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それでも投資をはじめませんか?庶民と資本家を明確に分けるリスクプレミアムの概念=栫井駿介

庶民の「損はしたくない」という気持ちが資本家にさらなる富をもたらす

しかし、投資を勧めると必ず出てくる反論が「損はしたくない」というものです。実は、これこそが資本家にさらなる富をもたらす源泉となっています。

人は本能的に損を避けるものです。そして、損が出る可能性のある投資からは必然的に遠ざかろうとします。すると、株式などの資産は、本来の「満額」としての金額からディスカウント(割引)されることになります。

この「割引」が上で説明した「リスクプレミアム」なのです。つまり、本来株式が持っている成長性を人々が過小評価することによって、実際に成長を遂げたときには株式に投資した人は割引分を取り戻し、成長以上のリターンを得ることができるのです。

これが、一般庶民と資本家を分ける決定的な違いです。上記の数字で言えば、5%と3%の差である2%がリスクプレミアムということになります。

人が嫌がることを引き受けて儲けが出るのは、ビジネスでも同じことが言えます。最近は多くの人が肉体労働を嫌がった結果、土木作業員の給与がかなり良くなっているそうです。特に働き手の少ない地方だと羽振りがよいという話を聞きます。

逆に言えば、多くの人が投資に向かわないからこそ、投資家はリスクプレミアムを得ることができるのです。私はできるだけ多くの人に投資してもらいたいと思っていますが、もし国民全員が投資するようになったら、投資家が得られる利益は目減りしてしまうでしょう。これはジレンマでもあります。

ただし、人が本能に逆らえない以上、そのような事態は起きないとも考えています。リスクプレミアムは永遠に続きます。だからこそ、私たち長期投資家はある意味で「安心」して投資を続けることができるのです。

No Risk, No Return(ノーリスク、ノーリターン)

この言葉を頭に入れて、今日も投資に励みたいと思います。


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バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』(2019年12月22日号)より
※太字はMONEY VOICE編集部による

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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