辛口評論家の目にも涙。「沖縄密約」を暴いた記者とその妻の姿

50年前の沖縄返還に際して日米両国間で結ばれた協定の中には、国民に知らされていない「密約」が存在していました。その一部を明らかにした毎日新聞の西山太吉記者が、情報入手法について国家公務員法違反に問われた「西山事件」では、国民の知る権利と報道の自由を大きく制限し、国家の嘘をも養護する判決が下されています。今回のメルマガ『佐高信の筆刀両断』では、評論家の佐高信さんが、事件の真相に迫ったドキュメンタリーを制作したディレクターの言葉を反芻。国家権力と闘った西山氏とその妻の姿と、それを伝える後進のジャーナリストの姿を浮かび上がらせています。

 

国家権力と闘う

読めば必ず泣くとわかっていながら、読まずにはいられない本がある。諸永裕司著『ふたつの嘘』(講談社)である。『朝日新聞』記者の諸永はこの本で「沖縄密約をめぐる2人の女の物語」を書いた。1人は元『毎日新聞』記者の西山太吉の妻、啓子であり、1人は情報公開を求めて西山らと共に裁判を起こした弁護士の小町谷育子である。

何度目かに読むキッカケとなったのは、むのたけじ地域・民衆ジャーナリズム賞の選考で『テレビ・ドキュメンタリーの真髄』(藤原書店)という「制作者16人の証言」が対象となったからだった。

その中で琉球朝日放送でディレクターをしていた土江真樹子が回想している。外務省の女性事務官から密約を示す資料を受け取った西山は国家公務員法違反に問われ、逮捕された上に、『毎日』もやめざるをえなくなった。その後も非難の目にさらされ、肉体的にも精神的にも満身創痍となっていた。

だから、顔を出して発言してほしいという土江といつもケンカになる。それで、ある時、「もう帰ります」と玄関に行ったら、啓子が後ろから「あなたの仕事は西山のことを伝えることじゃないんですか」と声をかけた。「ここで帰ったら、西山はもうしゃべりませんよ」と続けられて、土江はすっと怒りがとけて、また戻ったという。

西山夫人の啓子は決して良妻賢母なのではない。「情を通じ」と検事に書かれ、離婚しようと思ったことは数え切れない。結婚13年目で事件に遭い、それから20年近く離れて暮らして、子どもが自立した後に、彼女は西山の住む小倉に行った。日記まで見せた著者の諸永に啓子はこう告白している。

「このまま別れたら、主人は文字どおり、だめになる。国からも、社会からも、新聞社からも捨てられ、そのうえ私が捨てたらと思うと……。踏ん切りがつかなくなってしまったのです。普通なら愛想を尽かしてもおかしくないんでしょうけど、なぜでしょうね」

競艇にのめりこむ西山に「いい加減にして下さい」と怒りをぶつけたこともあった。いつもなら声を荒らげて怒鳴る西山が、かぼそい声で言った。「ギャンブルしているときだけは、すべてを忘れられるんだ」

2013年にこの妻はなくなってしまった。そんなことも思いながら読んでいた2月19日夜、何と西山から電話が来た。『毎日』の倉重篤郎と飲んでいるという。どこかで対談をとのことだった。喜んでと答えたが、アメリカで密約を示す公文書が発見された後に西山が書いた『沖縄密約』(岩波新書)のあとがきに西山は裁判の過程で知り合った諸永をはじめ、『東京新聞』の佐藤直子、前掲の土江ら多くの若きジャーナリストに「望みを託したい」と書いている。

引き取った野良猫がいなくなって泣く西山を見ながら「最後まで面倒をみなければ。この人をちゃんと死なせなきゃ」と啓子は思ったのだが、先に亡くなってしまった。

 

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いま「ビール醸造施設付き酒場」が増加中のワケ。立地を選ばぬ“強み”の秘密

個性豊かな味わいで、ファンを増やし続けているクラフトビール。そんなビールの醸造施設を併設した「ブルワリーパブ」という業態が話題となっています。「若者の酒離れ」と言われて久しい今、ブルワリーパブが若い世代を中心に支持されている秘密はどこにあるのでしょうか。今回その背景を探るのは、フードサービスジャーナリストで『月刊食堂』『飲食店経営』両誌の編集長を経て、現在フードフォーラム代表を務める千葉哲幸さん。千葉さんはブルワリーパブの草分けであるライナ株式会社代表への取材を通して、ブルワリーパブの繁盛店を作り上げるパターンを分析・紹介しています。

プロフィール千葉哲幸ちばてつゆき
フードサービスジャーナリスト。『月刊食堂』(柴田書店)、『飲食店経営』(商業界、当時)両方の編集長を務めた後、2014年7月に独立。フードサービス業界記者歴三十数年。フードサービス業界の歴史に詳しい。「フードフォーラム」の屋号を掲げて、取材・執筆・書籍プロデュース、セミナー活動を行う。著書に『外食入門』(日本食糧新聞社発行、2017年)。

コロナ禍で「ビール醸造施設付き酒場」が増加中。背景には何があるのか?

今日ブルワリー(ビール醸造施設)を併設した飲食店の開業事例が増えてきた(これを「ブルワリーパブ」と言う)。この要因はまず、クラフトビールのファンが若い世代に多いこと。全国のクラフトビールメーカーが一堂に集まるビアフェスはコロナ禍で開催されていないが、2019年までのビアフェスの会場には20代、30代の男女が集まっていたものだ。

そしてもう一つは、事業再構築補助金という制度が存在していること。事業者が思い切った事業再構築の事業計画をまとめると、まとまった金額を受け取ることができる。これまでブルワリーパブを経営してみたいと思っていても、この施設を構えるための投資がかさむために決断に踏み切ることができなかったものが、その夢を実現することが可能になった。

好きが高じてクラフトビールの道へ

このようなブルワリーパブの草分けはライナ株式会社(本社/東京都台東区、代表/小川雅弘)である。同社代表の小川氏は1981年5月生まれ。大阪で飲食業を展開していたが、東京でビジネスを行おうと東京に移住し飲食店の展開を始めた。これが2007年のこと。

クラフトビールの存在を知り、この類の飲食店に通うようになり、好きが高じて自身でもクラフトビールレストランを立ち上げた。これが2013年新宿御苑近くにオープンした「VECTOR BEER」。さらにこの店の近くに店舗を構えてIPA(スタイル=種類の一種)専門のクラフトビールレストランにして、その店の一角にブルワリーを開設した。

このブルワリーは1年足らずで生産量が足らなくなった。そこで2017年12月、現在の拠点となる浅草橋にブルワリーと本社機能を設けた。生産量は年間10万リットルとなったが、当時同社のクラフトビールレストランは8店舗あって、これらで使い切っていた。現在同社の飲食店は16店舗あり、うちクラフトビールを提供する店は6店舗となっている。

現在同社で生産しているクラフトビールは同社の店舗だけではなく他の事業者にも卸している。このうち飲食店は約30店舗、そのほか酒販店やコンビニチェーン、また量販店のリカーショップなど約30店舗の小売店に卸している。

同社で生産するクラフトビールの自社消費と他社へ卸している量の比率は、コロナ前は7対3、コロナになってからは3対7となっている。この背景には、コロナ禍によって自社の飲食店の稼働日数が減ったことと、「これから新規に工場をつくって、生産体制を強化するために外販を強くしていこうと考えたから」(小川氏)とのことだ。

第2次大戦前夜のドイツと酷似。世界はプーチンを阻止できるのか?

現実となってしまったロシアによるウクライナ侵攻。侵攻開始までのプーチン大統領の動きと、第2次大戦前夜のナチス・ドイツによるチェコスロバキア解体の動きの酷似を指摘するのは、メルマガ『NEWSを疑え!』を主宰する軍事アナリストの小川和久さんです。ヒトラーの行動を熟知するプーチンが、意識的に同様の動きをしていると見る小川さんは、ヒトラーの横暴を許してしまったNATO諸国も、その教訓を生かし、不退転の覚悟を示すべきと訴えています。

 

第2次大戦前夜と酷似したウクライナ情勢

現在のウクライナをめぐるロシアの動きは、第2次世界大戦前夜のドイツの動きと驚くほど重なっており、2014年2月のクリミア併合が「ナチス・ドイツによるズデーデン併合を思い起こさせる」としたドイツのショイブレ財務相の警告よりもなお、リアリティを伴っていると言ってよいと思います。

今回はウィキペディアから関係の記述を引用し、浅学非才の私が誤った情報を提供しないようにしたいと思います。 (以下引用は2月26日現在のウィキペディアより)

「ナチス・ドイツによるチェコスロバキア解体は、第二次世界大戦直前の戦間期に国家社会主義ドイツ労働者党(ナチ党)政権下のドイツ(ナチス・ドイツ)が主導して中欧のチェコスロバキアを分割・消滅させた一連の過程を指す。特に、過程の一部として行われたドイツに対するズデーデン地方の割譲は、ズデーデン割譲またはズデーデン併合と呼ばれている」

「チェコスロバキア解体は、ドイツ、ハンガリー、ポーランドに領土を分割させられる1938年の第1段階と、独立運動を激化させるドイツの策動でスロバキア・カルパト・ウクライナとベーメン・メーレン保護領に分裂して消滅させられる1939年の第2段階からなる」

なんと今回のウクライナ情勢と酷似していることでしょう。そして、以下を読むと、プーチン大統領のロシアが戦争への道へと突き進むかに見えるのです。

「1938年3月、念願のオーストリア併合を達成したヒトラーは、次の領土的野心をチェコスロバキアに向けた。そして4月には対チェコ作戦(コードネーム”緑の件”)が立案され、次のように軍に指示した。

 

1.どんな原因もなく、また正当化の余地もないような青天の霹靂的奇襲は拒否。 2.一時的に外交交渉を行い、徐々に事態を先鋭化しつつ戦争に導く。 3.戦闘は陸軍と空軍の同時攻撃の必要あり。最初の4日間の軍事行動が政治的にも決定的。もしこの間に軍事上の決定的な成功がなければ、全欧危機に突入するのは確実。

 

上のような公文書を出した後、ヒトラーは行動を開始した。彼は、チェコ国内のドイツとの国境沿いの地域に多数のドイツ系住民(ズデーデン・ドイツ人)がいることを対チェコスロバキア戦略の重要な駒とした。まずオーストリア併合によって勢いづいているズデーデン・ドイツ人にドイツ本国から大々的な支援を送り、自治運動を展開させた。さらに宣伝機関によって「圧迫されているズデーデンのドイツ人」という宣伝を国内に流し、ドイツ世論をも勢いづけた」

 

元KAT-TUN田中聖「自慰動画」大量送付報道。ナニが彼をそうさせたのか?

誰もが「やっぱり」と思ったに違いないニュースが2月24日に報じられた。ジャニーズのアイドルグループKAT-TUNの元メンバーだった田中聖(こうき)容疑者(36)が覚せい剤所持の疑いで逮捕された事件で、逮捕から2日後の26日、田中容疑者の尿から陽性反応が出たという。田中容疑者は1月30日、名古屋市内のビジネスホテルで覚せい剤を所持していた疑いで逮捕され、2月26日に送検された。テレビ朝日などの報道によると、押収された覚せい剤の量は7、8回分の量だったといい、これで使用容疑でも再逮捕される可能性が出てきた。

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そんな田中容疑者に衝撃的なニュースが報じられた。2月27日、文春オンラインは「2年前の夏から異変 田中聖が元交際女性に送りつけていた大量の自慰動画」と題した記事を公開。元交際相手の女性が、田中容疑者から大量に送られてきたという自撮りの「自慰行為」動画について赤裸々に告白している。

報道によると、2017年に大麻取締法違反の疑いで逮捕(不起訴処分)されたあと、過去の交友関係を絶って反省を口にしていたという。その後、更生しているかのように見えた田中容疑者は、筋トレで鍛えた体を自慢げに当時の交際相手に送っていたというが、2年前の20年夏頃から自ら撮影した「自慰行為」の動画を送りつけるようになったとしている。こうした動画は複数の女性宛に送られていたという。

なぜ、元KAT-TUN田中聖は女性らに「自慰行為」動画を拡散させたのか? 

2年前の2020年といえば「コロナ禍」が始まったばかりの年。日本はおろか、世界中で「自粛生活」を余儀なくされた人々が、未曾有のパンデミックに戦々恐々としていた時期である。家の中で長時間、長期間引きこもっていなければならないという状況は、多くの人々にストレスを与えたに違いない。

よく、わいせつ行為や盗撮などで逮捕された犯人が警察などでの供述で口にする犯行理由が「ストレスがたまっていた」という言葉だ。たしかに人類が約100年ぶりに経験した感染症の世界的パンデミック下で大きなストレスがあったことは否めないが、その解消法として、自慰行為を撮影した動画を大量に送り付けたりするものだろうか? 少し常軌を逸した行為だと気づくのが普通だろう。

ここで湧いてくるのが、「覚せい剤使用」による異常行動の可能性だ。大麻取締法違反で逮捕された後は反省していた田中容疑者だったが、いつの間にか大麻から覚せい剤に乗り換え、コロナ禍の自粛中に「キメた」ままの錯乱状態で、自らの行為を送り付けるという異常行動をおこしてしまったのかもしれない。

警察は今後、田中容疑者を覚せい剤使用の容疑でも調べる方針だという。今回の逮捕と奇妙な行動について、ネット上ではさまざまな意見が投稿されている。

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条約はあてにならない。ウクライナが辿った道と日本への危険信号

ロシアのウクライナ侵攻に、日本国内にも衝撃が走っていますが、どこかこの「戦争」は自国には関係ないことだと思ってはいないでしょうか。今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、 ウクライナ人のアンドリー・ナザレンコ氏がウクライナがたどってきた道と日本を比較し、他国に防衛を委ねている日本にメッセージを送っています。

ウクライナの衝撃──国の防衛を他国に委ねる危険性

ロシアがウクライナに侵攻し、国際社会に衝撃が走っています。この危機は決して日本に関係ないことではありません。

2013年から14年にかけ、親ロ派政権の成立に反発するウクライナ人の学生デモが国中を巻き込む危機に発展、ロシアによる国土侵攻を招いた際に18歳だったアンドリー・ナザレンコさん。祖国を惇倫された経験を持つナザレンコさんが語る日本社会へのメッセージとは。

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侵略という恐ろしい体験をしてきた私は、日本の方が次のような発言をするのを聞いて非常に驚きました。

「軍隊をなくして隣国の脅威にならなければ攻められない」
「どんな争いも、平和を訴え、話し合いさえすれば解決できる」
「集団的自衛権を認めたら、他国の争いに巻き込まれるから危険だ」

こうした主張をする方々には、ぜひウクライナの辿った道を学んでいただきたいと私は思います。

ウクライナは核兵器を放棄し、100万人の軍隊を5分の1の20万人に縮小し、大国の対立に巻き込まれないよう軍事同盟にも一切加盟しませんでした。

さらに、兵器をロシアに譲る代わりにブダペスト協定書という国際条約を結び、ロシア、アメリカ、イギリス、フランスがウクライナを守るという約束を交わしました。ところが、その当事者であるロシアによって侵略されたのです。

他国との条約がいかに当てにならないものであるか、そして国の防衛を他国に委ねることがいかに危険であるか。ウクライナの失敗が、このことをハッキリと物語っています。

条約が破られたら国際社会が何とかしてくれる、と期待している日本の方は多いようです。しかし、ウクライナが侵略を受けた時に、一緒に戦い、守ってくれる国は一切ありませんでした。当時のアメリカはオバマ政権でしたが、ロシアの侵略を口先で批判するばかりで、具体的な行動は何も起こしませんでした。

ウクライナばかりではありません。チベットもウイグルも香港も、侵略や弾圧によって人々の自由が理不尽に奪われていることに対して、国連は批判こそしますが、行動は起こしません。

尖閣諸島はアメリカが守ってくれるから大丈夫、というのも危険な考え方です。アメリカが追求しているのはあくまでも自国の国益であり、いくら同盟国の領土であっても、自国の国益に合致しない限り行動を起こすことはありません。

以前出会ったある日本の方は、自分の息子が戦争で亡くなるのは嫌だから、アメリカ人が戦えばいいとおっしゃっていました。しかし、戦いもしない日本人の代わりに、アメリカ人が血を流して戦わなければならない道理がどこにあるのでしょうか。

(※ 本記事は月刊『致知』2021年5月号 連載「意見・判断」より一部を抜粋・編集したものです)

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アベノミクスが推し進めた“円安の成長シナリオ”、現状ではどうなっている?

原油の値上がりは続き、家計にも大きな打撃を与えているなか、安倍元首相が提唱したアベノミクスは、今現在どういう影響を日本に与えているのでしょうか?その疑問に答えてくれるのは、メルマガ『石川ともひろの永田町早読み!』著者で小沢一郎氏の秘書を長く務めた元衆議院議員の石川知裕さん。石川さんはアベノミクスの転換点は今であるとして、現状を語っています。

 

アベノミクスの転換点/円安誘導とは異なる発想転換を提案する

ロシアのウクライナ侵攻が現実となった。 首都キエフにも戦火は及び、ロシア軍の侵攻は続いている。 今後、制圧地域を拡大しある程度のところで、東部の2つの地域の独立共和国の正式承認をウクライナに認めさせて撤退となるのではないだろうか。 この問題は独立を希望している地域住民のことも考慮しなければいけないので単純に正邪を決められない。 だが、現状を変えないというミンスク合意を破棄した形となったため、欧米は経済制裁を発表した。

今後、日本にとって心配なのは原油価格や小麦などの食糧価格の高騰である。 以前も書いたように、原油価格の高騰は全ての家計に影響する。 ガソリンが1リットル200円を超えてしまうのではという予想も出始めており、先物価格は急騰した。

アベノミクスは円安を誘導して輸出企業を潤わせ、株価を上げることによって、経済を上向かせるという政策だった。 株価が上がったことに伴って企業業績は順調になり、金融で稼いでいる人は潤った。

しかしながら、アベノミクスで給与は上がったかというと平均給与は下がり続けている。 格差の広がりを止めることはできていない。 そうなると、果たして円安政策が日本にとってプラスかどうか今一度考えなければいけない。

20世紀の終わりから、日本の製造業は生産拠点を海外に移転し、為替に左右されにくい産業構造づくりを進めてきた。 その結果、円安が進行しても輸出は増えにくくなっている。 円安の輸出波及効果は以前に比べ小さくなっているのだ。

一方、円安に伴うデメリットは顕在化しやすくなっている。 原油高になるとわが国の貿易収支は著しく悪化してきた。 悪化の主因は原油価格で、円安によって原油高を増幅させている。 また、輸入資材に頼る産業は円安によるコスト上昇が顕著になっている。

アベノミクスは、

円安→輸出増→企業収益増→賃金増→経済活性化

という成長シナリオであったが、実現はしていない。 賃金は上がらず、円安により輸入コストが庶民に跳ね返っているのが現状だ。 最たるものは先ほども指摘したようにエネルギー価格だ。

日本経済を立て直すには、「賃金=コスト」と見るのではなく、「賃金=投資」と判断する経営手法を浸透させ、賃上げを進めることだろう。

 

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既存イメージを壊した「袖あり寝袋」はなぜこんなにも売れたのか

コロナ禍でキャンプなどのアウトドアに興味を持つ人も増えているなか、従来の寝袋の概念を壊し、しかも高品質の商品が話題となっています。今回は、MBAホルダーで無料メルマガ『MBAが教える企業分析』の著者である青山烈士さんが「ありそうでなかった」を実現した商品を紹介しています。

既存のイメージを壊す発想

今号は、注目の寝袋を分析します。

● シャツなどの衣類品の製造・販売を手掛ける株式会社オギタヘムトが展開している「袖付き寝袋『クーリオ』

アウトドアを快適に過ごしたい方をターゲットに「企業ポリシーやノウハウ」に支えられた『寝袋をより快適な空間にしてくれる』等の強みで差別化しています。

寝袋のイメージを覆す、ありそうで無かったアイデアだけでなく、そのアイデアを高品質な形で実現したことにより、期待と注目を集めています。

■分析のポイント

世の中に登場した多くの新しいアイデアは、既存の要素の組み合わせと言われていますが、袖付き寝袋は、まさにそれに当てはまります。

寝袋も袖も、既存のモノですからね。

今回のポイントは、既存のイメージを壊すということです。

寝袋は、その名の通り、袋状の携帯用寝具です。当たり前ですが、袋状のものだからこそ、寝袋なのです。

寝袋が製品として登場したのが1890年とのことですので、100年以上にわたり、袋状であることは変わっていなかったわけです。もちろん、素材などの進化はしています。

100年以上にわたり、寝袋が使われていたわけですからユーザーの中には、手を自由に使いたいと思う方もいたと思われますが、寝袋ですから、袋なのは当たり前であると受け入れている方も多かったのでしょう。

ですので、オギタヘムトのアイデアの素晴らしいところは、既存のイメージに囚われていないというところにあると思います。

多くの方が寝袋は袋状のモノと受け入れている。そこに疑問を持つというのは難しいことです。

昔の話ではありますが、地球の周りを太陽などが動いていると信じられていた16世紀前後の世の中で、太陽の周りを地球が動いているのではないかと疑問を持ったコペルニクスやガリレオの偉大さはそこにあると思います。

少し大きな話になってしまいましたが、多くの人が受け入れているモノゴトに疑問を持てるかと言うのは、新たなアイデアを生み出す上で非常に大切なことです。

そして、多くの方が受け入れているイメージを打ち壊すことができるアイデアや製品は、ユーザーの関心を得る事に成功する確率が高いです。自分の持っているイメージが覆される経験は大きな印象として心に残りますからね。

今後、オギタヘムトからどのようなアイデアが出てくるのか注目していきます。

橋下徹氏「ウクライナに行って戦え」ツイートに批判殺到。志願兵あおる暴走ぶりに「お前が行け」総ツッコミ

元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏(52)が自身のツイッターで発した過激ツイートが炎上している。橋下氏は27日、「私はウクライナとともにある!ウクライナは徹底抗戦せよ! と言っていた者はウクライナに行って戦え」とツイート。ネット上では「言い過ぎ」「その発言はさすがにやばい」など物議をかもしている。

橋下徹氏「威勢のいい奴はウクライナで戦え」

この発言はウクライナ大統領ゼレンスキーが海外から志願者を募り、外国人部隊を編成すると表明したというロイター通信の報道を受けたもの。橋下氏は記事を引用し、「私はウクライナとともにある!ウクライナは徹底抗戦せよ! と言っていた者はウクライナに行って戦え」と綴った。

さらに、「威勢のいいことを言う資格がある者は志願兵になる者だけだ。志願兵になれないのならNATOの指導者に政治的妥結を促せ。日本の国会議員は何人が志願兵になるのだろうか」とツイート。

これに対し、「私から見たらあなたの言うことはとても威勢がいいのですがどんな資格があるのですか?」「随分と威勢がいいですね。どーぞ、志願兵としてお手本を見せて下さい」などと批判が殺到した。

「自分がウクライナへ行け」と指摘された橋下氏は、「俺はウクライナに行く勇気はない。だからロシアに譲歩することになろうがNATOの指導者に政治的妥結を求める。もちろん今後のロシアの暴挙には国連憲章51条の集団的自衛権の行使が前提。ウクライナを支援する日本政府はウクライナに行く日本人の渡航費用を予算化せよ 」と綴り、自分のことは棚に上げ、NATOのロシアとの政治的妥結を要求した。

また27日に渋谷、新宿にロシアのウクライナ侵攻に抗議して、ロシア人、ウクライナ人をはじめ多くの人が「戦争反対」訴えた記事を受け、「日本国内でウクライナの国旗を掲げて集まってもクソの役にも立たない」とツイート。戦争秩序ではきれいごとではなく現実的な対応が必要だと主張した。

橋下氏が安倍元首相と共に「核シェアリング」発言

橋本氏は27日に放送された『日曜報道 THE PRIME』(フジテレビ系)に出演。安倍晋三元首相と共に日本でも「核共有(核シェアリング)」の議論が必要であると訴えた。

橋本氏はウクライナの情勢を見て自分たちで国を守る力が絶対に必要だと実感したといい、打撃力と反撃力、中距離ミサイルをアメリカと共同で日本に配備し、将来的には、非核三原則を超えてアメリカと共有という形でも核を保有すべきで、政府は及び腰だと訴えた。

ドイツ、ベルギー、オランダ、イタリアは自国領土にアメリカの核兵器を配備し、各国が運用する協定を結んでいる。

安倍氏は「世界の安全がどのように守られているかという現実をタブー視せず、さまざまな選択肢の視野に入れて、国や国民の命をどうすれば守れるか議論すべき」だと述べた。

1994年ウクライナは「ブタペスト覚書」で核を放棄した。アメリカ、ロシア、イギリスが安全保障するという条件だったが、その協定は今回反故になった。ウクライナのような状況にならないためにも、核シェアリングを真剣に議論すべきだと2人の結論は一致したとみられる。

しかし、この報道にもまた賛否両論が巻き起こった。

「核シェアリング」が話題になって称賛する声もあれば、ウクライナ情勢を利用して、自説を押し進める強引に押し進めるのを危険視する声もある。

核シェアリングに関しては意見が一致した2人。自分の落ち度は棚に上げて、自分の政治的成果と思想だけは声高々に主張するという、似た者同士なのかもしれない。

日本の核武装の話にまで発展しているロシアによるウクライナ侵攻。しかし、なぜ「NO WAR」の声が「ウクライナで志願兵になれ」ということになるのだろうか。違和感を覚える人は多いに違いない。

不気味な中国の動き。ロシア「ウクライナ侵攻」に沈黙を貫く隣国の思惑

ウクライナに対し、多くの専門家たちの予想を遥かに超える大規模な軍事行動に出たロシアのプーチン大統領。国際法に照らしても決して許されない行為であることは明らかですが、この先事態はどのような推移を辿るのでしょうか。今回のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』では著者で元国連紛争調停官の島田久仁彦さんが、欧米諸国と同盟国が取るべき対応を考察。さらにこの事案に対して不気味な動きを取る中国の思惑を推測するとともに、ウクライナ危機は日本にとって決して「対岸の火事」ではないとの警告を発しています。

【関連】プーチン方式を踏襲か?中国は「ウクライナ危機」のどさくさで尖閣を侵略する

 

大ロシア帝国再興への大博打? ウクライナ紛争

北京冬季五輪が閉会した次の日、2月21日にロシアはウクライナおよび国際社会に対して攻勢をかけてきました。

予てよりウクライナ東部でロシアと国境線を接するドネツク州とルガンスク州のロシア系勢力支配地域を共和国として国家承認し、リーダーたちの依頼に基づいて、ウクライナからの軍事的な圧力に対抗するためにロシアに軍事支援を依頼させるという“芝居”をうって、ウクライナ侵攻に向けた大きな一手を打ちました。

2014年のクリミア半島併合事案の際にも用いられたレトリックですが、「ウクライナによって迫害されている同胞ロシア人の生命と利益を守るため」との理由から、ドンバス地方(ドネツク州とルガンスク州が位置するウクライナ東南部)へのロシア軍の“派遣”を決め、平和維持活動に当たらせるという形式をとりました。

当初、この発表がなされた際、私は「ロシア人支配地域(共和国化したところ)が対象であって、両州全域の併合までは考えていないだろう」と高を括っていたのですが、24日未明に行われたロシア軍による攻撃は、ドンバス地方に対するSpecial Military Operationと位置付けられてスタートしました。その後の展開はご存じの通り、ベラルーシで合同軍事演習を行っていた部隊はウクライナ北部から、そしてウクライナ南部の街オデッセイにはロシア海軍と陸軍の行動作戦として、ロシアが上陸し、どう見ても「ロシアによる対ウクライナ全面侵攻(Full scale military invasion)」という形式になりました。

首都キエフ、ハリコフ、オデッサなど数多くの街で爆音が何度も響き、キエフではサイレンが鳴り響き、ロシア軍によるミサイル攻撃・空爆への警戒が叫ばれました。

このタイミングと同じころ、NYの国連では安全保障理事会が緊急招集され、ウクライナの国連大使がロシアによる侵攻を非難し、安保理理事国すべてがすぐにこの侵攻を止めるべく動くべきと訴えていました。

残念ながら、皆さんご存じの通り、真っ向から対立するロシアの反対(そしてロシアが今月の安保理議長国ゆえに、議事進行の権限を持っている)と、態度を明確にしない中国によるブロックで、国連安保理は何も効果的な動きが出来ないという状況に陥りました。常任理事国が直接的に絡む案件ですから、もちろん同意されるようなことはないのは明白なのですが、国際世論形成に最後の望みをつなぐ動きも、無残に終わりました。

そして「ロシアによる侵攻はない」と言い続けてきた私の予想も、見事に外れました。申し訳ございません。

どうしてこんなことになったのでしょうか?

いろいろな方たちが解説されていますので、あまり詳しくは論じませんが、一言でいえば、ロシア・プーチン大統領に経済制裁の厳格化でプレッシャーをかけていた欧米諸国がプーチン露大統領の意図を読み違えた、または理解できなかったから、と言えるのではないかと考えます。

 

羽生結弦だけじゃない。中国で大人気を誇った歴代の日本人たち

中国でも数年前から熱心なファンがその姿をひと目見ようと競技会場に殺到し、北京五輪では圧倒的な人気を見せつけた男子フィギュアスケートの羽生結弦選手。今や中国においてアイドル的な存在とも言える羽生選手ですが、これまでも多くの日本の著名人が中国の人々から愛されてきたことは、我が国ではあまり語られません。今回のメルマガ『黄文葦の日中楽話』では、2000年に来日し現在は日本に帰化されている中国出身の作家・黄文葦さんが、そんな日本人たちの名を挙げつつ、彼らの人気ぶりを紹介しています。

 

日本と中国の間、ずっと共通のアイドルが存在している

フィギュアスケート日本代表の羽生結弦選手は北京冬季オリンピックで最も人気のあるスターとなり、すべての中国人のアイドルであることは間違いないだろう。中国マスコミが毎日随時、「羽生結弦ニュース」を発している。

「羽生現象」から、日本と中国の間には、ずっと共通のアイドルが存在していることを思い出した。彼らは日中理解と日中友好を築いてきた。

昔、俳優の高倉健さんが中国で大変人気を博した。中国女性のパートナーを求めることに影響を及ぼしていた。「高倉健さんのような性格の男性は理想な男だ」という認識が普遍的になっていた。もう一人の大スターである山口百恵さんの生きざまは、今もなお大きな興味の対象である。

現在、日本であまり芸能活動をしていない栗原小巻さん、中野良子さん、荒木由美子さん、紺野美沙子さんは中国の人々に長く美しい印象を残した。80年代中国で荒木由美子さんが主演のドラマ『燃えろアタック』が放送された。健康、清純な少女の役が中国人を魅了した。現在の中国でも、荒木由美子さんが演ずる「小鹿ジュン」は40代以上の中国人にとっては、青春時代の褪せない記憶である。

2年前、当方は一度、荒木由美子さんの介護内容の講演会を申し込んだ。しかし、思わぬコロナのせいで講演会がキャンセルされてしまった。昔のアイドルに会えなくてとても残念でたまらなかった。

紺野美沙子さんが、80年代日中合作映画、日中国交正常化10周年記念作品の『未完の対局』に出演され、かつて中国の映画雑誌の表紙に飾られたことを当方は未だに克明に覚えている。その時、紺野美沙子さんの佇まいは美しくて優雅で、理想的な女性だと子供頃の当方は思っていた。現在国連開発計画親善大使である紺野美沙子さんがよく開発途上国を訪問しているらしい。

栗原小巻さんは中国で「女神」と見なされている。1979年日本映画代表団のメンバーとして初めて中国を訪れた後も80年代に入ると頻繁に中国を訪れるようになり、中国を訪れた回数は実に36回にのぼったという。2002年には中国中央テレビの『芸術人生』という番組のインタビューで登場した。

21世紀に入って、日本のアイドルたちが自らSNSを通して、中国のファンに向けて発信しているわけである。中国人が身近に日本アイドルの芸能活動と日常を知る。時には双方向コミュニケーションができる。

現在、多くの日本の俳優・タレントが中国版ツイッター「微博」(ウェイボー)のアカウントを持っている。木村拓哉さん、福山雅治さん、浜崎あゆみさんなど大物芸能人も中国で広報を行い、中国語圏の発信力を目指している。「微博」にアカウントを持っている芸能関係の日本人が段々増えて、現在100人近くになっている。