3.8%(パンは3.8%減)
・魚介類:5,925円 +8.6%(生鮮は+10.3%)
・肉類:8,003円 +12.5%(生鮮肉は+13.9%)
・乳卵類:4,185円 +6.9%(乳製品は+9.7%)
・野菜・海藻:9,319円 +1.9%(大豆加工品は+3.9%)
・果物:3,398円 -7.2%(生鮮果物は-8.3%)
・油脂・調味料:3,921円 +8.8%(家庭調理の増加が影響)
・菓子類:6,790円 -5.3%(菓子類は減少)
・調理食品:1万1,306円 0.0%(お弁当は-5.0%)
・飲み物:5,347円 -0.5%(茶は-5.6%;コーヒーは+4.6%)
・酒類:3,956円 +11.1%(家飲みの増加)
・外食:1万496円 -28.4%(外食は急減)

食料の需要変化から、生活が見えるでしょう。外食が減り、その分家庭食が増え、家飲みが増えたのです。嗜好品に近い果物とお茶は減って、主食的な食品が増える変化です。生鮮肉類の増加の12.5%は、突出しています。家庭での調理が増えたためです。
※参考:家計調査報告(2020年7月分)- 総務省

食料全体では、外食の28.4%の減少のため、7月も─2.6%になっています。飲食店の売上が、7月も30%くらい減り(都心部は-50%かそれ以上の減少)、その分を、食品スーパーで買って、家で調理することが増えました。

食品スーパーは、30年間なかった「売上と利益の増加」を見せています。既存店売上は4月から前年比+5%~10%が続いています。1億2600万人が食べる食糧は、減っていない。コロナで、買うところのチャンネル・シフトが起こったのです。食品スーパーに、60歳以上の夫婦と、学校が休みの子供を連れている主婦が多い。

普通の時期、小学生や中学生は、食品スーパーには少ない。コンビニでは郊外は売上が増え、在宅勤務が増えたので都心部が減っています。

Next: 住居費・衣料・サービス費…あらゆる消費がニュー・ノーマルへ

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