18歳でアダルトビデオ出演は「成人」扱いに。政府が閣議決定で物議、AV強要でも“未成年取消権”4月から認めず

 

2022年4月1日より、民法の改正によって「大人」の定義が変わる。成人を示す「成年年齢」が、今までの20歳から18歳に引き下げられるためだ。明治8年の太政官国布で定められて以来140年ぶりの「成年年齢」改正だが、いったい何が変わるのだろうか?

18歳でもできるようになること、変わることの主な内容は、たとえば以下の通りである。

  • 10年有効のパスポートを取得できる。
  • 公認会計士や司法書士、医師免許、薬剤師免許などの国家資格を取ることができる。
  • 結婚可能年齢が男女とも18歳からに(女性は今までの16歳から引き上げに)なる。
  • 親の同意がなくても契約をすることができる。

この中でもネット上で話題となっているのが「契約」の部分。今回の民法改正により、AV(アダルトビデオ)の出演契約者が18歳・19歳だとしても「成人」として扱う、と政府が閣議決定した答弁書に書かれていることだ。つまり、18歳・19歳は「未成年者取消権」が使えなくなることを意味している。

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この「未成年者取消権」とは何か。これは、未成年者が法定代理人(親権者。親権者がいない場合は未成年後見人)の同意を得ずに契約した場合には、原則として、その契約を取り消すことができるということが民法によって定められているというもの。つまり、18歳・19歳がアダルトビデオの出演を強要する契約を結ばされてしまった場合、この取消権を使うことができなくなってしまうのだ。

この答弁書は参議院の公式ホームページで読むことができる。この内容の質問主意書を提出したのは、立憲民主党の塩村あやか議員だ。

● 成年年齢引下げに伴い必要となるアダルトビデオ出演強要問題への対応に関する質問主意書(参議院)

塩村議員の質問主意書には以下のような質問が書かれている。

(前文略)十八歳、十九歳の者が締結するアダルトビデオへの出演契約等が未成年者取消権の対象から外れるため、今後、若年層の性暴力被害が増加することが深刻に懸念されるとの観点から、以下質問する。

 (中略)内閣府男女共同参画局発行の「共同参画」(令和三年九月号)では、いわゆるアダルトビデオ出演強要問題は、被害者の心身に深い傷を残しかねない重大な人権侵害であるとともに、女性活躍の前提となる安全で安心な暮らしの基盤を揺るがす問題であるとされている。

 アダルトビデオへの出演強要による被害に対して支援が必要となる者の年齢については、飲酒及び喫煙と同様に、民法の成年年齢等とは異なる観点から検討されるべきであり、引き続き二十歳未満の者が締結した契約を未成年者取消権の対象とする等の対応を講ずる必要があると考えるが、政府の見解を問う。(以下略)

つまり、今回の民法改正によって、成人の年齢引き下げがおこなわれたことによって、今までは20歳未満の人に対して有効だった「未成年者取消権」が行使できなくなるため、被害を受ける人が増えるのではないかという懸念が出てきたのだ。この質問に対して、政府が閣議決定した答弁書の内容は、以下のようなものだった。

同主意書に対する答弁書(参議院)

当該取消権を行使することができる者を成年となった十八歳、十九歳の者にまで拡張することは困難であるが、いわゆるアダルトビデオ出演契約を締結したとしても、不当な手段によって締結された契約については、詐欺、強迫等を理由とする取消権を行使することが可能である。

政府は答弁で、「成人」扱いとなった18歳・19歳にも「未成年者取消権」を拡張することは困難だ、と答弁している。その後には「不当な手段によって締結された契約は、詐欺や強迫等を理由として取消権を行使できる」と補足しているが、たとえ脅された側が取消権を行使できたとしても、契約をすることができる年齢層が広がったことで「被害者数」が増加する可能性が出てきたのだ。

アダルトビデオをめぐっては、以前より芸能事務所による出演の強要や製作者らによる性暴力、事前の説明なしに動画が配信されるなどの事案が問題視されており、18歳・19歳の被害拡大が懸念される。今回の「18歳・19歳のAV出演契約が成人扱い」について、ネット上にはさまざまな意見が投稿されている。

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ウクライナにも通じる。侵略の果てにチベットの人々に待ち受けていた地獄

ロシアのウクライナ侵攻にも見える、大国からの小国侵略。過去のチベットにも同じようなことが起きていました。そこで今回は、メルマガ『1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』』の中でチベットについての入門書を紹介。中国からの侵略に対し、独立国家であったチベットはどういう選択をしてきたのでしょうか。

【一日一冊】チベット入門

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チベット入門

ペマ ギャルポ 著/日中出版

ロシアのウクライナ侵攻もあり、大国が小国を侵略することはよくあることということで、手にした一冊です。

現在の中国の「チベット自治区」は、チベットという独立国家でした。ところが1949年、中国共産党が内戦で勝ち政権を取ると、中国は武力を背景に、チベットを併合してしまいました。

その時の「17条協定」では軍事・外交以外の内政はチベット政府の自治にゆだねることになっていましたが、結局中国は軍を派遣し、内政干渉し、仏教を弾圧しました。

1959年には、これに反発したチベット民衆が決起しましたが、人民解放軍はこれを殲滅する作戦を実施し、多くの死者を出しました。現在のウクライナ危機もウイグル問題も、実は歴史の繰り返しにしかすぎないように私には感じるのです。

中国解放軍は八方面からチベットに侵入を開始、東チベット首都シャドムに全面攻撃を加えていた(1950年10月7日)(p119)

チベットは自治や宗教の自由を保障すると騙されて中国に併合され、7、8年すると農業の集団化が強制されたり、寺院が破壊されてしまったのです。

1959年の血塗られた金曜日と呼ばれる弾圧では、裕福な地主や村のリーダーが野原に集められ、中国人によって銃殺されたという証言があります。また、裕福な人を磔にして火あぶりにしているのを中国人に見ているよう命じられた人もいたそうです。

1950年から1984年までの間に死んだチベット人は120万人以上になるとチベット亡命政府は発表しています。割り引いて考えても万人単位でチベット人の命が失われたのは事実なのです。中国はこれをウイグルで再度行っているにすぎないのです。

中国・香港・台湾から見たウクライナ侵攻。明らかに異なる三者三様の想い

ウクライナへの攻撃の手を緩める姿勢を見せないプーチン大統領。ウクライナとロシア両国による落としどころは一向に見えてきません。そうした状況の中、中国出身で日本在住の作家として活動する黄文葦さんは自身のメルマガ『黄文葦の日中楽話』で、中国・香港・台湾の人々が抱く、この危機への想いについて明らかにしています。

 

ロシア・ウクライナ危機:中国、香港、台湾の人々の注目度の違いとは?

ロシアは2月24日、ウクライナに対する軍事侵攻に踏み切った。ロシアのウクライナ侵攻は世界中で大きな議論を呼んでおり、中国、香港、台湾の人々も事態の進展に強い関心を寄せている。しかし、地理的・政治的などなどの相違によって、この危機に対する注目度は、中国、香港、台湾の人々には大きく異なっている。

ロシアのウクライナ侵攻に対する懸念は、中国世論では非常に高かった。ネット検閲があっても、ソーシャルメディアはこの話題で持ちきりだそうだ。

中国政府はロシアの行動を非難せず、「侵略」という言葉の使用も避けている。ところで、中国民衆は様々な角度からこの問題を議論している。

中国版ツイッターの微博の検索では紛争に関する最新情報が得られ、議論では戦争に関連する外国との交流についても触れられ、特に中国ではロシアのウクライナ侵攻が正しいのか不義なのかが注目される。多くのネチズンはロシアを支持し、紛争の重要な要因として米国の関与を挙げている。

ある微博ユーザーは「ロシアが戦わずしてウクライナがNATOに加盟すれば、次はNATOと米国がロシアを脅かすかもしれない。中国政府は、いざとなったら必ずロシアを助ける。 もし戦わなければ、NATOとアメリカが一緒に中国と戦うことになる」と述べている。

しかし、微博でもしばらくは反ロシアのレトリックが蔓延していた。「ロシアが占領した中国領土の順番表」がSNSで拡散され、ネットユーザーが歴史を引き合いに出して議論に介入している。

「ロシアが他国を侵略するのをわが政府が密かに支援するのは本当に理解できない。ロシアの行為は、日本が中国を侵略して偽満州を建国したのと同じではないか? 以前、NATOがわが大使館を襲ったのは、まさに民族的な恨みだが、しかし、我々の政府は、ロシアの侵略をまだ支持しており、いつかこのように攻撃されることを恐れていないのだろうか?」ある微博のユーザーが書いた。勿論、そういう議論はまもなく消された。

興味深いのは、数日後、ロシア批判が次第に反米的なレトリックに取って代わられ、一部のユーザーは反ロシアのユーザーを「アメリカのスパイ」と呼ぶ。

あるユーザーは、アメリカがインディアンとメキシコ人から土地を盗んだと歴史上のアメリカを指弾した。

 

武田双雲が教える。ネガティブな気持ちに襲われた時の解消法とは

コロナ禍で注目されているもののひとつに家の中で愛でられる「観葉植物」があります。メディアでも特集がよく組まれ、店舗に足を運ぶ人も多いのだとか。そんな植物との関係について人気の書家・武田双雲さんが自身のメルマガ『武田双雲の極上機嫌になるための言葉』で語っています。

 

心の傷を治癒してくれる植物様が私たち人間にもたらした恩恵

今日も極上機嫌になるためのメルマガ進めていきましょう。

自宅の庭には、少しずつ蕾が開き、花が咲いてきました。一足先に春の訪れを感じてるようです。なぜでしょう、花や木々を見ているだけで心が穏やかになるのは。傷ついた心も治癒してくれてるような感じがします。

古来から私たち人間はどれだけ植物たちに癒されてきたのでしょうか。

人間社会は、いろいろ大変なことが多い。悲しいニュースもあれば、身近な人々の不和など様々なネガティブ情報が入ってきます。そんな時、植物と触れ合っているといつのまにか癒されていきます。

先人たちはそれをしっかり感じていたのでしょう。花を愛でる習慣を持っていました。

今は春夏秋冬と四つに季節を分けますが昔は72候と言って、一年を72種類の季節に分けていました。

僕もこういう本を以前に出させてもらい好評いただいています。72種類の季節をオリジナリティ溢れる書で表現し、独自のポエム、短い文章をそえています。

■ 『武田双雲の墨書七十二候 季節を伝えることば』(朝日新書)

僕の趣味は散歩しながら、いろんな植物と会話することです。声には出しませんが、出会ういろんな草花、木々たちと挨拶を交わしています。それだけで魂が喜んでいるような気がします。

こういう悲しいニュースが続く時こそたくさん植物と会話していきたいものです。きっと植物たちは、あなたの心の傷を治癒してくれるでしょう。

僕らが「雑草」だと思ってしまっている道端の草花たちも、今一度、はじめて出会ったような感覚で挨拶することをオススメします。

あらためてこの地球に一緒に住んでくれている全植物さんたちに感謝申し上げます。

ありがとう植物様

 

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「#橋下徹をテレビに出すな」ハッシュタグ爆誕。“降伏”勧めてウクライナ出身政治学者と口論、高市早苗氏も呆れ顔

元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏(52)が7日、フジテレビ朝の情報番組『めざまし8』に生出演し、ロシア軍のウクライナ侵攻について言及。「逃げることは恥ずかしいことでもなんでもない。まずは一時避難だということを勧められる戦争指導を」と提言した。このところウクライナ情勢について持論を展開し続けている橋下氏だが、ネットでは「#橋下徹をテレビに出すな」というハッシュタグが誕生するなど、その発言に波紋が広がっている。

ウクライナ国民を国外退去させ政治的妥結を主張

ウクライナから近隣諸国への避難民が10日間で150万人以上になった報道を受け、橋下氏は国に残って戦っている兵士には敬意を表しながら、戦闘一本槍ではなく、できる限り住民避難に意識をもって活動して欲しいと述べた。

3日の『めざまし8』ではウクライナ出身の国際政治学者グレンコ・アンドリー氏と意見の対立から口論状態となった橋下氏。この日も「ロシアと話をして政治的妥結をする」ことが重要だと主張する橋下氏に対し、アンドリー氏は「ウクライナの完全降伏以外の解決をプーチンが認めない」として対立。

両者はヒートアップし、MCの谷原章介(49)が橋下氏の主張中に遮るようにして発言し、激論を打ち切った。

メディア露出の多い論客でもある橋下氏だが、ここのところウクライナ情勢に対しては過激な言葉で自身の提言を発信することが多い。

2月27日には戦争反対のために都心でプラカードやウクライナ国旗を掲げた集会する人々を揶揄して、「日本国内でウクライナの国旗を掲げて集まってもクソの役にも立たない」と自身のツイッターで酷評。

さらに、ゼレンスキー大統領が外国人部隊を編成し、志願を呼びかけた報道に対して「ウクライナとともにあると威勢よく言っていた国会議員は直ちにウクライナに行って戦え」など、暴言ともとられかねない提言をしていた。

人の心を逆なでてまで自身の主張を押しつける橋本節にネットは炎上。

「#橋下徹をテレビに出すな」というハッシュタグが誕生するなど、橋下徹氏の発言に反発する声が高まっている。

【関連】プーチンを煽りウクライナ侵攻させた“真犯人”は誰か?炙り出された悪魔の構図

自民党高市氏の発言をねじ曲げて断定?

また、橋下氏は3日に出演した『日曜報道 THE PRIME』(フジテレビ系)の中で、自民党の高市早苗政党会長と対談。

高市氏を総理大臣に一番近い人物と持ち上げた上で、「戦闘員の最高指揮官としてどこをゴールにして戦わせるか」と、やや意地悪ともとれる質問した。

これに対し高市は「戦闘員に対しては、国家の主権を失わないためにも、最後まで戦っていたくことになると思います」と述べると、さらに橋下氏は「ロシアを倒すまで、最後の最後まで全員に戦わせるのか」と詰問。高市氏は「国際協力を得るためにはまず日本が自国を守り抜く本気度を見せるしかない」と答えた。

しかし、これだけで終わらない。番組終了後、橋下氏は自身のSNSで「戦う一択の高市さんは国家指導者として危険だ」とツイート。

まるで自分の提言に共感を得るために、高市氏の印象が悪くなる発言を誘導させる質問をぶつけて、ウクライナ降伏論を正当化させようという筋書きが見えるようだった。

しかし、こうした橋下氏の論理展開に対し、ネット民には見透かされているようにもみえる。

橋下氏の提言より、どうやら「最後まで戦う」と言い切った高市氏が称賛される皮肉な結果に終わったようだ。

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ウクライナ情勢について持論を展開し続けてる橋下氏。もちろん個人の価値観が異なるのは当たり前で、すべてが否定されてはいけないが、「#橋下徹をテレビに出すな」のハッシュタグは当分収まりそうにない。

プーチンを煽りウクライナ侵攻させた“真犯人”は誰か?炙り出された悪魔の構図

3月3日に2度目の停戦協議が行われたものの、ウクライナへの攻撃の手を緩める姿勢を見せないプーチン大統領。国際社会は例を見ないほど迅速にロシア包囲網を築きましたが、その動きやメディアが伝え続ける内容に対して違和感を抱く識者も少なからず存在するようです。今回のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』では著者で元国連紛争調停官の島田久仁彦さんが、ロシアの武力侵攻は100%支持できないとした上で、自身が違和感を覚えざるを得ない理由を挙げるとともに、「プーチン憎し」の勢いで行動を取ることの危険性を指摘。さらにウクライナから直接ロシアとの仲介依頼を受けた中国が置かれた立場と、プーチン大統領の恐怖を煽った勢力についての考察を試みています。

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ウクライナ紛争の落としどころは見つかるか?

2月24日に大方の予想に反してウクライナ全土への侵攻を開始したロシア。

宣言通り行ったウクライナ東部ドンバス地方へのロシア軍の“派遣”に加えて、軍事演習を継続していたベラルーシからウクライナ北部へ侵攻し、第2の都市ハリコフ(Kharkov)へ攻め入り、首都キエフへの進軍を匂わせるためにチェルノブイリ原発を制圧しました。そしてクリミア半島・黒海からはオデッサをはじめ、ウクライナ南部からの進軍を続けています。

当初、3日ほどでロシア軍が全土を掌握し、ゼリンスキー大統領を追放するというように見られていましたが、ウクライナ軍および義勇兵の善戦により、今日で侵攻開始から1週間持ちこたえたことになります。

その間、ゼレンスキー大統領はお得意のパフォーマンスを駆使して、国民の抗戦を鼓舞するだけでなく、国際社会における親ウクライナの波を創り出し、【ロシアvs.ウクライナ】の図式を【ロシアvs.国際社会】に塗り替えました。

各国では大規模な反戦デモ、そして反ロシアデモが巻き起こり、ウクライナへの多方面からの寄付と支援が驚くべきスピードで、驚愕するほどの額面が集まりました。

国連では3月2日に行われた緊急総会およびジュネーブの人権理事会において、反ロシアの支持が141か国に達し、ロシアのウクライナからの即時撤退が要請されました。総会決議には、安保理決議と違い、国際法上の履行義務は発生しませんが、国際世論は完全に反ロシアで燃え上がっていることを浮き彫りにしました。

外交的な運動と並行して、これまた驚くべきスピードと規模で、反ロシアの経済的な制裁が強化され、ついには経済的な最終兵器とまで呼ばれるSWIFT(国際決済システム)からロシアの主要銀行を排除するという“ウルトラC”まで繰り出されましたし、アエロフロート・ロシア航空による寄港および領空の飛行を禁止するという制裁も課されています。

これらの制裁の効力については、多少、疑問が残りますが、それでも【ロシアおよびプーチン大統領に対する国際社会からの激しい怒り】を示すには十分なものであると感じます。

このような国際社会からの敵対的な感情と、思うように進まない戦況(特にウクライナ攻略)に苛立ったのかどうかは知りませんが、プーチン大統領はロシアの臨戦態勢を核兵器の使用を可能にする緊急体制にレベルアップし、「ロシアの国家安全保障を脅かすようないかなる企みも、破滅的な結果をもたらすことになる」と徹底的に対峙する構えを見せました。

これで「ついに第3次世界大戦か?」とか、「ただのブラフだろう」とか、挙句の果てには「プーチン大統領の思考能力・判断力の低下」を勘繰ったかと思えば、落ち着きのない素振りを指して「プーチン大統領はパーキンソン病を患っている」という、ちょっと関係のなさそうな失礼な批判まで飛び出してきました。

核使用の可能性をちらつかせるというハードコアな対応を示しながらも、表向きにはウクライナとの停戦合意の協議には応じるという外交的な解決チャンネルもしっかりと残しているあたりは、まだ交渉上の勘はくるってはいないように見えます。

とはいえ、協議とは名ばかりで、ウクライナ側が到底飲めないような内容を繰り返しているだけで、実際にはキエフ侵攻に向けた時間稼ぎとも理解できますが。

 

富士山大噴火の元凶扱い。庶民から憎悪を買って逝った綱吉の悲惨

江戸文化が爛漫に咲き誇る元禄の世と、改元後の宝永時代を立て続けに襲った大地震。宝永地震に至っては直後に富士山大噴火が発生し多くの民が被災しましたが、これらの天災の「元凶扱い」されたのが時の為政者、徳川綱吉でした。今回のメルマガ『歴史時代作家 早見俊の「地震が変えた日本史」』では著者の早見さんが、そんな綱吉を巡る醜聞やそこから発展した怪談を紹介しています。

 

元禄宝永大地震と犬公方「第一回 泰平の世を揺るがせた大地震」

「時に元禄15年12月14日、江戸の夜空を震わせて響くは山鹿流の陣太鼓」

昭和の国民的歌手、三波春男のヒット曲、『俵星玄蕃』の冒頭で語られる名台詞です。講談調の台詞入りの長い歌とあって、カラオケ酒場ではのど自慢たちがマイクを握り、気持ち良さそうに歌っていました。昭和世代にサラリーマン生活を送った読者なら、上司の歌にかけ声や拍手をし、座を盛り上げたのではないでしょうか。

ご存じ、忠臣蔵のクライマックス、赤穂浪士の吉良邸討ち入りの場面です。大石内蔵助は山鹿流の兵学を学び、陣太鼓を打ち鳴らして浪士たちの指揮を執りました。白雪が深々と降り積もる師走の寒夜、四十七士は主君浅野内匠頭の仇、吉良上野介を探します。

忠臣蔵の話は本題ではありませんのでこれくらいに留めます。赤穂浪士の討ち入りのおよそ1年後、江戸ばかりか関東の夜空を震撼させる大地震が起きました。元禄16(1703)年11月23日、新暦にして12月31日の午前2時頃、相模トラフを震源とする推定マグニチュード7.9~8.5という大震災でした。迷信深い江戸の庶民に中には、その年の2月に切腹させられた赤穂浪士の祟りだと囃し立てる者もいました。

この元禄関東地震は将軍のお膝元である江戸を始め、武蔵、安房、上総、下総、相模、伊豆、甲斐という関東の広範囲に亘って大きな被害をもたらしました。江戸で、いや、日本で最も頑強な造りであったであろう江戸城の櫓や多くの建物が崩壊、大手門は堀の水が溢れ返り、最大の番所である百人屋敷も潰れました。

江戸城ですらこんな有様ですから、市中の状況たるや悲惨を極めます。

江戸湾に津波が押し寄せ、品川の浜に避難した人々が呑まれてしまいました。津波は隅田川を遡上し、幕府最高の実力者柳沢吉保の下屋敷、六義園も襲います。六義園は今も名庭園で有名ですが、この時の塩害により庭内の松が悉く枯れてしまい、復旧するのに30年を要したそうです。

津波は房総半島北東端の犬吠岬から伊豆半島南端の下田に至る一帯を襲います。安房小湊近辺で570軒、御宿で440軒、下田で500軒もの人家が流されてしまいました。

徳川幕府は大地震による人心の荒廃を刷新しようと朝廷に改元を奏請します。結果、元禄から宝永に元号が改まります。ところが、皮肉にも元禄関東大地震の僅か4年後、宝永4(1707)年10月4日、新暦にして10月28日、推定マグニチュード8.4~8.6という超巨大地震が日本を襲い、更には49日後、富士山が大噴火しました。この大噴火により宝永山が誕生しました。

今月は立て続けに起きた巨大地震を通し、江戸時代中期の政治、経済にも触れたいと思います。

元禄宝永大地震が発生した時の為政者は徳川幕府五代将軍綱吉です。「生類憐みの令」で有名ですね。生き物を大切にせよという法令で、綱吉が戌年生まれであったことから特に犬が保護されたことから綱吉は、「犬公方」と呼ばれています。「犬公方」綱吉は、「生類憐みの令」のイメージが強く、評判が良くありません。綱吉への反発から水戸の黄門さまこと水戸徳川家当主光圀が世直しの旅に出る漫遊記が語られるようになりました。

 

プーチンが突きつけた恐怖。世界を破滅へと導く最高権力者の“病気”

ウクライナへの侵攻を開始するや、西側諸国に対する警告として「核」の存在に言及したロシアのプーチン大統領。「暴走」とも言えるその言動について、病気を疑う声が上がっています。メルマガ『NEWSを疑え!』を主宰する軍事アナリストの小川和久さんは、過去の大国の権力者たちの病気について記述した書籍を紹介。核保有国の最高権力者が心身に異常を来し「暴走」した際には阻止する方策が必要で、「安全装置」は中ロのような独裁国家であっても制定されるべきものと訴えています。

歴史的にプーチン病気説を眺めると

ロシアのプーチン大統領がロシア軍に核戦力を含む特別警戒態勢を発令したことについて、病気説が飛び交っています。

2020年11月には、英国の大衆紙サンが「プーチンはパーキンソン病のため、2021年初めに辞任するだろう」と報じました。その報道のようには進まなかったのですが、今回の核兵器への言及によってパーキンソン病による過去への執着や判断力の低下が原因だとか、認知症によるものだという言説が再び飛び交っています。

いずれも確たる根拠があるものではないのですが、過去の歴史に照らして、特に核兵器に関する国家元首の暴走を食い止める方策を確立する必要性が生まれていることは間違いないでしょう。

私の手もとに『現代史を支配する病人たち』(新潮社、P・アコス、P・レンシュニック)という本があります。著者のアコスはフランスの『レクスプレス』誌の医療担当記者を務めたジャーナリストで作家、レンシュニックは『医学と衛生』誌の主筆、ジュネーブ大学医学部講師などを歴任した内科専門医です。

訳者の須加葉子氏はあとがきに、「権力者というものに対する一般のイメージを打ち砕き、世界政治の動きを医学の視点からとらえることによって、現代史に従来と全く異なった側面から肉迫し、さらに法医学的な社会問題をも提起した」と記しています。

この本には、ルーズベルトの「ヤルタの空に描くアルヴァレス病の幻想」から毛沢東の「革命の神様を待ち受ける老人性痴呆」まで、27人の最高権力者が俎上に載せられています。アルヴァレス病とは脳の小動脈の破裂によって生じ、意識がもうろうとするなどの症状が出ることで知られています。

今回のプーチン大統領と重なるのはヒトラーのケースで、「第三帝国とともに崩壊するパーキンソン病の肉体」という表題になっており、なにやら意味深でもあります。

プーチン大統領がKGB(国家保安委員会)の将校として活動したソ連の指導者については、レーニンの脳軟化症、スターリンの「凍った血」(重い動脈硬化症によって衝動の抑制が効かなくなる症状)、フルシチョフの「躁鬱病」、ブレジネフの「人工心臓疑惑」が取り上げられています。このような最高権力者の病気が世界を破滅に導きかねない恐怖を、いま世界はプーチン大統領の言動によって突きつけられています。

最高権力者の暴走を阻止するには、第一線部隊の指揮官が不当と思われる大統領命令を拒否できるようにした米国の例などが参考になると思われます。近い将来、ロシアや中国でもそのような「安全装置」が制定されることを願わずにはいられません。

米国の例については、機会を見て西恭之さん(静岡県立大学特任准教授)に解説してもらおうと思います。(小川和久)

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文在寅“逮捕”にまた前進。韓国大統領選で野党候補の一本化成功

3月9日の投開票まで1週間を切った韓国大統領選挙ですが、野党がまた一歩、政権交代に近づいたようです。今回の無料メルマガ『キムチパワー』では韓国在住歴30年を超える日本人著者が、ギリギリのタイミングで成功した野党候補の一本化を伝えるニュースと、これまで双方が歩み寄れなかった経緯を詳細に紹介。さらに統一候補となった尹錫悦氏の演説内容と熱狂する聴衆の模様をレポートしています。

【関連】文在寅の後継をワンチームで倒す。佳境を迎えた韓国大統領選の今

尹錫悦、一本化会見の後即、天安遊説

尹錫悦(ユン・ソンヨル)と安哲秀(アン・チョルス)がとうとう一本化に成功した。3月3日午前零時頃から2人は直接に会い、安哲秀が尹錫悦を応援するという形の一本化に成功したわけだ。同日の討論の時は、2人の会合は予定になかった。劇的な会合が実現した背景には、「国民の力」党の張済元議員と「国民の党」の李泰圭(イ・テギュ)議員の相当の努力があった模様だ。会合にはこの2人も同席した。3月2日午後、張議員と李議員は電話で「ひとまず私たちが個人の資格で会って胸襟を開いて話し合おう。歴史の罪人になってはいけない」と話し、会って両候補間の3月2日の3回目(最後の)討論の後、2人の会合推進に合意したという。その後、張議員は江南にいた尹候補を、李議員は国民の党本部にいた安候補を訪れ、2人の会合を説得した。このとき尹候補は張議員に「実現しなければまた一本化フレーム(つまり、一本化が「できる・できない」というハタから見てると両方の頭をなぐりたくなるようなじれったさ。ジレンマ)に陥るのではないか」と懸念を示したという。

特に、昨年10月には安候補が、今年2月には尹候補が、会談を推進しようとしたが互いの誤解で実現しなかった経験がこのような憂慮に火をつけたもの。内幕に詳しい双方の関係者によると、安候補は昨年10月、自分を「尹候補と近い間柄」と言ったある野党関係者から「尹候補と会合の約束を取りつけた」という連絡を受けて約束場所に向かったが、この席に尹候補は登場しなかった。一方、尹候補も今年2月、安候補に近いというある野党関係者から「安候補がソウルの某所にいるからすぐ出て来い」という連絡を受けた。しかし、尹候補が該当の場所に移動する途中、「会合が取り消された」という通知を受け、尹候補も当惑したという。関係者によると、当時2人に会合を提案したのは、いずれもいわゆる「無許可業者(本人の真意とは無関係に動く人物)」だったという。こんなことが、この二度だけではないのだから始末におえない(トラウマになる)のも無理はない。

今日3日の日に会った席で、尹候補が「2人で直接会ったら誤解が解けました」と述べると、安候補も「そうですね」と応えた。安候補は一本化合意後の午前3時ごろ、「国民の党」の主要関係者らが参加しているSNSに「一本化の発表を今日の朝にすると思う」と知らせたという。さらに、「決心した理由については後ほどご説明する」と言っていた。一方、「国民の力」選挙対策本部関係者は「報道が出る前までは交渉に参加した少数の人員を除いては、誰も知らなかった」ということだ。たとえばキム・ジンギョンという元検事で尹錫悦とかなり近い人物で尹錫悦の選対委にいる人も、「きのう2日の最後の討論会のあと、2人の一本化合意のことが気になって眠れなかった」と明かすほど、2人の会合はかなりの側近連中にも知らせられていなかったことがわかる。

条件さえ満たせば支援金を受け取っていい?人気コンサルからの回答は

持続化給付金に代わり、事業復活支援金の申請が始まっています。「新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者」という大前提は曖昧で、年によるばらつきが当たり前の事業者でも「対象期間内に基準期間の同月と比較して、事業収入が30%以上減少した月が存在」すれば支援を受けられます。困窮していなくても条件さえ満たせば受給して良いのでしょうか?読者の疑問に答えるのは、『永江一石の「何でも質問&何でも回答」メルマガ』著者で人気コンサルの永江一石さん。永江さんは困窮していない事業者が受給するのは違和感と回答。それでも「個人にばら撒くよりマシ」と考える理由も説明しています。

 

困窮していないのに支援金を受け取るのはアリ?

Question

shitumon

改めて「事業復活支援金」についての質問です。私の勤務先は創業50年以上の中小企業で、創業以降無借金・黒字経営です。コロナ禍になってからも業界的に元々受注している仕事は止まらないので、売り上げが下がることなくこれまでやってきました。

しかし原材料高騰や大元のお客様がコロナ以前より縮小していたりで、来期は受注が少なくなることは見越しているという状況です。先日令和3年度補正予算より「事業復活支援金」の申請が始まりました。

私の勤め先は先に述べた通り、コロナに関係なく仕事が出来ているのですが、今回の支援金の対象は新型コロナの影響で2021年11月~2022年3月のいずれかの月の売上高が2018年11月~2021年3月までの間の任意の同じ月の売上高と比較して50%以上又は30%以上50%未満減少した(中堅・中小・小規模事業者・フリーランスを含む個人事業主)……となっています。

この範囲だとコロナにあまり影響をうけていない会社でも、かなりの会社が申請できると思うのですが、そんなにお金をもらっても大丈夫なの?と心配してしまいます。

うちの会社でも昨年の3月の売り上げがかなりあったので、今年の3月の見込みと比較すると250万円の給付がもらえそうです。とりとめのない質問になってしまいましたが、来期は日本のコロナ対策が経済に与える影響のせいもあり、確かに「コロナの影響」で売り上げは下がりますが、本来そんなに困窮していないのに、国からお金を支援してもらうことに少々違和感を感じているといったところです。私が国の心配をする必要はないと思うのですが、永江さんはどう思われますか?

永江さんからの回答

おっしゃる通り、特別困窮していない企業が支援を受けるのは違和感を感じますが、個人(特に高齢者)に現金をばら撒いて貯金に回るよりマシだと思います。

わたしも基本的には事業復活支援金は本当に苦しい企業が受給すべきだという考えです。というのも特に売上に変化がない企業が支援を受けても、結局雑収入として確定申告したら税金で返さなければなりません。

かと言って、その分を個人にばら撒くよりマシです。特に高齢者に現金を配っても貯金するだけなので経済は回りません。企業なら税金対策で経費として使うことができるので、個人にばら撒くよりはるかに有効だと思います。ただし、不正受給が後を絶たないので、毎年しっかりと申告をしている雇用が発生している会社組織に限った方がいいように思います。

 

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