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米国は30%の株価の下落、日本は長期国債価格24%で金融危機に陥る…その背景とは?=吉田繁治

相対的な尺度が変わっていく変動相場では、ドルの価値は分からない

●ドルの絶対価値は、変動相場の中では分からない。絶対的な価値をもつ金との関係で計るべきという、少数派の見解をもっています(喜んで少数派です)。

1971年に、ニクソン大統領が金交換制を一方的に停止したあとの変動相場の40年間のドルは、世界の通貨に対する「実効レート」であっても、「お互いに伸び縮みするゴムの縮尺」で計った相対価値に過ぎないからです。

1971年以降の変動相場

金交換の停止は、米国FRBのドル発行の準備資産(担保)だった2万4,000トンの金が、ベトナム戦争での7,000億ドルの戦費による貿易赤字を原因に欧州に流出したための、「金のデフォルト(ドルという約束手手形の金交換の停止)」でした。

フランスとドイツはFRBに対して、貿易で受け取ったドルと金の交換を要求したからです。FRBが決めていた金の公定価格は、1オンス(31.1g)が35ドルでした。現在の43分の1です。1グラムでは1.12ドルであり、118円(!)でした(現在は5,500円付近)。

ベトナム戦争(1955年~1975年の20年間)の直接の戦費は、現在価値では7兆ドル(735兆円)であり、第一次世界大戦より米国の戦争費用は大きかったのです。その後の医療費や年金・恩給を含むと、もっと巨大な費用がかかってます。米国の凋落は、米国のほぼ唯一の敗戦だったベトナム戦争で始まっています

ベトナム戦争の陰で、輸出により2000年代の中国のような二桁の高度成長したのが日本です。米国が戦費をばらまき、日本がそれを得たのです。当方の父は船員でした。ベトナムに食糧・医療・衣服などの物資を運ぶ輸送船に乗ると、危険手当として給料が2倍になると休暇で帰ったとき言っていたので記憶しています。

戦争と国債の増発→通貨の増刷

20年の長期の戦争は、「財政赤字からの国債発行→中央銀行による国債の買い」として通貨を増発させます。ドルが増発されるとドルの価値の低下を恐れ、価値を保つ金との交換要求が増えます。ドルと金交換はFRBからの金の流出なので、FRBは金準備制を持続できなくなります。

ベトナム戦争の結果が実は、1971年の「金ドル交換停止」でした(新著『臨界点を超える世界経済』で、「政府によって、「金融の正史」とされていない本当の歴史」も詳しく書いています)。

ドル基軸通貨の体制(1944年~71年)では、金1オンスを35ドルと交換可能としたドルに対して、世界の通貨は交換レートを固定した固定相場でした。円は1ドル=360円でした。現在の105円になおすと、当時の金1グラムは108円という安値だったのです。

1971年の米国からの一方的な金・ドル交換停止のあと、ドル価値のアンカー(錨)だった金がなくなります。あとは、ドルと世界の通貨は、外為市場での売買によって日々変動していく「変動相場」にならざるを得なかったのです。貿易収支の赤字のためドルが海外に流出する米国は、ドル価値を守ることができなかったのです。

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