リーマン危機のあと3倍
リーマン危機のあと、FRBの4度のドル増発(QE:4兆ドル:420兆円のゼロ金利マネーの供給)を主因に、
・米国の株価は、平均で3倍に上がり(ex:金は2.3倍)、
・NYSE(ウォール街のNY証券取引所)と、ナスダック(タイムズスクエア)の株価時価総額は3,000兆円になり、世界の株の50%に膨らんでいます。
※参考:株式市場の各種推移‐野村資本市場研究所
日本は株価の時価総額が、米国の1/5の602兆円です(19年9月)。550兆円のGDPに対して1.1倍です((注)1980年代後期は、日本が世界1の株価時価総額でした)。米国の株価時価総額は、米国のGDP20兆ドル(2,100兆円)に対して、1.4倍大きくなっています。
世界一の投資家、ウォーレン・バフェット(バークシャー・ハサウェイの運用資金の時価4.9兆ドル:515兆円と巨大)は、GDPを超える米国の株価(40%分:800兆円)は、バブル的な評価といっています(バフェット指数)。
株を買わない学者や評論家ではなく、515兆円の預かり運用資産をもって、実際に株式投資している人の発言です。傾聴に値するでしょう。
●リーマン危機のあと株価が3倍に上がったため、米国銀行が投資資産としてもつ企業の株に大きな含み利益が出ていて、それが銀行の自己資本に算入されています。実際、株価の上昇が、2008年の金融危機(=銀行の債務超過)から回復させたのです。
米国では、金融資産のうち時価3,000兆円の株の割合がもっとも大きい(米国債は22兆ドル:2,310兆円と株式の77%)。日本は逆に、1,080兆円の国債の割合が株の1.8倍も大きい国です。
株価依存の米国金融;国債依存の日本の金融
企業の1株当たり期待純益が高く、株価に依存した金融の国が米国です。政府の債務である、ゼロ金利国債に依存する金融の国が日本です。いずれも、将来は発現する問題を抱えています。
日本は、「長期金利の3%への上昇→長期国債価格の24%の下落」で金融危機になります。金融機関のもつ国債が多いからです。米国は、株価の下落(30%以上)から金融危機になって行きます。金融機関の持ち株が大きいからです。
日本では、日銀を含む政府系の郵貯・簡保・GPIFが株価を支えた
▼日本の株価
【2013年は、外国人投資家の買い】
2012年から2013年の日本株は、ヘッジファンド(外国人投資家)による15兆円の買い越しが、日経平均(225社の平均株価)を1万400円から1万6,178円にまで、55.6%上げています。
【2014年からは、政府系金融機関の買い】
2014年からは、まずGPIF(公的年金の運用機関:運用資金163兆円:2019年)が株を買い、郵貯(総資金量210兆円:2019年)、かんぽ生命(総資金量73兆円:2019年)が、アベノミクスの一環として株を買い、日銀は株ETFを買って上げています。官製相場です。日銀は現在年間6兆円のペースで株ETFを買っています。
もし日銀がこの買いを縮小から停止しなければならない時期になると、日経平均は1万3,000円には下がるでしょう(今日の日経平均は2万1,199円:19年9月6日:ここから約40%安)。