金融政策はデフレ脱却やインフレ創出につながらなかった
もちろん、市場には強気派もいますし、割安だと判断して買っている投資家もします。だからこそ、株価は反発しているわけです。
しかし、その投資行動に矛盾があることに気づいていないのでしょう。だからこそ、いまの株価水準で買うという行動に出ているのだと思われます。
たしかに、雇用統計は強い内容でした。失業率は3.9%と前月から0.2ポイント上昇しましたが、非農業部門の就業者数の伸びは前月比31万2,000人と、昨年2月の32万4,000人以来、10カ月ぶりの高水準となりました。
失業率も、FRBが想定する長期水準の4.4%を依然として下回っており、堅調な景気を背景とした雇用の改善を示しています。
また、物価上昇の先行指標として注目される平均時給は前年同月比で3.2%増と、10月に続いて9年半ぶりの高い伸びとなりました。
しかし、いまはっきりしていることは、賃金の伸びとインフレ率の連動性はほとんどなくなっているということです。
したがって、賃金の伸びが利上げにつながるという図式はほとんど考える必要はないといえます。
金融政策がデフレ脱却やインフレ創出につながらなかったことは、すでにグローバル金融市場での常識です。
それを認めていないのは日銀とECBぐらいでしょうが、ECBもそれを認める方向にあります。
今後は原油安もあり、再びインフレ率の伸びが低下していくことになり、再びデフレへの懸念が強まる可能性があります。
こうなると、株価も上がりづらくなります。
それはともかく、そもそも、いまのステージは、繰り返すように「バリュエーション調整」です。
この根本的な部分を間違えないことが重要です。