タレント、司会者、ラジオパーソナリティ、YouTuberなど多方面で活躍する田村淳さんがプロデュースする、新ビジネスコミュニティメディア「XU(クロスユー)」。その「XU」と、福岡を拠点にするFMラジオ局「CROSS FM(クロスエフエム)」、そして日本初・国内最大級のメールマガジン配信プラットフォーム「まぐまぐ!」の3メディアが、それぞれの強みを活かしたクロスメディア展開プロジェクトを開始します。このプロジェクトでは、動画・音声・テキストという異なるメディア特性を活用し、一つのコンテンツをより多様な形で楽しんでいただける新しい取り組みです。

本プロジェクトは、「XU(クロスユー)」YouTubeチャンネルを起点に、革新的なメディア連携モデルで、YouTubeで配信される田村淳さんプロデュースのビジネス・経済コンテンツを、まぐまぐの無料メルマガ配信とWebサイト展開、CROSS FMのラジオ放送へと展開。一つのコンテンツを複数のメディア形式で楽しめる、新しい情報体験を実現するというもの。
プロジェクト開始記念コンテンツの記念すべき第一弾となる「特別対談シリーズ」では、田村淳さんとNewsPicks Studios代表取締役CEOの金泉 俊輔さんによるトークの一部抜粋をお楽しみください。
なぜNewsPicksのCEOが新興メディアに出演するのか?
田村 淳(以下、田村) :さあ、それでは本日のゲストです。 NewsPicksスタジオ代表取締役CEOの金泉俊介(かないずみ・しゅんすけ)さんです。 よろしくお願いします。まずこんな質問から入るのはなんですけど、なんで来てくれたんですか? みんな最初LINEで回ってきたときに「嘘だろ?」って言ったんですよ。「なんのメリットがあるんだ?NewsPicksに」って思ったんですけど。
金泉 俊輔(以下、金泉):よろしくお願いします。でも逆に、「XU(クロスユー)」正式ローンチの初回ですよね。そこで、僕がゲストでいいんですか?っていう(笑)。経済メディアが新しく立ち上がるっていう時は、やっぱりお互い「エールを送り合う」みたいな。スタートアップの精神で。淳さんがこういう取り組みするのは、どういう目的なんだろう?みたいなのを知りたいし。

田村:僕はタレント業をやっていて、経済メディアを立ち上げたばっかりで、メディアをどうこう語れる人間じゃないですけど、めちゃめちゃ興味があるんですよ。どういうふうに伝えるかとか、何をもって真実だと言えるのかとか、嘘も本物もいろいろなものが入り交じっている中で、どうやってニュースをピックしていけばいいのかすごく興味ある。
情報発信の責任とリスク
田村:僕も僕なりに自分が感じたことを情報発信するんですけど、やっぱり間違うことあるじゃないですか。間違うし、見極めを見誤ることもあるんですけど、一回発信したものに対して「違うんです、こうなんです」っていうことを後から発信しても、なかなかそれが広がっていかなくて「負のもの」だけが残る。
金泉:「負」の方が6倍ぐらいのスピードで拡散しますよね。そういった点では、すごくSNSに慎重に情報を出されていますよね。バズるための投稿とかって、ほとんどされないじゃないですか?
田村:そうなんですよ、バズるってところはあんまり目的にはしてなくて、ビュー数とかあんまり気にしないで、できるだけ「自分の言葉」で「自分が思う真実」とか、「自分が咀嚼して出てきた答え」みたいなものは発信しようと思うんです。
5年後のニュース業界予測
田村:5年後のニュースメディアって、いろいろな媒体が出てくると思うんですけど、どうなっていると思いますか?
金泉:最近、陰謀論が大ブームじゃないですか、こういったものは本当に数がどんどん増えていくと思います。ただ、一方で「調査報道」だとか、こういったものの価値っていうのは、今より上がっていくだろうなっていうのが、僕の5年後の見立てですね。

田村:真実を伝えるためには、やっぱりコストをかけないといけないわけじゃないですか。でもコストをかけないで、今いいニュースが山ほど出てるじゃないですか。
金泉:適当に喋って動画にして出すっていうものはいくらでもある。でも、こっちの方が再生数が伸びたりするんですよね。凄い「調査報道」をして、記者の方が調査して出したものより伸びたりするんですよ。
新しい調査報道の形
金泉:最近、日本経済新聞の大スクープ「実はフェンタニルの密輸は、日本が拠点になっていた」っていうのがあったじゃないですか。あれって、僕はやっぱり画期的だなと思ってまして、「ベリングキャット式」っていうんですかね?公開情報をリサーチしまくって、それでファクトチェック。多分、今までない調査報道だったと思うんですよね。こういうことを、これからの新興メディアがやっていく、オープンソースインテリジェンスをみんながどう使っていくのか。
田村:なるほど。みんながそこにアクセスできるようになるという。
金泉:実際、ベリングキャットは任意団体で、世界中のそういう方たちが公開情報だけで、例えばロシアの航空機事故の問題とか、そういうのを暴いていく、ファクトを調べていくわけじゃないですか。あの手のことっていうのを、もっと既存メディアと新興のものがやっていくっていう世界線っていうのはあるんだろうなって。
マスメディアと新興メディアのバランス
田村:今オールドメディアって言われている大きな力をいまだに持ち続けているマスメディアと、新興メディアって言われているフットワーク軽くて取材力もあって、発信力もだんだんついてきてるっていうメディアのバランスって、どうなっていくと思いますか?マスがマスじゃなくなる日はくるのか?マスはマスのままなのか?

金泉:5年単位では多分まだマスの方だと僕は思っていて。やっぱり、足腰のある「調査報道」ができる記者っていうのは、「新興メディアに新卒で入って育つ」という形は、まだまだ先のことだと思っています。そこは最初、新聞社だったり、テレビ局だったり、出版社でそこを学んだ人たちが、5年、10年経って新興メディア、「NewsPicks」がまさにそうなんですけど、そこでジョインして、それは新しい伝え方の形で、NewsPicksを介して調査報道的なことをして出していくという段階にきていると思う。でも、これはまだ5年10年のフェーズでは大きく変わらないと思う。
田村:もっと長いスパンで見た時に変わっていくと。でもその間に、マスメディアも何かしらの変革は起きますよね?
金泉:起きますね。
田村:僕は、経済メディアとして「会社としてのメディアが育っていくのか、変化していくのか」、僕はその辺も取材していきたいなと思っています。
資本とメディアの関係は変化していく
金泉:アメリカとかは結構ダイナミックで、いわゆるGAFA系の資本家が、もうメディアの会社ごと買ってしまって。資本家がメディアを持つことによって、調査報道だとか、そういうものを担保するみたいな動きが起こっている。でもトランプが現れて、それを否定して、イーロンマスクが「X」を買うみたいな、そういうダイナミズムは今世界で起こっているんですね。
田村:そういう、うねりみたいなものは日本でも起きそうですね。どっかの大きな会社が、たとえばトヨタさんとか自前のメディアを持ち始めたりしてるんじゃないですか?そういう動きは増えそうですか?
金泉:トヨタさんみたいなオウンドメディアは出てくると思うんですけど、やっぱりどこまでいっても、いわゆる「表現の自由に対する報道」みたいな、ニュースを作る機関にはならないと思うんですよね。そういう意味では、Abemaとかをすごく面白いなと思って、テレ朝とサイバーエージェントが一緒にやっていて、ああいう形の新しいメディアを作っている。
田村:そうなると、いろいろなメディアが淘汰されていくことになりますよね。
金泉:まさにメディアの群雄割拠の時代になっているので、そこから淘汰されていくと思いますね。
AIとメディアの未来像は?
田村:「AIっていうものを考えなくていいという業態がない」って、僕は感じたんですけど、「メディアとAI」の向き合い方はどうなりますか?
金泉:すでに、実際の記事も編集も、もうAIが始めているし映像も始まってる。AIエージェントの中で、人間がある程度エディットをしながらAIが作っていくっていう段階は、もうすでに始まっているんですね。

田村:編集の補助的な役割でAIはすでにつかわれているけど、すべてをAIがやりだす、AI編集長が登場するというのは、また「軸が違う」話なんですよね。
金泉:フィルターバブルとか、エコーチェンバー現象ってあるじゃないですか。これらは実質もう「AI編集長」みたいなもんだろうなと思うんですよね。ソーシャルメディアの中の情報源を、システムの方で、その人に最適化された情報を渡すパターンと、自分から自らエコチェンバーは自分で選んでいくんですけど、選んでいる段階で、もうそういう状態になってる。自分向けの雑誌をAIが作っていくような世界は来るなと思いつつ、どこまでそれを面白いと思うかというところはありますけどね。
田村:面白さっていうのは、自分が求めているようなものばっかりだと人間は退屈に感じるってことですか?
金泉:そうですね。セレンディピティっていうものを、メディアの中でやっぱり作るわけですよね。優秀な編集者は。メディアという限られたものの中で、それをやっていくっていうのはやっぱり、当分は人力なんじゃないかなっていう気がしている。
AIが変える「メディアの現実」
田村:実際にAIを運用してて今までとは違うニュースの発信をしていて、やっぱりワクワクを感じますか?
金泉:ちょっと両面ですね。本当にワクワクする部分と、そこでできるものっていうものが、本当に人を感動させるものとか、行動変容を起こすコンテンツになるっていうのは、まだうちは作れてないんですよ。いろいろテストしてるんですよ。
金泉:1つ大きく傾向として現れているのは、いわゆるわかりやすいまとめ記事とか、例えば業界をわかりやすく説明するための記事とか、そういったものが前よりは読まれなくなったんですよね。やっぱり調査報道性のあるものとか、まだ世の中の人が知らないエッジの立った情報とか、やっぱりこっちの方はちゃんと読まれるんですけど。
田村:それは自分でできるからってことですか?
金泉:そうです。そこの部分は結構もうAIになっていくんじゃないかなぁっていう感覚はある。(つづく)
※対談より一部抜粋。対談の全編は、以下の動画からご覧ください。
新ビジネスコミュニティメディア「XU(クロスユー)- X innovation empowers U」とは
社会とビジネスの“交差点”をつくる、新たなメディア構想

「XU(クロスユー)」は、タレントであり事業家としても活動する田村淳氏をエグゼクティブプロデューサーに迎え、業界・世代・立場を超えて挑戦者たちが出会い、相互に刺激し合いながら価値を生み 出す越境型ビジネスプラットフォームです。
大企業の経営者、新規事業責任者、スタートアップ創業者、地域で活躍するプレイヤーなどが立場を超えて集い、「課題発見からアクションまで」を共創します。
【2025年9月9日開局!】XU(クロスユー)YouTubeはコチラ。
image by: XU公式YouTubeチャンネル