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日本景気は後退から次の局面へ、株価の大底を探る「景気低迷期」へ突入する=山崎和邦

世界的な金融緩和は利下げを通じて通貨安競争になる恐れがある

まず、米利下げで円高に振れやすくなる。欧州中央銀行ECBは9月に追加緩和に踏み切る公算が大きい。世界的な金融緩和が金利低下を通じて通貨安となり、各国が自国通貨防止に介入すれば、世界経済は混沌とする恐れがある。

円高に向かう方向は、正月明けの104円という急激なことはないだろうが、この数ヶ月の値動きを見れば4月の112円からじりじりと円高に向かい8月7日に一瞬105円台をつけたし、9月には105円が定着しそうだ。

今後の円相場の焦点は米中摩擦の行方とFOMCの利下げの決め方次第であろう。FOMC開催ごとに利下げが高まるとFOMC開催ごとに円高になる傾向が出てくるであろうが、正月の104円を一気に切ってくることは当面はないと思われる。

「予防的利下げ」

「予防的利下げ」という言葉は1990年代後半にFRB元議長が使い出した。そして3回利下げを行った。当時はアジア金融危機・ロシア危機などがあり金融市場が激動していた。

一方NY市場はIT企業が暴騰し、所謂ITバブルを作出し、2000年にその崩壊が生じた。今回も過去のバブル期と同じような状況になりつつある。米国の株価は最高値を更新したし、米企業の業績はピークアウトしているにもかかわらず株価だけが上昇しているのは実態に合わない、と述べるのは岩田一政元日銀副総裁である。(現在、日本経済研究センター代表理事・理事長)。

企業業績がピークアウトしているにもかかわらず株価だけが上昇しているNY市場は必ず壊れるに決まっている。企業の債務残高が積み上がり、不動産市場にもバブルが生じていると思う。

パウエルFRB議長は景気循環の中盤での調整だと言っている。2~3回利下げをして様子を見ようとしているのだろう。ただし、政権と市場との圧力に屈した形で2~3回の利下げにとどまらず、本格的な利下げ局面に入るシナリオである。

来年秋の大統領選を控えてパウエル議長は引くに引けない。欧州中央銀行も緩和姿勢を強めている。日本の場合に景気が後退期に入って収縮期に入り、政府は財政出動するような場合になれば、日銀が何もしないわけには行かない。短期金利を下げるしかないであろう。

Next: FRBの緩和が本格化するにあたって、ECBにできる対応策は…

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