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なぜ種苗法改正はひっそり進む?農業も水道も「日本が売られる」=原彰宏

農業が売られる

コロナ対策の影に、というかマスコミはもうコロナと日本学術会議委員任命拒否問題に明け暮れている間に、国民の目にさらされることなく「種苗法改定」が決まりそうです。

本来は、安倍政権最後の通常国会で通すはずの法案だったのですが、黒川弘務東京高検検事長(当時)定年延長問題で審議ができず、世間の風も安倍政権に厳しかったこともあり、通常国会での成立は見送られました。

種苗法改定は、世論の目を気にしなければならない法案だということです。

女優の柴咲コウ氏が先頭に立って、種苗法改定に異を唱えたことで、一般の人の目にもとまることになりました。

【関連】柴咲コウ、種苗法改正に憤り。コロナの影で日本の「食」が外国資本に売られる

黒川弘務検事長問題も、女優の小泉今日子氏が声を上げたことで世間の注目を集めることになり、やはり発言力のある人の声は大事ですね。

種子法廃止から、種苗法改定へ…この流れで「農業が売られる」を考えてみましょう。

日本の食を危険にさらす「種子法廃止」

種子法廃止に関しては、以前に当メルマガで書いた記事を、掘り起こしてみます。種子法は通称であって、正式には「主要農作物種子法」と言います。

主要農作物種子法は、コメ・麦・大豆などの主要な農産物に関しての優良な種子の安定的な生産と普及は国がその役割を果たすべきであることを定めたものです。

時代背景から見て、主要農作物種子法(以下通称の「種子法」を用います)は、食料の安定供給が目的だったかと思われます。この法律が、2018年4月に廃止されました。

この背景には、農業分野への民間参入というものがありますが、問題は、民間企業の国籍です。外資の参入に対する警戒感があるのです。

種子法廃止は、当時TPP(環太平洋パートナーシップ協定)加盟に向けての政府方針が関わっていると思われます。「自由競争」の名のもとに、すべての産業等を開放するのがTPPの趣旨で、日本人の主要農産物を国が管理していることが不都合になったのではないでしょうか。

TPPでは、自由競争を阻害する国の関与は認められません。

コメの自由化という言葉もありましたが、日本の主食であるコメが自由市場に晒されることで、外資の競争に巻き込まれることが危惧されていました。

すでに民間が主体となっている野菜などの作物では、圧倒的な技術力と資本を持つ数社の多国籍企業が、中小の種苗会社を次々に買収し、世界中にシェアを拡大しています。

今スーパーなどで販売されている野菜の多くも、そうした多国籍企業の種子によるものなのです。

「特許ビジネス」が日本の農業を食い物に

その競争の背景に「特許」という概念がついてきます。ロイヤリティービジネスです。

つまり、種子法廃止の根本的な問題として、新しい品種をつくるために素材となる遺伝資源である品種は、国や都道府県が“公共の資産”として持つという考え方だったのが、民間に委ねられた場合、遺伝資源を基にして改良された新品種について、改良部分だけでなく種子全体に特許をかけ、企業がその所有権を主張するのではないかという指摘です。

ロイヤリティ(特許料)を払わなければその種子が使えなくなる、遺伝資源が企業に囲い込まれてしまう、これは「種子の私有化」を意味するというものです。

農家は、作物をつくるのに、毎年このロイヤリティ(特許料)を負担しなければならなくなるのです。

この「新しい品種をつくるために素材となる遺伝資源である品種」が、農家の努力で培われたもので、それが次の年により良い品種の作物が生まれるものとして、その財産権は各農家に委ねられることを、オープンにしろというのが、今国会で成立するであろう「種苗法改定」の主旨となるのです。

それは種子法が規定する主要農作物だけではありません。いちごもメロンもすべてです。

種子法廃止から種苗法改定の間に、米国を含むTPPは大きく縮小されましたが、外資参入の障壁は取っ払うことは続けられ、農家が自ら生産した作物から種子を採取する「自家採種」の権利をも奪うことになっていくのです。

農家は作物栽培のためのロイヤリティ(特許料)を毎年外資企業に払うことになるのです。

Next: まもなく「種苗法改正案」国会通過、日本の農業が外資に売られる

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