いじめ防止対策推進法に懲戒規定を、猛反対したのは校長会だった

教師がいじめを助長、放置するような事態をこれ以上増やさないために「いじめ防止対策推進法」の改正案に盛り込まれた「懲戒規定」が、一転して削除が決定したことは既に報道済みですが、各所から不安の声が上がっています。今回の無料メルマガ『いじめから子どもを守ろう!ネットワーク』には、「教師や学校主体の削除理由」に異を唱える元高校校長の見解が記されています。

学校の「いじめ」と教師の懲戒

いじめ防止対策推進法の改正案から懲戒規定が削除された件について、教育現場にいる者として、意見を述べたいと思います。

教師としては、組織的に「いじめを察知する体制、「いじめを許さない姿勢」を持つことが重要だと思います。

校長会等が、懲戒規定への反対理由として言う、「現場の萎縮を招く」という言葉の意味は、懲戒処分の有無による「萎縮」というよりも、「いじめ」を把握した、あるいは疑いを持った際に、「加害生徒の保護者からクレームが入るのではないか」、あるいは、「疑った生徒との関係が悪くなるのではないか」、という不安、心配から来ているのです。

さらには、学級担任や教科担任の立場からは、自分のクラスでいじめを発生させたこと、また、自分で適切に対処できないことで、「周囲から力量不足と見られるのでは」、との自己保身から出てきます。または、日本の外交・安全保障と同様の「事なかれ主義」の可能性も大きいと言えます。

「いじめ」は、本来、生徒の学校生活やその後の人生に大きく関わってきます。その「いじめ」を防止・解決することは、教師の役割の中で根幹にかかわることであります。「懲戒規定」の対象は、いじめ加担、いじめ助長、いじめ放置、いじめ隠蔽等ですから、通常あってはいけないケースです。それで「委縮を招く」とはどういうことでしょうか。「見て見ぬ振りができずに困る」ということになってしまいます。

もちろん、「いじめ」を把握した際は、「許せない」と思うと同時に少なからず緊張感も出てくるものです。しかし、一教師が一人で抱え込むのではなく、当然ながら管理職を中心に組織的な対応を行うことが必要です。校長自らが「いじめ」解決に積極的に取り組む姿勢が欠かせません。「長の一念が極めて重要であり、不可欠です。

「いじり」に関しては、テレビのお笑い番組の影響も少なからずあると思いますが、教師が加担もしくは容認する理由は、「いじり」を行っている生徒やグループへの「迎合」です。それ自体、「懲戒処分が行われて当然のことです。

さらに、教育委員会事務局の問題にも触れてみます。私のささやかな経験からですが、教育委員会事務局は、平時には、「教育委員会は校長先生たちの後ろ盾になります」と言います。しかし、ひとたび問題が発生すると、問題が重大であればあるほど、「校長に任せてあります」という姿勢になりがちです。「後ろ盾」ではなく校長の後ろに回り校長を盾にする感じです(笑)。私も後ろから弾が飛んで来るような、歯がゆい気分になる事態に何度も遭遇したものです。行政とはそんなものなのかもしれませんが、「教師の魂」をもっていただきたいものです。

大切なことは、一人一人の教師が「いじめを許さず立ち向かう姿勢を示し、現場の「長」である校長がその教師を支える姿勢を示すことです。教師は、「『いじめる』こと自体が『いじめる』生徒にとっても良くない」ということを理解すべきです。教師の一人として、「懲戒規定は当然であり現在の状況下においては教師としての気概を示すためにも必要だと思います。

「当たり前」ともいえる「懲戒規定」の導入に関しては、PTA組織や市町村や県の心ある議員さんの御協力を得ることも一案だと考えます。

公立高校 元校長 清川 洋

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ステージが再現、CDの音も変わるスピーカーの「特異な」売られ方

自社製品の価値に絶対の自信があったとしても、それがターゲットに伝わらなければ売上は期待できません。では、どのような手法が有効となってくるのでしょうか。今回の無料メルマガ『MBAが教える企業分析』では著者でMBAホルダーの青山烈士さんが、多くの「一流の場」で採用されているスピーカーを扱うメーカーの戦略・戦術について詳細に分析しています。

利用シーンに合わせて複数の体験する場を用意する

今号は、非常にユニークなスピーカーを分析します。

エムズシステム

戦略ショートストーリー

スピーカーの音にこだわりのある方をターゲットに「特有の技術」に支えられた「生演奏のような臨場感あるステレオサウンドが楽しめる」等の強みで差別化しています。

試聴会や体験会など体験を重視したプロモーションをとおして、実際に波動スピーカーの価値を体感した顧客から高い評価を得ています。

■分析のポイント

エムズシステムのスピーカーは既存のスピーカーとは全く異なる印象です。

そういった画期的な製品の価値は、文字や言葉では伝えにくいですし、音で差別化している製品ですから、映像でも伝えるのは容易ではありません。

当然ですが、消費者は、何らかの価値を感じなければ購入しようとは思わないでしょう。価値が伝わらなければ売れないということですね。

これは逆に言えば、他社にない魅力的な価値を持っている場合、価値を伝えることができれば、売れる可能性が高まるということです。

そこで重要となるのがどのように価値を伝えるかということです。価値を伝えるうえでポイントとなるのが、顧客ターゲットに価値を体験してもらうことです。

スーパーの食品売り場では新商品の魅力を伝えるのには、試食が有効ですし、新規出店したお店の魅力を伝えるには、サービス業の場合、無料体験などは有効な打ち手と言えるでしょう。

「エムズシステム」の場合、顧客ターゲットに価値を伝えるための取り組みとして「視聴会体験会」など、価値を体感してもらう場を様々な利用シーンに合わせて用意しています。恐らく、自社の提供価値に関心を持ってくれる顧客ターゲットに価値が伝わる場を提供すれば、製品が売れるという自信のようなものがあるのでしょう。

そして、体験してもらうには、体験したいと思ってもらうことがカギになります。その部分での「エムズシステム」の打ち手は導入実績や顧客の声の紹介があります。

音にこだわる方であれば、リッツカールトン東京スイートルーム全室で採用されていると聞けば、そのスピーカーの音には関心を持つでしょうし、その他、多数の実績を目にすれば、興味を持つ方は多くいると想定されます。

それらの打ち手の結果として体感してみたいと思われる方が多くいるということを「演奏家のいない演奏会」が400回以上も行われている実績が示しています。「エムズシステム」は体験したいと思わせる工夫と価値が伝わるための体験の場の工夫をうまく組み合わせているということです。

もちろん、多くの企業が他社との違いを伝えるべく、様々な努力をしているわけですが、消費者に体験したいと思わせること、様々な体験の場を用意することの重要性を改めて感じさせてくれた好事例だと思います。

今後、エムズシステムがどのような存在になっていくのか注目していきたいです。

顧客に信頼される営業マンがパンフレットをなかなか見せない理由

「新規顧客への最初のアプローチに自社製品のパンフレットを持参するかしないか」と聞かれたら、「する」と答える営業マンがほとんどではないでしょうか。ところが…、無料メルマガ『ビジネス真実践』の著者で人気コンサルタントの中久保浩平さんは、「最初の持ち物はノートとペンと名刺だけでいい」といいます。その理由とは一体?

非常識なのか?常識なのか?

新規のお客様へは商品や会社のことをよく知ってもらうためにパンフレットやカタログの類を持参するのが一般的だと思います。しかし、某システム系法人営業の営業マンであるKさんは、新規の顧客、既存顧客へ訪問する際、最初のアプローチではパンフレットの類を一切持って行きません。持っていくのは、ノートとペンと名刺だけ。それ以上でも以下でもありません。

それなのに、お客様からの信望が厚く新規の顧客獲得の成果も飛びぬけています。

理由は明確です。Kさんは、「営業マンは、まず相手の話を聞くということに徹し、その姿勢を相手にも見てもらい、感じてもらう。それが相手の立場により近く立てることになる」「さらに、相手の話を聞きもせずにお客様へ最適な提案企画も出来るはずもなくましてや商品の案内サービスの紹介など出来るはずもない」ということをよ~く理解しているからです。

では、Kさん、いつどのタイミングでパンフレットやカタログを出し商品案内、提案などをするのか?というと、自社(自社商品やサービス)が、相手のニーズや課題解決に役立てる。あるいは、100%満足して頂けると確信した時だけです。つまり、成約してして頂けるだけの条件が揃っていると判断した時です。それまでは一切セールスをしません。ただ、お客さんの話を聞き、それに対して役立てるもの、満足して頂けるものが、自分の中に、自社の中にあるかどうかを判断しているのです。

このようなスタンスで活動している営業マンが世の中にどれくらいいるのかは未知数ですが、ただ言えることは、最初からパンフレットを持って営業をすれば、それを中心にして、あるいは、頼って話を進めてしまう。そうなると、どうしても商品やサービスを案内してしまおうとしてしまいます。結果、お客さんのニーズとズレたものを提案してしまっていたり相手が不要と感じていることもわからずに売り込んでしまい失敗するのです。

そうは言っても、何もなければお客さんと接触できない、お客さんから「パンフレットとかはないの?」って聞かれたらどうするの?って、思う方もいるかも知れませんが、別に問題はありません。まずはお客さんのことをよく知ることが大切なのでそのことを正直にお伝えすればいいだけの話。「まずは、御社のことをよくお伺いしてからではないと」と。

いきなりパンフレットを持って案内しセールスをかけるというのは、競合他社と同じことをやっていて、いくら最適な提案といっても、それは売り込みと何ら変わりないのです。少し考えてみればよく解ると思います。

だからと言って、成果を上げなければ…というのもよく解りますが、お客さんにとっては、営業マンの成績、その会社の売上などは全く関係の無いことです。成果、成績、売上をなんとかしなければ…というのは、全て売る側の都合でしかありません。売る側の都合だけで売り込まれるお客さんは迷惑なだけなのです。

このことをよく理解しておけば、お客さんとの関係は築いていけますし、ほんとうにそのお客さんにとって最適な商品やサービスの提案が出来るようになるので、自然と結果はついてきます。また、競合他社との営業マンに比べ一目置かれる、なんてことも十分に可能です。

御社の営業活動は、自社の数字的な都合だけで動いていませんか?また、自社都合だけの営業活動にならないために出来ることはどんなことがありますか?誰からも頼りにされ、お客さんから信望が厚く、信頼される営業マンを育てる為に出来ることはどんなことがありますか?ぜひ、この機会に考えてみてください。

■今日のまとめ

「お客様に貢献できる、100%満足してもらえると確信した時にカタログやパンフレットを出す」

  • パンフレットやカタログを持たずにお客様と信頼関係を築いていくにはどんな工夫や取り組みが必要か?考えノートに書き出す
  • お客様の話をしっかりと聞くために普段からどのような準備をすればいいか?考えノートに書き出す
  • 上記2つのことをみんなで発表し合い実践する。

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台湾を裏切り中国を選んだソロモン諸島が陥る「債務の罠」

習近平政権による台湾への「嫌がらせ」行為が止まりません。16日には中国から巨額の援助をちらつかされたソロモン諸島が、台湾との断交、中国との国交樹立を決定しました。これまでも同様のケースは相次ぎましたが、中国に転んだ小国に待つのは「債務の罠」しかないとするのは、台湾出身の評論家・黄文雄さん。黄さんはメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』で、これまで中国に嵌められてきた国々そとの惨状を紹介。さらに「台湾重視」を強めるアメリカの政策を記すとともに、日本で法制化が求められている「日台交流基本法」についても紹介しています。

※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2019年9月18日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

【台湾】台湾と断交したソロモンが陥る「債務の罠」

台湾、ソロモンと断交 国交国16カ国に 呉外相「極めて遺憾」

ソロモン諸島が台湾と断交し、中国と国交を結ぶと宣言しました。各報道にもありますが、これで蔡英文政権になってから台湾と断交した国は6か国目です。以下、報道を一部引用します。

中華民国は1983年にソロモン諸島と国交を樹立。ソロモンは台湾が外交関係を有する太平洋の国のうち、面積(2万8,450平方キロメートル)、人口(約60万人)ともに最大だった。残る太平洋の国交国はキリバス、マーシャル諸島、ナウル、パラオ、ツバルの5カ国。

これで台湾と外交関係のある国は16か国となりました。蔡英文総統は、このことに関して以下のような声明を出しています。

蔡総統は、中国の介入や圧力を前に「台湾は決して脅しに乗らない」と強調。「中国の金銭外交とは張り合わない」とし、台湾がソロモンに提供した医療や農業、教育、文化などの分野における援助は「金銭で計れるものではない」と述べた。

ソロモン断交 蔡英文総統、中国を「最も厳正に非難」/台湾

中国は、香港の騒動が台湾人に一国二制度は恐ろしいものだという印象を与えたと焦っています。そして、その影響は2020年の台湾総統選挙で蔡英文を有利に導くのではないかとの危機感を持っています。そこで、あの手この手で蔡英文政権への嫌がらせを加速しています。

外交関係にある国々を金銭外交で台湾からむしり取っていくのも、中国の常套手段のひとつです。ソロモン諸島が中国の手に落ちたことで、台湾の呉外交部長は「日米豪のインド太平洋戦略は『大きな衝撃を受ける』と警鐘を鳴らした」ということです。

香港での反中デモが世界中で報道されている一方で、ソロモン諸島が中国になびき台湾と断交したことは、民主主義や自由よりも中国の援助のほうが重要という姿勢を示したともいえ、中国にとっては、現在でも自分たちを理解し応援してくれる国が増えているとアピールすることにもなり、香港問題で低下した中国への国際的イメージを上げまた台湾の蔡英文政権や民衆に圧力をかけることにもつながります。

確かに、報道によれば融資額は「台湾の今年の援助額が850万ドル約9億2,000万円)なのに対し、中国は断交の見返りに、期間は不明だが5億ドル約540億円)の提供を申し出たとの情報もある」と、大きく違います。しかし、呉外交部長は、中国の融資について以下のように述べています。産経新聞からの報道を引用します。

「中国は過去にも台湾の国交国を奪うため同様の約束をしたが、実行には大きな差がある」と主張。サントメ・プリンシペに6億ドルの港湾、ブルキナファソに10億ドルの高速道路・鉄道建設を約束した例を挙げ『着工すらされていない」と断じた。また、中国の援助国が「債務のわな」に陥っている実態も列挙した。

台湾、ソロモン「断交」を警戒 呉外交部長が中国の軍港計画指摘

その一例がスリランカのハンバントタ港です。ここは、2010年親中派のラジャパクサ前政権が中国から大量の融資を受けて、「商業的な港」として開発されました。しかし、フタを開けてみれば、中国の軍港を建設された上に、高い金利を支払えないスリランカ政府から港の運営権を取り上げた事実上の売却状態。港の建設で現地の経済が潤うとの人々の期待も裏切り、雇用されたのは中国人労働者ばかり。現地の人の雇用は増えませんでした。もちろん現地の人々も黙っていませんが、いくらストライキや集会をしても中国側に無視されるか握りつぶされるかのどちらかです。

中国に運営権「植民地同然」スリランカのハンバントタ港 融資→多額の債務→99年間貸与

中国の金銭外交に乗った小国は、結局は中国の軍事拠点として利用されるだけなのです。中国からの多額の融資は、経済を潤すどころか、高い金利が加算され経済を圧迫し国民を苦しめるだけです。しかし、中国に取り込まれた一部の政治家は、国益よりも私利私欲に走り、中国の要求を呑んでしまう。これも、人の弱味につけこむ陰謀に長けた中国の狡猾さが功を奏しているのでしょう。

貧乏人は諦めろ?大学入試の英語民間試験導入は誰のための改革か

2020年度から大学入学共通テストで活用される英語民間試験を巡り、当の受験生や高校サイドからは疑問や見直しを求める声が上がり続けています。それでも聞く耳を持たない文科省の姿勢に異を唱えるのは、健康社会学者の河合薫さん。河合さんは自身のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』で、教育の現場が不安や反発を感じざるを得ない、文科省の傲慢かつ拙速杜撰な制度「改悪」の進め方を批判しています。

※本記事は有料メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』2019年9月18日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:河合薫(かわい・かおる)
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

お金持ちの子供しかいらないの?

来年度から始まる大学入学共通テストへの英語民間試験導入に、反発が相次いでいます。

英語民間試験は、大学入試改革の目玉として、2020年度から大学入学共通テストで活用されるものです。

大学入試センターが、英語の「読む・聞く・話す・書く」の4技能を評価できる7種類の試験を認定。原則として高校3年生(現在の2年生)が来年4~12月に受けた2回までの試験の成績が、入試センターを通じて出願先の大学に送られ、合否判定に活用される予定です。

試験料は3,000円~20,000円程度かかり試験会場も首都圏などに限られることが予想されています(流動的)。朝日新聞と河合塾が共同で実施した調査では、大学6割高校9割が民間試験に問題がある」と回答。9割超が家庭の経済力が影響する」「公平性を担保できない」などを理由としてあげました。

一方、大学側では、東大、京大、名古屋大が、「民間試験の成績だけでなく、高校による英語力の証明書でも認める」とし、東北大、北海道大、京都工芸繊維大は20年度は民間試験の成績を合否判定に使わないと明言しています。

先月文科省が開設した英語の民間試験の情報をまとめたポータルサイトは「未定」という文字が部分が目立ち、明らかに準備不足であることがわかりました。

それでも文科省には「何が何でも2020から!」という破ってはいけない決め事があるようで、前文科相の柴山昌彦氏は高校生のやり取りにまで刃を向ける始末です。

発端は今月の6日、柴山氏が英語民間試験の実施団体のうち、英検(日本英語検定協会)と協定書を結んだことをツイッターで報告。この書き込みに対し、高校3年生と教師を名乗る投稿者が英検への不満などについて数回やりとりをし、高3生が、「私の通う高校では前回の参院選の際も昼食の時間に政治の話をした」などと書き込みました。

それに対し柴山氏は高3生の投稿を引用し「こうした行為は適切でしょうか?」とツイート。高3生は「友達とご飯食べながらこの政権はあそこはダメ、この党はここがダメと話し合うことは高校生はだめなんですか?」と尋ねたのに対し柴山氏はスルーしました。

それに対し「何が問題なのか?きちんと答えろ!!」などと批判が殺到したのです。

また、内閣改造で文科相になった萩生田光一氏が、「問題があれば、制度を磨いて、国民、受験生の皆さんに納得いただける試験にブラッシュアップしたい」と記者会見で述べたことで、これまた炎上し…。

入試という子供にも親にとっても大きなイベントが、「誠実という言葉とはかけ離れた形で変えられようとしているのです。

要するに「黙ってろ!俺たちの言う事聞けばいいんだよ!」ってことなのでしょう。

デモ続く香港の民主化リーダーがドイツで見せた鮮やかな情報戦

デモが本格化してから100日を超えた香港。未だ収束の気配が見られないばかりか、新しい動きも出てきているようです。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では著者で国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、香港の民主派リーダーがベルリンを訪問した事実と、彼の巧みな「情報戦戦略」を紹介しています。

香港の民主派リーダーがドイツで外交戦

香港情勢、今月に入って大きな動きがありました。

香港行政長官、逃亡犯条例の改正案撤回を正式表明

読売新聞オンライン 9/4(水)19:15配信

 

【香港=角谷志保美】香港政府トップの林鄭(りんてい)月娥(げつが)行政長官は4日、中国本土への犯罪容疑者引き渡しを可能にする逃亡犯条例の改正案を正式に撤回すると発表した。林鄭氏は、改正案撤回を求めて6月に大規模化した抗議運動を受け、既に改正案を事実上の廃案としている。今回の撤回発表は、廃案では納得せずに抗議運動を激化させるデモ隊に譲歩した形だ。

6月9日に、103万人デモが起こった。理由は、「逃亡犯条例改定反対!」でした。それで、香港デモは、「最初の目的を達成したことになります。しかし、デモはおさまりそうにありません。キャリー・ラム行政長官が3か月考えている間に、民主派の要求が5つに増えてしまった。5つの要求とは???

  1. 逃亡犯条例改正案の完全撤回 (今回実現)
  2. 平和的な市民活動を「暴動」と定義しないこと
  3. デモ参加者の逮捕と起訴をやめること
  4. 職権を乱用した警察の暴行を追及すること
  5. 行政長官辞任と、民主的選挙の実現
    行政長官は、1,200人から成る選挙委員会で選出される。任期は5年で2期まで。立候補には、中国政府の許可が必要で、反中派は立候補もできない。それで、デモは直接普通選挙の実施を求めている。

というわけで、後4つの目標を実現するために、デモはつづいていきます。

香港民主派リーダーがドイツで外交戦

私は、欧州情報ピラミッドを見る時、「DW(ドイチェ・ヴェレ)を参考にしています。ドイツの放送局ですが、私が見ているのは「ロシア語版」。2019年9月12日の放送を見ていたら、6分頃から「香港の民主派リーダーがベルリンを訪問した」という話をしていました。何が報じられていたか、まとめてみます。

  • ドイツの外相ハイコ・マースは、ベルリンを訪れた香港民主化運動のリーダー、ジョシュア・ウォン(23)と話した
  • 中国は激しく抗議したが、ドイツ外相は、「これからも香港民主化運動のリーダーたちと会う!」と断言した(@北野:えらいっすね)
  • ジョシュア・ウォンはDWに、「ドイツの(メルケル)首相は、香港の民主化運動に注目するべきです。そして、民主化プロセスを支持するべきです。香港を守ることは、その地域住民だけの問題ではないのです。世界の指導者たちは、30年前に起こった天安門事件の再来を許してはいけません」と語った(@北野「これは世界の問題なのですと主張することが情報戦のポイント)。
  • ジョシュア・ウォンは、DWで、「デモ隊は何を要求しているのか」尋ねられた。彼の答えは、「最大の要求は、自由な選挙の実施です。現在、香港の行政長官は、普通選挙で選ばれていません。行政長官は、中国共産党政権のマリオネットに過ぎないのです。行政長官は、民意によって選ばれるべきです。そうすれば、香港は、グローバル世界の一員として安定し、繁栄することができるでしょう」。彼は、普通選挙で行政長官を選べるようになれば、毎週起こっているデモはなくなるだろうといいました。

ジョシュアさんは、大学での講演もこなしました。大盛況だったようです。「自由のために命をかけている」と感動している学生さんもいました。ジョシュアさんは、アメリカにも行くそうです。米中覇権戦争の真っ最中。きっとアメリカでも大歓迎されることでしょう。

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