地方に広がる新型コロナ感染。GoToトラベルを即座に中止すべき訳

以前掲載の「東京除外は悪手。政府が「GoTo」の対象から本当に外すべき人々」では、安倍政権がGoToトラベルについて国民の理解を得るため付加すべき条件等を考察した、日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さん。今回津田さんは自身のメルマガ『国際戦略コラム有料版』で、「結果論的にはGoToトラベルは失敗」であるとしてその理由を記すとともに、今後政府が取るべき政策を具体的に提示しています。

新型コロナ感染再拡大

新型コロナ感染拡大で、全国的に新規感染者が増大している。この今後の対応を検討しよう。

新型コロナ感染評価関数を定義するべき

コロナ感染しても、日本人は、知らぬ間に獲得免疫があるので、死なないし広がらないから、経済活動を行うべきであるという評論家や傾向分析だけで楽観論を言う若手評論家が出てきて、大きな影響を与えている。

その影響でGoToトラベルを前倒ししたようである。しかし、その考え方を基盤にしたために、政策評価関数を定義していないようで、分科会で医学者と経済学者の意見を調整する客観的な基盤が存在しないように見える。

現実を見ると、やはり感染拡大と共に、60歳以上への感染が広がり、重症者が増えている。

基礎疾患を持つ人と60歳以上の人への感染を阻止して、経済活動を行うことが必要であるが、この人たちに拡大して重症者が増えたら、再度、GoToトラベルを中止して、それでも拡大するなら緊急事態宣言を出すべきである。その評価基準が見えない。

ということで、政府や分科会でベースとなる戦略的な論理ができていないように見える。

日本が実施している政策は、活動を活発化するダンスと活動を抑えるハンマーの(ダンス&ハンマー)政策であると認識することが必要である。

このため、ダンスをいつ初めて、ハンマーをいつ叩くかということが重要になる。このため、政策評価が重要なのである。

政策評価には、評価関数が必要になる。この評価関数は、コロナ感染死者だけではなく広い関連分野全部での死者数である。

そして、死者数を最小限にすることが、このコロナ対策の政策キーになっているはずだ。

死者数は、新型コロナでの死者と病院ひっ迫により治療できずに亡くなった死者と、景気後退での自殺者であろうと見る。サブ関数が対策出費総額となる。この出費総額はなるべく少なくしたい。対策支出を少なくして、コロナ後の経済的な自由度を確保することである。

この政策の終了は、治療方法が確立したときか、ワクチンが皆に打てる状態になった時点となる。長くて2年と見る。この期間で、どれだけ死者を減らせるかが、政府を評価する基準となる戦いである。他国と比較する戦いではない。

そして、この期間も短くすることである。コロナ・ワクチン1億人分が2,000億円でも、その期間が短縮するなら選択した方が安い。

新型コロナの死者を少なくするには、都市封鎖が有効であるが、反対に景気後退による自殺者が出るので、経済活動をしないといけない。しかし、自殺者を減らす方法は、事業給付金や雇用者給付金という手もある。

新型コロナの死亡者数は、重症者の半分と言われている。病院ひっ迫での死者数も第1波で分かっているはず。重症者は病院に3ケ月いて治るか死ぬかであることも分かっている。中等症患者も病院ひっ迫になるので、中等症者数も重要になる。

これらから、やはり優先するのは、地域での中等症者数&重症者数の限界値を作り、それに達したら、地域での都市封鎖、ロックダウンを行い、それが、複数都市に広がったら、全国的な緊急事態宣言を出すことである。

20代から40代までは免疫力が強いので、死なないので、死者数は増えない。このため、経済活動をしてもらう必要がある。本当は、旅行もして地方に金を落としてもらい、地方の旅館やホテルを潰さないようにしたい。これで対策支出を大きく減らせる。

しかし、地方には60歳以上の人が多くいるので、その人に感染すると地方の医療体制は脆弱であり、すぐに中等症者数&重症者数の限界値に来る。そうしたら、旅行先として閉鎖する。その地域のホテルには、事業継続給付金を出すことである。

県単位、町単位での中等症者数&重症者限界値を決めて、それに達したら、GoToトラベルを中止し、旅行者の受け入れを止めて、そして、病院がひっ迫したら、都市封鎖を行うことである。複数県が、それに達したら、緊急事態宣言の再度の発出をすることである。

2年の間に、これを複数回、繰り返すと見た方が良い。その評価関数と体制を早期に準備するべきである。

複数回の繰り返し規模を小さくするのは、感染者を出すクラスターを丹念に潰し、営業停止命令を出せる法律体系を整えることである。

憲法に国民の安全のためには私権の制限ができるとあり、これを利用して、営業停止できるようにしてほしいものである。また、クラスターの追跡をする保健所の体制も強化が必要である。

現状では、「夜の街」対策が不十分で感染を広げて、その上にGoToトラベルで、与論島のような医療体制の脆弱な地方に感染を広げてしまったという結果になっている。結果論的にはGoToトラベルは失敗であり、緊急事態宣言を出す前に、即座に止めるべきである。

在宅勤務になってみてわかった、家での仕事の効率が上がる服装

新型コロナウイルスの感染者が全国的に増加している現状を踏まえ、西村康稔経済再生担当相は各企業が社員のテレワーク率70%を目指すよう、経済界に要請する考えを明らかにしました。今の感染状況を考慮すると、再びリモートワークに切り替える会社は増えてくると思われます。また家で仕事をする機会が多くなりそうですね。そこで今回、無料メルマガ『システマティックな「ま、いっか」家事術』で、自身も長期に渡り在宅勤務を続けている真井花さんが、自宅で仕事をする際の「服装」について考察。リモートワークだからといって、家着で仕事するのはNGですよ。

在宅勤務家事

 在宅勤務になってみると、

  • 家庭も家事も

有り様が変わりますよね。

しかも、コロナショックは、残念なことに、まだいつごろ終息するか見通せない状況です。それはすなわち在宅で仕事をする期間も長引くということです。家事のやり方や割り振りを組み立て直した方がいいかもしれません。

なので、この在宅勤務家事について、ちょっと書いてみます。

まずは服装から。

私はもともと会社員でしたが、岡山に引っ越してきてからはずっと自宅で仕事をしています。そこで真っ先に変わったのが

  • 平日に着る服( ̄∇ ̄)

でした。ほら、だって、

  • オンオフの区別がなくなる

から。日本では「仕事服」がありますよね。スーツとかワンピとかジャケットとか。いわゆるキチンと感のある服装ってヤツです。しかも、この縛りが結構キツくて

  • パンプスのヒールは〇センチ
  • ネクタイ着用
  • 夏でもジャケット

とか、生産性を押し下げる効果だけはバツグンの謎ルールがありますよね。苦労されている方も多いんじゃないかと思います。

ところが、在宅だとキチンと感が不要になっちゃうんです。そりゃそーよね。ミーティングがあってもネットで済んじゃうし、毎日通勤していたときほど人に会いませんからね。おウチで仕事するのに男女差も職責差もカンケーないので、服装は

  • 着やすく
  • リラックスできて
  • パッと外に出られるココ大事
  • メンテがカンタン

な服がベストです。

注意した方がいいのは、

  • ちょっと外に出てもOKな服装

であることです。自宅で仕事をしていると、仕事と家事を組み合わせて、その合間に散歩や買い物に行ったり、子供やオトシヨリの送迎をしたりします。アマゾンやクロネコが来て品物を受け取ったり、郵便局に郵便物を出しに行ったり。

仕事モードの人とは会わないけど、それ以外のオフモードの人とは結構会うんですよ。なんていうか

  • いわゆる部屋着では、ビミョーにムリのある

行動範囲なんですよね。このあたりを考慮した服を着ておくのが結構大切なんです。

  • 仕事をするケジメと家事をする身軽さ

のバランスを上手く取れるからです。

ちなみにワタクシ。自宅で仕事をするようになった始めのころは、服装やメイクは会社に行くのと同じようにしようと思いました。自宅でダラけてしまわないように、オンとオフをキッチリ区別するためでした。

ま、結論から言って、1週間と続きませんでしたね( ̄∇ ̄) 環境もやっていることも違うのに、服装だけでケジメをつけようとするのがムリだったんですよね。

在宅勤務には在宅勤務にふさわしい服装がある。スーツはムリだし、部屋着はくだけすぎ。程良い服装で仕事と家事をこなしたいですね。

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ペットの危険な屋内熱中症。100均グッズでできるカンタン対策は

長く続いた梅雨もそろそろ終わりが見えてきました。梅雨が明けた途端、日本は一気に熱い夏を迎えます。私たち人間にとっても35度を越えるような猛暑は辛いですが、それは動物たち、ペットだって同じ。熱中症に気をつけなければなりません。そこで今回は、メルマガ『佐藤貴紀のわんにゃんアドバイス』の著者で獣医師の佐藤先生が屋内での熱中症対策をご紹介。ちょっとした工夫で大切なペットを守ることができますよ。

危険!家の中での熱中症に要注意

「熱中症」と言うと皆さん、外だけの問題だと思っていませんか? 実は「家」で起こることが多いんです。特にお留守番の時などに、急激に外の温度が上がった場合などは、冷房の温度調整が必要になります。自動だからいいのではなく、自動でも機械がやる事ですから100%信頼してはいけません。そこで「家」での熱中症の予防方法を今回はお伝えしたいと思います。

予防方法

1、冷やす為には

お部屋の冷房だけではなく、冷感のタオルやシートが売られています。ペット用のものがなくても、子ども用のものが、ニトリなどでも売られていますのでそのようなものでも代用できます。あとは100円ショップで売られています「氷嚢」。これに氷とお水を入れて、巾着に入れてあげて下さい。それをベッドに置いておくだけでも温度が格段に違います。

2、身体のどこを冷やせばいいにか?

帰宅したら、水で濡らしてよく絞ったタオルを(できるだけ薄いもの)を身体全体や足の付け根に当てて、冷やしてあげて下さい。

●まとめ
犬や猫は身体の温度調整ができません。この真夏の時期は身体を冷やすことが一番です。犬や猫は毛皮を真夏でも着ているのと同じといえます。飼い主さんが気を使ってあげて欲しいです。

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なぜ「妥協、怠慢、諦め」がはびこる会社は「末期症状」なのか?

以前掲載の「あの一流企業が創業当時のプレハブ建屋を敷地内に残している理由」で、日本電産会長兼CEO・永守重信氏のユニークな「創業の苦労を忘れない工夫」を紹介した、無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』。今号には永守氏が語った、「会社がおかしくなる6つの要因」が掲載されています。

コロナ禍でも驚異の増収──永守重信・日本電産会長

世界的な精密小型モータの開発で知られる日本電産が7月21日の決算発表で、他社が軒並み業績を低下させるなか異例の増益を発表し、話題となっています。

同社を牽引してきたのは、カリスマ経営者として名高い創業者・永守重信会長。その仕事に賭ける情熱や人生論について、月刊『致知』2011年10月号の記事から改めて振り返ってみました。

対談のお相手は、ウシオ電機の牛尾治朗会長です。


永守 「一番怖いのは、後から入ってくる幹部が昔の苦労を経験していないために、一流企業に入ってきたような感覚で振る舞うことです。そういう人たちには口で言っても伝わりませんから、プレハブ建屋を見せるのが一番いいのですよ。

そこは建物だけではなしに、当初からの記録もたくさん残っていて、私自身が現場で懸命に仕事をする様子も残っている。それを見ると皆ハッとするのです。逆に、それを見ても感激しない人は、最初から採用しないほうがいいです。

やっぱり考え方が一致していないと今後のグローバルな戦いは勝てません。ただ頭がいいとか、経験が豊富だとかいうだけではダメで、本当にその会社が好きだという人が集まってこないとしらけてしまいますね」

牛尾 「本当にそうですね」

永守 「だから私は採用担当者に言うのです。最近は一流大学からどんどん入社してくるようになったけれども気をつけろよと。一番大事なのは、日本電産という会社が好きだという人間、よく働くこの会社で自分も一緒に頑張りたいという人間が集まってくることだと。

一所懸命働くところから始まった会社なのに、ただ有名で給料も高いから入りたいとか、役員として入ってきて威張り散らすような気持ちでやられると、会社なんてあっという間に沈んでいくのですね」

牛尾 「おっしゃるとおりです」

永守 「だいたい会社がおかしくなる要因を6つ挙げよと言われたら、一番はマンネリでしょう。それから油断、そして驕り。人間はすぐこういう躓きをするのですが、この段階はまだ元に戻せるのです。

その次が妥協。震災がきたのだからしょうがない、円高だからしょうがないと妥協する。これはもうさらに落ち込みますね。次は怠慢です。頑張っても怠けても給料は一緒じゃないかとかね。そして最後は諦めです。そんなこと言ったってできません、という考えがはびこってきた時は末期症状ですね。

最初の3つはそんな大敵ではないけれども、後の3つに陥ったらもう取り返しがつきません」

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新型コロナで需要増の職業は? 感染が止まらないアメリカの場合

世界中の人々の生活を一変させた新型コロナウイルス感染症。感染者数も死者数も最も多いアメリカでは、さらに感染が拡大している州もあり、現在の状況が「当たり前」になる可能性もあります。既存の仕事を続けるのが難しい人がいるのと反対に、需要が増している仕事や新たな仕事が生まれています。今回の『メルマガ「ニューヨークの遊び方」』では、著者でニューヨーク在住のりばてぃさんが、アメリカで需要増の仕事についていくつか紹介してくれます。

新型コロナで需要増となったお仕事はこれ!

日本でもニュースで報じられていると思うが、カリフォルニア、テキサス、フロリダなどアメリカの西部、南部での新型コロナ拡大が続いている。もともとはニューヨーク州より感染状況は早く鎮静化し、早くに経済再開をしたのに再度、自粛になるなど、ちょっと大変な状況となっている。

ニューヨーク州はニューヨーク市含めて感染状況は落ち着き低水準で推移しているものの(7/20の新規感染者数は519人、入院者数は716人、死者数は6人)、上述したように他州の状況を鑑みて、いまだ屋内飲食などは再開の目処が立っていない。そんな感じだと、いよいよ飲食業含め特に屋内アクティビティ系のビジネスは今後さらなる縮小が進むかもしれず、仕事内容によっては一旦まったく需要が無くなるという可能性すら出てきている。

一方で、このコロナ禍で新たに誕生した仕事や需要増になった仕事も当然あり、ビジネスネットワークプラットフォームのリンクドインの編集長のダン・ロスが、ニュースのインタビューに応えている。
Here are the jobs that are disappearing and booming because of Covid-19

それによると、新型コロナ問題で新たに生まれた職業で顕著なのが、コロナ感染者の濃厚接触者を追跡する「コンタクト・トレーサー」(Contact Tracers)や「コロナケア・コーディネーター」(Covid Care Resource Coordinators、コロナに感染後に利用できる支援を紹介し繋ぐ仕事)だ。

コンタクト・トレーサーは、検査の結果でコロナ陽性ということがわかった際に、その患者の直近の濃厚接触者を追跡する役目で、主に電話で問い合わせをしていくが、求められるスキルとしては、まず、話しやすいとか話すのが得意な人。さらには、アメリカらしい特徴として、英語以外の言語も話せる人も求められたりする。日本語しか話せない人もいれば、スペイン語しか話せない人もいる。そういう人に英語で詳細は聞くことができないので、多言語スキルを持つ話好きは適任なのだ。

なお、クオモ州知事やニューヨーク州によるコンタクト・トレーサーからの電話は出るようにという啓蒙はジョーク混じりで面白い。スマホに“NYS Contact Tracing”と表示されたら電話に出るように、でも、“Your EX”(昔の彼/彼女)と表示されたら出ないように、という画像と一緒にツイートされている。地方自治体の啓蒙活動でジョーク交えるってなかなかないし、ちょっと面白いので思わず誰かに話したくなってしまうので、めちゃくちゃ効果あるマーケティング手法だと感心する。
クオモ知事の呼びかけツイート

大事な何かを捉えてくる。和歌山発のアート作品が面白いワケ

東京代々木のカフェヌックで8月8日まで開催されている個展「サインポストメモランダム」。和歌山県粉河町にある就労継続支援B型事業所で支援員として働く「ポングリさん」こと、奥野亮平さんによるアート作品が展示されています。個展の声掛けをしたメルマガ『ジャーナリスティックなやさしい未来』著者の引地達也さんが、ポングリさんの和歌山での活動や作品の魅力を紹介。垣根のないスタイルがこの社会に「インクルーシブ」の形を示しているとオススメしています。

【関連記事】障がい者のチンドン屋さん「ポズック楽団」を訪ねて感じた多様性

幾何学的で自由なポングリさんアートが東京にやってきた

幾何学的で自由、へんてこだけど整然、文字だけと絵、線だけど円、色だけど模様─。そんな言葉が次々と浮かんできそうなのが和歌山在住のアーティスト、奥野亮平さん、通称ポングリさんのアート作品だ。東京・代々木のカフェヌックで個展「サインポストメモランダム」が7月20日から8月8日まで開催されているから、是非間近でその世界観を味わってほしい。

描かれた絵だけではなく、描かれている紙も日焼けしたスケッチブックや年季の入った和紙で、額装も捨てられた木製のドア枠等から作られており、すべてが懐かしく、作品の世界に深みを与えている。そして、その描かれた世界は「はんこ」と形と線で組み合わされた世界で、ハンコで押された文字もあるのだが、それが「文字」という意味ある記号であることから解放された印象もあって、そこに自由が演出されている。ポングリさんのアートは懐かしい親近感を覚えながら、グイと私の大事な何かを捉えてくるから、やはり、面白い。

ポングリさんは以前、このコラムでも紹介した和歌山県粉河町にある就労継続支援B型事業所で働く支援員でもあり、事業所の生業は利用者による絵画などをモチーフにした作品の販売とチンドン屋である。ポングリさんが廃材から作った楽器と小道具を駆使しカラフルないで立ちの利用者と支援者が音楽を奏でながら、出し物で人を惹きつけ、笑わせて町を練り歩く。

それは動く広告としての役割を超え、利用者も支援者も一体となって「人を喜ばそう」という確かなモチベーションの形として発出された究極の芸能であり、その垣根のないスタイルはダイバーシティ社会そのもの。この社会に「インクルーシブ」の形をも示してくれる。

それは、世の中に突き付けた社会の在り方へのテーマ設定でもある、などと私が力んで考え、話をするのだが、ポングリさんはいたって冷静にチンドンを楽しんでいる。私の理屈に「そうですねえ」と言いながら、飄々と面白くチンドン屋をしているからうらやましい。

そしてこのアート。使わなくなったハンコや自作のハンコを押して、色付けやハンコの組み合わせで、ポングリさんの気持ちを表現していくものだから、いきなり筆を取って色を作るところから始まるわけではないので、一般の人にとっても非常にハードルが低いアートだ。

なぜ大きさも形も違う動物を我々は一括りに「イヌ」と呼ぶのか?

我々の意思疎通のツールとして欠かせない言葉ですが、その言葉が持つ定義を一歩間違えると、途端に何も通じなくなります。例えば、世界一大きな魚とされているジンベイザメと、かわいくて小さなメダカも、何も違和感もなく「魚」というひとつの言葉で括られています。なぜこの大きさも形も違う2種が同じ言葉の中に納まっているのかと疑問に思おうとすれば、キリがないわけです。そんな言葉について論理的に解説してくれるのが、CX系「ホンマでっか!?TV」でもお馴染みの池田教授。自身のメルマガ『池田清彦のやせ我慢日記』の中で、さまざまな角度から言葉についてアプローチしています。

自然言語は定義できない(概念は実在しない)

前回、敬称は文脈依存的だという話をしたが(山本太郎氏を呼び捨てにし「敬称ポリス」に捕まった池田教授の話)、「コトバ」というのはそもそも曖昧で、多かれ少なかれ、その意味は文脈依存的なのだ。本当は賢くないのに賢いふりをしたがる人は、よく、「コトバ」の定義をしてから議論をしようと言うけれども、自然言語は定義できないということが分かっていない。

「自然言語の定義は定義できないことだ」などと発言すると、「定義するやつもバカ、定義できないやつもバカ」といったキッチュな発言をする人がいるが、こういう人はまず、間違いなくおバカである。「バカというやつが一番バカ」と言って得意満面な人も、例外なくおバカである。

まあ、そういう話はどうでもいいのだけれど、「コトバ」はいずれにせよ、連続的な事象を切り取って何らかの同一性で括るのだから、切断線は多少とも恣意的にならざるを得ず、厳密な定義は不可能になる。

例えば、イヌを例にとって考えてみよう。チワワからセントバーナードまで、大きさも姿かたちも違う動物を、我々はなぜイヌと呼ぶのだろう。プラトン的に言えば、イヌという生物(もっと一般的に言えば、イヌと呼ばれるもの)は「イヌ」という同一性を孕むゆえにイヌと呼ばれるのだということになる。プラトンはこの同一性をイデアと呼んだが、それでは、イヌのイデアを取り出して見せてくれと言われれば、プラトンでなくともお手上げになる。

プラトンは仕方なく、イデアは大きさを持たず、ただ同一性を持つだけだと述べたが、そのような存在は現代物理学が解明した素粒子だけで、イヌをイヌたらしめている素粒子などはもちろんない。尤も、超弦理論では素粒子も有限の大きさを持つひもの振動状態だとされているので、点(大きさを待たないで位置だけを持つ)だけの存在はこの世にはないのかもしれない。

多少生物学をかじった人ならイヌのゲノム(DNAの総体)を有するものがイヌだと言うかもしれない。これはなかなか微妙である。生物は進化するので、ゲノムの組成は時間とともに変わっていく。イヌは昔はイヌでなかったろうから、イヌでないものが徐々に進化してイヌになったのだとしたら、どこからイヌになったのだろう。進化という観点から見ると「イヌ」と「イヌでないもの」の間に、明確な切断線を引くのは不可能である。

現在生きて動いているイヌに関しても、クローンでない限りすべてのイヌのDNA組成は異なる。その中からイヌをイヌたらしめているDNA断片を探し出し、これを有するのが「イヌ」だと特定するのも不可能だと思う。

そもそもイヌをイヌたらしめているDNA断片などは恐らくない。最近の定説ではオオカミとイヌは同種とされているが、かつては別種とされていた。同種か別種かを決める超越論的な根拠はない。広く受け入れられている種概念によれば、 AとBが交配可能で生まれた子に生殖能力があれば、AとBは同種ということになるが、イヌはオオカミばかりでなく、リカオン、ジャッカル、コヨーテなどとも交配可能で雑種は生殖能力を持つので、これらは皆同種ということになる。しかし、オオカミはともかく、リカオンやジャッカルをイヌだと思う人はいない。

イヌをイヌと呼ぶのは、我々の脳の中にイヌのイメージがあって、それに合致したものをイヌと呼んでいるに過ぎないのである。普通の人にとって、オオカミのイメージとイヌのイメージは違うので、オオカミはオオカミ、イヌはイヌなのである。

もし従業員がコロナに感染したら、休業手当を支払う義務はある?

さまざまな業界に及んでいる、新型コロナウイルスの影響。売り上げ激減で先が見えない状況の中、業績が苦しい会社は多いと思いますが、しかし、経営者を悩ませていることはそれだけではないようです。今回の無料メルマガ『採用から退社まで! 正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ』では著者で社会保険労務士の飯田弘和さんが、企業が定期的に行うことが義務付けられている健康診断や安全委員会等の実施について、新型コロナウイルスの感染拡大予防のため特別に認められている措置を紹介しています。

健康診断の実施等について

新型コロナの感染拡大の影響がいろいろなところで出ています。経営者にとっては、日々たいへん頭を悩ませ、難しい決断を迫られているのではないでしょうか?今回は、新型コロナの影響による定期健康診断や安全委員会開催の実施延長についてお話ししていきます。

会社には、従業員を雇い入れる際に健康診断を行うことが義務付けられています。また、1年に1回、従業員に対し定期健康診断を行うことも義務付けられています。今回のコロナ感染拡大の予防のため、コロナの状況をみながら、あらためて健康診断時期を決定していくのがよいでしょう。

ちなみに、定期健康診断にかかった時間を労働時間として扱う義務はありません。ですから、所定労働時間外や休日に健診を行っても、かかった時間分の賃金を支払う必要はありません。もちろん、健診の時間を労働時間として賃金を支払う、あるいは、労働時間の途中で行った場合に賃金控除をしないということであれば、それはまったく問題ありません。実際には多くの会社で、健康診断の時間についても賃金を支払っているのではないでしょうか。

ここで注意していただきたいのが、健康診断にかかる費用(健診料)については、会社が負担する義務があります。また、会社は、健診結果を5年間保管する義務があります。さらに、労働者が50人以上の事業所では、「定期健康診断結果報告書」を労基署に提出する必要があります。

次に、安全委員会等の開催について。安全委員会、衛生委員会については、月1回以上の開催が義務付けられています。しかし、コロナの影響を考え、直接集まることなくテレビ会議等によって行うことや開催を延長するといった弾力的な運用も許容されています。また、衛生委員会については、コロナ感染拡大予防に向けての調査審議を行うなどの積極的な対応が求められています。たしかに、今回のコロナ感染拡大の防止に、衛生委員会の果たす役割は大きいかもしれません。

最後に、もし従業員がコロナに感染し発症した場合、その従業員に休業手当を支払う義務はありません。しかし、それが業務や通勤に起因するものであれば、労災保険からの給付対象になります。業務に起因する発症であれば、会社には死傷病報告の義務があります。労災保険の対象とならなかった場合でも、健康保険の被保険者であれば、要件を満たすことで傷病手当金が支給されます。従業員がコロナに感染し発症した場合には、労災あるいは傷病手当金受給の手続き等を会社が積極的に進めていくことで、従業員との信頼関係が深まるのではないでしょうか?

会社にとっても従業員にとっても大変なときです。もっと言えば、日本にとっても世界にとっても大変なときです。しかし、希望を捨てることなく、労使が協力し、場合によっては痛みを分かち合いながら、この困難を乗り越えていきましょう。

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米国が遂に「中国打倒」を宣言。日本が「戦勝国」になる条件は?

互いの総領事館の閉鎖にまで至るという、かつてないほどの高まりを見せている米中の対立。覇権を争う大国の板挟みになった日本は、どの方向に舵を切るべきなのでしょうか。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、「日本が果たすべき義務」を明記しています。

ポンペオ長官、【中国打倒宣言】!

歴史的な瞬間が近づいています。日本は、戦勝国になるのか?それとも、また敗戦国になるのか?なんの話でしょうか?

歴史的ポンペオ演説

アメリカのポンペオ国務長官は7月23日、カリフォルニアで【歴史的演説】を行いました。大げさではなく、【歴史的演説】です。何を語ったのか?日経新聞2020年7月24日(「『共産主義の中国 変えなければ』米国務長官の演説要旨」)を参考にしてみましょう。

中国との闇雲な関与の古い方法論は失敗した。我々はそうした政策を継続してはならない。戻ってはならない。自由世界はこの新たな圧政に勝利しなくてはならない。

ポンペオさんの【中国打倒宣言】です。

ニクソン元大統領はかつて、中国共産党に世界を開いたことで「フランケンシュタインを作ってしまったのではないかと心配している」と語ったことがある。なんと先見の明があったことか。

 

今日の中国は国内でより独裁主義的となり、海外ではより攻撃的に自由への敵意をむき出しにしている。トランプ大統領は言ってきた。「もうたくさんだ」と。

(同上)

「中国 = フランケンシュタイン」だそうです。そして、ポンペオさんは、習近平についても遠慮なく語ります。

(中国共産党の)習近平総書記は、破綻した全体主義のイデオロギーの真の信奉者だ。中国の共産主義による世界覇権への長年の野望を特徴付けているのはこのイデオロギーだ。我々は、両国間の根本的な政治的、イデオロギーの違いをもはや無視することはできない。
(同上)

「習近平 = 全体主義イデオロギーの真の信奉者」だそうです。「いいえ、違います!習主席は、真の民主主義者です!」という人は、世界に一人もいないでしょう。そして、彼は「世界覇権」を狙っているそうです。もちろん、これも「その通り」でしょう。でなければ、「南シナ海は、全部中国のもの」などと、とんでも主張はしないでしょう。ちなみに中国は、「日本には沖縄の領有権もない!」と宣言しています(後述)。

いま行動しなければ、中国共産党はいずれ我々の自由を侵食し、自由な社会が築いてきた規則に基づく秩序を転覆させる。1国でこの難題に取り組むことはできない。国連やNATO、主要7カ国(G7)、20カ国・地域(G20)、私たちの経済、外交、軍事の力を適切に組み合わせれば、この脅威に十分対処できる。
(同上)

まさに。

ソ連傘下の国々は、すべて共産党の一党独裁でした。中国が覇権国家になれば、傘下の国々は、当然「一党独裁体制」になることでしょう。香港がそうなってしまったように、言論の自由はなくなります。あなたが中国や、中国の支配下に堕ちた小日本省政府を批判すれば、逮捕されることになる。信教の自由もなくなります。ダライラマがインドに亡命せざるを得なかったように、天皇陛下もアメリカに脱出せざるを得なくなるかもしれない。将来は、日本語の使用が禁止される可能性もある。

少数民族である日本人女性は、「不妊手術を強制される」可能性があります。ウイグル女性がそうされているように。ニューズウィーク7月8日付に、「ウイグル女性に避妊器具や不妊手術を強制──中国政府の『断種』ジェノサイド」という驚愕の記事があります。この記事によると、中国政府は、ウイグル人女性に「不妊手術」を強制している。一部引用します。

中国西北部の新疆ウイグル自治区では2017年以降、ウイグル人、カザフ人などテュルク系の少数民族が最大で180万人強制収容所に入れられた。これはホロコースト(ナチスのユダヤ人大虐殺)以降では世界最大規模のマイノリティー排除の暴挙である。亡命ウイグル人らはこの動きを「文化的なジェノサイド(集団虐殺)」と呼ぶ。

強制収容所に入れられていた女性たちが所内で注射を打たれ、その後に月経周期が変わったり、なくなったりしたことを語り始めたのは2018年以降のことだ。収容される前にIUDの装着や不妊手術を強制されたという証言もあった。

 

公表されたデータを見ると、2018年に新疆ウイグル自治区における人口の自然増加率(出生と死亡の差。移住は含まない)は急減している。

 

ウイグル文化の中心地であるカシュガル地区とホータン地区の人口の自然増加率は2015年の1.6%から2018年には0.26%と、実に86%も減った。一部のウイグル人地域では、2018年には死亡数が出生数を上回った。2019年には自治区全体の出生率は24%低下し、とりわけ少数民族地域では30~56%も低下した。

 

一方、中国全土の出生率は2018年から19年にわずか4.2%低下しただけだ。

(同上)

もし日本が中国の支配下に入れば?中国が、「ウイグルには厳しいけど、日本には優しくしよう」となる理由はありますか?もちろん、ありません。ポンペオさんは、結論を言います。

志を同じくする国々の新たな集団、民主主義諸国の新たな同盟を構築するときだろう。自由世界が共産主義の中国を変えなければ、中国が我々を変えるだろう。

 

中国共産党から我々の自由を守ることは現代の使命だ。米国は建国の理念により、それを導く申し分のない立場にある。ニクソンは1967年に「中国が変わらなければ、世界は安全にはならない」と記した。危険は明確だ。自由世界は対処しなければならない。過去に戻ることは決してできない。

(日経新聞 7月24日「『共産主義の中国 変えなければ』米国務長官の演説要旨」)>

これはアメリカの【反中バランシング同盟を率いる宣言】です。

満員電車の咳は気にするのに、レジの金銭手渡しを気にしない矛盾

新型コロナウイルスが猛威を振るう今、出入り口に消毒液を置く店舗が多く見受けられます。しかし、「果たしてそれで充分なのか」とするのは、接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさん。坂本さんは自身の無料メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』で今回、「声」として上がってこないお客様の要望を汲み取ることの重要性を説いています。

話題にすらならないこと

世の中には、表立って話題にすらならないようなことというのがたくさんあります。当の本人たちにとっては、死活問題レベルの重要なことだったとしても、社会的な関心が低かったり、全体の分母に対する割合があまりに少ないことで、話題に上がる機会がほとんどないようなもののことです。

ですが、物を売る側、店や販売員としては、こうした話題にすらならないようなことに対して、どうするか、どう動くかを考え続ける必要があると思います。そこに、その店や販売員ならではの解決策などが出てくれば、そこで悩むお客様からすれば大きな選択肢になるからです。

例えば、今のご時世、衛生に関してはとても敏感になっている人がいますよね。例のウイルスの影響が大いにありますが、接触感染も起こってしまうということで、どこの店にも消毒液が置いてあったりします。

しかし、どの店でも発生する「金銭授受」に関しては、そんなに話題にはなっていません。相手と接触することで感染の可能性があると言われているのにもかかわらず、お店で最も相手と接触する可能性が高いレジ周りでの金銭授受については、危険だと言っている人はほとんどいないわけです。もしかすると、いるのかもしれませんが、表立って話題にはなっていないように感じます。これも一つのポイントです。

あるパン屋さんでは、食品を扱うということもあって、レジでの金銭授受を販売員とお客様の間で行なう必要がないように、レジに自動支払機が設置されています。よくスーパーなんかにあるアレなのですが、通常のパン屋の会計オペレーションの中での「金銭授受」の部分だけを、手渡しでする必要がないようになっているのです。これによって、感染リスクも避けられますし、パンという食品を扱う上での衛生面も安心感が得られています。当然、そういうことを気にしているお客様は、「ここなら衛生面は大丈夫」という感覚を持って買い物に来ているわけです。これも、話題には上がっていないけれど、お客様がどこかに不満や不安を持っていることへの解決策を提示できている良い例だと感じます。

こうした世の中的に大きく話題に上るようなことはなくとも、お客様がどこかで小さな不満や不安を抱えていることはあります。それを見つけ出し、解決できる策を講じてお客様にとってより良いサービスを行なう。これもまた、とても重要なサービスではないでしょうか。

今日の質問です。

  • あなたの店のお客様が、話題にはならないけれど抱えている小さな不安や不満にはどんなことがありますか?
  • それらを解決するための策として、どんなサービスが考えられますか?

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