プーチンを弱体化したいだけ。いつまでもウクライナ戦争を終らせる気がない米英の魂胆

東部地域にロシア軍の猛攻を受けるも、徹底抗戦の構えを崩すことのないゼレンスキー大統領。そんなウクライナに対してこれまで大量の兵器を供与してきた欧米諸国ですが、未だ停戦の見通しすら立っていないのが現状です。このような状況を「米英2国の意図によるもの」とするのは、立命館大学政策科学部教授で政治学者の上久保誠人さん。上久保さんは今回、米英がウクライナ戦争を長引かせたい理由を解説した上で、彼らがこの戦争を停戦させる理由など何ひとつないと断言しています。

プロフィール:上久保誠人(かみくぼ・まさと)
立命館大学政策科学部教授。1968年愛媛県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、伊藤忠商事勤務を経て、英国ウォーリック大学大学院政治・国際学研究科博士課程修了。Ph.D(政治学・国際学、ウォーリック大学)。主な業績は、『逆説の地政学』(晃洋書房)。

ウクライナへの支援は“戦争を長引かせる”ため。米国が本気で狙う「プーチン弱体化」

ロシアとウクライナの本格的戦争が始まってから1年が経った。しかし、停戦への兆しがまったくみえていない。ロシアは、「特別軍事作戦を継続している」と表明し、最前線への攻勢を強めている。一方のウクライナは、ロシアに対する徹底抗戦の決意をあらためて示した。ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、国内外のメディアに対して「ウクライナのパートナーが約束を果たし、われわれ全員が課題を実行すれば勝利は必然だ」と述べ、欧米各国に戦闘機などさらなる兵器の供与を呼びかけた。

欧米各国は、対戦車ミサイル「ジャベリン」、トルコ製のドローン「バイラクタルTB2」、地対空ミサイル「スティンガー」など、さまざまな兵器類、弾薬類を、支援のためウクライナに送り続けて支援を続けてきた。

特に、北大西洋条約機構(NATO)の「3大戦車」とも称される、英「チャレンジャー2」、独「レオパルト2」、米「M1エイブラムス」の投入が注目されている。これは、ロシア軍がウクライナに多数投入している戦車に、大きな威力を発揮すると期待されているからだ。

だが、戦車の投入だけでは、戦局を変えるのは難しいだろう。例えば、英国は数週間以内にチャレンジャー2を14台、ウクライナに提供すると発表している。だが、14台は1個中隊規模にあたり、その展開する範囲は数百メートル程度に限られるという。

一方、ロシア軍は数個師団の規模で、数十から数百キロの範囲で作戦を展開している。つまり、米英独などの支援は、ゼレンスキー大統領が戦争の目的とする「領土回復と人々の解放」を達成させるほどの規模ではない。むしろ、より戦況を膠着させてしまうものだ。

総兵力の5割以上が失われ壊滅状態のウクライナ正規軍

また、ウクライナの正規軍が壊滅状態にあるという。ウクライナ戦争の開戦時、ウクライナ正規軍は約15万人、予備役が約90万人だったという。しかし、2023年1月初めの時点で、総計55.7万人が死傷したという報道がある。総兵力の5割強が失われた。

ウクライナ軍は、45歳以上の老兵や徴兵年齢に満たない15、16歳の少年兵まで前線に投入しているようだ。その苦境を補うために、ウクライナの戦場で実際に戦っているのは、米英仏、ポーランド、ルーマニアなど東欧諸国などからの約10万人とされる個人契約、義勇兵などである。

そもそも、NATOが供与したHIMARS、ジャベリンなどのハイテク兵器をウクライナ軍は使うことができない。NATO諸国からの将校や下士官がシステムを操作しながら戦闘を行ってきたのだ。

要するに、外国の武器で、外国の兵士が戦っているのがウクライナの現実なのである。

欧米諸国がしていることは、瀕死の重傷患者に大量の輸血をして、体中の血液が入れ替わっても延命させようとしているのと同じにみえる。つまり、ウクライナが失った領土を回復させて、戦争を終結させるために支援しているのではない。むしろ、戦争を延々と継続させるために、中途半端に関与しているのではないだろうか。

また日本会議の仕業か。広島の教材から『はだしのゲン』や第五福竜丸を削除したい面々が主張する核武装

小中高生を対象とした平和学習教材から、『はだしのゲン』と米国の水爆実験で被爆した「第五福竜丸」の記述の削除を決めた広島市教育委員会。この流れを識者はどう見るのでしょうか。1250年以上の歴史を持つ愛知県清須市の清洲山王宮「日吉神社」の神職三輪家56代で、『宮司のブログ』著者の三輪隆裕さんは今回、一連の動きの裏に働いていると思われる「意図」について解説。その上で、日本が核武装を考えるのであれば、直ちに『はだしのゲン』と「第五福竜丸」の記述を元に戻すべきとの見解を示しています。

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三輪隆裕(みわ・たかひろ):
清洲山王宮日吉神社 宮司。至学館大学客員研究員。1948年、愛知県にて出生。名古屋大学文学部卒業、諏訪神氏に連なる神職三輪家56代。保守系の国会議員らで組織される日本会議と、全国に8万の拠点を持つ神社本庁による「全体主義」「戦前回帰」に異を唱える言論活動をおこなっている。また、IARF(国際自由宗教連盟)を通じて世界に異宗教間の相互理解と共存を呼びかけている。

広島の平和教材から『はだしのゲン』「第五福竜丸」削除という逆方向

最近、広島の平和学習の教材プログラムから、漫画『はだしのゲン』が削除されたのに続いて、今度は第五福竜丸の記事も削除されたことが話題となっている。

10年近く前に『はだしのゲン』を図書館から撤去せよという運動があったが、この運動を表向き主導していたのは、「平和と安全を求める被爆者たちの会」という組織であった。しかし、その実態は、事務所所在地等からすれば、日本会議広島である。

日本会議広島 公式ホームページ
平和と安全を求める被爆者たちの会 公式ホームページ

さて、産経新聞の記事によれば、「広島市教委によると、平和教育プログラムを再検討する中で「第五福竜丸が被曝した記述のみにとどまり、被曝の実相を確実に継承する学習内容となっていない」との指摘が出た。令和5年度からの改訂版は世界の核実験、核軍縮の動きを地図や表、グラフから具体的に捉えられる内容に変更する方針」という。

はだしのゲンに続き、第五福竜丸の記述も削除 広島市教委作成の教材から(産経新聞)

この文面だけからすると、より具体的な記述に変更となるように思われるが、実体としての第五福竜丸の被災の事実が欠如することによる、記述の迫真力が弱まり、核兵器の恐ろしさが伝わり難くなる心配がある。これは、被災事実と、核軍縮の動きを両方併記することが望ましい。

『はだしのゲン』といい、「第五福竜丸」といい、どうも、それらの削除には、核兵器の恐ろしさを実感することを弱めようとする意図が働いているとしか考えられない。

その目的は、核兵器に対する拒否感を日本人から無くし、日本の核兵器の開発と装備を進めようとすることが目的であるように思われる。

そうであるとしたら、これは、馬鹿げた考え方である。今、ウクライナ戦争で、ロシアがなぜ核兵器を使おうとしないのか?また、米国その他がウクライナにほとんど無制限に武器を供給しているのに、一方では核戦争にならないように必死に工作しているのは何故かということを考えてみれば良い。

つまり彼らは、核兵器の恐ろしさを十分に理解しているから、持っていても使えないのだ。だから、核戦争の抑止のための核武装と、核兵器の恐ろしさを知らしめる核廃絶の運動は両立する。

もし、日本会議を主導する思想家たちが主張し、近年日本人の多くが賛成するようになったと考えられるように、核戦争や他国からの侵略の抑止には核武装が必要であるとするならば、核廃絶の運動は、それ以上に不可欠な核戦争抑止の手段の一つとなるはずだ。つまり、核武装をするからには、核兵器の恐ろしさを十分に知っていなければならないからだ。

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辞職せず「捏造」と強弁。安倍晋三という後ろ盾を失った高市早苗の絶体絶命

昨年の「安倍元首相国葬反対の声は8割が大陸から」という発言の真偽が問われることはなく逃げ切りに成功した感のある高市早苗経済安保大臣ですが、今度ばかりはこれまでにない苦しい状況に追い込まれることが確実なようです。今回の『きっこのメルマガ』では人気ブロガーのきっこさんが、野党議員が公表した総務省の行政文書を「捏造」とし、自らの進退をかける啖呵を切った高市氏に覚えたという既視感を紹介。さらにこの件で高市氏が大きな代償を払うことになる単純明快な理由を解説しています。

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高市早苗のデジャブー感

この1週間での政治的なトピックは、何と言っても3月2日に立憲民主党の小西洋之参院議員が公表した総務省の「内部文書」と、それに対する高市早苗経済安保大臣とのやり取りですね。2014年から2015年にかけての第2次安倍政権時、安倍官邸から総務省に対して、放送法の政治的公平性の解釈変更を求める圧力があったとする証拠の文書です。

すでに何度も報じられているので、ここでは詳細は端折りますが、この文書の中に、当事の総務大臣だった高市早苗氏と安倍晋三首相とが電話で打ち合わせした具体的内容が明記されていたのです。しかし、立民の小西議員から文書の内容の事実関係を問われた高市氏は、この文書を「全くの捏造」と断言し、捏造でなかったことが判明した場合には、閣僚の辞任、議員辞職も「構わない」と啖呵を切ったのです。

小西議員は放送法を所管する総務省の官僚出身で、今回の内部文書は自分の古巣である同省の職員から託された行政文書だと主張しています。また、この文書の信憑性については、小西議員が総務省の今川拓郎(たくお)官房長から「同じ文書の電子データが総務省に保管されていることを確認した」との説明を受けたことで、今回、公表に踏み切ったと述べました。

一方、高市氏と言えば、総務大臣だった当時、「行政指導に従わない放送局は電波停止にする」という恫喝発言で大炎上したことが記憶に新しいですね。今回の文書の内容は、この恫喝発言とも一致しています。しかし高市氏は、自身の政治生命を担保に、この文書を「捏造」と言い切ったのです。

すると、不思議なことが起こりました。6日、立民の石橋通宏参院議員が「小西議員は総務省の今川拓郎官房長が『全く同じ文書の電子データが総務省に保管されていることを確認した』と説明したから文書を公開した」と述べると、松本剛明総務大臣は「今川官房長は『確認した』と言ったのではなく『確認して参る』と言ったと述べている」と抜かしたのです。

つまり、「まだ確認していない、これから確認する」ということらしいですが、それにしても「確認して参る」って、お前は忍者か!(笑)…とツッコミを入れたくなってしまうほどの苦しい言い訳です。もしも本当に「これから確認する」と言ったのであれば、これは急を要する案件ではないので、小西議員には見切り発車をする意味など1ミリもありません。今川官房長の報告を待ち、確認が取れた時点で公表すれば良い話なのです。

この記事の著者・きっこさんのメルマガ

個人の「学力」が高いハズの日本で、なぜ経済が停滞しているのか?

若い人たちが海外に出稼ぎに行ってしまうほど相対的に貧しくなったわが国。国力の源でもある「学力」は、いまでもOECDのPISA(学習到達度調査)ランキングで上位に位置しているのに、なぜ経済は低迷を続けているのでしょうか。今回のメルマガ『東南アジアここだけのお話【まぐまぐ版】』では、マレーシアに11年以上滞在する文筆家で編集者の、のもときょうこさんが、PISAの調査項目とグローバル社会で求められる能力がマッチしていないとするレポートを紹介。日本や韓国など東アジアの国では、努力と勤勉さを大切にするため、数値になる「学力」は頑張れても、それが指標では「足りない」と指摘しています。

なぜ個人の「学力」が高いハズの日本で、長年経済が停滞しているのだろうか

「日本の学校の学力は高い」──よく聞く話です。その通りで、OECDの学力ランキングなどのデータを素直に読めば、日本は個人個人の中学・高校時点の「学力」は相変わらず、世界平均と比べて高いのです。なのに、なぜ長いこと経済成長ができないのでしょうか。

特に欧米式の米国式・カナダ式にいく日本人には「レベルが低い」と不満を持つ方が少なくありません。カリキュラムの内容が違うために、「*年生なのに、そんなことも教えないのか」と不安になってしまうのです。しかし国全体で見たときに、その差はどうでしょうか。この数値の乖離が、何を意味するかをよく考える時期に来てると思います。

PISAランキングに意味がなくなりつつある

データが間違っているのか。それとも、「学力」が経済にとって無意味なのか。「学力」と経済に実は相関関係はないのか。それとも別のファクターがあって低迷しているのか。

「高いレベルの教育」が必要、とよく言われます。でもそれは何のためでしょうか?日本の教育の目指すところは「経済的に役立つ人」であるように見えます。ところが、社会に(少なくとも経済的に)インパクトも与えてないとしたら、その教育に意味はあるのでしょうか?

「子どもが教育を選ぶ時代へ」でPISAランキングなどの国際学力テストはもはや時代遅れでは?という仮説を書きました。その後、大学院で、OECDの「PISAランキング」などが、なぜ「計算」「読み書き」に焦点を当てているのかとその弱点について学びました。

1つ目が、「そもそも測れない能力が増えてきた」ことです。思考力や決断力を数値化して比較するのは、難しいため、単純比較できるものが、読み書きと算数のリテラシーのみになってしまったのです。例えば、世界銀行が出した『世界開発報告書2018』です。

正式な教育やその他の学習の機会には多くの目標がありますが、識字能力、計算能力、および推論の通常の評価によって把握できるのはそのうちのいくつかだけです。教育者はまた、学習者が高次の認知スキルを身につけられるよう支援することも目指しています。これには、評価では把握するのが難しいもの(創造性など)も含まれます。人生における成功は、持続性、回復力、チームワークなどの社会的感情的および非認知的スキルにも依存します。
World Bank. (2018). Overview: Learning to realize education’s promise. In The World Development Report 2018: LEARNING to Realize Education’s Promise.)

この記事の著者・のもときょうこさんのメルマガ

林外相G20ドタキャンに国民から批判殺到。あまりにもくだらない欠席の理由

日本の林芳正外相がG20(20カ国・地域外相会合)の欠席を発表したことで、国民からは大きな批判が集まっています。今回、多くの批判が集まった理由はどこにあるのでしょうか? 今回のメルマガ『宇田川敬介の日本の裏側の見えない世界の話』では、 外交権の歴史から林外相が欠席した「真の理由」について持論を展開しています。

林外務大臣のG20欠席についての私の個人的意見

三権分立をわかっているのか

「信じられない決定」 林外相G20欠席に批判的─インド主要紙
2023年03月01日17時39分 時事通信

【ニューデリー時事】日本の林芳正外相が国会対応のため1日からの20カ国・地域(G20)外相会合を欠席することについて、議長国を務めるインドの主要紙は「日本の信じられない決定」(ヒンドゥスタン・タイムズ)など総じて批判的に受け止めている。

ヒンドゥスタン紙は、欠席を巡って日本国内で批判が集まっていることも紹介しながら「決定はインドを動揺させる可能性が高い」と伝えた。経済紙エコノミック・タイムズは「日印関係に影を落とすかもしれない」と指摘した。

こんな記事が出されています。皆さんはどのように思うでしょうか。

さてあえてこの内容に関して批判するのは、そもそも日本の憲法では「外交権」は「行政府の内閣」にしか認められておらず、その外交権を持っているのは、基本的には内閣総理大臣と外務を分掌している外務大臣(外務省)だけということになります。

日本の歴史上は、日本の外交権は「天皇」または「朝廷」に一任されていました。この事は、日本史の出来事に根拠があるとされています。

少し歴史を紐解いてい見ましょう。古代の日本は、当然に朝廷が外交権を持っていました。朝廷ができる前は、様々な王国が勝手に自分の「村国家」の代表として、外交をしていたと思います。

そもそも、日本の場合は「日本」とまとまったのがいつかということもありますのでなかなか難しいですが、それでも漢委奴国王や女王卑弥呼などは、現在の日本の形の全体ではないにしても当時日本にあった国の代表として隣の国と交渉をしています。その代表は聖徳太子であり「日出国の天子」として手紙を書いているのです。

その後も、朝鮮半島の新羅などにおいて戦った天智天皇や、それ以前の神功皇后などは、全て皇室ですし、平安時代まで遣隋使・遣唐使を行っていたのも、全て朝廷であったという歴史がまずはあります。

その上で、1264年、及び1284-1286年に、元が日本の樺太を襲撃した時にさかのぼります。この時代が起点になるのは、ここまでは日本の政府は朝廷しかなかったので、政権運営と外交が一致していても他には何もなかったということになります。

しかし、鎌倉幕府以降、正確には承久の乱以降、政権は完全に鎌倉幕府に移ります。

外交権も幕府に移ったのか、それとも外交権だけは朝廷に残ったのかということが大きな問題になります。

この記事の著者・宇田川敬介さんのメルマガ

シンプルだけどコレしかない。海外の「情報工作」に“勝利”する方法は?

インターネットが普及し、情報源がメディアだけではなくなった現代社会で、「情報戦争」に勝利するための鍵はどこにあるのでしょうか。作家でユーチューバーの顔も持つ、ねずさんこと小名木善行さんは自身のメルマガ『ねずさんのひとりごとメールマガジン』の中で100年前から今までの日本の情報戦争の歴史と今現在工作活動を行っている国に勝利するための秘訣を紹介しています。

現代社会で「情報戦」に勝利するには

情報戦は、かつてはメディアが大手メディアくらいしかなかったために、メディアさえ押さえれば、ある意味、資本家(それこそ陰謀家)の思い通りに事を運ぶことができたといえます。

ブログでご紹介した1938年に米国で結成された「日本の侵略に加担しないアメリカ委員会」なるものも、金を使って一部の権力者を牛耳れば、なんでも好き放題に世論を誘導できたし、戦争さえも起こさせることができたわけです。

けれど現代社会は、情報はメディアだけでなく、SNSや動画サイトなど、多岐にわたる時代になっています。

つまり、100年前とは様子が代わってきているのです。

ちなみにちょっと脱線しますが、元禄時代の赤穂浪士では、大石内蔵助が京都祇園で豪遊することで、自分たちの持つ正義を、世のVIPたちに広めました。

これにより、討ち入りが単なる狼藉事件ではなく、しっかりとした志あるものとしての地位を得ています。

これと同じことを行ったのが幕末の長州藩で、高杉晋作などは、20代前半という若さで、祇園の街で、軍艦が買えるほどのお金を遣いあげて豪遊し、都の貴族や全国の大名たちに時代の変化を知らしめ、広げています。

そういう意味では、150年前までは、日本では、祇園の花街だけを押さえれば、情報戦争に勝利できたわけです。

これがラジオが発達した戦前の時代には、リーフレットと社会的に影響力のある政治家を落とせば、なんでも好き放題ができた時代になりました。

この記事の著者・小名木善行さんのメルマガ

国益をかなぐり捨ててまで「アメリカ第一主義」を貫く岸田外交の不思議

インドでのG20を欠席し、その直後のクアッドには参加した林外相。国会で批判された岸田政権の選択はアジア各国でも不思議がられ、とりわけ中国の外交関係者たちは日本への不信感を強めているようです。今回のメルマガ『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』では、著者で多くの中国関連書を執筆している拓殖大学の富坂教授が、岸田外交は国益を無視して、中国の嫌がることをアメリカの代理でやっていると批判。政権交代によって中国との関係改善に動いたオーストラリアとは対象的で、岸田-バイデンラインが世界の不安定化を加速していると警告し、安倍-トランプ時代を懐かしむ声が出るのも無理はないと分析しています。

G20で見えた各国の自国第一主義の裏側で、岸田外交だけが「アメリカ第一主義」の不思議

おそらく昨秋くらいからの現象だ。中国の外交関係者たちの間で「安倍総理の時代」を懐かしむ声が広がったのは。外交の安倍と言われるほどの実績があったと筆者は思えないのだが、中国側の評価は案外高い。少なくとも岸田外交と比べれば「はるかに良かった」との評価らしい。

それは中国にとって「御しやすい交渉相手だった」という意味ではない。むしろ激しい火花を散らした難敵である。しかし、プロとして勘所をつかんで対峙する安倍と、基本スペックを備えていない岸田とでは、安定度が違ってくる。また国益に対する強いこだわりのあった安倍とは違い、岸田は何をしたいのかわからないというのが中国の印象のようだ。

より具体的に言えば、自国の利益がいかに傷つこうが、危険度を増そうが、徹底して中国の嫌がることをアメリカの代理としてやっていると、中国の目には映るのだ。直近では、G20(主要20カ国)外相会合(=G20)だ。G20には欠席したのに、クアッド(日本、アメリカ、オーストラリア、インドの4カ国の枠組み)の外相会合には駆け付けた林芳正外相の行動が典型的だ。

そもそもG20への不参加について、国内の政治日程を優先させたことを不思議がる報道がアジアで目に付いた。それでいて「中国を包囲する枠組み」にだけ参加しようというのだから、意図を疑問視する声が聞こえるのも当然だろう。

G20では、新興国や発展途上国など「グローバルサウス」との連携の重要性が共有されたのだが、それは日本の未来の利益にとっても重要なテーマだったはずだ。グローバルサウスとの接点という意味では、貴重な機会であったG20を放り出し、中国をけん制するが明白なクアッドだけに出席した林は、日本にどんな大きなメリットを持ち帰ってきたのだろうか。

クアッドによって日本の安全保障環境を強化することが喫緊の課題とは思えない。それ以前に、インドやオーストラリアが有事の際、遠く日本まで援軍を差し向けてくれるとは考えにくいのだ。

しかもクアッドの強化は中国を刺激し、逆に習近平政権の軍事部門への投資拡大を促すことになる可能性が高いのだ。本来、経済発展を強く熱望する中国国民は経済分野へ予算を振り向けることを求めるが、これだけ包囲網が強まれば、政権が国防予算を積み増すことにも理解を示すだろう。そうなれば皮肉にも日本が中国の軍拡を裏から支援することになりかねないのだ。

この記事の著者・富坂聰さんのメルマガ

大阪ミナミから移動した在日中国人たちによる「ネオ中華街」の“ガチ中華”ぶり

新型コロナ感染症の拡大により、数年前に比べて日本を訪れる中国人の数は激減しました。その影響を受けて、静かになってしまった場所のひとつが大阪のミナミです。今回のメルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では、著者の佐藤きよあきさんが、たくましく生きる在日中国人がコロナ禍でも負けずに商売を続ける「ネオ中華街」について紹介しています。

コロナがキッカケとなった、「ネオ中華街」誕生の瞬間!

コロナが発生して、日本から訪日外国人の姿が消え去りました。

多くの中国人で賑わっていた大阪・ミナミも活気のない静かな街となってしまいました。

この地域で中国人相手に商売をしていた人たちの中には、在日中国人も多くいて、彼らも姿を消してしまいました。

どこに行ったのでしょうか。

華僑と呼ばれる、中国の商売人である彼らが、何もせずに耐えているとは思えません。

別の商売を別の場所でやっているはずです。

そんな彼らを探していると、すぐ近くで発見しました。

大阪・ミナミの東側、島之内という地域で、新たな商売を始めていました。

中国惣菜のお店、中国食材のスーパー、東北料理店、四川料理店、火鍋屋、羊串屋、ホルモン専門店、手づくり餃子のお店など。

ほとんどが飲食に関連するお店です。

こうしたお店の9割のお客さまが中国人だと言います。なので、メニューが中国語のみとなっています。

訪日客がいなくなったのに、中国人ばかりが集まるのはなぜでしょう。

ここに来る人たちは、在日中国人なのです。

コロナで中国に帰国できなかった人が、自国の味を求めてやって来るのです。

経営者もそのことを想定して、あえて「ガチ中華」を提供しているのです。

そんな中華料理店が、現在数十店舗できています。

この3年ほどで一気に開店したのです。

そのせいか、この辺りの通りを歩く人の6~7割は中国人だと言います。

日本語が話せなくても生活できるとまで言われます。

新たな中華街の誕生です。

しかも、日本三大中華街のように、日本人向けの味にはしていません。

中国人相手のガチ中華。

いま、巷でもガチ中華が注目されているので、この中華街にも日本人がたくさんやって来るのではないでしょうか。

ガチ中華の街は、これまで日本には存在しませんでした。

かなり注目度の高い街になっていくのではないでしょうか。

まだ誕生したばかりで発展途上ですが、これから急激にお店が増え、大阪における確固たる地位を築くはずです。

image by:Sean Pavone / Shutterstock.com

次の戦場は「東アジア」か?日本と韓国がNATOの飽くなき東方拡大に巻き込まれる日

ロシアによるウクライナ軍事侵攻の原因の一つとして挙げられる、NATOの東方拡大。冷戦時代の「遺物」である彼らは、東アジアをも侵食しようとしているようです。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』ではジャーナリストの高野孟さんが、日韓両国を訪れNATOとのパートナーシップ強化を訴えたストルテンベルグNATO事務総長を、「バイデンの使い走り」と一刀両断。さらに自国製の最新兵器の売り場としてNATOを拡大し続けたアメリカを、名指しで強く批判しています。

※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2023年3月6日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

日韓に伸びるNATOの魔の手。第2のウクライナになる国

中国学者で米ディフェンス・プライオリティーズ客員フェローのクイン・マーシックが『Nikkei Asia』への寄稿で「NATOはアジアに関わるな」と言っているのは正しい(3月4日付日経本紙に要約がある)。

米国が欧州をウクライナ戦争にますます深く引き込んで無益な戦闘を長引かせようとしている中、NATO事務総長のストルテンベルグが1月末から2月初にかけて韓国と日本を訪れ、韓国の尹錫悦大統領と岸田文雄首相に「中国による自由と民主主義への挑戦に対応するため、日韓とNATOとのパートナーシップを強化すべき」だと訴えた。

しかしマーシックに言わせれば「NATOは本来、インド太平洋地域とは関係がない」。NATOの条約第5条には「加盟国に対する攻撃は全加盟国に対する攻撃とみなす」という集団的自衛権の決まりが盛られているが、これは欧州と北米だけに適用されるもので「北朝鮮がハワイやグアムを攻撃してもNATOに反撃する権限はない」。

なのにストルテンベルグは何のために日韓を歴訪したのか。バイデン米大統領が描いている「民主主義vs権威主義」――すなわち米国を盟主とする自由陣営が結束してロシア、中国、北朝鮮の新旧共産陣営と対決するという時代遅れの世界観に彼自身も深く共感しつつ、言わばバイデンの使い走りとして、日韓がもっと積極的に自由陣営に加わるよう促すためにやってきたのである。

余計なお世話とはこのことで、マーシックが「NATOはインド太平洋地域には関係がないし、権限もない。イデオロギーを巡る不必要な緊張を引き起こすのは控えるべきだ。中国による侵略戦争が避けられないと想定するのをやめ、中台間の緊張を煽るのを避けるべきだろう」と言うのはその通りである。

この記事の著者・高野孟さんのメルマガ

徴用工「解決案」に反発の声も。なぜ日韓関係は侮蔑を伴うほどに悪化したのか?

3月6日、徴用工を巡る問題の解決策を発表した韓国政府。岸田首相もすぐさま「評価する」と述べるなど、戦後最悪と言われた日韓関係の改善が期待されますが、この動きは北東アジアの安定にどの程度寄与するのでしょうか。今回のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』では米国在住作家の冷泉彰彦さんが、同地域の安定は「まだまだ難しいテーマ」と断言。その上で、今後北東アジアにおける様々な事態に対処してゆくために、我々が考えておくべき「2点の問題」について議論を展開しています。

※本記事は有料メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』2023年3月7日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

韓国側の徴用工問題「解決策」に反発も。朝鮮半島外交における2つの留意点

先日、このメルマガでも紹介した松川るい議員による、保守派知識人との論戦では「新日韓合意」についての交渉が進んでいることが示されていました。「いわゆる徴用工問題」と「貿易における最恵国待遇の回復」をセットで解決するという案で、松川議員はユン政権が続くこの期間に解決すべきと強く力説していたのでした。

これに対して、保守派の世論は「韓国は合意してもひっくり返す国だから騙されてはいけない」という「いつもの」言説をタテに反対を繰り返していました。この問題ですが、ここへ来て水面下ではなく、正式な動きとして浮上しており、まずは韓国側から「いわゆる徴用工問題」は韓国サイドの財団が補償するというスキームが提案されるに至りました。

通商における措置の回復についても、あくまで岸田政権としては「別問題」という建前を守りつつ、こちらも解決の動きが出てきています。日本の保守派からは、依然として「またゴールポストが動く懸念がある」とか「韓国のスキームを認めると徴用問題の責任を認めることになる」という批判が出ていますが、今回はこのパッケージで進めるのが妥当と思います。

この「新日韓合意(のたたき台)」ですが、直接的な理由は北朝鮮による核ミサイル開発の加速という問題があります。日韓離反工作に対して、いつまでも好きにさせて置くわけには行かないということです。更に直近の問題としては、13日から予定されている大規模な米韓軍事演習の日程があります。

米国としては、北のミサイルの脅威に対処するという用意に加えて、とにかく米韓演習が象徴するような「アメリカとしてリスクを取って北東アジアの安定に貢献」しているという意識があると思います。これに対して、「同盟国であるはずの日本と韓国が3世代も前の問題で舌戦に興奮している」という状況が続くようですと、「面倒くさい」のでこの地域におけるコミットから逃亡しようという動機になりかねません。

少なくともバイデン=ハリス政権や、共和党のヘイリーなどは、「そうではない」という立場であり、だからこその合意が求められるということです。この件については、それ以上でも以下でもないと思いますが、仮に日韓が合意に達したとして、また双方のナショナリストが自己満足のための妨害を止めたとしても、韓半島の安定というのはまだまだ難しいテーマだと思います。

司馬遼太郎も言及していた「台湾海峡問題」の最適解

北東アジアの安定を確保するために、直面する課題としては2つあります。この2つの問題があるからこそ、恥ずかしいことではありますが、21世紀に入って四半世紀に迫ろうという現在、北東アジアでは「まだ冷戦構造がある」わけです。具体的には台湾海峡と38度線の問題です。

このうち、台湾に関しては亡くなった司馬遼太郎氏の遺言にもあったように、可能な限り現状を引っ張るというのが最適解と思います。この考え方を変更する理由も、またその場合の代替策も、現時点では思い当たりません。

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