労働生産性の上がらぬ日本で「最低賃金」を上げる厚労省の愚策

厚労省の中央最低賃金審議会により毎年見直され、10月初旬よりその金額が適用される最低賃金。働く側としては増額されるに越したことはないようにも感じられますが、ことはそう単純ではないようです。今回の無料メルマガ『採用から退社まで!正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ』では社会保険労務士の飯田弘和さんが、最低賃金引き上げは企業の体力を奪い、結果的に失業率の上昇を招くと批判。さらに、近年の全体的な視点に欠ける政府や厚労省の施策を強く非難しています。

最低賃金引き上げに対する批判

10月から最低賃金が引き上げられます。中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)で、2021年度の最低賃金を全国平均で28円を目安に引き上げると決めました。これによって、最低賃金の全国加重平均が930円になります。最低賃金法では「地域における労働者の生計費および賃金ならびに通常の事業の賃金支払能力を考慮して定められなければならない」とされています。にもかかわらず、「全国加重平均が1,000円になることを目指す」という政府方針ありきで決定されている感が否めません。

賃金が上昇するためには、労働生産性の向上が必要です。2019年の就業者一人当たりの労働生産性は、日本はOECD加盟37か国中26位です。主要先進7か国でみれば最下位であり、この状況は長年続いています。そして、2019年度の実質ベースの時間当たり労働生産性上昇率は前年比-0.8%であり、2年連続で前年度比マイナスとなっています(公益財団法人日本生産性本部「日本の労働生産性の動向」より)。

労働生産性が上がっていないのに賃金を上げろとは、ムチャな話です。そもそもとして、日本は労働生産性が上がらない構造になっています。労働生産性を上げるためには、生産性の低い事業・業務の廃止等によるコストカットや設備投資、技術革新等が必要です。ところが、日本では、リストラクチャリングを行うことが非常に難しい。

リストラクチャリングの本来の意味は、事業や組織の再構築、再編成。不採算部門の事業縮小や撤退、統廃合といった不採算事業などの整理とともに、成長事業や高収益事業へ経営資源を集中することを指します。リストラクチャリングを行うという事は、まずは不要な事業や組織の廃止、不要な労働者の退職(解雇を含む)や配転等が必要です。生産性の低い事業や組織、生産性の低い労働者を整理することで、会社全体でみたときの生産性や財務状況は改善し、より成長が見込める事業への新規投資や現事業への設備投資によってより高い生産性を実現することができるのです。

ところが、裁判では、解雇は簡単には認められません。共産主義国家の計画経済ならいざ知らず、資本主義社会においては、景気の変動や事業の盛衰があるのは当然であるにもかかわらずです。資本主義社会では、景気は循環します。好景気の時もあれば不景気の時もあります。事業経営も、好況の時もあれば不況の時もあります。高収益事業は時代とともに変化していきますし、技術はどんどん廃れていきます。その変化に応じて、事業も再構築・再編成していかなければ、会社は生き残ることができません。

清原和博が巨人復帰か。中田翔の移籍で透ける原監督の思惑、疑問だらけのトレードは「問題児獲得の既成事実作り」だった

暴力事件を起こしたにもかかわらず、無償トレードで巨人に移籍した中田翔に対して波紋が広がっている。そもそもなぜ巨人が中田を獲得したのか?中田のポジションには複数の有力選手がいて、何も焦ってまでいわくつきの選手を戦力補強をする必要はない。実はそこに原監督のしたたかな戦略が見て取れる。

中田翔獲得の先にあるのは清原和博の巨人復帰か

今月22日、東京ドームで行われたDeNA戦に「5番一塁」で初のスタメン出場をした中田は、3点を追う七回、移籍後初本塁打となる挨拶代わりの2ランを放った。これにはネット裏で観戦していた長嶋茂雄終身名誉監督も大喜び。ガラスをたたいて歓喜した。

問題を起こして日本ハムを退団、その中田を救った巨人で移籍後すぐにホームランを放ったことで、まるで“美談”のようになっているが、「そんな簡単な話ではない」とスポーツ紙の記者は語る。

「原辰徳監督が中田の視線の先に浮かべているのは清原和博です。そのやんちゃぶりや番長キャラで何かと比較される中田と清原ですが、中田という問題児を救って“既成事実”を作ることで、原監督は清原復帰への道筋を作ろうとしているとみられます」

ご存知の通り、清原は2016年2月に覚せい剤取締法違反で逮捕され、同5月に懲役2年6月、執行猶予4年の有罪判決を受けた。数々の記録を打ち立てただけでなく、多くの人たちの記憶にも残る選手だったが、この一件以降は野球界から“腫れ物”扱いされてしまっている。

しかし、昨年6月で執行猶予期間が終了。逮捕後は薬物とも縁を切り、積極的に啓蒙活動にも参加していることから、徐々に風向きは変わりつつある。

【関連】戸田恵梨香、結婚生活が破綻寸前?松坂桃李の激やせ理由は「役作りではない」、すれ違いによる“夫婦仲の亀裂”が原因か

清原に手を差し伸べようとしている原監督の思惑

清原は西武からFA宣言して、1997年から2005年まで9年間巨人に在籍したが、原監督の第一次政権時代に選手としてプレー。共に戦った仲間である。

「当時の2人の距離感は特別近いものではありませんでした。とはいえ、お互いに巨人の4番を背負った人間として、気持ちが通じるところがあります。叩かれたり、挫折を味わったりと、輝かしいだけではないのが巨人の4番。リスペクトする気持ちがお互いにあるはずです」(前出・スポーツ紙記者)

清原は7月10日に行われた巨人-阪神戦で、解説者として復帰を果たした。

縁深い甲子園球場での解説復帰とあって、清原を一目見ようと多くの野球ファンが駆け付けたが、試合後に珍しい光景を目にすることができた。

巨人の勝利で終わったこの日、解説席に座る清原の姿を見つけた元木大介ヘッドコーチが、原辰徳監督と宮本和知投手コーチを呼び寄せ、3人で清原に向かって手を振ったのだ。

その姿に解説席から立ち上がり、何度も何度も頭を下げ、手を振り返した清原。「なんか泣きそうですね。来て良かった」と目を潤ませた清原は、「まさか原さんがバックネット裏に向かって手を振ってくるとは夢にも思わなかった。今まで頑張ってきて本当に良かったと思います。ありがとうございます」と語った。

【関連】上白石萌音が“容姿イジリ”で悲痛な叫び。佐藤健の擁護が裏目?心をえぐる誹謗中傷、苦しい胸の内明かし我慢の限界か

そうした良好な関係性もある原監督と清原。実は原監督が清原を球界復帰させようとしていることは、その条件が整いつつあるという背景も影響していた。

小池都知事周辺で不気味な動き。衆院選「11月投開票」説が急浮上

10月21日に任期満了を迎える衆議院。総選挙は任期満了前の投開票が原則ですが、任期満了直前に解散することで、解散後40日以内という規定を利用し最長11月28日まで選挙を遅らせられるという解釈があるようです。緊急事態宣言下であること、自民党総裁の任期が9月30日であることなど複雑な要素が加わり、過去に例のない任期満了後の投開票が濃厚になったと見るのは、メルマガ『石川ともひろの永田町早読み!』著者で小沢一郎氏の秘書を長く務めた元衆議院議員の石川知裕さんです。石川さんはさらに、たった1日の選挙応援で都民ファーストを生き返らせた小池百合子東京都知事の動向を「台風の目」として注視しています。

衆院選は11月投開票へ? 小池氏の周辺で妙な動きが…

任期満了まで残り2か月と迫る中、新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言延長を余儀なくされ、菅総理は自民党総裁選を経てから解散をするように追い込まれている。

9月12日までの宣言期間中に解散はできない。自民党総裁選は9月17日告示、同29日投開票の日程で、まず間違いない。

その後、新総裁で内閣改造をして臨時国会を開くとなると、10月の投票日設定は窮屈な日程となる。

ワクチン接種が進めば進むほど感染率、重症化率は下がるのでできるだけ先送りした方が良いと自民党も考えているので、衆議院選挙は11月の投開票となるだろう。

さて、総選挙後の政界はどうなるだろうか。政治は何が起こるかわからない。

4年前、東京都知事選挙を制し東京都議会選挙でも旋風を起こした小池百合子・東京都知事が「希望の党」を結成したとき、「政権交代か?」と思わせるほど、支持率が自民党に肉薄した。

「排除します」発言で政権交代の機運はしぼみ、小池都知事も失速した。

当時はTBSの朝の情報番組・朝チャンで、「揺れる都政シリーズ」が毎朝流れ、小池都知事の顔を見ない日はなかったが、その後はぱったり見なくなった。

しかし、東京オリンピックをめぐる森喜朗元総理とのバトルに加え、コロナ禍での露出増で、再び台風の目となる可能性も指摘されている。

7月の都議選で、体調不良で休養していたにもかかわらず、最終日のたった1日歩いただけで、都民ファーストを生き返らせたのは記憶に新しい。

都民ファーストの会が初の「国政勉強会」を8月11日に開催したが、誰かが仕掛けたはずだ。

東京都を中心に都民ファーストが新党を結成し、大阪維新の会のように国政で旋風を巻き起こす可能性も指摘されている。

そうなると自民党の過半数割れ、自公でもひょっとすると過半数割れとなり、維新や都民ファーストとの連立、または大連立もあり得る事態になるかもしれない。

image by:StreetVJ / Shutterstock.com

コロナ禍を逆手に。ダイソー商品を売り始めたセブンイレブンの先見性

コンビニエンスストアは、その便利さに磨きをかけ、お客様を呼び込む努力を決して惜しまないようです。今回のメルマガ『理央 周の売れる仕組み創造ラボ【Marketing Report】』では著者でMBAホルダーの理央 周さんが、セブンイレブンがダイソーの商品販売を本格化させるとの報道を紹介するとともに、この取り組みが両社にもたらす恩恵を解説。さらにコンビニ業界で進む同様の動きを取り上げ、「小売業が敏感であるべき変化」を提示しています。

 

なぜダイソーの商品があるセブンイレブンでは、他店舗より売り上げが多いのか?

セブンイレブンが、100円ショップのダイソーと組んで、セブンイレブン店内で「ダイソー」の売り場を本格的に展開していく、とのことです。ダイソーの商品を売る店舗は、神奈川県に80店舗あるそうです。

商品ラインナップとしては、清掃グッズや、セットで100円の文房具、車のシートフックなどといった、通常はコンビニに置いていない商品が中心です。他のコンビニにはこういった商品を扱っていない、ということもあり、セブンイレブンのダイソーが入っている店舗では、平均で、約1割弱の売り上げ増になった、とのことです。

買う側の顧客からすれば、コンビニに100円ショップが入っていると、わざわざ100円ショップとコンビニの、両方に行く手間が省けます。また新型コロナの感染拡大で、以前と比べて、複数のお店を回るよりも、「できる限りいろいろなところにはいきたくない」「1店舗で済むなら済ませたい」と考える人も多くなりました。セブンイレブンはこういった状況の変化をうまくつかみ、ダイソーを店内で展開しています。

また、売る側のセブンイレブンの立場でも、お客様が100円ショップ商品目当てで来店しても、コンビニ商品をついで買いをしてくれます。もちろんこの逆もあるので、売り伸ばしにつながります。

セブンイレブンではこれまでも、セブンプレミアムシリーズや、金のセブンイレブンといった、PB(プライベートブランド)に力を入れてきました。これは小売業では、限定品やPBのような、「うちの店だけ」という特別な商品があると、その店に行く理由になるからです。コンビニではセブンイレブンにしかないため、ローソンやファミマと差別化ができて、来店促進になるのです。

今回もまた、ダイソーが入ることで、100円ショップにしかない商品、たとえばボールペン5本で100円とか、スポンジが3個で100円といったような商品が買いたくて、近くのコンビニに行けばあるのであれば、その商品を目がけて買いに来る、といったことが期待できます。

このように、お客様がその店に来る理由になる商品を、磁石が鉄を引きつけることにかけて、と呼ぶことがあります。コンビニで言えば、おにぎりやお弁当などがそれにあたります。今回、ダイソーが店内に入るということになれば、オフィス街では3本100円のボールペンセットが、マグネット商品になるでしょう。このマグネット商品を買いに来たお客様が、ついでにおにぎりやジュースを買っていってくれれば、売り伸ばしにもなるのです。

 

人型ロボットだけじゃないイーロン・マスクの大本命。テスラ製スパコンDojoの桁違いの実力とは?

8月19日に開催されたテスラの技術イベント「Tesla AI Day」。国内の一般マスコミでは、その席でイーロン・マスクが開発を宣言した人型ロボット「Tesla Bot」ばかりが取り上げられましたが、専門家が思わず嘆息するような技術の発表が多々あったようです。その模様を紹介するのは、「Windows95を設計した日本人」として知られる米シアトル在住の中島聡さん。中島さんは今回のメルマガ『週刊 Life is beautiful』で、既存の自動車メーカーには不可能なテスラの自動運転システム開発手法や、目眩すら覚えたという同社のマルチ・チップ・モジュール等を詳細にレポートしています。

緊急告知・LIVE配信のお知らせ

 

現代の日本が抱える課題をテクノロジーの観点から議論!中島聡さんが設立した団体、シンギュラリティ・ソサエティの創立3周年を記念して、共に同団体を立ち上げた夏野剛氏をゲストに迎え、メルマガ読者を対象に、現代の日本が抱える課題をテクノロジーの観点から議論するライブ配信を行います。この機会にぜひ初月無料のメルマガお試し購読をどうぞ。

 

テーマ:Invent or Die – 未来の設計者たちへ10:中島聡×夏野剛

日時:2021/8/24(火)22:00~23:15

 

この配信はメルマガ読者限定配信です。事前にメルマガの読者登録をお済ませください(初月無料のお試し購読期間でも視聴できます)。

 

視聴忘れのないように、まぐまぐ!Liveアプリでフォローをお願いします。配信開始時に通知が届きます。視聴方法はこちらから。
※配信内容・時間は変更になる場合があります

プロフィール中島聡なかじま・さとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

 

Tesla AI Day ~驚異の自動運転技術と半導体チップ

先週、Teslaが「Tesla AI Day」というイベントを開きました。去年の9月に開かれた「Tesla Battery Day」以来の技術イベントです。

株主や消費者向けのイベントではなく、技術的なことを深掘りするイベントで、対象としているのは、私のように技術面からTeslaのことを見ている技術者向けのイベントで、一番の目的は技術者のリクルーティングにあります。

前半は、自動運転ソフトウェアの話で、まずは自動車、路側帯、車線などの物体認識技術を解説し、その後、その情報を利用して、どうやって自動運転を行なっているかを解説しています。

この分野に興味のある技術者にとっては、どんな教科書を読むよりも良い勉強になると思います。専門用語がたくさん出てくるので、初心者には少し辛いかも知れませんが、このビデオを見ながら、分からない言葉が出てきたら調べる、という見方でもとても良い勉強になると思います。私が、大学で人工知能の授業を担当していたら、このビデオを見た上で、感想を含めたレポートを学生に書かせるだろうと思います。

ちなみに、人工知能で使われている深層学習は、ニューラルネットと呼ばれる一連(=レイヤー上に並べられた)の行列演算を活用していますが、前半のレイヤーがFeature Extraction(特徴抽出)と呼ばれるもので、そこで「丸いものがある」「斜めの直線がある」などの基本的な特徴を抽出し、その情報を元にして、後半のレイヤーで「この部分に自動車がある」「ここに車線が斜めに走っている」などの高度な物体認識を行なっています。

この図(53:00から)は、Teslaの技術者がHydraNetsと呼ぶ構造で、物体認識、信号認識、車線認識の3つのタスクを行う際に、Feature Extractionの部分までは同じネットワーク(一連の行列計算)を使うことにより、それぞれ別々のニューラルネットワークを使うのと比べて、大幅に計算量を減らしているそうです。

さらに面白いのは、Feature Extractionの結果をディスクにしまうことにより、ニューラルネットワークのトレーニングに生かしているという点です。

Teslaの自動運転は、まだ不完全なため、ドライバーが常にハンドルを握って、いざという時には、自らハンドルを切って事故を防ぐ必要がありますが、その動作をTesla車は、自動運転ソフトの誤動作と認識して、サーバーにシグナルを送るように出来ています。

Teslaはサーバー側でそれらの情報を活用して、自動運転ソフトを日々改良していますが、必要に応じて、新しいアルゴリズムをテスト用に自動車に送り込み、(実際の運転はせずに)シャドーモードで動かすことによりテストを行なっているそうです。

つまり、「路肩に止まっている緊急車両を見逃した」ケースがあれば、それに対処するようにソフトウェアをアップデートした上で、そのソフトを実際の車両に送り込み、前もってディスクにしまっておいたFeature Extractionの結果をベースに、アップデートした上位のレイヤーに渡し、正しく緊急車両を認識したかどうかのテストが行えるのです。

こんなソフトウェアのデバッグの仕方が出来てしまう点がTeslaの凄さであり、ソフトウェアのことが理解出来ていない人々が会社を経営し、ソフトウェアの開発は外注に丸投げしてしまうような既存の自動車メーカーには、決して出来ない芸当です。

 

辛坊治郎氏が遂にゴール!“男泣き”の裏で早くも「次の航海」を計画中? 4カ月間の「無謀」な挑戦をナマで語る

アメリカ・サンディエゴへの太平洋ヨット単独横断に成功し、再び日本へ向け出発していたジャーナリストの辛坊治郎さん(65)が24日午前9時20分ごろ、大阪・岬町の淡輪ヨットハーバーへ無事に帰港しました。辛坊さんは「もう、ヘロヘロ」と感想を述べ、「はっきり言います。無謀です。おすすめしません」と言いつつも、満面な笑みを浮かべました。

辛坊治郎さんが無事にゴール!孤独な旅を終えて男泣き

辛坊さんのヨットが大阪淡輪ヨットハーバーに入ってきたのは午前9時13分ごろ。地元の有志によるご好意で花火が打ち上げられる中、多くの人たちから拍手で迎えられた辛坊さん。まずは「ありがとうございました!」と感謝の言葉を口にしました。

辛坊さんが太平洋ヨット単独横断を目指し、アメリカ・サンディエゴへ向け出発したのは4月9日。「そのうちつくでしょう!ペースではない。食料は十分にありますから」と意気込みを語り、洋上での様子を自身のメルマガ『辛坊治郎メールマガジン』の中で、航海日誌として紹介してきました。

相次ぐトラブルに見舞われながら70日後、無事にサンディエゴへ到着したかと思えば、「帰りもヨットで太平洋を単独横断する!」とまさかの発表をして驚かせた辛坊さん。そこから、更なる孤独な旅がスタートしました。

船上では骨折騒動があったり、周辺で海底火山が起きたりと帰路もさまざまな困難が立ちはだかったといい、「精神的にきつかった。行きは目的があるから良かった。帰りは船を運んでくるだけだったから、これは辛かった」と、ゴール後に振り返りました。

サンディエゴに到着した時と同じように、伸びきったボサボサの髪とあごには白色が混じったひげをたくわえた風貌で淡輪ヨットハーバーに姿を現した辛坊さん。

「サンディエゴでおめでとうございますとは言われたけど、あと半分あるからとてもじゃないけど喜べる気がしなかった」と涙を浮かべて語ると、「はっきり言います。無謀です。おすすめしません」と、最後は辛坊さんらしい言葉で航海を締めくくりました。

辛坊さん0824①

※辛坊さんが日本へ到着した様子は「まぐまぐ!Live」のアーカイブで読者限定で公開中!歓喜の瞬間を是非ご覧ください!詳細はコチラから!

長旅終了も辛坊さんが早くも「次の航海」を計画中?

辛坊さんのゴールの瞬間を放送したまぐまぐLiveには、挑戦を応援していた視聴者の皆さんから続々とお祝いのコメントが寄せられました。

「お帰りなさい! 帰ってきおった!!」

「感動をありがとう!」

「新たなる旅立ち期待してます」

「今度こそおかえりなさい。お疲れ様」

「また、仙人だー!カッコ良すぎて感動!」

「想像を絶する航海、無事でなりよりです」

「辛坊さんはコロナ的には世界で一番安全かもしれん」

無事に帰ってきたことを喜ぶ方たちが多い一方、辛坊さんの新たな挑戦を期待する声もあるようです。

辛坊さん0824②

どうやら到着後にエンジンが壊れてしまったようで、辛坊さんはすぐに自宅へは帰らず、1週間ほどかけてヨットの整備をする予定だとか。何はともあれ4カ月以上に及ぶ長旅、本当におつかれさまでした!

※辛坊さんが使用した愛艇『Kaorin V』の情報は「古野電機」のサイトでもご覧いただけます。ご協力ありがとうございました。

image by: 辛坊氏提供

タリバン幹部と中国外相「7月会談」の不気味。アフガンへ急接近する隣国の思惑

米軍撤退後のアフガニスタンでのタリバン政権発足を見越し、7月末にはタリバン幹部と王毅外相との会談の席を設けていた習近平政権。中国とタリバンが支配するアフガンの接近は、世界にどのような事態を招くのでしょうか。今回のメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤先生が、ニューヨーク・タイムズの記事を引きつつ両者がすでにウィンウィンの関係にあることを解説。さらにアフガンは米中が共通の目的を見出すことができる場所であるとして、今後の両国の協力如何では世界に好影響をもたらす可能性もあるとの分析を記しています。

 

 

アフガンに入り込む中国の戦略

米国のアフガン撤退で、中国の影響力が増大するという予想があります。

それはどれぐらい真実なのですしょうか?ニューヨーク・タイムズの8月20日の記事「中国はアフガンの真空に入っていく準備ができているか?」を元に解説しましょう。

【参考】In Afghanistan, China Is Ready to Step Into the Void

まず中国から見たアフガンの最大の関心事は「東トルキスタン・イスラム運動」(Eastern Turkistan Islamic Movement、略称ETIM)です。

これは中国から新疆ウイグル自治区(東トルキスタン)の分離独立を主張するイスラム過激派組織です。アフガニスタンにルーツを持ち2000年代にはタリバンやアルカイダの支援を受けていたと言われます。

当然、中国側はこれを「国家安全保障に対する直接的な脅威である」と重要視しています。

すでに先月7月にタリバンの共同創設者であるアブドゥル・バラダー氏と中国の王毅外相はこの問題について話しあっています。そして中国側からは「タリバンが東トルキスタン・グループと完全に決別することを望む」と伝えています。

これに対してバラダー氏は、「タリバンは、いかなるグループにもアフガニスタンの領土を使って中国に有害な行為をさせない」と約束しています。

先月にはタリバン、中国とも首都カブール陥落が近いと予想していたのでしょう。そのタイミングで両者が会って上記のようなことを合意しているのです。

その「東トルキスタン・イスラム運動」以外においては中国とタリバンはウィンウィンの関係にあると言っていいでしょう。

実際この20年間、中国は政治的にはでしゃばらないもののアフガニスタンに数百万ドルの援助を行い、医療支援、病院、太陽光発電所などを提供し最終的にはアフガニスタンの最大の貿易相手国の一つとなっていました。

そしてタリバンは、カブールを占領する前から、中国のアフガニスタンへの投資を保護すると約束していました。

現時点(8月20日)で中国はまだタリバンをアフガニスタンの新政府として正式に承認していませんが、「アフガニスタンの人々が独立して自分たちの運命を決定する権利を尊重する」「アフガニスタンとの友好的で協力的な関係を発展させる」とタリバンに友好的な声明を発表しています。

すでにタリバンと中国の間には阿吽の呼吸があるように見えます。

以下、今後、どのような形で中国とタリバンが協力できるかを記します。

  • 中国の長期戦略投資計画のひとつに「ベルト・アンド・ロード(一帯一路)計画」があり、地域全体に資金を供給してインフラを整備しようとしています。
  • もし中国がパキスタンからアフガニスタンまで「ベルト・アンド・ロード」を延長することができれば、例えばペシャワールからカブールまでの高速道路を建設することができ、中東の市場にアクセスするためのより短い陸路を確保することができます。
  • またアフガンを通して同盟国とも言えるイランとも地続きになり、より協力な関係を結ぶことができます。
  • アフガンにはリチウム、鉄、銅、コバルトなどの重要な工業用金属を含む膨大な未開発鉱床があります。タリバンはその開発を望むでしょうし、中国はその開発技術があります。
  • 中国が仲介してパキスタンとアフガニスタンを強く結びける事により、その3国でインドと米国に対抗できます(すでに6月に中国はパキスタン・アフガニスタン両国の関係の発展と改善に引き続き協力することを約束しています)。

ここまでで、タリバンと中国がすでに阿吽の呼吸がある事が分かったと思います。

さて、このように中国がアフガンで大きな影響力を持つ事は米国や世界にとって良い事なのでしょうか?

それは持っていき方によります。そもそも米国がアフガンに侵攻したのは9.11のテロを主導したオサマ・ビン・ラディンが率いるアルカイダがいたためです。

もしアルカイダ等のアフガンにいるイスラム過激主義グループが米国でテロ行為を行わなければここまで長く関わる事もなかったでしょう。

そのイスラム過激主義グループの国際運動を恐れているのは中国も同じです。

中国と米国は、その違いにもかかわらず、外交官や技術者を共同で訓練するなど、アフガニスタンですでにいくつかの協力関係を築いています。両国とも、アフガニスタンが内戦状態に陥ることは望んでいません。

両国ともにアフガニスタン人が主導し、アフガニスタン人が所有する政治的解決策を支持しています。したがって、アフガニスタンは、2つの競合する巨大な国が共通の目的を見出すことができる場所なのです。

もし中米が協力してプレッシャーを与える事によってタリバンとイスラム過激主義グループに距離ができれば、世界にとってかえってよかったといえるかもしれません。

 

仁義を欠いた菅首相の自業自得。横浜市長選で最側近が落選の大誤算

次期衆院選の前哨戦として注目され、菅首相も自らの地盤とあって最側近の小此木八郎氏を全面的にバックアップしたものの、蓋を開けてみれば立憲民主党推薦の山中竹春氏の圧勝となった横浜市長選。与党に有権者の厳しい審判が下されたわけですが、何がこのような結果を招いてしまったのでしょうか。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では著者で日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんが、菅首相の林文子現市長への仁義を欠いた扱いにより、自民党が割れたことがその主因と断言。さらに菅氏については一国のトップに立つ器ではないとした上で、彼を首相に祭り上げた二階俊博氏の判断を批判しています。

【関連】消えた“小池総理”と「与野党大連立」の急浮上。政局の山場は8月22日か
【関連】“ハマのドン”暴露で露呈した菅首相の求心力低下。横浜市長選「候補乱立」ウラ事情
【関連】大臣を辞めて横浜市長選へ出馬の異常。小此木氏の背後に“ハマのドン”と菅首相の影

 

横浜市長選で小此木氏を惨敗させた菅首相の問題点

菅首相が応援する小此木さんが、横浜市長選挙で敗北した。この大きな原因が、林文子現市長への仁義を欠いた扱いがあるからだ。

もし、林文子市長が立候補しなければ、自民党は一本化ができたはずである。

林文子氏に会って、菅首相は次の魅力的なポストを提供して、その上で、自分の主張変更を説明した上で謝り、市議団にも説明したのであろうか?私が見るに一切していないように見える。それでは林文子市長も怒るよね。この当たり前がわからないようだ。

林文子市長は、IRに乗り気ではなかった。それは市民への最初の説明会の態度で分かる。イヤイヤ説明をした。菅首相が強引に林文子市長に押し付けたから、渋々、IRを推進してきた。

それを急にIR反対と「手の平返し」だ、これでは林文子市長の立場がない。林文子市長の説得で同調した市議たちも立つ瀬ないことになっている。市議は、市民にIRを説明してきたはずである。それを何の説明なしに、「手の平返し」の反対に義憤を感じているはずだ。このため、自民党が割れた。

仁義は、論語の初等レベルの倫理観である。江戸時代は、初等教育の教科書(往来)に論語を採用して、人間として、どうあるべきかを初めに教えていた。その論語では人間として、一番必要なのが「仁・義」とその上での「信」であるとしている。

仁義を欠いた人が一国のトップにいることに、大きな違和感を抱かざるを得ない。菅さんはトップの器ではない。実行者として、実務をするには、その強引さが武器になったかもしれないが、皆をまとめることはできない。この結果が、今、いろいろな局面に出ている。

コロナ感染症の拡大防止も皆の気持ちや意見を尊重しないことで、壁に突き当っているようにも見える。このようなことでは、民心収攬などは絶対無理である。

組織のトップには、人間としての素養が絶対必要であることを思い知る。その点、安倍前首相には、危機になったとき、安倍さんを助ける多くの知識人たちがいた。安倍前首相は、人として素晴らしいものを持っているからだ。菅さんとは、人としての器が大きく違う。

そして、この2人が組んだ政治が最高であった理由でもある。院政政治の良さであろう。大所高所から見る安倍首相と、それを実行する菅官房長官という組合せである。だから、10年以上も体制を維持できたのだ。

そして、二階幹事長も生き生きしていた。今の二階さんの判断は、間違いが多い。その一番大きな間違いは、菅さんを首相にしたことである。トップの器がない人をトップにしてしまったことだ。

岸田さんを首相にしておくべきであったと思う。

 

全てが想定外。米国情報筋が漏らしたアフガン撤退“大混乱”の舞台裏

アフガニスタンからの米軍撤退期限を今月末までとしていたものの、予想を遥かに上回る大混乱を受けその延長に言及したバイデン大統領。世界一の軍事大国らしからぬこのような「惨状」を招いた原因は、一体どこにあるのでしょうか。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』では著者でジャーナリストの高野孟さんが、主たる要因をアメリカが抱く「軍事力で世界は思い通りになるという妄想」であると断言。その上で、米国の存在そのものが大迷惑になりつつあるとの厳しい意見を記しています。

【関連】アフガン撤退は狂気の沙汰。逃げ出したバイデン大統領と米国の迷走
【関連】タリバンは本当に“悪”なのか?大国の意志に翻弄されたアフガンの真実

 

※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2021年8月23日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

アフガン戦争を上手に終わらせることもできない米国のお粗末/その背景には米国社会のクレージー体質の根深さがある

バイデン米大統領は8月18日、米ABCニュースのインタビューで、8月末としていたアフガニスタン駐留米軍の撤収期限を延長する可能性を示唆した。アフガンに滞在する米国民全員を退避させるには「1日に5,000~7,000人を輸送しなければならない」と説明した。

1日に5,000人として8月19日から月末までの12日間に計6万人、1日に,7000人として8万4,000人の「米国民」が救出を待っているというのは本当なのか。そうだとすれば、その人たちの安全を確保した上での退避計画を立てていなかったというのはビックリ仰天だし、それ以上に、米国民以外のアフガン人の対米協力者――米軍軍属、通訳、大使館スタッフ、米系メディアのスタッフ、運転手等々の恐らく数万~数十万人がタリバンによって報復を受ける危険性についてほとんど何も考えていなかったというのは、信じられない程の間抜けさである。

どうしてこんなことになるのか米情報中枢に近い筋に当たると、「お恥ずかしいとしか言いようがない。米政府も現地機関も、米軍が撤退を開始しても、アフガン政府と軍が少なくとも数カ月は踏ん張って、同政府とタリバンの間で和解政権を作る協議が始まるものと信じていた。ところが、アフガン政府のガニ大統領はたちまち夜逃げしてしまい、米国が多額を注いだ同国軍もアッという間に消滅した。すべてが想定外」と自らの見通しの余りの甘さに呆然としている有様なのである。

ベトナム戦争の終末では、米軍兵士、大使館員等々を退避させた後、13万人と言われたベトナム人対米協力者の救出を行なった。が、それでも米国は責任を果たしたとは言えず、その後「ボートピープル」という形で100万人を超えるベトナム人が命がけで祖国を脱出してその8割は米国に亡命したのだった。軽度認知障害にあるバイデンがこのようなベトナム戦争終結の際の「撤退」の難しさを知らなかったのは仕方がないとして、国務・国防両省やCIAが全くの役立たずだったのは一体どうしたことなのか。

「戦争国家」アメリカが、戦争を始めることはできても止めることができず、すべてを放ったらかして逃げ出す無様な姿を晒しているのである。

 

休業中の店に「コロナのバカヤロー!」の張り紙。経営上は正解か間違いか?

私たちがついつい表に出してしまいがちな「不平不満」ですが、やはり可能な限り避けたほうがいいようです。今回の無料メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』では接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさんが、ネガティブな発信は同情を買うことはできても応援に繋がりづらい理由を解説。その上で、コロナのために休業している飲食店を例に取り、目にした人が足を運びたくなるような告知張り紙の文言を紹介するとともに、言葉選びの重要性を説いています。

ネガティブ共感を呼ぶ発信

私の自宅と駅との間には、いくつかの飲食店があります。その中の一つに、比較的最近できたお店(といっても1年近く経ちますが)が1軒あるのですが、ここ数週間ほど休業している様子です。テイクアウトなどもやりつつ営業をしていたのですが、今は店を閉めてシャッターに張り紙がしてある状態。

どういう理由で休んでいるのかは定かではないのですが、その店に関して、個人的にあることがすごく気になっています。それは店のシャッターに貼ってある張り紙の文言です。

張り紙には休業の理由がはっきり書いてあるわけではありませんが、どうやらコロナの影響によるものらしいことはなんとなくわかります。というのも、いくつかの文章の後にデカデカと「コロナのバカヤロー!」と書かれているからです。コロナの影響で店を開けても利益が取れず、閉めざるを得ない状況なのかなーという感じなんですね。

実際飲食店は、本当に厳しいところが多くて、そう思う気持ちはよくわかります。都内は特にアルコールを出しにくい雰囲気もあり、その店の場合はアルコールなしでは利益が出にくい構造だということも扱っているメニューから見て取れます。でも、「コロナのバカヤロー!」をデカデカ書くのはどうなのかなというのが率直な感想です。

飲食に限らず業界的に厳しいところは、今はたくさんあります。そこで働く人たちは、それぞれいろんな想いを抱えながら日々を過ごしていることでしょう。国や自治体など、いろんなところへの不満があることも、おそらくほとんどの人が気持ちは同じです。

だからなのか、今はとてもネガティブな共感を呼びやすくなっています。ニュース記事やTwitterなどでも、コロナ関連でネガティブな話題を発信すると、すぐに「私も同じです」「同じこと考えていました」「同じく不満があります」など、共感をしてくる人が集まってきます。元来、ネガティブな話題には人が集まりやすいので、そういう意見に乗っかってくる人は多いものなんです。

しかし、ネガティブな共感をいくら呼んでも、同情してくれる人はいるかもしれませんが、応援してくれる人はそう増えてはくれません。「コロナのバカヤロー!」と憤怒の思いを綴っても、道ゆく人は「あぁ、あそこも大変なのね」と同情はしてくれるかもしれませんが、「だったらもっと、売り上げに貢献できるように応援してあげよう」という気持ちにはなかなかなれないものです。

ましてや、近所にこの状況でもうまくやっているような店があるわけで、そこでうまくいっていないということは「あぁそういうことなのね」と妙な憶測すら呼んでしまいかねません。不満をいくらぶちまけても、自分たちもお客様もハッピーにはなれないのです。