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消費増税が日本を終わらせる。むしろ総税収は減り、少子高齢化と経済衰退は加速へ=矢口新

それでも年金だけでは暮らせない

社会保障制度を支えるとされているのは生産年齢人口だ。

社会保険料負担は70兆円を超え、税負担も増え続けている。それでも、2019年新規裁定65歳カップル(会社員の夫と専業主婦)の受給額は合わせて13万円余りだ。

これは年金保険料をフルに支払い続けたケースの平均だ。先ごろ、この金額では老後の生活費が2000万円不足するとの政府試算が出た。

加えて少子高齢化が進展すると、年金制度を維持するためには、支給額を減らし続けるか、保険料負担を増やし続けるしかなくなってくる。バランスを考えれば、その両方が予測される。

つまり、将来に生活できないほどの金額を受け取るために、現時点での生活が脅かされるほどの保険料負担、税負担を義務付けられていることになる。

2019年度の社会保障費が政府歳出に占める割合は33.6%で、金額にして34.1兆円と、最も大きい。次いで、国債の利払いなどで23.2%の23.5兆円だ。こちらの負担は超低金利政策に続くマイナス金利政策で減少傾向だが、社会保障費は今後も大きく拡大することが見込まれている。

一方、税率引き上げにより消費税収が2〜3兆円上乗せされる見込みで、政府歳入に占める割合は、公債(国債)による借金を除けば、消費税が最大となる見通しだ。

もっとも、この程度の増収では焼け石に水の感が強い。

年金は政府が支えると言うが

日本の2018年度までの税収のピークは1990年度の60.1兆円で、2019年度になって初めて62.5兆円と過去最高を更新できる見込みだ。

とはいえ、歳出の規模が100兆円を超えてきているところから、財政収支の赤字幅は2009年度の62兆円をピークに以降40兆円を下回ったことがない。

つまり、政府財政の累積赤字は増える一方なのだ。

そこで社会保障制度を支える財源は、借金に頼るしかないのが実情だが、政府債務のGDP比率は240%に迫っており、世界で突出して高い。

ちなみに、政府債務のGDP比率が100%を超えているのは世界で16カ国だけ。債務不履行が取り沙汰されているアルゼンチンですら86%と、日本政府の約3分の1だ。

そんな日本政府の債務残高が問題とされていないのは、国内からの借入れがほとんどで、対外債権も大きく、純債権国だからだ。

とはいえ、対外債権は民間のもの。国内からの借入れとは、政府が国内の民間から借入れていることを意味している。

つまり、年金は政府が支えるとしてはいるものの、その政府は累積赤字と借金まみれで、法人を含む日本国民の支えなしには立ちいかない状態だ。

Next: 消費増税に頼るしかない日本政府。しかし実際は消費増税で税収が減る…

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