「黒い雨」原告全面勝訴を歓迎した各紙、解説しなかった読売新聞

75年前の8月6日、広島への原爆投下直後に降った「黒い雨」による健康被害を巡り、国が線引きした援護区域の妥当性などが争われた裁判で、広島地裁は原告側の訴えを完全に認める判決を下しました。今後は国が控訴するか否かが焦点となりますが、ひとまず今回の司法判断を新聞各紙はどのように報じ、論じたのでしょうか。メルマガ『uttiiの電子版ウォッチ DELUXE』著者でジャーナリストの内田誠さんが分析、解説を加えながら紹介し、批判が滲む読売の論調には疑問を呈しています。

「黒い雨」訴訟判決について、各紙の「論」を問う

ラインナップ

◆1面トップの見出しから……。
《朝日》…黒い雨 区域外も被爆者
《読売》…医療情報 デジタル共有
《毎日》…「黒い雨」訴訟 原告勝訴
《東京》…「黒い雨」救済判決

◆解説面の見出しから……。
《朝日》…黒い雨 国の「特例」否定
《読売》…対中包囲網 米豪主導
《毎日》…米中覇権争い 新局面
《東京》…再処理 矛盾抱え「適合」

プロフィール

■県と市のジレンマ■《朝日》

■特例を拡大せよと?■《読売》

■3号被爆者■《毎日》

■衝撃的な判決■《東京》

県と市のジレンマ

【朝日】は1面トップと10面のオピニオン欄に社説。31面社会面に関連記事。見出しから。

(1面)
黒い雨 区域外も被爆者
国の線引き「不合理」
広島地裁、初判断 84人全員認定

(10面・社説)
「黒い雨」判決
線引き行政改め救済を

(31面)
被爆75年 やっと認定
副団長急逝 届けたかった全面勝訴
8歳のあの日 黒い雨を友と浴びた
被爆者認定の新たな枠組み
法の趣旨立ち返り救済拡大を(視点)

2面の解説記事「時時刻刻」は、「黒い雨」を巡る援護行政と判決の詳細を簡潔にまとめている。これまで国は「黒い雨」の「大雨地域」にいて特定疾病を発症した人に対し、「恩恵的措置」として「被爆者」とする対応をとってきたが、今回の判決では、「黒い雨」を浴びて特定疾病にかかった人を、正面から援護法上の被爆者であると認めたと強調している。

となれば、当然、援護行政の見直しを求める声が強まるのは必至で、《朝日》も社説の中で、「地理的な線引きで対象者を限ってきた国の被爆者援護行政を否定し、個々の被爆体験に関する証言と健康状態を重視して広く救済する。そうした視点に立つ画期的な判決」と最大限の言葉で判決を評価している。

「時時刻刻」の最後段は、広島県・広島市の立場のねじれについて。特に広島市長は、「黒い雨降雨地域の拡大を」との言葉を平和宣言に盛り込むなど、被害を訴える人々への援護拡大を求め続けてきた。一方で、援護行政の手帳交付事務を委託されている立場としては、「小雨地域」の住民から被爆者健康手帳などの申請があっても却下せざるを得なかった。今回も、松井市長は「原告の方々の切なる思いが司法に届いた」としながら、被告としては「今後の対応について厚労省や件と協議して決める」と言わざるを得ない。ねじれは続いていると。

●uttiiの眼

市や県の立場のねじれについては、市独自、県独自の援護行政のなかで救済する方法はなかったのだろうかという問いかけがあって然るべきだろう。もっとも、仮にそのような「救済」がなされたとしても、国の援護行政の問題がなくなるわけではない。

ジレンマの議論の中に、「時時刻刻」らしく、国が援護行政の範囲を政治判断によって少しずつ拡大してきた歴史に関する興味深い記述があった。「黒い雨」についても、雨が激しく降ったことが証明されている地域について「特例的」な援護対象とし、78年には韓国人被爆者への手帳交付を巡り「国家補償的配慮が制度の根底にある」との最高裁判断が出て、しかし、これが「思わぬ「ブレーキ」」になってしまう。

80年に厚生大臣の諮問機関が「戦争被害は国民が等しく耐え忍ばねばならない」という「受忍論」を打ち出し、被爆地域の指定には「科学的・合理的な根拠」が必要ということになった。今回はまさしく「科学的・合理的に根拠」を国が示すことが出来ず、敗訴に至ったということになると。

【書評】文在寅への冷たい視線。大統領は欧州で何をやらかしたか

朝鮮半島の統一を強く望んでいると言われる韓国の文在寅大統領。では、北朝鮮サイドは韓国をどう見ているのでしょうか。今回の無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』で編集長の柴田忠男さんが紹介しているのは、そんな疑問への答えと、一般の韓国人の北朝鮮への複雑な感情が記された一冊。彼らは「南北統一」についてどのような思いを抱いているのでしょうか。

偏屈BOOK案内:牧野愛博『韓国を支配する「空気」の研究』

717cliiuUsL韓国を支配する「空気」の研究
牧野愛博 著/文藝春秋

20191015日、サッカーワールドカップ・カタール大会(2022年)のアジア第2次予選H組、韓国対北朝鮮の試合が、平壌の金日成競技場で行われた。だが、5万人の収容能力がある観客席には一人の観客もいなかった。両国報道陣の姿もなかった。20189月、平壌のメーデー・スタジアムに金正恩と文在寅がいた。15万人もの熱狂する観衆がいた。文は感激した表情で7分間も演説した。

文在寅らの進歩勢力は、かつて軍事独裁政権と闘争した。進歩勢力にとって、北朝鮮は、「敵(軍事政権・保守)の敵」だから味方だと考えた。北朝鮮はどう見ているのか。韓国の知人が「都合の良い女なのだよ」と説く。金正恩にとって、文在寅はトランプの実態を教えてくれ、仲立ちもしてくれる重要なパートナーだったが、20186月に米朝首脳会議が実現すると変化が。

文政権の北朝鮮に対する提案はことごとく頓挫した。「北朝鮮を一方的に愛する韓国」という構図は、現在の南北指導者層にだけ当てはまる話であって、一般の人の持つ感情はもっと複雑だ。韓国の北朝鮮研究者が著者に「過去、韓国の世論がもっとも否定的になった時期は?」と謎かけをした。答えられぬ彼に「20006月の南北首脳会議の直後さ」。金大中と金正日の初の会談だ。

南と北の経済格差が401の時代、統一したら北の人々の面倒をみるために税金がどっと増えるのではないか、貧困層が流れ込んで治安が悪くなるのではないかと考える人は多かった。既に分断から70年以上経つ。若い人を中心に「無理に統一する必要はないのではないか」と考える人が増えている。感情抜きにしても、「北朝鮮とどう向き合うか」はとてつもなく大きな課題になっている。

歴代指導者の行動を簡明に表現すると、

  • 朴正煕:パルリパルリ(早く、早く)文化の創始者
  • 金泳三:実利を計算しない情と直感の人
  • 金大中:日韓共同宣言を発表した冷徹な実利主義者
  • 盧武鉉:コンプレックスが強かったパポ(馬鹿)
  • 朴槿恵:孤立した「朴正煕の娘」の悲劇
  • 文在寅:「悪いのは相手、自分は悪くない」という旧式思考

……、と非常に興味深い読み物になっている。

2018年ベルギーで開かれたASEM首脳会議、文在寅も安倍首相も出席した。文はフィリップ国王の隣に着席する優遇を受けた。メインディッシュが終わると、文は周囲への挨拶もそこそこに退席してしまった。国王が同席した席を中座する等、想像もできない無礼な行為、常識外れに驚愕。その空席にはドイツのメルケル首相が座り事なきを得たが、韓国に向ける欧州各国の視線は冷え込んだ。

著者が韓国がらみの記事を書くと、必ず右と左の両方から叩かれる。まったく同じ文章なのに、右は「韓国におもねっている」、左は「朝日のくせに韓国に冷たい。ウソの情報をもとに嫌韓記事を書いている」とけなされる。確証バイアスである。著者の知人の編集者たちは「ほとんど専門家と呼ばれている人たちが空中戦を演じているだけだ」といい、結局ふたつの結論に分かれていく。

「韓国は日本とは似て非なる国だ。違う点があっても。不愉快になることもあるだろう。だが、日本人にも韓国人にも『情けは人の為ならず』という言葉をいま一度思いだすべきではなかろうか」となまぬるい言葉であとがきをまとめるこの著者、やっぱり朝日新聞。よく見る「日本人として、自分たちはどうだろうかと胸に手を当てて考えてみたい」という文言。もういいよ~。

編集長 柴田忠男

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夏こそ鍋焼きうどん?鍼灸師がオススメする体温を高める生活習慣

長かった梅雨もようやく明け、やってくるのは猛暑の夏。熱中症対策のためにも冷房は欠かせませんが、ずっと涼しい室内にいることで低体温になることを心配するのは、メルマガ『鍼灸師・のぶ先生の「カラダ暦♪」』ののぶ先生です。むくみや倦怠感につながり、抵抗力も落ちて感染症にもかかりやすくなる低体温を防ぐために、温かい食べ物やつま先立ちなどの生活習慣をオススメしています。

意外と大事な冷房対策

【意外と冷えている夏の体】

夏場暑くなればなるほど、どこへ行っても冷房がガンガン効いています。自宅で過ごしていても、熱中症対策が叫ばれている今、エアコンはフツーにしっかり効いているのではないでしょうか。

つねに冷房にさらされ続けるカラダは、自然と低体温になりがち。ひと夏低体温で過ごしていると、代謝が落ちてむくみや倦怠感が慢性化します。不活発な体では、抵抗力も高まりませんから、風邪などの感染症もかかりやすくなる心配がある。

【いつも体温を高める工夫が大事】

体温が下がるのは血流が不活発になるから。血行をいつも促すためにも、適度な運動は望ましい。とはいえ、暑い日に外出して運動するなど、ちょっと危険を感じる今年の夏。屋内の運動で手軽に血行促進できればいいのですが、少なくとも毎晩の湯船につかって体を温めるのは効果的。食事も温かいおつゆをすするようなものはおススメです。

冷たいそうめんをすするなら、温かい鍋焼きうどんや釜揚げうどんを汗をかきかき、フーフーしながら食べる方がよいですね。薬味のネギやショウガは体を温めるにはうってつけ。そんな献立の工夫もしてみるだけの価値はある。

【血流促進にはふくらはぎ】

屋内でも意識的につま先立ちで過ごす時間を作るとよいです。転倒注意ではありますが、つま先立ちになってふくらはぎを刺激するだけでも、足腰に停滞しがちなむくみを予防できます。同時につま先立ちになることで、交感神経が活発になり、カラダの気だるさや気持ちの落ち込み対策にもなります。

つま先立ちになるときに、できるだけ足の指で地面をつかむようにすると、さらに血流がよくなり体に活力を持たせることができます。屋外で靴を履きながらだと難しいのですが、屋内で裸足や靴下で過ごせるのなら、やりやすいんじゃないですかね。

ちなみに僕は、屋内で靴下をはきながらのつま先立ちは、ほぼほぼ習慣になっています。インドア派の僕ですから、運動不足の解消には手軽で効果的な方法をついつい求めてしまいます。つま先立ちになるだけで、僕はカラダのスイッチが入るので重宝しています。もちろん、足の指で地面を捕まえるような配慮もしつつ、です。

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米国人が驚く日本の凄さ。「自粛」というコロナ拡大防止策の特性

海外とは異なる新型コロナウイルスの「感染拡大防止策」を提示して見せた、我が日本。国内でも意見の分かれるこの策は、親日家の外国人からはどのように見えているのでしょうか。今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、日本について深い理解を示す元海兵隊で歴史研究家のドイツ系アメリカ人、マックス・フォン・シュラー氏が、現在の日本について語った言葉を紹介しています。

危機の時代を生きる日本人へのメッセージ──マックス・シュラ─氏

日本在住の親日家でもあり、日本文化への深い理解から、この激動の時代の中で日本が持つ使命、とるべき具体的な方策も積極的に提言してきたマックス・フォン・シュラ─さん。WEB chichiでの特別連載も最終回(第4回)を迎えました。

本日はその連載第4回から、マックスさんの日本人へのメッセージをご紹介させていただきます。

——

何より私が伝えたいのは、日本人が日本人としての特性、自国の伝統や文化の素晴らしさに気がつくことです。その日本人の特性は今回の新型コロナウイルスの感染拡大を「自粛要請」という世界でも例を見ない方法で乗り切ったことにも表れています。

例えば、ある居酒屋がコロナ禍でお客さんを呼べないために、お昼にラーメンをつくって提供していました。つまりどんな状況でも「いまあるもので何ができるか」をごく自然に皆が考えて行動しているのです。

幕末にペリーがやってきた時も、日本人はすぐにそれらの技術をコピーして、あっという間に世界の大国へと成長しました。正直、欧米人はそうした日本人の力を称賛と共に恐れています。

それから、このコロナ禍においては、海外からの観光客や大型のショッピングセンターに頼るのではなく、昔からある商店街やローカルなコミュニティーの中で生活を成り立たせていく社会を構築することも必要だと思います。鎖国をしていた江戸時代を調べてみると、まさにそうしたローカルな経済、コミュニティーの中で人々がお互いに助け合い、幸せに暮らしていたことが分かります。

日本はアメリカの真似をする必要はありません。皆さんが素晴らしい世界の先進国、自由の国だと称賛するアメリカは、いま民族や性別を異にする様々なグループができ、国家が、人々が分断され、崩壊の危機に瀕しています。

これから厳しい時代が押し寄せてきます。日本人はいまこそ目覚める時です。長く日本に暮らしてきて実感するのは、日本は世界で最も力を持った国であり、私の知る限り日本人は世界で最も革新的な民族だということです。

日本人はこの国、この大きな家族を自分たちの力で守らなければなりません。これが心から日本を愛する私からの最後のメッセージです。日本の明るい未来を私は信じています。

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アニメ「一休さん」から謎を解く。昔は違っていた「母」の発音

古代、日本人は文字を持っていませんでした。そのため、大昔の日本列島に住んでいた祖先たちがどんな言葉を話していたのか確かなことはわかりません。しかし、それ故に想像する楽しさもあると言えるのかもしれません。メルマガ『8人ばなし』著者の山崎勝義さんは、室町時代の「なぞなぞ」の答えが、現代の発音とは矛盾することから、日本語のハ行音の変化の過程について、さまざまな角度から検証し、興味深い考察を重ねています。

『P』のこと

子供の頃、アニメの『一休さん』でこんななぞなぞが出て来た。「爺(じじ)は一度も会わず、婆(ばば)は二度会うものなーんだ」。答えは「唇」である。「zizi」の発音では一度も合わない唇が「baba」では「b」の発音をする時に二度合う。子供ながらに「これは良問だ」と思い、大人になるまでずっと記憶していた。

しかし、この問題はパロディであった。大学の時に『後奈良院御撰何曾(ごならいんごせんなぞ)』(1516年)の存在を知った時に分かったのである。この謎解きばかりを集めた室町時代の資料には「母には二度会ひたれど、父には一度も会はず」という謎があり、その答えとして「くちびる」というのが併せて書かれている。

現代の我々からしてみれば「haha」と発音しようが「chichi」と発音しようが、唇が合わないことに変わりはない訳だから、この謎は解けない。しかし、室町時代にまで遡れば「ハ」の音は両唇が合うことで発せられるものであったことをこの謎解きは示している。因みに、両唇が合う子音としては[p][b][Φ](=フの子音)[m]などがある。

ほぼ同時代の資料であるキリシタン版の『平家物語』は『Feiqe no monogatari(平家の物語)』とタイトルされているから、当時のハ行の音はヨーロッパ人には[f]に近い音として聞こえていた筈である。つまり、ハ行音は[Φ]の音であり「ハハ」は「ΦaΦa」と二度唇を合わせることで発音されていたであろうことがわかるのである。

では、この両唇摩擦音[Φ]はどこまで遡れるのであろうか。ここで一気に奈良時代、即ち『古事記』『日本書紀』『万葉集』の頃まで戻ってみることにする。一部の金石文を除けば、この『記紀万葉』こそが最古の日本語資料と言ってもいい。逆に言えば、ここが日本語を体系的に捉えられる遡上限界である。この時代のハ行音はどうだったのだろうか。

軍事アナリストが苦言。重くて使いにくい『防衛白書』の意味不明

防衛省や自衛隊のあり方について、さまざまな角度から提言を行ない、気になることがあれば歯に衣着せずにズバリ進言する軍事アナリストの小川和久さん。主宰するメルマガ『NEWSを疑え!』で今回苦言の対象となったのは、令和2年版の『防衛白書』。しかも、その内容に関してではなく、紙質や判型、文字の大きさといった書籍、冊子としての使い勝手の悪さについて鋭く批評しています。

ソ連のノルマ制を想起させる重たい防衛白書

今年も『令和2年版 防衛白書 日本の防衛』(写真右)が届きました。

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毎年、防衛省が送ってくれるもので、以前は白書の担当者からヒアリングを受けていた時期もあります。そんなことで、私としてはおろそかにできない防衛白書ですが、それにしても重い! 上質紙を使ったA4判(縦297ミリ、横210ミリ)で、これは写真集や美術書に使われるサイズです。厚さは17ミリもあり、実に597ページという重厚長大な書籍に仕上がっています。

私が両足首につけている鉛のアンクルウエイト(片側1キログラム)と比べても、1キロを優に超えているでしょう。まさか、防弾板にも使えるようにしたというのではないでしょうね(笑)。

そこで、防衛省・自衛隊への国民の信頼がさらに増すことを願う立場から、ちょっと苦言を。何のために、これほど重くするのか。重いうえにソフトカバーなので、使いにくいことこのうえない。しかも読みにくい。フォントの大きさなどを適切なものにし、読者の目に入りやすくする工夫が足りません。

兵器などの写真こそ多いものの、見てくれの良さだけを、それも自己満足的に追い求めているとしか感じられません。外国に向けて虚勢を張ろうというのでしょうか。それとも、他省庁に対して?この重さのことを考えていたら、旧ソ連が崩壊した原因についての小話が頭に浮かびました。

ソ連のオフィスにあるスチール製のデスクは、大人4人でなければ運ぶことができないほど重い。それは、ソ連の労働を律してきたノルマ制が重量を基準にしているからだ。重いデスクを作れば、1人で持ち上げられる重さのデスクの4倍のノルマを達成したことになる。自然、ソ連中が重量物だらけになる。

わが日本国の防衛白書に限って、そんな馬鹿なことはないと思いますが、読者、つまり国民の立場から編集する必要があることは間違いありません。北朝鮮が弾道ミサイル・テポドン1号を発射した翌年、平成11(1999)年版の防衛白書はA5判(写真下、縦210ミリ、横148ミリ)。496頁の学術書のサイズです。それが平成12年版あたりから大判になり、めくりにくくなりました。

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表紙もセンスが疑われることが少なくありません。人気の書道家に毛筆で『日本の防衛』と書かせてみたり、写真を下敷きにしたデザインに変えたり、ふらふらして一貫性がありません。

ちなみに、手許にあった米国の1985会計年度の『国防報告』(写真下)はキャスパー・ワインバーガー国防長官の時のものですが、濃紺に金文字、国防総省の紋章をあしらったスマートなデザインです。しかも、上質紙を使わず、写真も使っていないので、とても軽い。まだ手書きだった時代のこと、扱いやすくて原稿を書くときに重宝したのを思い出します。

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別に米国と張り合う必要はないのですが、同じ税金の使い道なら、もう少し国民を意識した編集(デザインを含めた)にしてもらいたいと思います。

私が質問したかぎりでは、防衛白書の存在を知っている大学生はゼロ。もちろん、開いたこともありません。官僚を輩出している東大法学部、ジャーナリスト志望者が多い早稲田大学あたりでも、非常に限られた数の学生しか、防衛白書を知らないと思います。こんなところにも、日本の安全保障面の課題、つまり国民との親和性の問題がのぞいているのです。(小川和久)

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貰った相手がまた店に足を運びたくなるサンキューレターの書き方

ショッピングした店から届くサンキューレターに「気の利いたメッセージ」が添えられていたら、思わずまた足を運びたくなるものですよね。しかし…、逆もまた然り。「二度目はないかな~」と思わせてしまうようなレターにしてしまっては元も子もありません。今回の無料メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』では接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさんが、サンキューレターを書く際の重要なポイントを紹介しています。

サンキューレターはどう書く?

そういえば先日、あるお店からサンキューレターをもらいました。サンクスレターとか、サンキューDMとか色々呼び方はあると思いますが、要は、お礼状のことですね。購入してくれたお客様に、メッセージを送り、次の来店につなげようというアレです。その店はアパレルショップでしたが、久しくもらっていなかったような、すごく丁寧な内容のレターで、思わず読み込んでしまいました。

さて、皆さんのお店ではサンキューレターを出すことはありますでしょうか?店や会社によって全く考え方が異なることでもありますので、使う・使わないの議論は今回は避けておきますが、サンキューレターの書き方について、改めて考えてみたいと思います。

私も今までに何度となく書いてきましたが、サンキューレターを書く際に絶対に外せないポイントは、やはりパーソナルな情報ではないでしょうか。

例えば、購入してくれたお客様に対して、「お買い上げいただいた〇〇がよくお似合いでしたので~」のように、そのお客様が買ってくれたものや、話題に上がったようなことを入れ込むことで、形式的ではない、そのお客様のためだけのメッセージになります。ですから、パーソナルな情報が入っているかどうかは、とても大事なポイントです。

しかしここで、1つ考えておくべきことがあります。それは、本当にお客様が望んでいるニーズに合致した内容かどうかということです。

先日レターを送ってくれた方の文面には、こういう内容が書いてありました。そこではスーツを購入したのですが、「〇〇のスーツは明るいお色味ですので、これからの時期にも使いやすいと思います」といった内容とは別に、「また坂本様にご紹介したい新作のスーツが入荷しておりますので、ぜひご来店ください」的なことが書いてあったのです。

確かにスーツは買っているので、決しておかしな文章ではありません。ただ気になるのは、私がスーツを着ることが滅多にないということです。実は接客を受けている中で、

  • スーツを着ることはほとんどない
  • 普段はジャケパンが多い
  • 今回はたまたま必要になったのでスーツを探している

ということに関しては、話をしていました。販売員の方も、その旨は理解してくれていて接客が進んでいたように記憶しているのですが、そうであるならば、レターの文面には、「普段はスーツを着る機会がないということでしたが」といった前置きや、「普段にも使いやすいジャケットが入荷」のような文章があると、私もすんなり落ちるように感じたのです。

お客様の求めているもの、つまりニーズがどういうものかによって、文面に工夫がないと違和感を感じてしまったり、「ちゃんと話を聞いてくれていたのかな?」と感じてしまう可能性があるということですね。そういう意味で、パーソナルな情報を書くなら、ニーズが何だったかをもう一度思い返しながら書く必要があると考えています。これは決して批判したいわけではなくて、自分だったらこう書くかなという話です。

サンキューレターを書く際には、他にもポイントがたくさんありますから、ぜひ色々と考えてみてください。

今日の質問です。

  • サンキューレターを書く際のポイントにはどんなものがありますか?

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扶養されていた妻が死亡したら、夫と子に遺族年金は給付されるか

女性が受け取るものというイメージが強い遺族年金ですが、現在では男性側も貰いやすくなっていることをご存知でしょうか。とは言えその仕組みはなかなか理解が難しい場合も。そこで、今回の無料メルマガ『年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座』では著者のhirokiさんが、どのような場合に「扶養されていた妻」の遺族年金が発生し夫や子が受け取ることができるのか、事例を挙げつつ詳しく解説しています。

扶養されていた妻が死亡したのに遺族給付は夫や子に発生するのか

遺族年金が発生する時は「死亡時点で亡くなった人に生計を維持されていた」という条件があります。その文言を見ると養われていた人が遺族となった場合が対象となるような気がしますよね。だから、サラリーマンや公務員の扶養に入ってるような人が万が一死亡した場合は遺族年金は発生しないと思ってしまう。例えばサラリーマンの夫の扶養に入っていた妻が死亡したら夫には遺族年金は出ないのではないかと。

この場合本当に夫には遺族年金なんて貰えないかというと、そうではないです。年金で言うところの「生計を維持されていた」というのは、遺族年金を請求しようという人の前年の収入が850万円未満(または前年所得が655.5万円未満。一時的な所得は除く)で、生計を同じくしていた(住民票が同じだったとか同居していたとか)という意味。これに当てはまれば請求は可能。ちなみに遺族年金には結婚していなければならないという条件は無く、事実婚も認められる。

だから、もし被扶養者だった妻が亡くなってもサラリーマンや公務員の夫が上記の条件に当てはまるなら遺族年金は貰える可能性は普通にある。可能性は普通にあるという表現にしたのは、いくつか他に制度的な条件もあるから死亡者の年金記録や、残された家族が誰なのかとか見る必要がある。今回はそういう点を見ていきます。

ところで、遺族年金というのは男性には厳しくて、女性が貰うものだっていう認識が強いですが今の時代は非正規雇用が急激に増えて給料が厳しいというのは男女ほぼ関係なくなってきましたよね。共働きも珍しくはなくなった。だから、そういう点も踏まえて遺族年金は平成26年度からは男性側も貰いやすくはなりました。

特に父子家庭という方も当然いるわけですが、平成26331日までの制度は父子家庭には遺族年金は支給されなかった。貰うとすれば18歳年度末未満の子にはなりますが、同居してる親(この場合は父親)がいると国民年金から支給される子の遺族基礎年金に関しては停止されてしまう(遺族厚生年金は停止されない)。面倒見てくれる親がいるんだから子には年金支給しなくていいよねって理由で。あと、遺族厚生年金に関しては妻の死亡時点で夫が55歳未満だったらそもそも貰う権利が無い。

このようにいろいろと面倒くさい話が出てきますので、一例を見ていきましょう^^

1.昭和50214日生まれの女性(今は45歳)

(令和2年版)何年生まれ何歳かを瞬時に判断する方法!
絶対マスターしておきたい年金加入月数の数え方

20歳になる平成72月はタイ人だったが、平成156月に日本に居住するようになった。平成156月から平成179月までの28ヵ月間は国民年金に強制加入となる。平成15年中にサラリーマンの男性と婚姻(当時妻自身に年収130万円以上の収入があったから扶養には入れず)。

ところで、外国籍の人は昭和561231日までは国民年金に加入する事は不可だったが、昭和571月からは外国籍の人も国民年金に加入できるようになった。平成1710月から厚生年金に加入して、平成225月までの56ヶ月間働く。なお、この間の平均給与(平均標準報酬額)は30万円とします。

平成226月からはサラリーマンの専業主婦として国民年金第3号被保険者になり、令和24月中に亡くなる(年金記録は令和23月までの118ヵ月となる)。収入はあったが、年収は40万円ほどだった。

ところで、在職してる時に日本国籍を取得済みだった。日本国籍を取得すると平成72月から平成155月までの100ヶ月間のタイ在住期間はカラ期間になる。この死亡した妻の年金記録を整理すると、カラ期間100ヵ月、国民年金第1号被保険者28ヵ月、厚年期間56ヵ月、国民年金第3号被保険者期間118ヵ月の総合302ヶ月間。

さて、妻死亡時に残された家族は夫57歳(年収は800万円ほどで、死亡した妻とは同居だった)と子は17歳と16歳。この家族に遺族年金は給付されるのか。

またマスクもティッシュもない状況になったら何で代用すべき?

マスクだけでなく、一時は店頭からティッシュやトイレットペーパーまでもが消え、焦りを感じた方は少なくないと思います。もしかしたらこのタイミングで、「すべてものがあるのが当たり前」という考え方を改めたほうがいいのかもしれません。今回の無料メルマガ『システマティックな「ま、いっか」家事術』では著者の真井花さんが、使い捨ての紙モノ不足を「手間と時間で補う方法」を紹介しています。

リターナブル

さて、本日は新型コロナに関連したお話。

新型コロナに関連して、

  • 殺菌グッズ
  • マスク
  • トイレットペーパー
  • ティッシュ
  • キッチンペーパー

などなどが売れまくっているようです。まあ、買い占め・転売も横行していて、本当に必要な人たちに行き渡らないだなんて、世も末だなと感じますね(`´

現在、日本の家庭では日用品が

  • 布モノから紙モノへ

へ移行してきています。それは、布モノは

  • 洗って乾かして収納してまた使う

ことを予定しているため、手間と時間がかかりました。それはすなわち

  • 家事の増大

を意味しています。なので、時短や効率化のためには、布モノを減らして使い捨ての紙モノにしていくのがイイわけですよね。

ところで、この方法には暗黙の前提がありました。それは

  • 紙モノ商品が、いつでも潤沢に手に入る

という前提です。なにせ使い捨てですからね。ケチケチ使わなくてはならないようでは、このやり方はワークしませんから。ティッシュなんて、一日何枚使ったか覚えていないでしょ?

ところが、今回の新型コロナでは、この前提が

  • 脆くも崩れた

んです。マスクなどはほぼ店頭から消え、トイレットペーパー・ティッシュなども品薄になりましたよね。必要なときに潤沢に入手できなくなったんです。

うーん、まあ、紙モノの使い捨ては、限られた先進国ならではの効率化方法だなと今さらながらに感じさせられましたね。

こうなれば、仕方ない( ̄ ̄) モノの欠乏を手間と時間で補うしかないんです。すなわち

  • 紙モノを布モノに置き換える

わけです。

ティッシュは

  • 家の中では古Tシャツのウェス
  • 外出先ではハンカチ

で代用が利きます。ハンカチはもちろん洗って使えます。ウェスはボロさの程度に依りますが、これも洗って使えるでしょう。

キッチンペーパーは

  • 布巾

ですね。布巾をキチンと消毒するのは結構タイヘンなのでワタシ的にはなんとか最後まで今までのやり方を通したいところです。

まあ、もっともこれらはメーカーに在庫も十分あり、生産能力にも問題ないので、早晩品薄状態は解消されるはずです。

マスクについては

  • ガーゼマスクの作り方

がネットに公開されましたね。しかも政府もマスクの転売を禁止しましたし、そろそろ店頭に出回ってくるころなのではないかと期待しています。ウチなんか、東京や大阪に出張に行くと、あっという間に10枚近く使っちゃうんですよ。そろそろ在庫が心配になってきてるんですよね。困るわ

使い捨てがダメなら、お家にあるもので代用を。臨機応変に切り替えたいですね。

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槇原敬之に懲役2年、執行猶予3年の有罪判決。早期の音楽活動再開も

覚せい剤や危険ドラッグを所持したとして、覚せい剤取締法違反罪などに問われた歌手の槇原敬之被告(51)の判決が本日午前11時過ぎに下され、東京地裁は懲役2年、執行猶予3年の有罪判決を言い渡した。21日に行われた初公判では、槇原被告は起訴内容を認めていて、検察側は懲役2年を求刑していた。

槇原敬之被告の裁判で判決下る

今回が2度目の逮捕となった槇原被告。1999年に逮捕された際には、懲役1年6か月、執行猶予3年の有罪判決を受けている。弁護側は前回と同じように、執行猶予付きの判決を求めていた。

槇原被告の容疑は使用ではなく、覚せい剤や危険ドラッグの所持。

  1. 2018年3月と4月、東京港区のマンションで、約64.2mlの危険ドラッグ「ラッシュ」と覚せい剤約0.083グラムを所持
  2. 2020年2月、渋谷区の自宅でラッシュ約3.5ミリリットルを所持

今年2月に逮捕した後に槇原被告の尿検査を実施したが、違法薬物は検出されておらず、槇原被告本人も「ここ数年使っていません」と主張していた。

判決は執行猶予付き

ポイントは前回の裁判から20年が経過していること。検察側は「有罪判決を受けたにもかかわらず、使用を繰り返した」としているものの、その証拠はなく、今回の裁判は争点は所持のみだ。

槇原被告のかつてのパートナーとされる個人事務所元代表の男性も、1999年に共犯として逮捕。そして、2018年3月に再犯として所持・使用の容疑で起訴されたものの、2018年6月に懲役2年、執行猶予3年の判決を受けるにとどまっている。男性の場合は使用の容疑もあったため、槇原被告はそれよりも軽い容疑ということになるため、有罪判決が出た場合でも執行猶予付きとなる可能性が高かった。

早期の音楽活動復帰の可能性も

執行猶予付きの有罪判決となったため、しばらくは活動を自粛すると思われるが、早期に音楽活動を再開させることになるかもしれない。

というのも、3月に発売を予定していたセルフカバーアルバム「Bespoke」はすでに完成済みで発売を待つばかり。槇原被告の個人事務所はレコードレーベルも併設しているため、他の会社が介在することなく、自らの判断で決めることができる。数億円とも言われる損失額が出ただけに、早く発売して、穴埋めをしたいところだろう。

どんなときも私たちの心を包んでくれる槇原敬之の歌。その歌声が遠く遠くならないように、ファンをもう悲しませることなんてしないでほしい。

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