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米国株にピークの兆し。著名投資家とファンドが逃げ出し、大衆がトレードを始めた=江守哲

米国株の考え方

米国株は引き続き堅調である。第2四半期は素晴らしい上昇となった。多くの投資家が流入し、株価を押し上げたようである。新型コロナウイルスの給付金で取引を始めた若者がいるなどと解説されるが、それはともかく、株価が上昇しているという事実をまずは理解しておく必要がある。

長期ポートフォリオ戦略のポジションは、米国株が上昇すれば、何もしなくても勝手にリターンが増えていく。この積立型のポートフォリオと短期トレード戦略を組み合わせることで、現金を徐々に資産に変えていく作業を淡々と繰り返すわけである。大きく上げても、大きく下げても収益機会があるこの戦略の考え方が、まさに「オールウェザー(全天候)型」の運用スタイルである。これを習得すれば、あとは市場の動きに身を任せるだけである。

さて、米国株は上昇しているものの、上値が重く、高値警戒感を指摘する声が聞かれる。新型コロナへの警戒が根強く、完全には強気にはなれない状況である。とはいえ、株価は上昇しており、この矛盾に投資家は悩まされているといえる。この日もナスダック指数が史上最高値を更新した。FANG指数も上昇しており、これらのハイテク株を買わないと株式ではリターンが出づらくなっていることは事実である。

米ウィルシャー5000のリターンは、いわゆる「Big5」(アマゾン、アルファベット、フェイスブック、マイクロソフト、ネットフリックス)を除くと、2018年からほとんど変わっていないとの指摘がある。これが米国株の現実であることを認識したうえで、投資判断をしなければならないといえる。

これらの銘柄群には実は割高感はないというのが市場の評価である。したがって、個別では買えるといえる。しかし、心配なのは、市場の時価総額に占めるシェアがあまりに高くなっていることである。それだけが心配事である。しかし、個別企業の実力を考えれば、それを気にしていると何もできない。確かに極端かもしれないが、市場が崩れるまではこれらの銘柄を中心に見ていくべきであろう。

ただし、ナスダック100ミニ先物における投機筋のネットポジションが、過去の最高水準である4万枚に達している。警戒が必要な状況にあることは念頭に置いておくべきであろう。

一方、米雇用統計は数値こそポジティブに見えるが、それは大きく落ち込んだ後の回復が大きいからであり、勘違いしないことが肝要である。また、失業率は底打ちが株価の底打ちから9カ月遅れで確認できる。完全なる「遅行指標」であり、株式投資の判断には全く使えない。多くの経済指標はそうである。

過去を振り返るには経済データが重要だが、将来を見て投資判断をするには不要とも言える。そこまで極端に考える必要もないのだろうが、実態はそうであることは理解しておくべきである。その意味では、いわゆるエコノミストの発言には要注意である。彼らの思考は将来を見ておらず、過去を振り返る癖がついている。そのような発想の人間の見通しは常に市場の動きに遅れることになる。

新型コロナウイルスの問題はいずれ大きくなるだろう。ワクチン開発に期待がかかるが、専門家から見れば1年以内に出来上がることはまずないようである。期待はしたいが、現実を見ればそれは不可能であることを認識しておくべきである。事実、世界では感染者巣が拡大している。この状況で楽観的になることはできない。

経済活動を止めることができないことは、各首長が最も頭を悩ませている部分だろうが、経済活動が完全に戻ることはもはやないだろう。無論、ほとんどの企業の業績も戻らないだろう。この点を株式市場がいつ織り込むかを見ていくことになろう。

短期的にはFANGに投資するしかない

短期トレード戦略では、ナスダック指数やナスダック100、あるいはFANG指数などをロングするしかない。ナスダック指数は過去最高値を更新しており、トレンドを重視する短期トレード戦略では、まずロングするというのが私の流儀である。下げれば手仕舞うだけである。まずはロングにして様子を見る。これが重要である。上げているものを買うことで、収益が得られる。これを意固地になって空売りするからおかしなことになる。

相場の動きを批判すれば、それは自分に返ってくる。相場は自分の思う通りにはならない。自分が市場の変化に合わせるのである。

Next: 機関投資家やファンドマネージャーは株式から資金を流出させている――

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