起業家の成功体験は世の中に溢れていますが、本当に価値があるのは「失敗の法則」の方なのかもしれません。華やかな成功ストーリーの裏側には、語られることのない数々の失敗が存在します。このたびメルマガ『起業家のしくじり図鑑 ─ 個人で稼ぐための失敗の法則by営業戦略の壁打ちコミュニティセカオピ®代表相川雄輔』を創刊した起業家の相川雄輔さんが、延べ2500人との「壁打ち」を通じて見えてきた起業家たちの生々しい失敗パターンについて語ってくださいました。
「成功体験には再現性がないが、失敗には明確な法則がある」と断言する相川さん。200万円の情報商材、効果のないコンサル、人が集まるのに売れないセミナー…、そして起業家たちが陥りがちな「ナイス・トゥ・ハブ症候群(Nice-to-have Syndrome)」とは何なのでしょうか? トランス・コスモスとアライドアーキテクツで計13年間、大手法人向け営業を経験し、2021年に独立、現在100名規模の経営者コミュニティを主宰している相川さんが赤裸々に語る失敗事例から、起業を目指す人々への警鐘と処方箋を探ります。(聞き手・MAG2 NEWS編集部)
大手法人営業から起業家への転身。なぜ「失敗」にフォーカスしたメルマガを創刊したのか?
──本日はお時間をいただきありがとうございます。このたびメルマガ『起業家のしくじり図鑑』を創刊されました相川さんの「今までのお仕事」について教えていただけますでしょうか?
相川雄輔さん(以下、相川): メインキャリアとしては、トランス・コスモスという会社で約10年間、大手法人向けにWebマーケティングのプロモーション支援営業をしておりました。10年の経験を積んだ後、アライドアーキテクツという会社でも大手法人営業、いわゆるエンタープライズ営業と呼ばれる領域を約3年間担当しました。
その経験をもとに、2021年にSkilled Workers株式会社を創業しました。メイン事業は、営業代行や営業の顧問的な役回りを含めた営業支援事業と、今回のメルマガのタイトルにも近い「営業戦略の壁打ち事業」という、壁打ちを事業化したものの2事業で経営をしています。
──今回まぐまぐでメルマガを始められたきっかけについて教えていただけますか?
相川:一番のきっかけは、起業家の「成功体験」は多く見かけるものの、「これをやったら失敗する」という一番肝心な、再現性のある失敗やしくじりがあまり公になっていない現状を、起業して5年間でたくさん見てきたからです。
実際、成功体験はなかなか再現性がないと思っているのですが、しくじり体験は「これを踏まなければOK」というものがあったりするので、その辺りを一人でも多くの方に届けられたらと思い、メルマガ創刊を決意しました。
──メルマガの事例を読んで「同じ轍を踏まないように」ということですね。どのような内容のメルマガか、簡単にご説明していただけますか?
相川: 私は今100名規模の経営者コミュニティを主宰していまして、そのメンバーにコンサルティングをすることもあります。また、営業支援事業でも、様々な現場に立ち会ってきました。そこで見聞き・体験したしくじりを題材に、そこから導かれる法則を共有していくような内容となっています。
読者の皆さんが同じ落とし穴にはまらないように、過去の失敗を先取りの学びに変えていただけるよう、逐次お届けしていきます。
しくじりの事例を伝える起業家・相川雄輔さんのメルマガ
「ナイス・トゥ・ハブ症候群」という落とし穴。2500人の壁打ち経験から見えた法則
──具体的にはどのような失敗事例があるのでしょうか?
相川:今回3つ目の事例として載せた内容なのですが、「ナイス・トゥ・ハブ症候群」という状態があります。「あったらいいよね」というサービス、すごく良いサービスではあるのですが「あったらいいよね」から脱却出来ずに、「売れない」状態に陥っている事を指しています。
多くの事業主が扱う商品・サービスは、普通に売り出すと 「あったら嬉しいよね」 で終わってしまいます。「もっと良くしたい」「もっと綺麗にしたい」と思ってもらえるけれど、 “今すぐ必要だ” というレベルまで届いていない。
つまり本当はサービス設計に課題があるのに、自分の商品が 「ナイス・トゥ・ハブ(=なくても困らない)」 に陥っていることに気づかないまま、集客にお金と労力を注ぎ込んでしまう。その結果、 セミナーには20人集まる。 アンケートでは全員が「すごく良かった」と答えてもらうけど、申込みはゼロ。こういう“ナイス・トゥ・ハブ症候群”が、現場では本当に多いんです。
──コンサル系だと「いい話を聞いたな」で終わってしまうということですね。
相川: そうです。いい話で終わらせないために何をしているか、そこがあまり考えられていなかったりする。その辺りも本当に生のリアルな事例として入っています。SNSでバズらせたい、でもSNSで集客する前にやることがありますよね、ということです。
──多くの企業の方とコミュニケーションを取られる中で、そういった事例をご覧になってきたということですね。
相川: 延べ2500人ぐらいと壁打ちをしてきましたので、色々な方の失敗やうまくいかなかった話がたくさん頭に入っています。その中でも法則性というか、「また同じことにハマってしまっているな」ということが見えてくるんです。
しくじりの事例を伝える起業家・相川雄輔さんのメルマガ
100名以上の「壁打ちコミュニティ」今後の展望は?
──相川さんが今後やっていきたいことや、これからの展望について教えてください。
相川: 私は今「営業戦略の壁打ちコミュニティ『セカオピ』」を主催しています。自分のビジネスアイデアやビジネスプラン、訴求方法などを第三者、特に自分のお客さんになりえそうな方に壁打ちして、フィードバックを受け取ることに価値を感じられる方が集まっています。
他人のビジネスはよく見えるのに、 自分のことになると急にわからなくなる。 これは、多くの事業主がハマる落とし穴です。実は、私自身もそうでした。 自分の強みや課題が見えていないまま市場に出て、遠回りをした経験があります。だからこそ言えるのですが、 “自分のことがわからない状態”で戦いに行くと、 本来なら避けられた失敗であっさり撃沈してしまう。私は、そんな“もったいないケース”を何度も見てきましたし、 自分もそこから抜け出した一人です。
だからこそ、 「自分のビジネスを壁打ちする」ことを、起業後の当たり前にしたい と本気で思っています。一人で悩み続けて遠回りする人を、もう増やしたくない。そのために立ち上げたこの壁打ちコミュニティは、いま100名を超える仲間が集まっています。私は、ここを 3年後には1,000人規模の“壁打ちがスタンダードになる場所” に育てたいと考えています。
──壁打ちはどれぐらいの頻度でやられているのでしょうか?
相川: 毎日の様に開催されていますが、メンバーの方は 月に1回、約2時間の壁打ち会に参加ができます。4人1組のグループワーク形式で、1人20分の持ち時間で進行しています。
起業家の皆様へのメッセージ
──では、これからメルマガ読者になる皆様に、メッセージをお願いできますか?
相川: 「人の振り見て我が振り直せ」を体現している内容ですので、まずは無料で読んでみてください。
特に読んでいただきたいのは、 一人社長・個人事業主の方、そして数名規模で奮闘されている経営者の方です。この規模のビジネスは、なかなか“失敗のリアル”が周りから聞こえてきません。 成功談はたくさんあっても、再現性が低いものが多い。
だからこそ私は、創業期のいちばん不安定な時期に、 「これはやってはいけない」 という“しくじり事例”を知っておくことが、何よりのリスク回避になると考えています。
このメルマガでは、 実際に有料セミナーで扱っている内容も含めて、同じ間違いをしないための具体的な視点をお届けしています。
きっと皆さんのビジネスの助けになるはずです。 ぜひご購読ください。
──人の失敗は聞いていて楽しいですよね、しかも為になるという。今後の展開が楽しみです。本日はお忙しい中ありがとうございました。
しくじりの事例を伝える起業家・相川雄輔さんのメルマガ
image by: shutterstock.com