昼寝はできても、夜になるとなかなか寝付けないという悩みを持つ方はいませんか。夜眠れない人には、その生活習慣や環境に問題があるようです。健康的な生活と筋トレによる運動を続けているメルマガ『届け!ボディメイクのプロ「桑原塾」からの熱きメッセージ』の著者・桑原弘樹塾長は、メルマガ読者からの「夜にきちんと眠れなくて苦労しています」という悩みについて自身のメルマガの中で回答。良い睡眠を得るためには、どのような努力が必要なのでしょうか?
しっかり寝る
Question
夜にきちんと眠れなくて苦労しています。そして昼間はとても眠くなるという悪循環です。昼寝は出来るのですが、夜になると目がさえてしまいうまく眠れません。何かアドバイスはありますでしょうか。特に大きな病気はしていませんが、腰痛もちではあります。(58歳、男性)
桑原塾長からの回答
睡眠は日々の事ではありますが、とてもデリケートですよね。
私も普段は何の問題もなくスムースに入眠出来ますが、何か悩み事があったり、逆にテンションがあがるような出来事があると、考え込んだり興奮したりで寝入ってしまうまでに時間がかかる事はままあります。
質問者の方の不眠も色々な原因が考えられますが、もし昼寝スムーズに出来ているのでしたら、体内時計がくるっている可能性はありますね。
私たちはだいたい朝になると目が覚めて、夜になると眠くなるように仕組まれています。これは脳の松果体から分泌されるメラトニンというホルモンの分泌量によって調整されているからです。いわば天然の睡眠薬のようなもので、その分泌量が昼間は低く夜に高くなるようになっています。
これはメラトニンが、光との関係性が非常に強いからです。光の合図によって体内時計からメラトニンを作る指令や、逆に制御する指令が送られているのです。
つまり夜遅くまで明るい状態にさらされる事によって、体内時計からは「メラトニンを作れ」という指令が行きにくくなり、結果として眠たくならないようになります。逆に朝などは光の情報を与える事で、メラトニンが制御されて眠気から覚醒へと向かうようになるのです。
体内時計は左右の視神経が交差している視交叉上核(しこうさじょうかく)という場所にありますから、まず朝イチで網膜を通じて光の情報を送ってやり、体内時計をリセットしてみてください。
具体的にどの程度の明るさで効果があるのかについてですが、2500ルクスになると夜でも昼間と同じレベルまでメラトニンの分泌が抑えられてしまうという報告があります。
2500ルクスとは、だいたい天気のいい日における室内での窓際あたりの明るさですから、それ以上の明るさで覚醒は進み、それ以下にしないと沈静に向かわないのです。
ちなみに晴天の屋外は2万ルクス以上で、夜の室内では500~700ルクスくらいです。
沈静に向かうためのルクスの目安は、最低でも500ルクス以下で、寝る時には寝室は真っ暗にするか、50ルクス程度で床の足元が少し見える程度がメラトニンを分泌させやすい明るさと言えます。
また、いきなり暗くするのではなく、徐々に時間とともに部屋も暗くしていくのが良いのです。
最初は700ルクスくらいで食事やテレビを見ていても、お風呂からあがったら200ルクスくらいに照明を落とすなど、段階的にすると暗さに対しても違和感がなくスムーズに馴染めます。
光とセットで温度と湿度も影響力が大きいです。湿度はだいたい50~60%ほどですが、温度は夏で27℃、冬で13℃が目安となります。夏に涼しすぎてもいけませんし、冬に温かすぎても睡眠的にはマイナスとなります。
次に腰痛との関係も少し気になります。
激痛があれば当然眠る事は出来ないでしょうが、慢性的な痛みも眠りの妨げになります。場合によっては腰痛の改善にもチャレンジしてみると、劇的な快眠が得られるかもしれません。
夜なかなか寝付けない人が昼間に眠くなって昼寝をしている際、驚くほどのイビキをかいているケースがあります。見た目は太っていなくても、隠れ肥満的な状態になっていて、気管が狭くなっている場合などは睡眠時無呼吸症候群の可能性もあります。
少々面倒くさく感じるかもしれませんが、心当たりがありそうでれば一度睡眠外来を受診してみるのもいいかもしれません。
睡眠は人生の約1/3と言われています。それほど寝ない人であっても、人生の1/4くらいにはなるでしょう。
まだまだ解明されていない側面も多い一方で、どんどんと新しい研究もおこなわれています。何か一つの解決法に頼るのではなく、色々な小さな改善を積み重ねてトータル的に睡眠の質をあげていくという考え方の方が、現実的でかつ効果的な気がします。
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