驚くほどの低さ。厚労省職員のコロナワクチン“接種率10%”は本当か?

強制ではないものの、小児の接種にも努力義務が適用されている新型コロナワクチン。しかしその政策を取り仕切る側の人間たちは、ワクチンを避ける傾向にあるようです。今回のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』では著者で元全国紙社会部記者の新 恭さんが、とある勉強会で表面化した「厚労省職員たちの低接種率疑惑」を紹介。さらに1,908件にも上るワクチンの副反応が疑われる死亡例数を異常とした上で、コロナワクチン接種を推奨するにあたり、インフルエンザワクチンを遥かに上回る死亡率を明示しない厚労省を批判しています。

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厚労省、コロナワクチン接種率10%の衝撃

厚労省職員の新型コロナワクチン接種率が10%程度だとしたら、読者諸氏はどう思われるだろうか。

おいおい、待ってくれよ。そっちが推進してるんだろ…と疑念や怒りがこみ上げるに違いない。

国民にワクチンの効能を説き、接種にせき立てておいて、自分たちは副反応が恐いからやめておこうというのでは、国家スケールのイカサマではないか。

疑惑が表面化したのは、11月25日のことだった。ワクチン接種に慎重な国会議員たちの超党派議連(会長・川田龍平参院議員=立憲民主党)の勉強会。新型コロナワクチン接種後に亡くなった人の遺族たちが、厚労省のワクチン関連部門の担当者たちと向き合った。

そのなかで、妻を亡くした遺族がこう語った。「あんたたち、マスコミ使って打て打てとあおりまくって、結果がこれでしょ。あんたらほとんど打ってないでしょ。厚労省の職員の接種率なんか10%くらいじゃない」

ネット動画番組でこの場面を見ていた筆者は、「厚労省の職員の接種率なんか10%」というのを聞いて、最初は、何かの勘違いか、言い間違いではないかと思った。

しかし、どうやらそうではないらしいのだ。同席していた京都大学の福島雅典名誉教授が厚労省側に問いただした。

「いま仰った話に愕然とした。厚労省の職員の接種率は10%なのか。厚労省、国会議員、行政の関係者の接種率をしっかり提示してください」

厚労省健康局の予防接種担当参事官は、厚労省の接種率について、こう答えた。

「本日、そういったデータのほうは持ち合わせておりませんので…」

それに対し、福島名誉教授は「それが確認できんというのは組織的怠慢じゃないの。そんなものすぐ出せるはずだ」と憤った。

福島氏は、科学に基づく医療、患者の権利の保護をめざし、日本にインフォームド・コンセント(十分な説明に基づく同意)を根付かせた先駆者だ。医療の「病根」に挑んできたベテラン医師ならではの迫力が激しい口調から伝わってくる。

官僚が「データを持ち合わせていない」というのは、たいがい正直に言うと都合が悪い時だ。ワクチン担当者が自分の役所の接種率を把握していないはずがないではないか。かりに「10%」がかけ離れた数字であるなら、即座に否定するはずである。筆者は、このやり取りを見て、「10%」が事実に近い数字なのだろうと確信した。

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蔡英文ではない。台湾統一地方選「本当の敗北者」が習近平である理由

11月26日投開票の台湾統一地方選で、大敗を喫した蔡英文総統率いる与党民進党。この結果は台湾市民のどのような声の現れと見るべきなのでしょうか。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、様々な報道を引きつつ選挙結果を分析。さらに本当の敗者は蔡英文総統ではなく中国の習近平国家主席だとして、そのように判断する理由を解説しています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2022年11月30日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

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プロフィール:黄文雄こう・ぶんゆう
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

【台湾選挙】台湾統一地方選挙、本当の敗北者は習近平だった

台湾与党大敗、対中国政策に影響 蔡総統は党トップ辞任

11月26日に台湾で行われた統一地方選挙で、与党民進党が大敗したことは、日本でも大きく報じられています。今回、民進党は全22県市の主張ポストのうち、獲得したポストは5つ。これは国民党に大敗した前回の2018年選挙からさらに1つポストを減らしたことになります。

人口の約7割を占める6つの直轄市では、国民党は台北市、新北市、桃園市、台中市の4つを獲得、一方で民進党は台南市と高雄市の2つに留まりました。この結果を受けて、蔡英文総統が民進党の党主席を引責辞任しました。

統一地方選で与党・民進党が敗北、蔡英文総統が同党主席を辞任

民進党敗北には、さまざまな理由があります。もともとこうした地方選挙においては現職が強いものですが、国民党陣営が現職11人、民進党は現職3人と、最初から国民党有利だったということもあるでしょう。

とはいえ、民進党がここまで大敗したのは、支持基盤でもあった若者層が民進党に投票しなかったことが大きいとも見られています。「民進党は選挙のときばかり若者にアピールするものの、選挙が終わると若者の要求については放置する」といった声も聞かれ、こうした不満が民進党支持につながらなかったと見られています。

産経新聞台北市局長の矢板明夫氏も、住宅価格の高騰や低賃金など、若者にとってきわめて重要な問題を解決してこなかったツケで、多くの若者が「騙された」と感じていると分析しています。

矢板明夫列出問題提醒:討厭民進黨的人若越多 可能被中國見縫插針

矢板氏はその他にも、蔡英文総統がここ数年記者会見を開いていないことや、中国の圧政に苦しむ香港への支援についても、民進党は選挙前だけにしか口に出さず、そうしたご都合主義も有権者に見透かされていたと指摘。一方で、中国のサイバー集団によるフェイクニュースが毎日大量に流され、政府攻撃を行い、国民を洗脳してきたことも、主要な原因の一つであるとしています。

民進党は台湾独立を志向し中国と対立姿勢を貫いていることから、日本では保守派と見る向きもありますが、実態はリベラルです。反原発や同性婚に積極的で、リベラルな若者世代からの支持が多いのです。

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親が支援を拒否するケースも。ヤングケアラー問題の解決を“阻むもの”の正体

数年前に我が国でもようやく社会問題として認知され始めた「ヤングケアラー」。やむを得ない事情で家族の介護や世話を担う彼らに対して、どのような救いの手を差し伸べるべきなのでしょうか。今回のメルマガ『モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)』ではジャーナリストの伊東森さんが、ヤングケアラー問題の現実に迫るとともに、各地で広がりつつある支援状況を紹介。さらに問題解決に重要となってくるポイントについて考察しています。

【関連】高校生の25人に1人の衝撃。若者が家族を介護する日本の厳しい現実

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巷で話題の「ヤングケアラー」は何が問題となっているのか?全国に広がる動き

家族の介護や日常の世話に追われる「ヤングケアラー」の子どもたちの現状が、日本においても徐々にスポットが当てられるようになってきた。

祖父母や幼いきょうだいの面倒をみている子どもたちが、しかし負担が重くなり過ぎると、日常生活や学校の勉強にも悪影響が出始める。

家の用事や手伝い、あるいは幼いきょうだいの世話をする子どもは、一定数、昔からいたしかし、これほど注目されるようになったのは、ここ最近のこと。

成蹊大学の渋谷智子教授(社会学)によると、ヤングケアラーという概念は1990年代前半のイギリスで広まった。日本では2000年ごろから研究者の間でも認知され、2010年代になりようやくメディアでも取り上げられるように(*1)。

問題の背景としては、家庭や社会構造の変化がある。1世帯当たりの平均人数は1960年に4.14人だったが、2020年には2.21人にまで減る(*2)。

さらに共働き世帯やひとり親家庭が増えた結果、大人が家庭にかけられる時間が少なくなった。

ヤングケアラーとは、大人が担う家事や家族の世話などを日常的に行なっている子どもとされる。厚生労働省が昨年公表した調査によると、世話をしている家族がいると答えたのは、中学2年生の5.7%、全日制高校の2年生の4.1%。

目次

  • 何が問題となっているのか
  • 全国に広がる支援の動き
  • 世界の状況 イギリス、ヤングケアラー支援の先進国

何が問題となっているのか

「毎日のようにスーパーで買い物をしている」
「幼いきょうだいの送迎をしていることがある」
「優等生でいつも頑張っている」

これは、今年4月、厚労省が自治体に通知した「ヤングケアラー支援マニュアル」だ。周囲がその存在に気付くきっかけとして以上の例を挙げた。

「遅刻や早退が多い」「服装が乱れている」などといった比較的イメージしやすいものもあるが、しかし家の用事を手伝い、きょうだいの面倒をみるといった、一見すると「よい子」と映る子どもが、実はヤングケアラーであったというケースも少なくない。

厚労省の調査では、平日1日あたり7時間以上、家族の世話をしているヤングケアラーもいた。子どもたちは、「睡眠が十分に取れない」「友人と遊ぶことができない」などの声が。

ヤングケアラーは進路や就職に影響するケースも。ヤングケアラーの中には、家族や介護のために高校卒業後、すぐの大学進学をあきらめたり、進路を決めるときに実家を離れてよいのか悩んだりする人も。

渋谷教授は、

「『家族』の余裕がなくなってきている。家族のことは家族でやるという価値観が残る一方、大人は生活のために働かざるを得ず、子どもが頼られるようになっている」(*3)

と指摘。しわ寄せが子どもにまで及び、ケアの負担が重くなり過ぎているとした。

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上杉隆が提言。過去の日本を守った「戸籍」は、今こそ「個籍」に変えるべき

前回の記事『少子化の原因にも。日本にしかない時代遅れの戸籍制度を廃止すべき訳』で日本の戸籍制度を廃止すべきであると、主にフランスの少子化を解消方法を例として語っていたジャーナリストの上杉隆さん。上杉さんは自身のメルマガ『上杉隆の「ニッポンの問題点」』で今回、その後編として日本の戸籍制度を「個籍制度」にすべき理由について明らかにしています。

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戸籍制度の限界~差別の温床。ジダンも、アンリも、ロナウドも…。時代は「戸」から「個」へ 後編

このように、フランスの少子化対策(妊娠出産育児支援)は、日本のそれの比ではないとはいえ、なぜ移民を制限したにもかかわらず、人口増に成功したのか。日本との決定的な違いはどこになるのか?疑問を持って日本に戻ると、ちょうどそのころ、小泉政権で移民政策(のちの「上げ潮政策」)を打ち出していた中川秀直さんと話しているうちにひとつのヒントをもらった。戦前からの古い民法が改革を邪魔しているとのことだった。

厳密な戸籍制度が移民の流入を妨げているというならば、結婚や出産や家族を規定する少子化対策も同じ理由ではないか?実際、少子化対策の問題は結婚率の低下と相関関係にある。『結婚しないかもしれない症候群』という本もあったが、未婚の大きな理由は、戸籍制度にあると睨んだ。そのいずれににしても、この前時代的な制度こそが、現在日本の発展を妨げているのではないか?

給付が「戸」(家庭)にされるから、お金は旦那に取られる。育児に費用がかかるけど、結婚しなければ手当もでない。しかも、こどもは婚外子として社会的にも法的にもずっと差別されてしまう(当時民法改正前)。しかも、相手の家とはそりが合わなく、家庭内戦争に発展する可能性が高い。戸籍制度が「婚姻」と「出産」を妨げてきたのは疑いないように思えた。少子化は、女性の問題ではなく、民法の問題だったのだ。

今年(2022年)2月10日に『オプエド』に出演した、時事通信元パリ支局長の原野城二解説委員長はこう語っている。

「私のいたフランスでは、出産子育てに対して、同性婚を認めて、女性の住宅手当を出し、こどもの教育手当を月10万円(当時)給付していました。少子化のカギは民法なんですよ」

フランスの少子化対策の成功のカギは、厚生福祉、健康保険、経済問題ではなく、法律(民法)にあった。日本の戸籍制度のようなものはなく、夫婦の入籍率は10%台、婚外子の割合も50%を超えている。フランスの状況を知れば、そもそも「家族」とはなんだろうか?と考えざるをえない。

少子化対策成功の看板をひっさげて、サルコジ内務大臣は大統領選に打って出て、ロワイヤル女史(のちの首相)を打ち破った。そのロワイヤル首相も任期中に出産、育児を始めるが、未婚であり、子の父親を公表していない。ワールドカップの最中だが、クリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル)もまた未婚であるが、5人の父親である(ひとり男児が死亡)。最初の3人のこどもの母親はそれぞれ違っており、その存在を明かしていない。末の2人の子の母と、その3人を加えて、7人家族で幸せに暮らしている。

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なぜ現役探偵は依頼人の「離婚」をわざわざ止めるよう助言するのか?

メルマガ『探偵の視点』の著者で現役探偵の後藤啓佑さんのもとには、離婚協議書作成の依頼も舞い込んでくると言います。離婚をする決意があるからこそ作成する書類ではありますが、中にはそうでもない人もいるようで……。今回は、探偵が離婚を止めるケースについて紹介しています。

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「相手次第では離婚という選択をしなくてもいいと思っている」

僕のところには、浮気や企業のトラブルだけでなく「離婚協議書の作成」の相談も来ます。

会社に行政書士も在籍しているので、離婚協議書が作成できるのです。

こういった書類作成の依頼をされる方の大半は既に離婚の決意があり、後は手続きの部分でどういう方向にしていくかを決めていくだけです。

しかし、中には離婚協議書の相談に来たけれど、実は心の底では離婚を決めきれていない、という方もいらっしゃいます。

そんな方々がよく口にするのは「相手次第では離婚という選択をしなくてもいいと思っている」というセリフです。

相談の初めは、「もう離婚します。このまま一緒に暮らすのは考えられませんので」というスタンスですが、話を深堀して聞いていくと、「相手はこう思っている」「相手は絶対こうする」など、相手が主体の状況が度々現れます。

しばらく話を聞いた後、「あなたはどう思っているのですか?」と聞くと、多くの方が「私ですか?私は…、相手の態度次第では別に離婚しなくてもいいですけど」という言葉を発するのです。

そして、話の中に現れる「相手はこう思っている」というのは、相手に言われたことではなく、自分が“想像した相手”が言っていることなのです。

相手の態度次第では離婚しなくてもいいのに、“本物の相手”の気持ちは聞いていない。

少し矛盾しています。

こういった状態の方には、離婚協議書の内容の話はせずに、もう一度話し合ってみることをお勧めします。

「離婚してしまったら、相手の気持ちを聞くことも、自分の気持ちに気づくことも、今よりはるかに困難になります」

こう話すと、大抵の方は「なんかスッキリしました。最後にもう一度だけ話し合ってみます」と言って戻られます。

探偵は離婚を促進しているように映るかもしれませんが、離婚を止めることもあるのです(笑)。

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サッカー強豪国なのにナゼ?ドイツで今回のW杯が盛り上がっていない理由

日本では連日サッカーワールドカップの話題でメディアが盛り上がっていますが、他の国はどうなのでしょうか?メルマガ『Taku Yamaneのイェーデン・ターク』の著者で長くドイツに暮らすTaku Yamaneさんが、最近W杯で日本に負けてしまった「サッカー強豪国」ドイツの現状を紹介しています。

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静かなるW杯。あまり盛り上がっていないドイツ国内の現状

いつもご愛読ありがとうございます。

今回は先日始まりました、サッカーワールドカップの話題です。

ドイツは言わずと知れたサッカー強豪国で、W杯での優勝は4回とブラジルに次いで多いです。そんなドイツですが、今回のW杯は結構静かな雰囲気です。街もあまり盛り上がっていません。

これは冬開催ということで、バカンスシーズンでないのがかなり大きいです。屋外で皆で見るようなこともできませんし、あと仕事も結構忙しい時期です。ですから自分の周りでも昼2時キックオフの日本戦なんかも余り見た人は多くありませんでした。それに最近は若者のサッカー離れが進んでいるらしく、4年前と比べても確かに熱は冷めていると感じます。

ただし、ドイツの国際大会での強さはかなりのものです。イングランド、フランス、イタリア、オランダ、スペインと周りにも強豪国はたくさんありますが、イタリアが4回でフランスが2回、スペインとイングランドは毎回優勝候補ですが実際に優勝したのは1回だけです。実は最近、ヨーロッパの代表国のサッカーの強さについて、国内の政治的及び文化的な問題が絡んでいるのではないかと考えるようになりました。まず、ドイツとイタリアに関しては昔からあまり代表内に軋轢が生まれることは少ないです。特にドイツなんかは2006年以降統一ドイツ代表として出場し、それぞれが誇りをもってプレーしているように見えます。だからいつも団結力があります。

フランスは移民問題が代表内でも結構深刻な問題として出てきます。英雄ジダンがそうであるように、フランスは移民が非常に多いです。中にはかなりの貧困層出身もいて、選手個々人にメンタリティーの違いを生んでいきます。そもそもルーツが外国であるために、フランス代表に誇りをあまり持っていない人もいるようで、大会によってはチームが空中分解することもありました。

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中国人男性の定年は60歳。退職後の人生をどうやって過ごしているのか?

 中国の古典として名高い孔子の言行録『論語』。その中に「心の欲する所に従いて矩を踰えず」という、孔子が70歳のときに語った言葉があります。これは「自分の心に思う事をそのまま行なっても、まったく道徳の規範から外れることがない」という意味ですが、中国人は孔子がこの境地に達した70歳という年齢を今現在どのように迎えているのでしょうか? 中国出身で日本在住の作家として活動する黄文葦さんが、自身のメルマガ『黄文葦の日中楽話』の中で、読者からの質問に答える形で中国人の70歳以降の人生を紹介しています。

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中国人は「70歳」という年齢をどのように迎えているのか?

Question

日本では少子高齢化にともなって70歳まで働くことが求められつつありますが、中国の人々は論語にいう「心の欲する所に従いて矩を踰えず」の年齢をどのように迎えているのでしょう?

黄文葦さんからの回答

中国の定年退職年齢は、男性は60歳、女性は55歳です。日本より早いです。55歳で定年退職した友達が今、広場ダンスを踊ったり、老人大学で勉強したりしているようで、結構のんびり生活をしているのです。

中国の人口調査のデータによると、2020年現在60歳以上の人口は2億6,402万人で、18.70%を占めています(うち65歳以上の人口は1億9,064万人で、13.50%を占めています)。1996年、中国政府は、「中華人民共和国老年人権益保障法」を制定しました。

第一部「老年法」の目玉の一つは、「老有所養、老有所医、老有所為、老有所学、老有所楽」という五つの「老有所有」です。「老人の安心感、老人の健康感、老人の生き甲斐、老人の学習、老人の楽しさ」という目標を設定したことです。

勿論、定年退職した人にもそれぞれの生活様式があります。中国人の定年後のライフスタイルは、一般的に次のようなものです。

一つのモデルは、家族のもとに戻り、大切な人たちの相互扶助のもとで幸せに暮らすことです。まだ体力があるのなら、当然子供や孫の面倒を見るわけです。もうひとつは、何十年も働き続けた結果、体調を崩し、家族の介護が必要になってしまうケースもすくなくないことです。

2つ目のモデルは、定年退職の後、自分に合った新しい仕事を見つけ、労働の対価として得た収入で家族を養いながら、地域社会に貢献し続けるというものです。この生き方は、健康で元気であること、チームマネジメントやビルディングに一定の専門性やスキル、経験があることなどが条件となります。

3つ目のモデルは、個人の趣味を家庭生活に合わせるというもので、定年後の大切な人との付き合いと趣味への復帰の両方を大切にするものです。写真、書道、絵画、長距離走、器楽、声楽、執筆、チェス、旅行、ヨガやフィットネス、演劇やダンスなどなどを楽しむことです。

もちろん、再び起業して人生の第二の戦場を開くことを選択する人もいます。あるいは、安定した年金があれば、山奥にひっそりと暮らせる場所を見つけることもできます。

一部60代、70代の方は、お子さんが結婚して社会人になるのを見守ってきました。しかし、想定外なのは、自分の子供にお金をかけた後に、孫を迎え、子供は経済的な余裕がないため、その孫を養うためにまだ年金を拠出し続けることです。老後は子供や孫を中心に回るので、自分にとって楽な日々はないのです。

定年退職した親は料理だけでなく、掃除や数人の子供の世話もしなければならないこともあります。実は、そんな定年退職後の生活は、仕事以上に大変なのです。これで、「心の欲する所に従いて矩を踰えず」はまったくできないでしょう。

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首相も大臣も世襲ばかり。危機感も人材も足りぬ自民党が衰退させた日本

かねてより人材不足が問題視されていた自民党。8月10日に成立したばかりの第2次岸田改造内閣では早くも3人の大臣が更迭されるなど、その影響は深刻なものとなっています。何がここまで与党を劣化させてしまったのでしょうか。今回、毎日新聞で政治部副部長などを務めた経験を持つジャーナリストの尾中 香尚里さんは、その大きな原因は議員の「世襲」にあると指摘。彼らが幅を利かせ、非世襲議員が旧統一教会に頼らざるをえない自民党の現状を批判的に記しています。

プロフィール:尾中 香尚里(おなか・かおり)
ジャーナリスト。1965年、福岡県生まれ。1988年毎日新聞に入社し、政治部で主に野党や国会を中心に取材。政治部副部長、川崎支局長、オピニオングループ編集委員などを経て、2019年9月に退社。新著「安倍晋三と菅直人 非常事態のリーダーシップ」(集英社新書)、共著に「枝野幸男の真価」(毎日新聞出版)。

岸田内閣辞任ドミノと世襲

わずか1カ月の間に3人の閣僚が辞任に追い込まれた岸田政権。早くも「4人目は選挙運動員買収疑惑の秋葉賢也復興相か」という声が、まことしやかに囁かれている。

しかし「4人目」の可能性を考える前に、筆者は「3人目」の交代劇に、ある種の深い感慨を抱いた。政治資金問題をめぐって寺田稔総務相が更迭され、後任に松本剛明氏が就任したことである。

松本氏と言えば、自民党から一度は政権を奪った民主党の閣僚経験者であり、一方で父親が自民党で閣僚を務めた世襲議員でもある。政権にとって危機的なこの状況で、こういう人事をやれてしまうのは、岸田文雄首相の危機感のなさなのか、それとも自民党の人材難なのか。

いくつかのメディアが松本氏について「元外相」と紹介した。確かにその通りだ。しかし、松本氏が外相を務めたのは、自民党の政権ではない。民主党の菅直人政権である。

2011年3月、菅内閣で外相を務めていた前原誠司氏に、在日外国人から政治献金を受け取っていた問題が発覚。前原氏は同月6日に辞意を表明し、翌7日、副大臣だった松本氏が外相に昇格した。

政党が異なるとは言え、松本氏にとって今回の総務相就任は、またも前任者の辞任に伴うピンチヒッターという形になった。「何と因果な」と思ったのは筆者だけだろうか。

そして、自民党的な目線では、松本氏は自民党議員(それも閣僚経験者)の父を持つ世襲議員だ。

松本剛明氏の選挙区である兵庫11区は、中選挙区時代には剛明氏の父松本十郎元防衛庁長官と、戸井田三郎元厚相の二人が、自民党内で激しく争っていた。小選挙区制で初の選挙となった1996年、剛明氏は十郎氏の後を継ぎ兵庫11区からの出馬を目指したが、自民党はベテランの戸井田氏を公認した。戸井田氏は選挙期間中に急死し、次男の徹氏が補充立候補した。

剛明氏は無所属で出馬し、小選挙区で徹氏に敗れた。無所属候補は比例代表で復活できないため、剛明氏は議席を得られなかった。

次の2000年衆院選で、剛明氏は民主党から出馬。徹氏を破り小選挙区で初当選した。

中選挙区時代であれば、松本氏が無所属でも下位で当選し、自民党の追加公認を受けることも可能だったかもしれない。だが、1選挙区に1人しか当選しない小選挙区では、このやり方は取れない。松本氏が対立政党の民主党からの出馬に転じたのは、こういう事情もあったのだろう。

統一教会問題の解決にも悪影響か?地裁がオウム解散請求記録を全破棄という大罪

旧統一教会への解散命令請求に関心が高まる中、オウム真理教の解散命令請求に関する全ての記録が破棄されていたことが発覚し、貴重な資料の杜撰ともいうべき扱いを問題視する声が上がっています。今回のメルマガ『uttiiジャーナル』ではジャーナリストの内田誠さんが、歴史的記録文書の廃棄がいかに罪深く、その愚行により誰が一番困るのかを考察。重要な記録であっても原則5年で処分してしまうという現状に、強い異を唱えています。

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オウム、モリカケ、統一教会…歴史的記録文書の廃棄という罪:「デモくらジオ」(11月25日)から

今日、冒頭でお話申し上げようと思って少し考えてきたのは、歴史的な資料の保存に関することです。

歴史的な資料というと範囲が広くなるので、この間問題になってきたのは、皆さんご存じのような公文書の扱いですね。とりわけ、今回、旧統一教会に対して法人の解散を命令するに至るのかどうかということに関して、文科省が質問権を行使している最中ですけれども、この問題で先行事例と言えば2つあって、オウム真理教のケースと、それから明覚寺という、これは和歌山のお寺ですけれども、組織的に詐欺を働いたということで結局解散命令、法人としての資格を奪うということになった。それよりもオウム真理教の方がもちろん有名でしょう。

で、このオウム真理教の法人格が失われる過程で行われた様々な出来事に関する公的な記録、これが全部廃棄されていたということがわかりました。これ、驚愕の事実ですよね。さすがに時間はそれなりに経っていますよ。経っていますけれど、世界を震撼させたサリンを使ったテロ事件に至る教団の、法的な人格を巡る行政措置の中で、どんなことが明らかになり、どのような理由で解散の結論に至ったのか、それらに関するすべての資料がもう存在しない。

考えてみればこの種のことはこの間、実に頻発していますよね。あの、例の森友学園事件での改ざん、改ざんが行われた件はありましたけれど、それ以外にも例えば自衛隊の南スーダンPKOのときの日誌がないということがありました、後で見つかるのですが、公文書の記録の仕方として実におかしなことがその過程で明らかになってきました。

これ、誰がどう困るのかということを一つ一つ考えてみると、一つは非常にハッキリしているのは、官僚が困るんですよ、まず。どういうことかというと、例えば今回の質問権の行使を巡る行政手続き、これ、初めて踏むわけですよね。で、そのためには旧統一教会の何をどのように質問していくのかについても、過去の事例、これは質問権行使とは違いますが、裁判でしょうが、その内容というのですかね、それを参照しないと…。官僚というのは特に前例主義ですから、非常に困るのだと思います。

今回特にね、問題の大きさの割に、対応する行政の部署が小さいのですよ。文化庁の宗務課というところ。文科省の下にある文化庁の中の宗務課というところ。ここだけでは対応しきれないということで、政府は何をしたかというと、凄いですよ…法務、警察、国税、金融庁、この4つの役所から合計8人の専門家というか、この問題に関して専門的な知見を持つ、要するに詳しい人たちを派遣する。宗務課に加えてその人たちで作業をしている。

直接は質問権をどういうふうに構成するかということなのでしょうが、法人格を失わせるかどうかという非常に大きな行政行為の仕様というか、何をどうしたらいいのかということについて、この4つの役所の人たちが集まっているということなのですね。で、この人たちにとって困るだろうなという気がします。過去の事例についての記録がないわけですから。

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小泉進次郎が国民に迫るセクシー昆虫食!?「コオロギ給食」炎上で不安の声、「日本の食文化が破壊される」「子供が可哀想」食育上の疑問も

28日、徳島県の県立高校で試験的に「食用コオロギ」の粉末が学校給食として提供されたことがネット上で大きな話題となっている。昆虫食は「環境への負担が少ない」「栄養価が高い」「生産・加工がしやすい」などメリットがあるとされている。従来の農作物では森林を伐採して環境破壊につながり、畜産は鳥インフルエンザなどのリスクがあるため行き詰まっている。そんな食糧危機の救世主として注目されている昆虫食だが、一部の支持者を除いて、抵抗が多いのも事実。本当に昆虫食は普及するのだろうか?

「気持ち悪い」「まっぴらごめん」普及を阻む親世代の根強い抵抗感

報道では「昆虫食」が肯定的に伝えられているが、やはりネットの声を拾うと、抵抗を感じる声が大多数だ。

「気持ち悪い」「まっぴらごめん」「『海老に似て美味しい』というが、そもそも虫が口の中に入っていると思っただけで、耐えられない」「粉末にしたからといって、虫を食べているという抵抗感は消えない」「子供が可哀想」「いま学生じゃなくて良かった」などと、「昆虫食」を頑として受けつけない人が多い。

また、昆虫食自体に抵抗はないものの、現行の昆虫食の価格が高かったり、昆虫を大量に飼育するシステムがまだ確立していないため、「普及するのは無理だろう」と悲観する人も多い。

巨大匿名掲示板「2ちゃんねる」創設者で実業家のひろゆき氏は、「昆虫食で食糧危機を補おうと考えている人はみんなバカ」「現行の農耕牧畜をより生産的にする方が早いのでは」と完全否定している。

さらにネット上では、ビル・ゲイツが昆虫食に投資していることから、「昆虫食を洗脳させて、ひと儲けたくらんでいるのでは?」「富裕層だけが肉を食べて、庶民は虫でも食べとけというプロパガンダだな」などという説も飛び交っている。

“環境推進派”の小泉進次郎が昆虫食「義務化」の危険も?

そんな炎上状態の「昆虫食」騒動の中、あらためて注目されているのが、元環境大臣・小泉進次郎議員の「昆虫食」パフォーマンスだ。

環境大臣時代には悪名高き「レジ袋有料化」を実現したことで知られる彼だが、大臣を辞した後も、ヴィーガン食や食品廃棄などの問題に取り組んでいる姿がSNSで伝えられている。そんな環境にうるさいとされる彼の最新の興味が、あろうことか「昆虫食」だというのだ。

今年4月には、近畿大学の大学院生である昆虫食YouTuberかずき氏とインスタライブでコラボし、コオロギやカイコを食す様子を配信。

さらに5月には、そのかずき氏を招いて議員会館で武部新議員らと共に、昆虫食を頬張りながら、「オレ、今、食べてる」と新たな名言を残している。

以前も食べていたはずの昆虫を、あたかも初めて食べるかのように食べてみせた小泉氏は、やはりただものではないのかもしれない。

しかし、「レジ袋有料化」を推し進めた上に、撤回されることなく全国に普及させた進次郎の行動力をみくびってはいけない。菅義偉氏が首相を退任してから不遇が続いている進次郎氏だが、変に実行力のある小泉氏のこと、必ず昆虫食を全国の学校給食に取り入れたり、末は「昆虫食の義務化」まで実行するに違いない。

「レジ袋有料化」にも懲りない男が、こんなところで再び実行力を発揮することがないように祈るばかりだ。