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米国は30%の株価の下落、日本は長期国債価格24%で金融危機に陥る…その背景とは?=吉田繁治

日本は株の下落では金融危機にはなりませんが、企業の投資が減って不況になります。証券会社には破産が増えるでしょう。

【2019年は自社株買い】

日本でも、米国(株主)からの「EPS:1株当たりの税後純利益を米国並みにあげろ」という企業への要請から、流通株数を減らす「自社株買い」が増えています(2018年は6兆590億円)。

超低金利の社債の発行で現金を得て、投資ではなく、自社株買いによって市場で流通する株数を減らし、1株当たりの純益を高めて株価を上げることの要求です。

【経営の本末転倒】

資金を調達し、利益の出る設備投資、技術投資をすることが本義の企業にとって、社債(負債の証券)を発行し、自社株を買うのは経営の本末転倒です。株主資産を増やす米国の強欲資本主義の波及です。

わが国の経営者は、米国のような高い報酬だけを目的にはしていなかった。自社株買いが、急に5兆円に増えた2014年から変わったように思えます。2012年までの自社株買いは、2兆円レベルでした。
(注)カルロス・ゴーン氏は、米国の経営者の、オプション株による高い報酬を自己正当化の例として出していました。

2019年上半期(6か月)の自社株買いの発表は、5兆8,250億円(年間では12兆円のペース)。2018年の2倍です。1か月の平均で1兆円ですから、2013年の「外人の買い越し(15兆円)」に匹敵します。

日経平均2万2,000円付近(19年9月)は、
(1)1日の売買が2兆円を下回る日が多い薄商い(40%から50%減)の中で、2倍に増えた自社株買いと、
(2)毎月5,000億円(年6兆円)の日銀による株ETFの買いが支えているといっていいでしょう。ETFは先物と違い、清算売りの限月がないので、売らない限りは買い越しの長期保有になります。

日銀の株ETFは、27兆円(6兆円の4.5年分)に増えています(19年8月末)。どこまで増やすことができるでしょうか。
※参考:営業毎旬報告‐日本銀行

政府が指揮している、公的年金運用のGPIF(総資金量160兆円)は、米国債を28兆円(18%)、米国株を42兆円(26%)、国内株を38兆円(23%)保有しています(19年6月)。国内株は25%まで増やせると言う。
※参考:2019年度第1四半期運用状況(速報)‐年金積立金管理運用独立行政法人

自社株買いは株主への利益還元といいつつ、日産のカルロス・ゴーン氏と西川社長が行ったような、オプション株で高額の報酬を得ることも目的になっているでしょう。

【オプション株の仕組み】

オプション権(選択権という意味)は、一定価格で株を買う権利です。1,000円だった株価が1,200円に上がると、それを1,000円で買う権利があるので、1株当たり200円の利益です。会社から1,000万株のオプション権をもらっていれば、「200円×1,000万株=20億円」の特別な報酬になります。株価が下がったときは、権利を流せば損はゼロです。

米国のCEOの100億円を超える報酬の多くは、オプション株を貰ったあとの自社株買いによって得られています。CEOは自社株買いの決定ができ、株主は株価が上がると歓迎するからです。自社株買いは配当とみなされています。FRBの量的緩和(4兆ドル:420兆円)は、報酬面では株買いのレバレッジがかかって、企業経営者と大口資本家に行ったのです。

Next: ヘッジファンドと個人の売りに対して、自社株買いが対抗

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