単なる「自己紹介」ではつまらない。本気で役立つプロフィール文の書き方

副業や独立して仕事を始める人が思い悩むことの1つに「自分のことをどう説明するか」があります。出身地や職歴や資格を並べて仕事につながる人はごくわずか。「プロフィール」には書くべきこと、伝えるべきことがあるようです。今回のメルマガ『前田安正の「マジ文アカデミー」』では、朝日新聞の校閲センター長を長く務め、文章・ことばから見る新たなコンサルティングを展開する著者の前田さんが、「自己紹介」と「プロフィール」の意味の違いを確認。そこから見えてきた「“相手が興味を持つ可能性が高まる”プロフィール文」を書くために必要な要素を教えてくれます。

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プロフィール文の書き方

先日、「独立して事業を興したい」「これから副業を考えたい」という方を対象にしたライブセミナーでお話ししました。テーマは「プロフィール文の書き方」です。

自分のホームページをつくったりブログを開設したりするときに、プロフィール文は必ず必要になります。ところが、自分のことを書こうとするとうまく書けないものです。そもそも、自分はどんな人間だったか、事業や副業をする目的が何だったのか、ということが明確になっていないことが多いのです。

僕自身も独立をしたときに、ホームページをつくり、プロフィールを載せました。しかし、伝えたいことがうまく言い表せていないという思いがあったのです。何度か修正したのですが、いまでも「これだ」というものにたどり着いていないように思うのです。

今回のセミナーで、改めてプロフィールとは何かについて、考えてみました。自己紹介とプロフィール。この違いについて、これまで考えたことがありませんでした。ほぼ同じ意味で使っています。そこで、辞書を引いてみました。

自己紹介:初めて会う人に、自分で自分の姓名・職業などを述べ告げること。

プロフィール:(1)横側から見た時の顔の輪郭。横顔。また、横顔を描いた肖像画や横顔を撮影した写真。(2)普通とは違った角度から見た人物評。(3)人物の紹介。
(大辞林・ウェブ版から)

「横顔」を伝える

自己紹介とプロフィールは、かなり意味が違うようです。プロフィールは「横顔」。横顔には文字通りの意味と、「あまり他人に知られていない一面」というもう一つの解釈があります。「総理大臣の横顔」と言えば、総理大臣が普段見せている表の顔(業績や評判)とは異なる一面という意味になります。

会社勤めをしていたときは、「○○の前田です。校閲部に所属しています」といった具合に、名前と所属する会社名・部署を告げれば、大体のイメージをつかんでもらえました。自己紹介で済んだのです。

ところが独立して会社を興したときに、会社勤めをしていたときと同じような調子で自己紹介をしても通用しないのです。会社名はおろか僕の名前を知る人は、まずいないからです。

これまでの業績を一生懸命話しても、それは過去の歴史、履歴でしかありません。過去の話をしても、いまの僕に興味を持ってくれるわけではありません。もちろん、過去の履歴がまったく意味がないということではありません。その人が経験したことが知識となり、リソース(資源)となるからです。

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騙され続ける日本国民。米英の「中ロ敵視政策」という天下の愚策

民主主義を踏みにじり、力で自国の主張を押し通す専制国家と見なされている中国とロシア。少なくとも我々日本人はそれを事実として受け入れていますが、どうやら米英とその同盟諸国のメディアにより「信じ込まされている」に過ぎないようです。今回の無料メルマガ『田中宇の国際ニュース解説』では著者で国際情勢解説者の田中宇(たなか さかい)さんが、そう判断せざるを得ない根拠を列挙し解説。さらに日本の未来の幸福を考えるのならば、中ロサイドに転入するのが得策との見解を記しています。

中国と戦争しますか?

2月末のウクライナ開戦で米国と同盟諸国(米国側)がロシアへの過激(で自滅的)な敵視・経済制裁を開始する一方、中国やインドBRICS、イラン、アラブ、アフリカ中南米など非米諸国はロシア制裁を拒否し、米国側と非米側の世界的な対立構造が立ち上がった。ロシアは、米国側が買わなくなった石油ガス資源穀物など輸出品を、代わりに中国を筆頭とする非米諸国が買ってくれるので、米国側に強く制裁されても困っていない。ロシアは、米国側から敵視されるほど中国と結束し、中国の弟分(劣位同盟国)になっていく。その一方で米英はロシアだけでなく、ロシアを支援する中国など非米側も敵視する傾向を強めている。英外相は、NATOをロシアだけでなく中国も敵視する軍事同盟にしようと提案している。

Russia Forges New Partnerships in Face of West’s ‘Total Hybrid War’
米欧との経済対決に負けない中露

米国務長官は、トランプ前政権が進めていた米中経済分離策を踏襲すると発表した。中国政府(中共)も、ゼロコロナ策をしつこく演じて上海や深センなど沿海諸省で都市閉鎖を延々と続けて経済を封鎖し、嫌気をさした米欧企業が中国から出ていくように仕向けている。米国だけでなく中国の方も、米中分離を進めていることになる。中国は発展途上国だった従来、米国主導の世界経済システム(経済覇権)の中で米国側の下請けをやって発展してきた。米中分離は、中国側から見ると、途上国から大国に成長した中国が、米国側に依存するのをやめて、一帯一路など中国主導の地域覇権体制を組み、その中で米国側と関係なくやっていく方向転換を意味する。

Blinken to Unveil Biden’s China Strategy
‘Stop asking why’: Shanghai tightens COVID lockdown

米国から見ると、米中分離は、中国を米国覇権の傘下から押し出して困らせる経済制裁のつもりなのだろう。しかし中国はもともと経済的な対米自立が目標なのだから、米中分離は対中制裁になっていない。米中分離はむしろ、米国側の企業が安く製造できる下請け国、14億人の巨大市場を失う動きとなり、米国側にとって自滅策だ(米上層部は、自滅策と知りつつ米中分離を進めて中国を非米型大国・地域覇権国に押し上げているのだから、私から見ると隠れ多極主義)。

The Race To Break The Russia-China Alliance & The “Ukraine Of The Asia Pacific”

経済制裁がダメなら戦争で潰せば良いって?それは無理だ。中国もロシアも核保有国だ。しかも中露は結束を強めている。米国側が、中露どちらかと親しくしつつ、もう一方と敵対しているなら、敵対している方を経済制裁して困窮させつつ、武力行使もありうるぞと脅したりして譲歩させることも可能だった。しかし、中露が結束しているので経済制裁しても効かない。中露が他の非米諸国と組んで米国側を無視して経済を回せてしまう。ロシアはSWIFTのドル決済システムから追放されたが、ルーブルや人民元で決済できている。むしろ米国側の方が、中露を制裁したことで資源や食糧の不足と高騰に悩まされ、ドルの覇権も危うくなって自滅している。今のように米国側が経済面で負けている状態を軍事面で挽回しようとすると、米欧と中露のガチな核戦争になって人類消滅みたいなことになる。米上層部がいくら馬鹿でも、それはやらない。となれば、米国側は経済面でどんどん自滅していくだけだ。

米露の国際経済システム間の長い対決になる
米諜報界を乗っ取って覇権を自滅させて世界を多極化

引退後に自殺した選手も。スポーツ中の脳震盪にどう対応すべきか

体と体の激しいぶつかり合いが魅力のフルコンタクトスポーツですが、競技中のアクシデントが多発するのも事実。昨年には取組中に脳震盪を起こした大相撲力士が命を落とすという痛ましい事故も発生し、現場で適切な対応を取ることができなかった相撲協会に批判が殺到しました。こうした悲劇を起こさぬために必要となるのは、どのような対策なのでしょうか。今回のメルマガ『モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)』では著者でジャーナリストの伊東森さんが、脳震盪がどれだけ危険で深刻なものであるかを、具体的な症状を挙げつつ詳しく紹介。その上で、スポーツ中の脳震盪に対し求められる安全対策について考察しています。

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相撲の取り組み中に脳震盪を起こし、その後に亡くなった響龍さんの事故から1年が経過 改めて問われるスポーツ中の脳震盪の危険性

大相撲の取り組み中に脳震盪を起こした三段目力士の響龍(本名・天野光稀)さん(28)が、呼吸器不全により亡くなった事故から1年が経過。相撲界に対しては、脳震盪への対策が不十分であると、以前から指摘されていた。

響龍さんは、昨年2021年春場所13日目の3月6日に負傷。その際に、土俵近くにいた関係者らが当時、5分以上、何も医療的な措置を取らなかったとして、批判も相次ぐ(*1)。

当時の取り組みの映像では、響龍さんは、まず頭から土俵に倒れる。そのまま動かなくなり、対戦相手は様子をうかがった。ただ、響龍さんは一時的に頭を動かす。その後、担架に乗せられて都内の病院に運ばれる。

メディアによると、響龍さんは搬送中、体のしびれを訴えていたという情報も。

入院中は改善の兆しが見られ、体が動くようになったとの報道もあったが、しかし、昨年4月28日に容態が悪化、亡くなった。

響龍さんの死を受け、力士への医療措置などが一時問題となり、何か改革が必要であるとする声が上がった。

Twitter上には、

周囲に人がいる中、動けないままうつぶせにされていたのはとんでもないことだ。相撲界における医療が大きく変わることを心から望む。

との声が。

力士の脳震盪による事故は、今回が初めてではなかった。昨年の1月の春場所でも、幕下の湘南乃海が取り組みで相手に頭からぶつかり土俵上に倒れた。その際、湘南乃海は脳震盪のような症状を示す。

ただ、審判団が見守るなか、湘南乃海は何度かふらつきながらも立ち上がる。湘南乃海は取り組みを続行したいと審判団に伝え、取り組みは再開。

しかしその後、インターネット上には、取り組みの続行を認めた審判団の判断を批判する声が上がり、力士の身体を守る必要があるという意見が上がる。

そのようなことを受け、日本相撲協会は規則の変更を検討する。

目次

  • 相撲と脳震盪
  • スポーツ関連脳震盪
  • スポーツにおける脳震盪への対策

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“売らない”企業「レンティオ」が競合他社よりも強くいられるワケ

今の時代は「買う」よりも「借りる」ことがお得だと考える人も多いかもしれません。一時的にしか使わないものなどはレンタルのほうが楽だったりしますよね。今回のメルマガ『週刊145マガジン「腹割って話そうぜ!」まぐまぐ!出張版』では、Webメディア『ECのミカタ』元編集長で株式会社「team145」代表取締役石郷学さんが、レンタルに特化し成功を収めている「レンティオ」の戦術について語っています。

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レンタルの「レンティオ」がメーカーにもたらした“売らない”革命

・稟議が通らぬアイデアこそ革命の匂い

今までで家電を使うとすれば、誰しもが「購入する」事でそれを満たしていました。でも、レンティオという会社は「買わない」顧客に焦点を当てたのです。たかが「レンタル」でもされど「レンタル」。

例えばまずは3泊や1ヶ月など期間でレンタルします。そのままその商品はレンタルし続けていくこともでき、気に入れば買い取っても良い。でね、メーカーにもできないのは、コストがかかりすぎるんです。「普通の企業では稟議は通らないでしょうね」。そう言って、代表取締役の三輪謙二朗さんは笑います。

彼曰く、やはり一番コストがかかるのは送料。単純に通常のECより2.5倍程度はかかります。ECのように片道ではなく、往復ですから。

また、行きは「まとめて出荷」できても返ってくる時は「バラバラ」。スケールメリットを活かすことができません。ちなみに下記の写真は返却された商品で、概ね彼らが送った箱で送り返す事で共通化しています。

図版1

今でこそ「ルンバ」も何万台と出荷していますが、入荷時の120サイズの箱を取り外して出荷時に自分達の100サイズの箱に入れ直します。なぜなら、それだけで送料が600円程度安くなるからなんです。

・管理やメンテのコストも並でない

月に3から4万件出荷して一方で3から4万件返ってきて、倉庫の管理のコストを絶妙にコントロールしているのが注目。また1日単位で1000件程度はメンテナンスをしていますから、その対応もしないといけません。

つまりメンテナンスの質を上げつつ、それに対してのコストをいかに抑えるかを考慮していくわけです。三輪さんはとてもオープンで、返品を受け入れて、棚に収め、それをスタッフが一つ一つ、メンテナンスをしているその姿も見せてくれました。

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上の写真がまさにメンテナンスを終えたカメラなどの棚です。メンテナンスを終えた商品は、新たな出荷に備えて、また別の棚に並べられていたが、新品のようでした。

再来年の大河ドラマの主役・紫式部が持っている意外な伝説とは

再来年の大河ドラマでスポットライトを浴びることになっている紫式部。「源氏物語」の著者であることは有名ですが、それ以外にも伝説を持っているそうです。メルマガ『歴史時代作家 早見俊の「地震が変えた日本史」』の著者である早見さんは今回、紫式部について詳しく語っています。

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紫式部の意外な伝説

摂関と言いますね。摂政と関白のことを指します。摂政は天皇が幼少、女性、病気である場合に公務を代行する役目でした。関白は天皇の事情に関係なく置かれましたが、あくまで天皇の補佐役です。

日本史上最初の摂政はご存じ聖徳太子でした。聖徳太子は推古天皇という女帝の時に摂政として政治を行います。次に有名なのが、女帝である斉明天皇の時の摂政、中大兄皇子(なかのおおえのみこ)ですね。中大兄皇子は後に即位、天智天皇となります。

以降、摂政、関白となった有名人物としては藤原道長、頼通親子、時代が下って昭和天皇が大正天皇の摂政に成っておられます。関白は豊臣秀吉が有名ですね。関白を辞し、息子も関白になった者を太閤と呼びますが、太閤といえば秀吉がイメージされる程に著名です。

ところで、藤原道長は平安時代中期、藤原氏全盛、摂関政治の代表的人物として知られています。「この世をばわが世とぞ思う望月の欠けたることもなしと思えば」という歌は道長の権勢を象徴していると言われてきました。紫式部は道長の娘で一条天皇の中宮となった彰子(しょうし)の家庭教師でした。

道長は、4人の娘を天皇に嫁がせ、3人の孫が天皇になりました。まさしく並ぶ者なき栄耀栄華を謳歌したわけです。道長は、「御堂関白」と称されましたが、意外にも関白には成っていません。道長は左大臣、摂政として朝廷政治を主宰しました。

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道長の権力の源泉は内覧という役職です。内覧とは天皇への奉書や天皇が裁可する文書を前以て見ることができる者です。朝廷の実権を握る役職で、道長は摂政に就くまで、内覧と左大臣を兼ねて権力を行使したのでした。

プーチンのウクライナ侵攻を決断させた西側諸国リーダーたちの“小粒化”

以前から引っかかっていたことがあります。それはロシアはなぜこのタイミングでウクライナを攻めたのか、です。2014年のクリミア侵攻から始まるウクライナ奪取の一幕と片づけてしまってはこの答えは出ないのかもしれません。

誰もが驚愕した2月のあの侵攻劇は「まさかそこまではしないだろう」という大方の予想を覆すものでした。しかし諜報当局は事前に分析し、バイデン大統領を含むアメリカは侵攻の高いリスクがあるとウクライナにそれを伝えていました。しかしそれを真に受けなかった、いや、受けたとしてもどうにもならなかったというのがウクライナの立場だったのかもしれません。

ではなぜこのタイミングだったのでしょうか?私が思うのは西側世界における指導者の疲弊感を突いたとみています。2年に及ぶコロナで各国は内政に手一杯、外交もオンラインでは行ったものの緊密感は作り出せません。そしてそれ以上に強い指導力をもつリーダーが欠如したことが最大の隙であったと思います。

うるさ型とされるトランプ、メルケル、安部といった人が消え、バイデン、マクロン、ジョンソン、ドラギ各氏は国内政治問題を抱え、ショルツ、岸田各氏は新顔、古株ながらも存在感のないトルドー氏が地球を語るには迫力不足であります。プーチン氏は「このメンバーでは踏み込めない」と見たのだと思います。

プーチン氏にとって各種経済制裁は当然ながら事前に予想していた範囲でそうなっても耐えうる仕組みや準備は長年してきていたことでしょう。それゆえに西側諸国が課す経済制裁が結局、西側諸国自身を物価高や食糧不足といった形で苦しめる状況になっています。

小粒化した西側諸国リーダーが今回のG7サミットを開催したのはドイツの南端、エルマウという標高1000メートルぐらいのアルプスを背景にする美しいリゾート。しかし、G7サミットがその背後に見えるアルプスの頂上を本当に目指したのか、といえば総花的な会議の内容で具体案に欠けた共同声明だった気がします。マスコミの現地特派員にはアルプスの山々がより一層高く感じられたかもしれません。

発表された内容のうち、ロシア関係ではロシア産原油の価格制限、中国にロシアへの口添え依頼といった点に留まっています。「G7はウクライナが必要とする限りの支援もする」(日経)という表現に至っては受動的支援ととられても仕方ないでしょう。西側諸国のウクライナ支援疲れが話題になり、肯定派、否定派の議論になっていますが、私は支援疲れは当然にしてあると思っています。

特に今回は先の大戦と違い、当事国のウクライナは西側諸国にとって「敵(ロシア)の敵(ウクライナ)は味方」という立ち位置です。今回の侵略まではどの国も安全保障を含め、外交的に同国とそこまで親しかったわけでもありません。あくまでもロシアの非道という道義的問題でありますが、彼らの悪さは昨日今日に始まったわけでもないことも世界はまた、分かっているのです。

当然、これに付随して食糧問題と中国に絡む首脳宣言が出ていますが、ほぼ全てが防御的内容で西側のリーダーシップを示すような新たな展望や戦略は宣言の中にほとんどありません。唯一、途上国インフラ整備に82兆円という内容はG7らしい決議だったと思います。

ところでなぜ、このインフラ整備が必要なのでしょうか?日経に「そして3極に割れた世界」という秋田浩之コメンテーターの記事があります。これはなかなかよい内容です。世界は西側諸国陣営、中国、ロシア陣営、及びその中間のどちらにも所属しない中立陣営に分かれているという訳です。そして人口で見れば中立派、ロシア寄り、及びロシア支持派で世界人口の2/3を占めるとされます。

事実、中国はアフリカを中心にインフラ整備などで強い影響力を及ぼしています。ロシアもインドをはじめ、世界中で武器輸出や資源輸出を通じて個別国家ベースでの絆を作っています。記事の一番最後に「戦略上、各国が何を必要としているのかを個別に見定め、互いの利益にかなう協力を重ねるしかない」とあります。つまり各国が個別交渉を進めるしかないという意見です。

これが正しいとすればエリートクラブとも取れるG7という絆からG7を核とした各国の泥臭い味方獲得作戦に転じる政策的転換が必要だともいえます。日本もG7の一翼ということではなく、日本の国益として何が必要なのか戦略を進め、それをG7で共有するという形に転じる必要があるともいえるでしょう。インフラ整備はその点でG7各国の共通戦略指針として味方獲得をすすめるネタともいえないでしょうか?

今回のサミットは「開催ありき」となりつつあるイベント意識をどう変貌させるか、大きな課題を残したと思います。

では今日はこのぐらいで。

プロフィール:岡本裕明

Blue Tree Management 株式会社取締役社長。ゼネコンで不動産事業、秘書を経たのち、1992年からカナダ・バンクーバーの不動産開発事業に従事。2004年にカナダ法人を買収、現在同地にてマリーナ運営、商業、住宅不動産事業、日本の書籍輸入販売などの他、東京でも不動産事業を展開するなど多角的な経営を行っている。「外から見る日本、見られる日本人」の人気ブロガーとしても広く知られている。

記事提供:『外から見る日本、見られる日本人

image by: Harold Escalona /Shutterstock.com

マクドナルドはなぜ「1000のメニュー」で失敗したのか?客を戸惑わせた“決定麻痺”の心理

コロナ禍においても絶好調を維持しているマクドナルド。週末ともなれば店には多くのお客さんが詰めかけ、列をなしています。そんな順風満帆なマクドナルドですが、わずか数年前にはあるキャンペーンで大失敗をしていました。マーケティング&ブランディングコンサルタントとして活躍する橋本之克さんが行動経済学の観点から、マクドナルドが大苦戦した理由について検証します。

プロフィール:橋本之克(はしもと・ゆきかつ)
マーケティング&ブランディング ディレクター 兼 昭和女子大学 現代ビジネス研究所研究員。東京工業大学工学部社会工学科卒業後、大手広告代理店勤務などを経て2019年に独立。現在は行動経済学を活用したマーケティングやブランディング戦略のコンサルタント、企業研修や講演の講師、著述家として活動中。

マクドナルド「1000のチョイス」キャンペーンとは?

多くの企業が苦戦する飲食業界の中で不況にも負けず、直近数年にわたり増収増益を続けているのが「マクドナルド」です。2020年12月期、2021年12月期においては、2期連続で営業利益の過去最高を更新しました。

コロナ禍の中、かねてから注力していたテイクアウトやドライブスルーに加えて、デリバリー、モバイルオーダーなど非接触注文導入にも力を入れたことが伸び続けた要因だと言われています。

しかしこのマクドナルドも、必ずしも常に順風満帆だったわけではありません。数年前には、仕掛けたキャンペーンが売り上げにつながらないこともありました。中心的なセットメニュー「バリューセット」の内容を改訂した、2015年の「1000のチョイス」キャンペーンです。

「新バリューセット」では、サイドメニューが選択でき、ドリンクの選択肢も増え、価格もわかりやすくなりました。メイン11種類、サイド5種類、ドリンク20種類の掛け合わせで合計1100通りからの選択が可能です。このバリエーションを“売り”として、大々的に売り出したのです。

このキャンペーンを発表した、当時のサラ・カサノバ社長は「豊富な選択肢を求めるお客様の要望に応えた結果だ」と胸を張りました。

マクドナルドがこのキャンペーンに全社をあげて取り組んだことは間違いありません。キャンペーンの広告や販売促進には多額のコストがかかります。1000以上の注文に対して、間違えず、かつ素早く提供をするオペレーションを整備するのも非常に大変だったことでしょう。

ところが、消費者の評判は上々とは言えなかったようです。当時の利用客がブログで「選べる楽しみよりも、面倒くさいなという気分が先に立つ」といった感想を述べています。実際にキャンペーンも長く続くことはなく、この年のマクドナルドの営業利益はマイナスに落ち込みました。

【関連】なぜコストコで買いたくなるのか?消費者の人間心理を巧みに操る“マジック”の秘密とは

キャンペーンを失敗に導いた「決定麻痺」と「損失回避」

さまざまな努力を重ねたうえでキャンペーンを行ったにもかかわらず、成功しなかった理由は何でしょうか。“いろいろ選べると良い”といった、顕在的な顧客の声ばかりに注目し、顧客の深層心理を読んでいなかったことだと私は考えています。

マクドナルドが見逃した消費者の心理的バイアスは、行動経済学における「決定麻痺」です。多すぎる選択肢に直面してこの心理が働くと、選択を先延ばしにしたり、選択すること自体をやめてしまうのです。

この心理的バイアスを提唱した米国コロンビア大学のシーナ・アイエンガー教授は、実際にスーパーの売り場でジャムの店頭販売を行い、この心理を確かめています。6種類のジャムと24種類のジャムを試食させる実験です。2パターンの時間帯を分け、どちらの方が多く試食されるか、また試食後に多く売れたのはどちらか調査しました。

試食に関しては、24種類のジャムでは通行人の60%、6種類のジャムでは40%と、24種類の方が多く試食されました。ところが実際の購入は、24種類では試食した人の3%にとどまり、6種類のジャムの30%を下回ったのです。最終的に購買した確率は下記です。

  • 24種類のジャム:試食率60% × 購入率3% = 最終的購入率 1.8%
  • 6種類のジャム:試食率40% × 購入率30% = 最終的購入率 12%

現場では24種類のジャムを試食した人の多くが、迷ったあげく買わなかったそうです。選択肢が多いと選択自体を止める人が増えることが確かめられたわけです。

マクドナルドの「1000のチョイス」の顧客の心理にも「決定麻痺」が働いた可能性があります。いくら自由に選べると言われても、1000もの組み合わせの中から、自分にとってのベストを選ぶのは簡単ではありません。

ましてやマクドナルドの注文カウンターで、後ろに並んで待つ人や、目の前の店員の視線を浴びながらの選択です。時間をかけて選択肢を吟味する余裕もありません。結局は、いつもと同じメニューを注文する顧客も多かったことでしょう。

こうした顧客の心の中には、1000のチョイスから選べる権利があったはずなのに、結局その権利を行使できなかったという不満が生まれます。「損失回避」という心理的バイアスの影響です。

【関連】IKEAでの買い物は本当にお得なのか?消費者を巧みに操る心理戦略、計算され尽くした行動経済学の法則とは

人間は自分の持つ権利などに対して実際以上に高い価値を感じます。損失を避けようとする一方、最終的な損失に感じる喪失感は強くなります。「1000のチョイス」キャンペーンを行った結果、マクドナルドの顧客は、単に選べなかったという残念さ以上の強い不満を感じる結果になったわけです。

中国の恫喝には屈せず。南洋の小国「ツバル」と「台湾」その深い信頼と絆

金の力にあかせて小国や途上国を取り込み、国際社会からの台湾の排除を目論む中国。しかしそんな大国に屈しない姿勢を堂々と示したツバルの行動が世界に報じられ、称賛の声が上がっています。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では著者で台湾出身の評論家・黄文雄さんが、中国の札束外交に転ぶ国が相次ぐ中、南洋の小国であるツバルが台湾との外交維持を選択した理由について考察・解説。その上で日本政府やアメリカに対して、今後中国による嫌がらせや圧力が予想されるツバルへの支援の強化を呼びかけています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2022年6月29日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄こう・ぶんゆう
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

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【中国】中国の12万分の1の小国が中国の恫喝に屈しない理由

国連海洋会議 中国、台湾人の出席認めず ツバル外相が退席し抗議

6月27日にポルトガルで開催された国連海洋会議(UNOC)で、ツバル代表団のメンバーとして加わっていた3人の台湾人が、中国から出席を拒否され、会議から排除されてしまいました。しかし、これに対してツバルのコフェ外相は敢然と会議を退席し、中国への抗議の意を表したのです。

ツバルといえば、ポリネシア最西端の諸島国家であり9つの環礁島からなります。海面上昇により水没の危機にさらされていることでも知られ、コフェ外相は昨年11月に開催された国連気候変動枠組条約締約国会議(COP26)で膝まで海に浸かりながら気候変動対策を求めるスピーチを行ったことが、メディアに大きく取り上げられました。

ツバルの外相、膝まで海に浸かりながら、気候変動対策を訴える【COP26】

現在、南太平洋諸島に対して、中国が経済支援を餌に外交攻勢をかけていることはよく知られています。とくにソロモンとキリバスは、支援と引き換えに台湾と断交しました。ツバルに対しても、中国は海面上昇に対処するために4億ドルの人工島建設をもちかけました。しかし、ツバル政府はこれを拒否し、台湾と外交関係を維持しているマーシャル諸島、パラオ、ナウル3カ国との連携を強化する方針を打ち出しています。

ツバルが中国企業の人工島建設提案を拒絶、親台湾姿勢を堅持

これらの国々のうちパラオについては、中国からの圧力にも屈せず、台湾との国交を維持していることについて、以前のメルマガでもご紹介しました。

台湾とパラオという日本が統治した国が、今も中国に屈しない理由
中国から嫌がらせを受け続ける2国、台湾とパラオで今も息づく「日本精神」

ツバルは独立国としてはナウルに次いで人口が少ない国です(厳密にはバチカン市国が世界で最も人口が少ないですが、世界中に13億の信徒がいるので除外)。人口はわずか1万1,000(ナウルは1万人)。中国の12万分の1です。そのような小国が、大国である中国の圧力に屈せず、堂々たる外交を行っていることは、大変な称賛に値します。

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原発再稼働にも積極的。すこぶる怪しい岸田首相「核廃絶」の本気度

あらゆる核兵器を違法とし、その全廃を目的として起草・採択され、2021年1月に発効した核兵器禁止条約。しかし唯一の被爆国である我が国の政府は同条約を批准しておらず、先日行われた締約国会議にはオブザーバー参加すらしませんでした。この岸田政権のスタンスに異を唱えるのは、元全国紙社会部記者の新 恭さん。新さんは自身のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』で今回、「核なき世界」を掲げる岸田首相がこのような決定を下した理由を推測するとともに、会議の不参加により生じた首相の「本気度」への疑問と、原発の再稼働に積極的な首相の姿勢に対する批判的な見解を記しています。

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「核兵器のない世界」を唱える岸田首相の本気度が怪しい

岸田首相は被爆地・ヒロシマを選挙区とする政治家にふさわしく「核廃絶」を訴えてきた、ということに一応はなっている。

しかし、どこまで本気なのかは疑わしい。なぜかといえば、被爆国でありながら、日本政府は核兵器禁止条約に調印しようとせず、6月21日から3日間ウィーンで開催された初の締約国会議へのオブザーバー参加さえも見送ったからだ。

「核廃絶」は、「核抑止」の否定でもある。米国の“核の傘”に依存している以上、安全保障政策の根幹にかかわることだろう。米国に気を遣いもするだろう。それでも、参加しない手はなかったのではないか。

核兵器被害の悲惨な実態を被爆者とともに世界に向けて語り続ける。それは、唯一の被爆国としての責務であろう。

NATO加盟国のドイツやノルウェー、オランダでさえ、代表がオブザーバー出席し、批准できない自国の立場を説明している。岸田首相も、核兵器への向き合い方が安倍・菅政権と異なることを世界に示すチャンスだったはずなのに、むざむざ逃してしまった。

その代わりなのかどうか、岸田首相は日本の総理大臣として初めての行動を決断した。ことし8月にニューヨークの国連本部で開催されるNPT(核拡散防止条約)の再検討会議への出席だ。「核兵器のない世界」実現に向け、核保有国との「橋渡し役」をめざす、という。

核保有国が加わっていない核兵器禁止条約より、核保有国、非核保有国、合わせて190か国が参加するNPTのほうに実効性があるという理屈かもしれない。はたしてNPTだけで事足りるだろうか。

NPTは核兵器の不拡散、核軍縮の促進、原子力の平和利用を謳っている。が、「核軍縮」については努力目標に過ぎず、もっばら「核不拡散」のみが機能している。軍事的優位を保つため核保有国を増やしたくない核大国の“既得権”が優先されるのだ。

岸田首相の言う「橋渡し役」とは、米国など核保有国に核軍縮を働きかけるという意味なのだろうが、それこそ“実効性”に疑問がある。

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なぜプーチンの暴走を止められないのか。国連に対する素朴な疑問

ロシアによるウクライナ軍事侵攻に対し、あまりに無力な様を見せる国連。その機能不全が指摘されて久しい安保理ですが、プーチン大統領の蛮行のような常任理事国の暴走を止める方法は、もはや存在しないのでしょうか。今回の無料メルマガ『モロッコの南の町から』では現地在住約30年の日本人著者が、これまで国連に抱いていた誤解を記すとともに、国際連盟への反省から生まれたはずの国連がその運営面において何ら改善されていない現状を批判。さらに国連を機能させるために打つべき手について考察しています。

他国の権利を踏みにじるプーチン

私はこれまで世界には、国連で承認された、それぞれの独立国があり、その独立国の会議が国連と思っていた。世界の平和と安定を保つため国連で会議が行われていると思っていた。

国連に参加するには、国連で決めた取り決めを、それぞれの国が守ることを義務付けられていると思っていた。

5か国の安全保障理事会常任理事国があり、各国は取り決めの拒否権を持っており、1か国でも取り決めに反対する国があれば取り決めは作れないのである。

現在のウクライナ戦争で当事者のロシアが常任理事国であるため、国連はウクライナ戦争に対してロシアに不利な取り決めを作ることが出来ないのである。

国連は要するに常任理事国が起こす戦争に対しては無力なのであります。第二次世界大戦を防ぐことが出来なかった反省で国際連盟を止めて国際連合を作ったわけですが、少しも改善されていないのであります。誰だ責任者は。

ヨーロッパ連合は1つの国であり、連合に含まれる各国は独立しているが、連合が決める取り決めを守らなければならなののであります。安全保障、経済の保護が大きな仕事のように思います。

ヨーロッパ連合と国連はどう違うのだろう。ヨーロッパ連合は統一された通貨を持っており、それぞれの国の国境をほぼ廃止しているように見える。合衆国のように見えるのである。

それに比べ国連は独自の通貨は持っていないし、国境を廃止していない。あくまでも世界の平和と安定を目標にした、それぞれの国の連合組織なのだろう。

決して世界が一つの国になったわけではないが、経済システムはグローバル化しており、経済的には一つの国のように働いているような気がします。

それぞれの国にはそれぞれの政治体制があります。民主政治や共産主義の名を借りた独裁政治等があるように思います。これらの国々が連帯して世界の平和と安定のために活動していかなければならないが、何を共通項として結び付くのだろうか。

共産主義は民主主義ではないが、一応民主政治実現のための一つの方法と無理に考えれば、民主主義を共通項に出来る。人道も共通項に出来るだろう。目指すは自由と平等の世界である。

ということで現在も、国連はそのように運営されていたと思うのですが、このウクライナ戦争だ。

プーチンさんは自国の権利だけを主張してウクライナなど他国の権利を踏みにじっているのであります。常任理事国の特権を廃止しないと、うまく機能しないようです。

これまでの歴史になかった国連という組織を作ったのだから、この組織がうまく機能して世界の平和と安定が実現出来るよう世界中の国々、人々が協力して組織を運営していかなければならないと思います。

しかし、それぞれの人たち、それぞれの国には、それぞれの思惑があり、これを良い方向に向けて行くことは本当に大変な仕事ですね。対人恐怖症、対人不信感を持つ私には難しい仕事です。

(無料メルマガ『モロッコの南の町から』2022年5月17日号)

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