ノーベル賞の創設者。ダイナマイトを発明し巨万の富を得たはずのノーベルが歩んでいた苦難の道

毎年授賞式が話題となるノーベル賞。研究成果に対する最高の名誉とされるその賞の創設者について、あなたはどこまでご存じですか?今回のメルマガ『歴史時代作家 早見俊の無料メルマガ』では、時代小説の名手として知られる作家の早見さんが、ダイナマイトの発明だけではないアルフレッド・ノーベルの人生について紹介しています。

ダイナマイトを発明しただけじゃない。ノーベル賞のアルフレッド・ノーベル、その苦闘の連続

そろそろ今年のノーベル賞が話題になります。

受賞者発表時期に限らず、この難病の特効薬が出来たらノーベル賞だ、これはノーベル賞ものの発見だ、などと研究成果に対する最高の栄誉と見なされていますね。

ご存じのようにノーベル賞はダイナマイトを発明したアルフレッド・ノーベルの遺言で創設されました。第1回は1901年ですから、20世紀のスタートと共に授与されるようになったのでした。以後、世界中の学者、作家、政治家、社会活動家の垂涎の的となります。おそらくは、世界史上最も有名な賞ではないでしょうか。

そんな有名なノーベル賞ですが、創設者のノーベルについては、ダイナマイトを発明したくらいしか知られていないのではないでしょうか。彼はダイナマイトによって莫大な富を築いたのですが、成功に至るまでは苦闘の連続でした。

ノーベルは1833年10月、スウェーデンのストックホルムで生まれました。四人兄弟の三男坊です。父イマニュエルはエンジニアで発明家でした。ノーベルの幼少時、イマニュエルは事業に失敗して単身ロシアのサンクトペテルブルグに働きに出ます。母は日用品店を営み、二人の兄がアルバイトをして家計を支えました。

ノーベルは優しい母と働き者の兄たちに育てられ、9歳の時に転機が訪れます。サンクトペテルブルグでイマニュエルが事業に成功し、一家を呼び寄せたのです。イマニュエルは新型機雷の製造に成功、ロシア政府に採用されたのでした。経済的ゆとりができたイマニュエルはノーベルに家庭教師をつけました。

妻からノーベルが読書好きだと聞いたイマニュエルは、ノーベルにしっかりとした学問を身に着けさせようと思ったのです。ノーベルは複数の家庭教師に英語、フランス語、ドイツ語、ロシア語を学び、それぞれ流暢に話せるようになります。また語学の他に、イマニュエルはノーベルが爆発物に興味を持っていることから化学を学ばせました。

成長するにつれ、ノーベルは化学、語学の他に文学を愛するようになります。特にイギリスの詩人、パーシー・シェリーの詩に強くひかれ、自分でも詩を創り始めました。文学への道を進みたいと希望しましたが、父は反対、技術者に成るよう要望しました。イマニュエルの希望を受け入れ、ノーベルは技術者になるべく、スウェーデン、ドイツ。イギリス、フランス、アメリカに留学します。

文学への夢は絶たれましたが、生涯に亘って趣味として詩作や戯曲の創作を続けました。文学への憧れがノーベル賞に文学賞を加えたのです。

今までの常識は通用しない。恋愛はしたくないけど結婚したい人たち

恋愛をして、結婚に至るという今までの常識はもう通用しないようです。今回の無料メルマガ『毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン』で紹介しているのは、「草食系男子」や「年の差婚」をひろめた牛窪恵さんによる恋愛したくないけれど結婚はしたい人たちのお話です。

昭和の常識が終わる⇒『恋愛結婚の終焉』

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恋愛結婚の終焉

牛窪恵・著 光文社

こんにちは、土井英司です。

本日ご紹介する一冊は、「草食系男子」「年の差婚」などを広めたと言われるマーケティングライター、世代・トレンド評論家、牛窪恵さんによる新刊。

『恋愛しない若者たち』の著者といえば、ピンとくる人もいるかもしれませんね。

恋愛しない若者たち

衝撃的なタイトルですが、確かにデータを見れば、恋愛結婚が行き詰まっているのがよくわかります。

すっかり定着した感のあるマッチングアプリについても、結婚率の向上に寄与しているかどうか怪しいなどの見解も示されており、大変興味深い論考だと思います。

第1章は、なぜ若者が「恋愛」「結婚」しないのかの分析、第2章は、恋愛がどうやって生まれてきたのか、その歴史と検証、第3章は「恋愛常識の落とし穴」ということで、「恋愛+結婚」が構造的に抱える問題点について述べられています(昔読んだヘレン・フィッシャー『愛はなぜ終わるのか』の理論が紹介されていて、懐かしく思いました)。

第4章からは、現在の恋愛結婚とコストについての論考で、選択のパラドックスの話が示された後、「婚活」の改善策が述べられています。

最終となる第5章では、著者が提唱する「共創結婚」のための24の提言が述べられており、ここは政策担当者にぜひ読んで欲しいところです。

少子化対策に向けた政府の改善案もなんだか頼りなく見える今、ぜひ議論の俎上に載せて欲しい視点が示されています。

ビジネスの人間にとっては、この「結婚」という巨大市場が今後どこに向かうのか、新しい家族の形やコミュニケーションがどうなるのか、考える上でヒントとなる内容だと思います。

アベノミクスの大罪。世界企業ランキングで日本が中国に“惨敗”の残酷な現実

無惨なまでに凋落し、かつての勢いと輝きを完全に失った日本企業。いったい何がここまでの惨状を招いたのでしょうか。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』ではジャーナリストの高野さんが、米経済誌「フォーチュン」による「世界企業ランキング500」の推移を誌面で紹介。その上で、日本企業を追い込んだ真因を考察しています。

※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2023年9月25日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

中国との取り返しのつかない差。世界企業ランキングに見る日本経済の現在地

今年も米経済誌「フォーチュン」恒例の「世界企業ランキング500」が発表された。同種のデータには、英紙「フィナンシャル・タイムズ(FT)」や米誌「フォーブス」によるものなどもあり、「フォーチュン」が売上高+利益を中心に見るのに対し、FTは時価総額で、「フォーブス」は売上高+利益だけでなく資産、時価総額を独自に指標化するなど、手法に違いがあるので結果は一様ではないが、「フォーチュン」のそれは単純明快で分かりやすいので、各国経済の量と質の変化を大まかに見極めるには便利である。

迫っていた「ジャパン・アズ・ナンバーワン」が正夢となる瞬間

よく知られているように、同誌が今の形式でのこのランキングを最初に発表したのは1995年で、これは1994年の企業実績を元にした数値だったが、その当時の日本はと言えば、すでにバブル崩壊が始まっていたもののまだ地獄の深淵は見ていない、夢うつつ状態の終わり近い頃。トップ500に入った企業の国別の数を見ると、米国が最多で151社であったのに対し、それに肉薄したのは日本で149社。企業別で500社中のNo.1に輝いたのは三菱商事で、さらに三井物産、伊藤忠、住友商事、丸紅、日商岩井(後の双日)を含め日本の大手商社6社が揃ってベスト10に並び、「貿易立国=日本」の栄光を謳歌するかのようであった。しかもこの時、日本企業149社の売上高合計3兆8057億ドルは、米国企業151社の2兆9394億ドルを大きく上回っていて、エズラ・ヴォーゲルが1979年に予言した「ジャパン・アズ・ナンバーワン」が正夢となる瞬間が迫っているようにさえ思えたのであった。

それから28年が過ぎて、今はどうなったか。

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「強制は可哀想」の意味不明。小学校の“宿題廃止”が日本という国をダメにする

9月15日、「宿題は子供の主体的な学びにつながらない」という理由で提出された「小学校の宿題廃止陳情」を議論した香川県の高松市議会。これまでも宿題を巡ってはさまざまな論戦が交わされてきましたが、識者はどう見ているのでしょうか。今回のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』ではプリンストン日本語学校高等部の主任を務める米国在住作家の冷泉さんが、小学校の宿題を廃止すべきではない理由を3点挙げ、各々について解説。その上で、高松市議会の議論自体がナンセンスと一刀両断しています。

※本記事は有料メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』2023年9月26日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

自己肯定感の低さは宿題のせい?小学生の「宿題廃止」は是か非か

香川県の高松市議会で、「子どもの主体的な学びにつながらず、教員の長時間労働の原因にもなる宿題は廃止すべきだ」などという陳情書が出されたそうです。これは、教育関係の若者支援に取り組んでいる人物が出したもので、抽象的な理由だけが根拠の「個人の感想」の範囲と言われてもおかしくありません。

ですが、市議会ではなぜかマジメな議論になったそうで、少々驚かされました。

3点ほど間違っていると思います。

1つ目は、学習には基礎能力が必要だということです。基礎訓練をして、少なくともグローブでの捕球ができたり、ある程度の投球のコントロールが付いていないと硬式野球は危険でできません。バイオリンもトランペットも、最低限の基礎が身についていないと騒音公害なだけです。

料理も基礎ができないと、火事や食中毒を出してしまいます。学習も同じです。最低限の読み書きに必要な漢字の学力、算数の基礎などは、学年に応じて入れていかなくてはなりません。それには訓練の回数が必要です。ですが、限られた学校の授業時間内では足りないので、宿題という家庭学習を課しているのです。

勿論、コンピュータとAIの時代ですから、漢字はIMEが変換してくれ音声入力も使えます。計算も音声で行けるし、複雑な計算も表計算でOKです。ですが、そんな時代だからこそ、計算の意味、漢字の読みや意味は理解していないといけません。そんな中で、基礎もおぼつかないような人材を社会に出すようだと、簡単にコンピュータに操られる存在になってしまいます。

少なくとも小学校は、そのような基礎を身につける場所です。宿題を強制すると可哀想だという意味不明の議論は国や社会を破壊するだけで、教育の失敗による競争力低下はもう十分に貧困や円安という形で国を壊してしまっている中で、これ以上ダメダメにしてどうするんだということです。

2番目は、自主性と自己肯定感というのは別の問題だということです。まず、自己肯定感というのは、周囲の大人による「認知と保護」によって育つものです。「あなたが生まれ育つことは無条件の喜び」「あなたの存在は認め抜く」「あなたの存在を守り抜く」ということで家族や教師や周囲の大人や社会が、個々の子どもに対してブレなく接することが何よりも大切です。宿題を強制したり、強制を外したりというようなことでは、そのような精神の安定と発達には無関係だと思います。

自主性ですが、ハッキリ言って「基礎訓練は退屈」であり、それを自分から進んで取り組むというのは「スーパーにモチベーションが高い」か「大人の言うことをバカみたいに真に受ける受け身のバカ」かのどちらかです。平均的な子どもは、小学生の段階では何らかの強制がなければ基礎訓練には取り組みません。自主性などというのは、進路決定などを絡めたもう少し上の学年で涵養すべきものです。

この記事の著者・冷泉彰彦さんのメルマガ

肥満改善に「スーパー糖質制限食」が最適の食事療法と言えるワケ

太りやすい人は「肥満関連遺伝子」を持っているという話がインターネット上には多く上がっていて、特定の遺伝子を“御三家”や“四天王”と呼ぶケースがあるようです。しかし、遺伝子で肥満を説明し改善に役立てるのは難しいと語るのは、メルマガ『糖尿病・ダイエットに!ドクター江部の糖質オフ!健康ライフ』著者で、糖尿病専門医の江部康二先生です。江部先生は糖質摂取から脂肪蓄積に至る肥満のメカニズムを説明し、肥満を改善する最適な食事療法は自身が提唱する「スーパー糖質制限食」であると伝えています。

肥満関連遺伝子の現状は?

よく言われる「肥満関連遺伝子」は、ベータ2、及びベータ3アドレナリン受容体(β2AR、及びβ3AR)、そして脱共役蛋白1(UCP1)の3つです。

この3遺伝子(御三家)に、ペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体遺伝子(PPARγ)を加えたものが、ちまたでよく取り上げられる「肥満遺伝子」の四天王となります。

しかしこれら以外に肥満関連遺伝子は50以上も報告されているので、この4つだけで肥満を説明する事はほとんど不可能と言えます。つまり、ちまたのサイトで、あたかも確定事項のように記載されている「肥満遺伝子」四天王関連の話題に関しては、「そんな簡単なもんやおまへんで!」と言うことに尽きます。

肥満に関して、最も肝要なことがあります。それは、インスリンこそが、「肥満ホルモンである」ということです。

  1. インスリンは脂肪細胞内の中性脂肪分解を抑制する。
  2. インスリンは血中の中性脂肪を分解し脂肪細胞内に蓄える。
  3. インスリンは筋肉細胞に血糖を取り込ませるが、余剰の血糖は脂肪細胞に取り込ませて中性脂肪として蓄える。
  • 肥満のメカニズムはインスリンによる脂肪蓄積。
  • インスリンを大量に分泌させるのは、糖質のみ。
  • ハーバード大学医学部元教授、ジョージ・ケーヒル 「脂肪を操るインスリンを、炭水化物(糖質)が操る」
  • 糖質が肥満の元凶・真犯人、脂肪は無実。

1、2、3で明らかなように、インスリンは「三重の肥満ホルモン」です。つまり、どんな肥満関連遺伝子を所有していようといまいと、

糖質過剰摂取⇒インスリン過剰分泌⇒中性脂肪過剰蓄積

が、肥満の根本要因ということです。

スーパー糖質制限食なら、インスリン追加分泌は最小限ですみ、中性脂肪蓄積も生じません。それどころか、糖質制限食なら食事中にも脂肪が燃えています。

このように考察すると、肥満改善には、スーパー糖質制限食が最適の食事療法であると自信をもって言うことができます。

この記事の著者・江部康二さんのメルマガ

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東芝の「上場廃止」が晒した、日本の会社経営と監視監督システムの異常

かつては日本を代表する企業だった東芝の上場廃止が、国内外で大きなニュースとなっています。そんな同社を巡る一連の「事件」を振り返っているのは、Windows95を設計した日本人として知られる中島聡さん。中島さんは自身のメルマガ『週刊 Life is beautiful』で今回、同社を「コーポレートガバナンス(企業統治)が未熟な日本企業の典型」としてそう判断する理由を解説するとともに、外資系ファンドの知人が日本からの撤退を決めた理由を明かしています。

プロフィール中島聡なかじま・さとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

私の目に止まった記事:東芝の上場廃止を英BBCはどう報じたのか?

Japan’s Toshiba set to end 74-year stock market history

東芝の上場廃止に関する、BBCの記事です。日本でも報道されていると思いますが、海外から見た場合にどう映るかを学ぶ上では、とても良い記事です。さらに、日本のメディアが作るウェブ上の記事と異なり、関連する記事へのリンクも記事中にちゃんと貼ってある点がとても便利です(例:経営陣と経産省が結託して外資系ファンドの株主としての意見を封じ込める方向に動いた件を報じた記事:「Toshiba: Scandal-hit chairman ousted by investors」)。

東芝にまつわる様々な事件を並べてみると、日本の会社経営及び、それを監視・監督する仕組みの異常さが目につきます。

  1. 2006年 経産省の指導で、国策として原発会社のウェスティングハウスを巨額買収(6370億円)
  2. 2015年 巨額の粉飾決済をしておきながら、誰一人として逮捕されず
  3. 2016年 稼ぎ頭の東芝メディカルを売却(6655億円)
  4. 2017年 ウェスティングハウスの破綻で、巨額の損失を計上(9656億の赤字、債務超過)
  5. 2017年 債務超過を解消するために第三者割当による新株発行(6000億円、参照:「東芝出資で驚愕利回り、投資ファンド高笑い」)
  6. 2018年 半導体子会社、東芝メモリを売却(2兆円)
  7. 2021年 イギリスのCVCキャピタル・パートナーズからの買収提案($20 billion)を拒否
  8. 2023年 日本産業パートナーズ(JIP)による株式公開買い付けが成立、上場廃止へ

ウェスティングハウスが、「原発ババ抜き」のババであったことが致命傷でしたが、東芝という会社を存続させるためだけに、稼ぎ頭の東芝メディカルや東芝メモリを売却したことが結果としては、株主に巨額の損失をさせることになった点は注目に値します。本社の救済などせずに、東芝メディカルと東芝メモリの株を渡してもらった方が、株主にとってははるかに良かったのです。

米国では、東芝のような会社は、いわゆる「ハゲタカファンド」の餌食になり、さっさと分割売却されてしまいます。日本では悪いイメージですが、社会全体の新陳代謝が早く進むので、経済全体にとっては「健全な活動」なのです。

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武力より「人情」。中国が「台湾統一」に向けた“現実的な動き”とは?

中国共産党の悲願である「台湾統一」。統一のためには武力行使も厭わないとしているものの、「台湾有事」を騒ぎ立てているのはもっぱら日本の政治家やメディア側というのが冷静な見方のようです。今回のメルマガ『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』では、多くの中国関連書を執筆している拓殖大学の富坂聰教授が、9月13日に中国政府から発信された「平和統一」に向けた新たなメッセージを紹介。台湾の対岸である福建省を活用し、「武力」ではなく「人情」に訴えて『両岸一家』という理念を実行する動きを伝えています。

日本で盛り上がる「台湾有事」の裏側で、中国が始めた統一に向けた現実的な動き

台湾有事は日本の有事。日本人が口にすると現実感のない空疎な響きがともなう。それは浅慮と無責任に彩られているからだ。

台湾問題は中国が「利害を度外視」し、感情で突き進む可能性のある敏感なテーマだ。一たび国民感情が沸騰すれば地域の安全は制御不能に陥る可能性を秘めている。その強い怒りに突き動かされた危険な中国と、日本はどこまで本気で付き合おうというのだろうか。その先に訪れる不幸をどこまで見通せているのだろうか。

日中がもし、「止められない」戦いに突入してしまえば、結果は悲惨だ。そうした未来を想像したときに、「台湾有事は日本の有事」と勇ましく叫ぶ人々は、どんな解決策を示してくれるのか。日中が泥沼の戦いに陥ってからやっと、「台湾有事は……」と煽ったことの危険を認識するのなら、それこそ最悪である。だが、ありがたいことに現状を見る限り中国共産党にとっての優先順位は「武力統一」にはないようだ。

このメルマガの読者であれば既知の事実だが、中国が武力統一に大きく傾いているという西側世界にあふれる言説には確たる根拠はない。その理由もすでに書いてきた。習近平政権はむしろいかに平和統一を実現するのかに傾いている。台湾独立勢力を強くけん制しながらも、平和統一に向けたメッセージを多様な方法で発信し続けてきたのだ。

そんな見立てが間違っていないことを裏付けるような動きが明らかにされたのは9月13日だ。国務院は記者会見で、「(中台)両岸が融合し、発展するための新たな道を模索する福建省を支援し、両岸融合発展のモデル地区を建設することに関する意見」(以下、「意見」)を発表したのだ。

翌14日には、国務院台湾事務弁公室、国家発展改革委員会、福建省党委員会の責任者がそろって会見を行い、「意見」についてさらに詳しく説明した。曰く、「意見」の作成により「新時代の台湾問題解決に向けた党の戦略における福建省の位置づけ、使命、任務を明確にした」というのだ。

要するに、台湾の対岸の福建省をフル活用することで台湾との一体化を進める目的を示しているのだが、その福建の「位置づけ、使命、任務」とは何なのかといえば、これは一言でいえば台湾人が大陸で暮らし、台湾企業が大陸に基盤を持つように促すことだ。

この記事の著者・富坂聰さんのメルマガ

きっかけは一通の手紙。小学生4000人を猛暑から救った11歳の少年の“行動”

とかく大人は「自分ひとりが声を上げても仕方ない」と思ってしまいがちなもの。しかし要望は相手に伝えなければそれこそ何も変わることはありません。今回のメルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』で国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが取り上げているのは、市政を動かしたとある少年の行動。4000人の小学生を「地獄の苦しみ」から救ったのは、一通の手紙でした。

「日本はもうダメだ!」と考えている人へ

私がモスクワから日本に完全帰国して、はや5回目の秋です。自然が美しく、街が清潔で、親切な人だらけの日本に住めるのは、本当に幸せなことです。

一方、日本国民の多くが「未来に希望を持てていない」という感じもしています。日本に戻ってきて、「何が問題なのだろう」と考えてみま
した。

日本人の多くが未来に希望を持てない理由。1つは、「少子高齢化」「人口減少」問題です。2つ目は、「過酷な労働環境」です。3つ目は、日本が「重税国家」であることです。

他にもあるかもしれませんが、この3つが大きいのかなと思いました。

しかし、問題があるからといって絶望する必要はありません。問題があるなら、解決していけばいい。

たとえば少子化問題。日本のメディアも「専門家」も、「少子化問題は解決できない、人口減少は止まらない」という前提で話しています。しかし、少子化は、政策で止めることができます。フランス、イスラエル、ロシアなどは、政策で出生率をあげることに成功しました。ここで詳細には触れませんが、ロシアで成功した方法については、こちらを参考にしてください。

【関連】 日本以上に深刻な少子化問題を解決した、ロシアの大胆な「奇策」

そして、2つ目の「過酷な労働環境」について。

私が帰国した2018年は、「働き方改革」が流行っていました。結果、労働時間が減少したみたいです。

以前にも書きましたが、商社に勤務する友人は、日本時間夜11時頃モスクワに電話をかけてきました。そして、「まだ会社なんだけど…」。そんな彼ですが、最近会うときは、「じゃ6時(18時)に待ち合わせで」となりました。他のいろいろな人に話を聞いても、多くの人の労働時間が短くなっているようです。

新型コロナパンデミックで、テレワークが一般化したことも大きいですね。自宅で仕事ができるのなら、毎日の通勤に使う往復2時間は大きな無駄です。

3つ目の「重税」。これは本当に問題ですね。日本はすでに「重税国家」ですが、岸田さんが、さらなる増税政策を進めている。

  • 2019年、消費税率引き上げ
  • 2020年、21年、新型コロナパンデミック大不況
  • 2022年、ウクライナ戦争インフレ

4年間地獄の苦しみを味わってきた国民に、増税でドロップキックを食らわせる岸田政権。支持率が下がって当然だろうと思います。野党の皆さんには、岸田さんの増税路線をどんどん批判してほしいです。

というわけで、日本国民の多くが未来に希望を持てないのには、理由があるのですね。

しかし。既述のようにあきらめる必要はありません。日本の労働環境が数年で劇的に改善されたように、他の問題も解決されるかもしれないからです。

「もう日本はダメだ!」と絶望している人は、以下の話を知ってください。

道端に店を出す八百屋のおじさんの「プレゼン力」が想像以上に凄かった件

会社などで「プレゼン」と聞くと、どうしても身構えてしまう人もいるかと思います。しかし、今回、メルマガ『スピーチコーチ・森裕喜子の「リーダーシップを磨く言葉の教室」』の著者である森裕喜子さんは「実は意外とプレゼンって身近なものですよ」と語り、近所の八百屋のおじさんとのやりとりを紹介しています。これって、プレゼンにすごく役に立ちそうです。

八百屋のおじさんのプレゼン力

「プレゼンテーション」となるとやっぱりなんとなく特別な感じ?となりがちですよね。

でも、「いや~そんなことないんだな」「もうこんなに身近にあるじゃん」と感じた出来事が最近あったんです。

私が住んでいる場所の近所に、古い一軒家のやっと車が1台停められる車庫で小さなバンの荷台に野菜を並べて売っている、すご~く小さい八百屋さんがあるんです。

荷台だけではあまりに狭いので、段ボールに入れた野菜たちが道端にもはみだしていて、値札も段ボールの切れ端に手書きしてあります。

坊主頭の70代のおじさんがやってるんですが、どうもその風体からすると実はそもそも八百屋だった感じです。

多分、近所にスーパーができて一旦は八百屋業をやめたけれどコロナ禍を機に、道端でまた始めた、みたいな感じ。

露天の八百屋でも、やっぱりおじさん、プロなんでしょうね。

お客さんとのやりとりなんかもうさすがにうまい。

「今日はキュウリがいいよ」

「ジャガイモと合わせて200円!」

なんて言葉を交わしながら売ってる。

オシャレなマダムも結構おじさんと話し込んで買ってますからコミュニケーション力は相当、さすがプロです。

私もときどき買っていたんですが、この間、玉ねぎがすごく安かったので、寄ってみた。

すると「きゅうりと長ネギで300円でいいよ」なんて言われて「えー、じゃあ買う!」となってうっかり買い込んでいました。

そしたらおじさん、スマホを取り出してこう切り出した。

「あのね、この写真、市場なんだよ。ね」

といって、八百屋さんがいく青果市場の写真を見せてくれました。

「ね、ここに1台だけダンプがいるだろ?普段はさ、もう何台もズラリいるんだよ。でも今日は1台だけ。これって何かって、もう野菜がないわけよ。暑さでね、野菜がないんだよ」

えー、とおじさんのスマホを覗き込んで驚く私。

おじさんは「もうさ、ホウレンソウなんか変えた値段じゃないでしょ」

私「そうそう、スーパーで高かった」

おじさん「それにしてもスーパーはもうけすぎだけどね。でも本当にないんだよ。人参なんか北海道で土の中で溶けてるんだって」

私「わー、大変。今買っとかなきゃ」

みたいな会話になっておじさんの店でお買い得野菜を買い込む私自身も納得、というわけです。

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定価なんかじゃ買えないほど人気。日本のトヨタ車を「裏金」まで支払って買いたい中国人たち

中国では、日本のトヨタ車が人気を博しています。人気すぎて定価では買えず「加価」というものを払わなければ購入できないのだとか。今回は、そんな事情について中国の自動車業界情報を届けているメルマガ『CHINA CASE』で詳しく解説しています。

中国でも新型センチュリーを「世極」で販売? 「加価」再燃か?

中国自動車情報サイト最大手「汽車の家」は2023年9月16日、中国政府が発表している最新の「自動車税免除の新エネルギー車(NEV)モデル目録」にトヨタが先日発表した新型センチュリーらしきPHEVが登録されているのを発見、報じた。

普通に言えばセンチュリーは中国語で「世紀」になるが、「世紀」を名乗る車種名は中国で氾濫しており、今回の登録情報では「世極」の名称が使われている。

中国でもショーファーカーとしてアルファードやレクサスLMは人気が高く、世界最高峰のショーファーカー新型センチュリーは中国でも日本版ロールスロイスとして紹介されることも多くなっており、中国に導入されるか? その問題点は?

トヨタ高級車爆売れ

誰がどう見てもSUVだがトヨタは頑なに認めない新型センチュリーは、販売価格2500万円、人民元では124万元となる。

中国でも当然超高級車とはなるが、中国ではレクサスLMが定価120万元程度で販売されており、それが月販200台前後を記録しているのが中国市場の実態でもある。

トヨタの最高級ショーファーカーという認知が進めば、中国でも新型センチュリーは爆売れする可能性がある。ただしトヨタは現時点で、新型センチュリーは毎月30台限定としており、中国の市場規模感とは合っていない。

アルファードやヴェルファイア(中国ではクラウン・ヴェルファイア)は中国では90万元(約1800万円)前後で販売されており、新型のヴェルファイアはこれからだが、アルファードは新型以前もコンスタントに月販1000台を超える販売を中国では記録している。

今までに上げた定価はあくまでも定価であり、この金銭があれば購入できるわけではない、というのがこれらのトヨタ車の中国における人気の高さだ。

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