諦めろ日本。「団塊ジュニア」の出産ラッシュ終了で少子化急加速

先日、2019年の出生数が、予定より2年も早く90万人割れする見通し、と報道されました。若年層の「未婚化」が加速するなか未だに経済成長を追い求める日本の姿に、メルマガ『虚構新聞友の会会報』の発行者で虚構新聞の社主UKさんが、かつて栄華を極め、その後衰退したイギリスの事例を紐解きながら「余計なプライドを捨てよ」と述べています。

もう後がない状態から出産を始めた「団塊ジュニア」

「日経新聞」などの報道によると、今年2019年の出生数は90万人を割ることがほぼ確実になったそうです。

▼出生数90万人割れへ19年、推計より2年早く
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50672490W9A001C1MM8000/

記事によると「団塊ジュニア世代が40代後半になり出産期の女性が減ったことが大きい」そうで、2016年に100万人を割ってから、たった3年でさらに10万人減らしました。このペースで減少が続けば、2046年には日本人が一人も生まれなくなる異常事態です。

上記記事について、少子高齢化を専門にする公益財団法人中部圏社会経済研究所研究部長の島澤諭さんが詳しく解説されています。

▼少子化はもう止められない「出生数90万人割れ」へ少子化が加速する社会の課題とは
https://news.yahoo.co.jp/byline/shimasawamanabu/20191010-00145900/

社主も以前少子化を記事にしようと調べていたときに知ったのですが、実は近年、出生率は回復傾向にありました。2005年に過去最低の1.26を記録したあと、じわじわと上昇し、2016年には1.44まで戻っていたのです。

確かにそう言われてみると、30代に入った社主の同級生らもこの時期に相次いで子どもを2人3人ともうけていたので、ちょっとずつ子どもを育てる余裕が出てきた=経済的な余裕が出てきたのかな、と想像していました。

しかし島澤さんの記事によると、決してそうではないようです。

「2006年から2015年に至るまでの少子化の反転(つまり出生率の上昇)は、雇用の不安定化や晩婚化で出産のタイミングを遅らせてきた団塊ジュニア世代にとって、子供を産むためにはもう後がない状態になったことで出産を始めたというテンポ効果によってもたらされたものでした。」

もう後がない状態になったから出産を始めた」。大事なことなので、繰り返しました。

つまり、近年の出生率の上昇基調は、景気回復や国の少子化対策が功を奏したわけではなく、単に「いま産まなければもう産めない」と追い詰められた家庭に産まれただけだったのです。先の同級生たちも世間的には晩婚だったので、記事が指摘するように「今産まなければ」という考えで子どもをつくったのかもしれません。

しかしここに来て、とうとう国が出生率回復の決め手として当てにしていたボリュームゾーン「団塊ジュニア世代」の出生率ボーナスが終了。今後は先細りするしかなくなったわけです。

中学生向け「公民」の教科書には、「少子化が進んで現役の働き手=納税者が減ると、社会保障の基盤が弱くなり、その分、現役世代1人当たり経済負担は増える」という感じの記述があります。これは社主が中学生だった20年以上前からずっと教科書に載っている内容ですが、結局その後20年間、良い意味で教科書を書き換えるような変化は訪れず、少子高齢化はみるみる加速。むしろ、当時の教科書にはなかった「介護保険制度」や「消費増税」という残念な用語が書き足されることになりました。

社会科では、少子高齢化を「現代日本の課題」として「外国人との共生・日本の国際化」などと並べて解説してきました。そしてこの「課題」という言葉には「何か対策をすれば解決できる」という希望的ニュアンスが含まれています。ですが、少子高齢化はもはや課題のレベルを超え打つ手のない受け入れるべき事実です

それでもあえて解決策を出そうとするなら、「80歳以上の高齢者を全員安楽死させる」とか「優秀な遺伝子を持った子どもを国家施設で大量生産する」とか、ディストピアSFみたいな方法しか思い浮かびません。

もう少し現実的な解決策があるとすれば、少子化という現象が先進国全体の傾向である以上、米国のように移民を大量に受け入れて多民族国家を目指すというやり方もなくはありませんが、今の日本なら移民を受け入れるよりも「攻めの姿勢」の方がさらに現実的かもしれません。大東亜共栄圏を復活させて、東南アジアの数値を出生率に組み込んで測定し直すという方向などいかがでしょうか。

「どっちにしてもディストピアSFじゃねえか」というツッコミはさておき、この少子化を事実として受け入れなければならない以上、今後は少人数で回る国作りへと方向転換するしかありません。ちなみにこの点に関しては、今話題の小泉進次郎環境大臣が以前から「人口減を強みに変える」ということを主張しておられます。

「私は人口が減っていく部分をすべて移民で、っていうのは反対です。人口減少を強みに変えるという発想のなかで、日本が守るべきものを守りながら、技術の革新、イノベーションをより危機感を持って進めるかということを、どこまで追求できるかをチャレンジする国家になったほうがいいと思います。」

▼小泉進次郎氏が若者に訴えた 「もう人口減少、嘆くのやめませんか」
https://www.huffingtonpost.jp/2016/10/09/shinjiro-koizumi-youngvoice-2016_n_12420990.html

例によって、具体的な政策が見えてこないので、この発言だけを見る限り「この人に任せて大丈夫かいな」などと思ってしまうのですが、社主はもういっそ「強みという発想自体も辞めるべきではないかと思います。簡単に言えば「経済大国という強みにこだわらず看板を下ろしてしまえばよいのです。

決して経済成長を諦めなければならないと言っているわけではありません。もし今の日本にまだ成長の余地が残されているとするなら、徹底的に追求すればよいでしょう。しかし政権交代後の7年間、「経済大国の看板を懸命に維持しようと大企業優遇の政策を強めた割にはその富が弱者へと回されず、そのうえ人為インフレによって、年々生活費が上昇しているのが現状です。

2013年に掲げた安倍首相の約束が正しければ、4年後の2023年には国民1人当たりの総所得が今より150万円増えているはずですが、本当に実現するのでしょうか。

▼首相、1人あたり国民総所得「10年後に150万円増やす」(日経新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXNASFL050LJ_V00C13A6000000/

出生数が想定以上のペースで下がっている理由の1つに「自分が今これだけ苦しい生活をしているのに、これから生まれる子どもにこれ以上の辛さを味わわせたくない」という、ある意味での親心もあるでしょう。国がいくら「子育て支援」を連呼して暗に「産めよ殖やせよ」をほのめかそうと、共働き世帯の増加などに配慮した政策がうまくいっていないから誰も産まないし殖やさない。やはり数字は正直です

「経済大国」に関してもう1つ。最近、あの奇跡の高度経済成長でさえ「日本人の実直さ・勤勉さが理由ではなく、本来の労働効率の悪さを1億人越えの人口と残業ありきの長時間労働で補ってきただけ」という身もふたもない分析が出てきたりもしました。

▼日本はもはや後進国であると認める勇気を持とう
https://www.newsweekjapan.jp/kaya/2019/08/post-78.php

「日本はかつて豊かな国だったが、近年は競争力の低下や人口減少によって経済力が低下しているというのが一般的なイメージかもしれない。だが、現実は違う。」

「先ほど、日本の労働生産性は先進各国で最下位であると述べたが、実はこの順位は50年間ほとんど変わっていない。日本経済がバブル化した1980年代には、各国との生産性の差が多少縮まったものの、基本的な状況に変化はなく、ずっと前から日本の生産性は低いままだ。1人あたりのGDP(国内総生産)が世界2位になったこともあるが、それはほんの一瞬に過ぎない。」

労働生産性が先進国最下位の国が、先進国で最も深刻な少子高齢化になっているということは、かつてのような「人海戦術が通用しなくなったことを意味しています。このように少子高齢化は、それを起爆点として悲観的な将来へと次々連鎖していくのです。そして20年前は「課題」の1つに過ぎなかった未来像を、私たちはいよいよ現実として甘受しなければならない段階に達しつつあります。

話が変わりますが、これまで会報では何度か書いてきたように、社主は「UK」の名の通り英国びいきなのですが、かつて覇権国家「大英帝国として人一倍のプライドを抱いていたその英国も、第二次世界大戦後、その看板を下ろさなくてはならない事件がありました。

それが1956年のスエズ危機です。英国はこの時、米ソ両大国から見放され、その結果スエズ運河を失うとともに、もはや欧州の一国家でしかないことを世界中に知らしめる顛末となりました。その後、世界における英国の地位はご存知の通り。いまだに自国を世界の盟主だとは当の英国人でさえ誰も思っていないでしょう。

長い長い不況にさらされ、日本人としての自信を失ったと言われる中、「日本を取り戻す」と気概を示すことは、それはそれで大事なことかもしれませんが、今必要なのは精神論ではなく残酷な現実から目を背けない覚悟です。とは言え、同じ現実の甘受でも、もう少し賢いやり方があってもいいはずです。

1990年代、英国では『キーピング・アップ・アピアランシズ(体面を保つ)』という、自分は労働者階級なのに上流ぶる滑稽なおばさんが出てくるシチュエーション・コメディが人気を集めました。身の丈に合わないことをしようとして失敗するバケットおばさん(本人はフランスっぽく「ブーケ」と名乗っている)の滑稽さには、そのタイトル通り、必死で体面を保とうとしている今の日本に通じる部分が感じられます。

そしてまた、バケットおばさんをバカにして終わるのではなく、彼女の振る舞いの中に誰しもが持つ虚栄心のような性(さが)を見出し、さらにそれを自虐や哀しさを含んだユーモアへとつなげていくところが英国コメディの巧みさでもあります。

長年、実直さと勤勉さを売りにしてきた日本で、凋落するこの現状を自嘲・自虐として笑いに変えるのは難しいかもしれません。しかし、人口減を嘆かず、さらに「人口減を強みに変える」という経済指標を絶対視した気概も捨て哀愁ペーソスをもって受け入れるのも、これからの時代を生き抜く一つの知恵であるように思います。

沈みゆくタイタニック号に取り残されて為す術なくなった乗客だって、あり得ない希望にすがりつこうとパニックになるより、せめて皮肉の一つでも残して海の藻くずと消えた方が潔くて粋じゃないですか。

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天皇陛下の「祝賀パレード」台風被災を考慮し11月10日に延期へ

天皇陛下の即位に伴い、今月22日に予定されていた祝賀パレード「祝賀御列(しゅくがおんれつ)の儀」について、政府は台風19号の被災地への対応に万全を期すため、11月10日に延期すると、NHKニュースなどが速報で伝えた。

NHKニュースによると、台風19号により広い範囲で甚大な被害が発生したことから、政府は、被災地への対応に万全を期すため、一連の式典のうち「祝賀パレード」を11月10日に延期する方針が固まったという。なお、即位を国内外に宣言する「即位礼正殿の儀」や、皇居・宮殿での祝宴「饗宴(きょうえん)の儀」は予定通り22日に実施するとしている。なお、儀式はおこなわれるため、22日は予定通り祝日になるという。

今回の「祝賀パレード延期」について、ネット上では「支持します」「そうなるよね」「中止して費用を被災地の復旧にあててほしい」など、さまざまな意見が多数寄せられている。

Twitter上の反応

※本記事内のツイートにつきましては、Twitterのツイート埋め込み機能を利用して掲載させていただいております。

source: NHKニュース朝日新聞共同通信

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中国、台湾、韓国以下。デジタル競争力世界30位という日本の惨状

台湾の国際的評価が年々アップするのに比して、あらゆる面での凋落が止まらない日本。その事実は世界の競争力調査の結果を見ても明らかです。台湾出身の評論家・黄文雄さんはメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』で、台湾の評価アップ、そして日本の競争力低下の理由を記すとともに、国力バランスに同期する世界情勢の変化について考察しています。

※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2019年10月16日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

【台湾】国際評価の高まりで注目を浴びる台湾の行方

台湾の競争力、12位に上昇 イノベーション力などは世界トップレベル

台湾社会に対する国際的評価が高まっています。スイスのシンクタンクである世界経済フォーラムWEFによる2019年国際競争力ランキングが発表されました。詳細は以下、報道を引用します。

台湾は前回より1つ順位を上げて12位となった。指標別では「マクロ経済の安定性」や「イノベーション力」が世界トップレベルと位置付けられた。

 

141カ国・地域を対象に、「労働市場」「インフラ建設」「健康』など計12項目を各100点満点で評価する。1位はシンガポール。2位以下には米国、香港、オランダ、スイス、日本が続いた。

 

アジア太平洋地域では、台湾はシンガポール、香港、日本に続いて4位。韓国(世界13位)やオーストラリア(同16位)、ニュージーランド(同19位)などを上回った。

 

台湾は「マクロ経済の安定性」で満点の100ポイントを獲得。また、「イノベーション力」の得点は80.2ポイントで、ドイツ(86.8)、米国(84.1)、スイス(81.2)に次ぐ4位だった。イノベーション力で80ポイント以上が付いたのはこの4者のみで、順位は前回と変わらなかった。

 

このほか、「金融システム」(6位)、「ICT(情報通信技術)普及度」(11位)、「商品市場」(14位)などの順位が高かった。

このランキングは、世界141の国と地域を対象とし、その国の金融システムや革新力、労働市場や健康事情など12項目を100点満点で評価しています。10位までのランキングは以下の通りです。

「世界競争力報告」2019年 上位10か国

 

1位 シンガポール

2位 アメリカ

3位 香港

4位 オランダ

5位 スイス

6位 日本

7位 ドイツ

8位 スウェーデン

9位 イギリス

10位 デンマーク

『世界競争力報告』香港が3位に上昇。日本は6位に後退(2019年)

このランキングの項目には、インフラやイノベーションなどの言葉が並び、政治がうまく回っていなければ実現できない項目もあるようです。つまり、蔡英文政権はここでも高く評価されたということです。逆に日本は前回の5位からひとつ順位が下がりました。アメリカも前回の1位から2位へダウンしました。

台風19号の水害を拡大させてしまった想起ヒューリスティックの罠

70名以上の死者を出すなど、各地に甚大な被害をもたらした台風19号。接近前から異例とも言える注意喚起がなされていましたが、河川氾濫などにより多くの人命が奪われる結果となってしまいました。このような状況を受け、「今、自然災害ときちんと向き合わないと、私たちの命が危険にさらされる」とするのは、「ニュースステーション」に気象予報士として出演していた健康社会学者の河合薫さん。河合さんはメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』で、今回の台風被害が大きかった理由を記すとともに、一人ひとりが災害とどう向き合うべきかを論じでいます。

※本記事は有料メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』2019年10月16日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:河合薫(かわい・かおる)
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

台風19号が日常になる日

台風19号の被害状況がだんだんと明らかになってきました。国土交通省によると15日午前5時までに、長野や宮城など7県の47河川66カ所で堤防の決壊を確認。13日夕方時点で把握されていた6県の21河川24カ所から大きく増えました

今回の台風は強さと規模が大きく、予想されたコースからは風や雨が予想以上になると考えられました。ですから私自身、FBなどで警戒を呼びかけていましたが、ここまで被害が大きくなるとは。…言葉もありません。

特に河川の氾濫がここまで広範囲に渡るとは、全く想像していませんでした。今、冷静に振り返ると、数週間前の台風15号が千葉県にもたらした被害の多くが暴風によるものだったことが影響しているように思います。

いわゆる「想起ヒューリスティックAVAILABILITY HEURISTIC)」の罠にはまっていたのではないか。そう思えてなりません。

想起ヒューリスティックは「人が判断や意思決定をする際無意識に使っている法則や手がかり」を意味し、理詰めで正しい答えを探るアルゴリズムと対比される概念です。

想起ヒューリスティックでは、記憶時のインパクトが大きかった情報何度も経験している情報身近な人の具体的な情報を手がかりに未来を予想します。

たとえそれが「極めて稀」な現象であっても、「経験則として優先されてしまうのです。

本来であれば気象庁から「狩野川台風並み」と注意喚起されたときに河川氾濫の怖さと被害をイメージするべきでした。

メディアでは狩野川台風での死者数の多さばかりが報じられていましたが、大規模な治水対策のきっかけになったのが、まさに狩野川台風だったのです。

狩野川台風では、伊豆半島中央部を流れる狩野川上流で鉄砲水や土石流が集中的に発生。約1,200箇所の山腹や渓岸が崩壊しました。激しい水流で山が2つに割れる現象が起こるなど壊滅的。狩野川下流では川の堤防が破壊され、広範囲の住宅が浸水し、橋梁には大量の流木が堆積し、浸水する地域はさらに広がりました。

堤防が崩壊し鉄砲水となり、避難所となっていた修善寺中学校に押し寄せ、さらに下流の大仁橋の護岸を削り、濁流が町を飲み込み多数の死者が出てしまったのです。

関東地方南部でも浸水被害が拡大し、東京では死者・行方不明者が46人(15日時点)。浸水家屋は33万戸近くで、静岡県全体の20倍にも達しました。

この未曾有の水害を教訓に、10年後、狩野川放水路が完成したのです。

そもそも日本の川はジェットコースター並みの勾配があり、日本の自然災害の歴史は洪水の歴史といっても過言ではありません。

今回の台風19号では、誰もが「豪雨と強風に備えなきゃ」と危機意識をもったはずです。でも、もし狩野川台風のときの川の氾濫や洪水浸水被害の知識が共有されていれば救えた命もあったのではないでしょうか。

米軍撤退でほぼ丸腰。トランプに振り回される「クルド人」の悲哀

10月7日、トランプ大統領がシリア駐留米軍の撤退を開始させるや、シリア国内で「米軍の駒」として軍事支援を受けていたクルド人地域を攻撃し始めたトルコ。これを受け、無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者で国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんは今回、トルコがクルド人地域を攻撃した真の理由や、その攻撃に対するトランプ大統領の本音を探るとともに、今後の中東情勢の行く末を占っています。

なぜトルコは、シリアのクルドを攻撃するのか?

トルコ軍は10月9日シリア領内のクルド人支配地域への攻撃を開始しました。今回は、これについて考えてみましょう。

シリア情勢復習

少し、シリア情勢を思い出してみましょう。まず、シリアでは、2011年から内戦がつづいています。ロシア、イランは、アサド現政権を支援しています。アメリカ、欧州、サウジアラビア、トルコなどは、「反アサド派」を支援しました。

皆さん、思い出してください。当時、中東、北アフリカで、「アラブの春といわれる民主化運動」が流行っていた。それで、次々と中東、北アフリカの独裁政権が倒れていた。

アメリカは、「アサド政権もすぐ倒れるだろうと思っていた。ところが、ロシアとイランの支援で、アサド政権はなかなか崩壊しません。我慢できなくなったオバマは2013年8月、「シリア(アサド政権)を攻撃する!」と宣言した。理由は、「アサド軍が化学兵器を使ったから」でした。ところが翌9月、シリア戦争をドタキャンして、世界を仰天させました。

この後、「反アサド派」が分裂しました。分裂して出てきたのが、「イスラム国」(IS)です。ISは、油田を確保し、資金を得て、急速に勢力を拡大していきました。ISは、外国人を捕まえ、残虐に殺し、その様子を動画で世界に配信する。また、ISは、世界各地(特に欧州)でテロをする。それで、アメリカは2014年8月IS空爆を開始しました。

しかし、アメリカが空爆しても空爆しても、ISは衰えません。なぜ?理由は、ISが「反アサド派から独立した」という事実にある。アメリカは、「反アサド」です。「反アサド派」も、もちろん「反アサド」です。「反アサド派」から独立したISも、「反アサド」です。というわけで、アメリカとISはどちらも反アサド」ということで、利害が一部一致している。だから、アメリカは、本気でISを攻撃できないのです。

では、なぜISは衰えたのでしょうか?2015年9月から、プーチン・ロシアがISへの空爆を開始したからです。なぜそれで、ISが衰えたのでしょうか?ロシアは、「親アサド」です。ISは、「反アサド」です。だから、ロシアは、ISをせん滅するのに、躊躇がない。で、ロシアは、ISの石油インフラを集中的に空爆した。それで、ISは金がなくなって急速に衰えたのです。

その後、シリアはどうなったのでしょうか?ロシア、イランが支援するアサドは、「反アサド派」「IS」をほぼ打倒し、シリアの支配権を7割方回復しました。プーチンは2017年12月、シリアのロシア空軍基地を訪問し、「勝利宣言」をしています。

ところで、アサドが支配権を回復できていない残り3割」は、何なのでしょうか?残り3割にいるのが、クルド人支配地域。ここには米軍が駐留しているので、アサドも、ロシア軍も手出しできませんでした。

クルドとは?

クルド人は、全世界に2,500~3,000万人いる。「自分の国家をもたない最大の民族」といわれています。もっともクルド人が多いのはトルコ。1,140万人のクルド人がいるといわれる。少数民族として、長年差別の対象になっています。

トルコからの独立を目指す勢力クルド労働者党PKK)がある。PKKは、トルコ政府からテロ組織とされています。シリアには、280万人のクルド人がいるといわれています。クルド人の武装組織「クルド人民防衛隊」(YPGアメリカの支援を受けISとの戦いでは大いに活躍しました。

言われて気付いた速歩の「損」。速歩と情趣を両立させる新ルール

不動産の物件情報で徒歩10分は800mと言われ、時速は4.8km。大人の女性なら少し速足に感じられるスピードかもしれません。しかし、メルマガ『8人ばなし』の著者の山崎勝義さんは普段、時速6kmから6.5kmで歩いているそうで、女性にはかなりのスピードに映るでしょう。それほどの速歩きが故に知人女性から「損してますね」と指摘されたことがあるそうで、その意見に納得した山崎さんは、歩く際に新しいルールを設定しました。いったいどんなルールなのでしょうか。

速く歩くこと

私は歩くのが速い。複数の人からそう言われるから、きっとそうなのだろう。試しにトレッドミルで計測してみたら大体時速6kmから6.5kmくらいのスピードであった。

基本的に東京の人は皆歩くのが速いから、この程度なら不自然ではない…たぶん。少なくとも歩く速さのせいで変な顔をされたり睨まれたりしたことはない。もっとも自分では確認のしようのない後方のことは何とも言えないが。

という訳で私はぐんぐんずいずいと歩く。ただ何事にも功罪はある。とにかく目的地には早く着く訳だから、まずもってこれが最大の功である。罪の方はと言うと、うっかり道でも間違えようものなら恐ろしく遠くまで行ってしまうこと、途中気になる店があっても立ち止まるには急制動を掛けねばならないから後ろ髪を引かれつつも見送るしかないこと、見知った人とすれ違ってもその人を同定する頃には遙か遠くまで進んでしまっていること、くらいである。…くらい?ざっと数えただけで結構ある。本当に損益的に問題がないと言えるのだろうか。

そう言えば以前、ある女性にこんなことを聞かれたことがある。
「歩いている時はどこらへんを見ているんですか?」
「大体7、8メートル先を上目使いで見ている」
直線的に進むにはこの距離で障害になり得るものを認知しておく必要がある。顎を上げていてはスピードが出ない。合理的な答えだ。

「今まで道に落ちている物を見つけたことは?」
「そう言えば歩いている最中にはないような気がする。そもそも下をあまり見ないし」
「雪の日でも?」
「いや、雪の日は見る。足下も見るし、雪でいつもと様子が違う石畳やレンガ、マンホールなど、もの珍しくて寧ろあちこち見ちゃう」
「そんなことが季節ごとに結構あるんですよ。損してますね」

そう言えばそうだ。雪も降る。桜も咲く。散りもする。雨も降る。紅葉もする。落葉もする。それらの事象を全て無視して求道者の如くただひたすらに歩くことに何らの得もあろう筈がない。速歩と情趣は共起しない

とは言え、長年慣れ親しんだスピードを捨てて遅く歩くのは、高速道路を一般道の速さで走っているようでどうも落ち着かない。だから一つだけルールを追加した。「時々立ち止まる」である。初めから止まるつもりでコース取りをして行けば後続者に迷惑が掛かることもない。そうして止まってから周囲を眺めるのである。

いろいろ気付く。先に挙げたようなことだけでなく、看板や建物も見れば結構面白いものがある。そのいちいちに意識を向ければ見慣れたものなどないと言えるほどである。こうやって今まで取りこぼしてきたものを回収しながら、ぐんぐんずいずいと歩くのである。

「肩のところに桜の花びらがついてますよ」
私の速歩を指摘してくれた女性が桜の頃に見つけてくれた。まだ紅葉落葉にはおよそ早いが、立ち止まって街路樹を見ながらその時のことをふと思い出したりした。

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チョ・グク氏辞任で日韓問題がさらにこじれる歴史的理由

日本のマスコミではあまり報じられない海外のメディアのニュースを、本当はどう報じられているのか解説する無料メルマガ『山久瀬洋二 えいごism』。今回は、大抜擢の後、電撃的な辞任を発表したチョ・グク氏の問題を、韓国の民主化の歴史のなかで日韓関係がどのように扱われてきたのかを紐解きながら解説し、今後の日韓関係がどう動いていくのか予測しています。

チョ・グク氏法相就任と日韓関係の今後との関係

【ニュース解説】

日本と韓国との関係が冷え込む中で、その経済的な遺失利益もかなりのものになろうとしています。実際日本と韓国とを結ぶ定期航空便も運休が続き、人々の行き来も大幅に減少していることは周知の事実です。

そんな韓国で、最近話題になっていたチョ・グク氏の法務大臣(韓国では法務部長官)指名にまつわる一件は、日韓関係の今後を考える意味でも極めて重要です。

日本ではなぜ身内のスキャンダルに揺れるチョ・グク氏が、ムン・ジェイン大統領によって法務大臣に指名され、かつその後電撃辞任に追い込まれたのか、そしてそのことと日韓関係の問題とがどのようにつながっているのか、冷静に報道しているマスコミも少ないように思えます。

この問題を理解するためには、まずムン・ジェイン大統領という人物をもう一度見つめてみる必要があります。
彼は、朝鮮戦争で分断された貧しい家族の元に生まれます。そして、若い頃は軍事政権下で民主化運動に携わり、投獄された経験もありました。韓国は、南北に分断された後、民主化運動を抑え込む形で、軍事クーデターを経て、1963年にパク・チョンヒ元大統領による軍事政権が発足したのです。

世界的にみるならば、当時は冷戦の最中でした。キューバ危機からベトナム戦争へと、冷戦が実際の戦争へと拡大しつつある時代でした。南北に分断された朝鮮半島での危機も、今以上に緊迫していたのです。そうした状況の中で、パクチョンヒ政権は、外交的にはアメリカや日本との関係を軸に韓国経済の強靭化を推し進めようとします

パク・チョンヒ元大統領は、維新の名の下に様々な経済改革を断行しますが、一方で言論も激しく弾圧します。秘密警察や検察官の権限が強化され、拷問などによる過酷な取り調べも横行しました。そんなパク・チョンヒ元大統領の政策に対して、各地で民主化運動が起こり、その最中の1979年に彼は側近に暗殺されてしまいました。

しかし、その後韓国が民主化するまでに8年の年月がかかります。この期間に政府は何度も民主化運動に対して厳しい弾圧を行い、実際に多くの血が流れたのです。その過程で、韓国国内では政府以上に強い権限を持っているとされた検察に対して多くの人が不信感を抱くようになったのです。

実際に、1987年におきた民衆の抗議行動の発端は、民主化運動をしていた学生が検察官の取り調べによって死亡したことに端を発していました。その年にやっとのことで、韓国政府は言論の自由を認め、民主的な選挙を約束します。

その後、それ以前の政権の流れを汲む保守と、民主化運動を進める革新という二つの勢力が、韓国の政界では常にライバルとして対立します。ムン・ジェイン大統領は革新側を代表し大統領になったノ・ムヒョン氏によって引き上げられた人物だったのです。彼は民主化運動を進める弁護士として活動していたのです。

しかし、そんなノ・ムヒョン元大統領も、退陣後汚職疑惑によって検察の取り調べを受ける前に自殺してしまいます。こうした経緯から、ムン・ジェイン大統領は検察制度の改革こそが韓国の民主化の最終目標だという政治理念を抱いてきたのです。そして、検察権力へ対抗する切り札だったのがムン・ジェイン大統領の側近で、彼の後継者とされていたチョ・グク氏だったのです。

そして、チョ・グク氏が今日になって電撃辞任をした真相はまだこれから明らかになるにしても、その事件とノ・ムヒョン元大統領が追い込まれた一件とに共通する生々しい韓国での政治闘争での共通点があるように思えるのも事実でしょう。

革新側につく人々は、チョ・グク氏への汚職容疑での取り調べは、そうした民主化への道を閉ざそうとする検察権力の陰謀だと指摘します。
それに対してパク・チョンヒ元大統領の娘として大統領になりながら、権力を私的に乱用したことで弾劾されたパク・クネ前大統領を支持する人々は、容疑をかけられているチョ・グク氏を法務大臣に抜擢する行為自体大統領の横暴だと批判します。さらにパク・クネ前大統領が裁判にかけられていることへも現政権の陰謀ではないかと疑念をもっているのです。今韓国ではチョ・グク氏への処遇を巡ってこのように国内の世論が二つに別れているのです。

では、このことと徴用工や慰安婦問題をもって日本を糾弾する行為とは、どのように関連しているのでしょうか。
それは、戦後になって日本との国交を正常化させたのが、パクチョンヒ元大統領による軍事政権下でのことであったことと深く関係しています。

経済復興を優先する当時の政権が、過去に日本が韓国を植民地にし、戦前戦中に韓国の人々に加えた様々な人権侵害についての微妙な解釈を先送りにしたままで、日韓基本条約によって日本と国交を正常化させたことが、その後の韓国での民主化運動の中で問い直されたからに他なりません。民主化運動の動きへの言論弾圧の中で交わされた日本との取り決めそのものが民意を反映していない政策の象徴となっていったわけです。

であればこそ、革新の流れを汲む民主党から大統領になったムン・ジェイン氏にとって、この問題は法的にも再検討すべき課題という立場を取り続けているのです。

では、パク・クネ前大統領などが率いてきた保守の流れをくむセヌリ党はどうかといえば、これはこれで、民主化によって改めて指摘されるようになった「日本とのねじれた関係」を日本の謝罪という形で収束させることが民意を得る上では欠かせないまでになってしまったのです。
つまり、日韓問題にけじめをつけることが民主党にしても、セヌリ党にしても政権を維持する上で唯一共通して合意できる外交政策になってしまったのです。

韓国の中では、民主化をさらに進めてゆこうとする人が、チョ・グク氏を次期大統領へという動きもでてきています。
残念なことは、民主化というある意味で未来に向けて社会を変えてゆこうとする動きが、その過程の中で日韓関係の過去の問題と絡んでもつれてしまったことです。

韓国は植民地時代、そして朝鮮戦争での惨劇を経て、軍事政権の時代に経済成長をはじめました。民主化運動はその経済成長に遅れをとる形で、人々が豊かになる過程でうねりが大きくなり、そこで日韓関係の課題が公に論議されるようになったのです。そして、その矛盾に対して、日本側の対応も感情的であったことは否めません

アジアの文化は、もともと過去の土台の上に未来をみようとします。それは、過去は過去として切り離し、未来への利益のために妥協してゆこうとするアメリカなど欧米の発想とは大きく異なります。
この発想の違いが、韓国の国内事情、さらには日本の反発に拍車をかけていることを、どこかで双方が気づく必要があるのではないでしょうか。

image by: 대한민국 청와대 [KOGL Type 1], via Wikimedia Commons

大きく深い台風19号の爪痕。被害を受けた会社が活用できる制度

 数十年に一度とも言われる大雨を伴い日本に上陸し、列島に多くの被害をもたらした台風19号。その影響により事業再開の目処が立たないといった事業者の声も多数聞かれます。今回の無料メルマガ『採用から退社まで! 正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ』では著者で現役社労士の飯田弘和さんが、そんなケースで活用できる特別措置等を紹介しています。

台風19号被害への対応について

台風19号によって、広範囲にわたって甚大な被害が発生しています。水害等の被害を受けた事業所もあるでしょう。しばらくの間、事業再開のメドが立たない事業所もあるでしょう。このような時、雇用保険制度の特別措置や雇用調整助成金を活用できる場合があります。

雇用保険の特別措置とは、災害によって事業を休止・廃止したために一時的に離職した従業員に対して事業所の再開が予定されている場合であっても従業員が失業保険等を受給できるものです。台風15号による災害や台風15号の影響による停電で事業所を休業した場合には、弾力的に対応することになっています。おそらく、台風19号の被害についても同様に、弾力的な対応がされるでしょう。

また、台風15号の被災事業所については、労働保険の納付猶予措置が受けられます。台風19号での被災についても、同様の扱いがされるでしょう。労働保険の納付猶予のためには申請が必要となります。申請時には、「納付猶予申請書被災明細書」を、労基署または都道府県労働局保険徴収室に提出し、内容審査を受けます。

次に、雇用調整助成金についてお話しします。雇用調整助成金とは、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が一時的な休業等を行うことで雇用維持を図る場合に休業手当や賃金などの一部を助成するものです。この雇用調整助成金が、今回の台風19号被災事業所で活用できる場合があります。詳しくは、ハローワークへお問い合わせいただくのが良いと思います。

また、今後、復旧作業に伴い、残業や休日労働が増加する事業所もあると思います。その時に、36協定で締結した残業時間や休日労働の上限を超えてしまう可能性もあるでしょう。この場合、労基法33条に基づく協定を締結・届出ることで36協定の内容を超えた残業や休日労働が可能となります。

この届出は「非常災害等の理由による労働時間延長・休日労働許可申請書」といいます。労基法33条第1項または第2項により、使用者は、労働基準監督署長の許可(事態が急迫している場合は事後に届出)により、必要な限度の範囲内に限り時間外・休日労働をさせることができるとされています。ただし、労使協定の締結は必要ありません(もちろん、残業代等の支払いは必要です)。特に、電気・ガス・水道・通信や道路・鉄道のライフラインの復旧に携わる事業所については、今後、残業や休日労働の増加が予想されます。ぜひ、こういった届出があることを覚えておいてください。

また、台風による休業については、第279号「台風で電車が運休・遅延した場合、会社は賃金の補填をするべきか」も参考にしてください。

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