給与計算を間違えて「過払い」してしまった。後日“天引き”は許されるのか?

給与計算を間違えてしまった場合、その後、給与から天引きすることはできるのでしょうか? 今回の無料メルマガ『「黒い会社を白くする!」ゼッピン労務管理』では、著者で特定社会保険労務士の小林一石さんが、給与計算の難しさを語りつつ、とある学校が訴えられた判決を引いてこの疑問に答えています。

過払いしてしまった給与を、その後の給与から天引きすることはできるのか

給与計算の大変なところは間違いが許されないことです。

みなさんの中にも給与計算を担当されている人がいると思いますが、毎月がその緊張の中で業務をされていることでしょう(私もそうです)。

ただ、現実には間違いが発生するポイントはびっくりするほどたくさんあります。例えば仮に基本給が変わらず、毎月残業も全くなかったとすると、給与計算は簡単そうに思えるかも知れません。

ところがそんな場合でも扶養家族が変われば税金は変わりますし、雇用保険や社会保険の料率が変われば保険料も変わりますし、引っ越しをすれば交通費が変わります。さらに扶養家族が変わったことや引っ越ししたことをあとから報告を受けた場合は不可抗力的に間違いが起こったりもします。

この不可抗力的な間違いは一概に給与担当者のせいとも言えませんがいずれにしてもその後の給与で調整する作業をしなくてはなりません。

では、もし給与を払いすぎていたらその後の給与でその分を天引きすることはできるのでしょうか。

実は労働基準法に「賃金全額払いの原則」というものがあります。これはざっくりお話しますと「給与は全額支払わなくてはならない」ということです。

天引きしてしまうと給与の全額が支払われないことになるのでこの法律に違反してしまうことになります。

では、もし給与計算を間違ってしまったらどうすれば良いのか?

それについて裁判があります。

ある学校で、先生たちが勤務評価に不満があるとして学校を欠勤しました。

そこで本来であれば学校は欠勤した分の給与と手当を減額するべきだったのですが、給与計算の業務が間に合わなかったためそのまま支給してしまったのです。

その後、学校はその分を返すようにその先生たちに話したのですが先生たちは拒否しました。

そこで給与から天引きしたところ先生たちが「納得がいかない!賃金全額払いの原則に違反している!」として学校を訴えたのです。

ではこの裁判はどうなったのか?

メニューはひとつだけ。古くから地元民に愛される「かき揚げうどん一択」な店の秘密

古くから地元民に愛されるお店は、他のお店と一体何が違うのでしょうか。今回のメルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では、著者の佐藤きよあきさんが、 埼玉県にあるとあるうどん屋さんを紹介。ふらっと寄れるそのお店の秘密を解明しています。

もはや地元民の食卓。ねぎのかき揚げうどん一択のお店

どの土地に行っても、古くから地元民に愛され続けている食べもの屋さんがあります。暖簾をくぐると、「いらっしゃい!」「まいど!」「お帰り!」「久しぶり」。慣れ親しんだ空気が、優しく迎え入れてくれます。実家に帰ったような安心感に包まれ、しばし癒される時間が……。

埼玉県羽生市。創業約70年のうどん屋さん「とちぎや」も、そんなお店です。飾り気のない店構えに、年季の入った暖簾。中に入ると、掃除は行き届いているものの、雑多な雰囲気でお客さまを緊張させず、くつろげる空間になっています。

壁には、サッカーや野球選手のユニフォームやサインが掛けられています。これらは三代目店主の趣味ですが、こういうものがあると、お客さまが店主の人となりを知ることができ、安心感というのか、親しみを感じることができます。

このお店、うどん屋さんと言えど、メニューはただひとつ。ねぎのかき揚げと刻んだねぎがのったうどんのみ。温かいものと冷たいものがあり、「並」「大」「特大」「超特大」のサイズ違いが選べます。

お客さまの注文も簡単。「温かいの 大」「冷たいの 特大」。メニューがひとつなので、お客さまも迷うことなく、いつもの注文をスラスラと。

麺打ちは機械を使わず、すべて手作業。生地を捏ねて、一晩寝かせます。コシは強過ぎず、柔らか過ぎず。真っ白でツヤツヤな麺は、ツルツルな喉越し。

つゆは、カツオとサバの合わせだし。色は濃いのですが、だしの風味が生きています。

うどんにのっているかき揚げは、店主のお母さんが担当。大量の長ねぎと水で溶いた小麦粉を混ぜて揚げるのですが、サクサク衣ではなく、もっちりとした食感。これは、つゆに浸して食べることを想定しているからです。

磨き上げられた老舗の味ではありません。創業者である祖父から受け継がれていますが、地域住民の舌に合った、庶民の味です。約70年という歴史は、尊敬に値する重きことです。しかし、地元に根づき、お店の価値を高めようとすることもなく、飽きることのない味を守り続けているのです。

地元の人が、家庭で食事をするかの如く、「今日はうどんにしよ!」という時に、気軽にやって来るお店です。自分の家の台所兼食卓なのです。食卓に座って、お店のお母さんと話をするためにやって来る常連さんも多くいます。

NUROモバイルが発表した「40GB3980円」プランに競争力はあるのか?

NUROモバイルが40GB3980円の新プランを発表。MVNOのライバルイオンモバイルの40GB4158円を意識した値付けですが、ユーザーの支持は得られるのでしょうか。4000円前後になると、100GB4950円のahamo大盛りなどMNOのプランと比較されることになると不安要素をあげるのは、メルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』著者で、ケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さん。大量のデータを扱う5G時代になっても、MVNOのビジネスがMNOへの「接続料」の支払いがベースという部分に議論が必要ではないかと問題提起しています。

「データ使い放題」に近づくのはMVNOにとって鬼門か?NUROモバイルが40GB3980円「NEOプランW」発表

ソニーネットワークコミュニケーションズのNUROモバイルは3月8日、新料金プラン「NEOプランW」を発表した。月額3980円で40GB、対象SNS使い放題、アップロード無制限、3ヶ月ごとに15GBが付与されるという内容だ。

ユーザーのデータ利用料が年々、増加する中、「20GBでは足りない」という需要に応えたものとなる。MVNOで40GBのプランを提供するところはかなり限られている。

かなり細かい刻みでデータ容量を提供するイオンモバイルにおいて、「さいてきプランMORIMORI」のなかで、40GBで4158円という設定だ。イオンモバイルでは余ったら翌月に繰り越すことができる。

MVNOとしては、あまり使わないユーザーにとってお得な料金設定が多かっただけに、データ容量を使いたい人向けのプラン設計となると、かなり不利なような気がしている。

実際、NTTドコモ「ahamo」の20GBで2980円に「大盛り」をつければ100GBで4950円となる。「NEOプランW」に1000円弱を足せば、ahamo大盛りで60GBも多い100GBが使えるとなると、正直言って、ユーザーからすればかなり悩ましいだろう。ahamo大盛りで4950円、さらに2000円ちょっとを追加すれば、もはや「5Gギガホプレミア」が契約できてしまう。

MVNOとしては、データ容量を増やし、収入を増やしたいのだろうが、中容量から大容量プランにシフトすれば、それだけMNOの「使い放題プラン」に近づいてしまう。

かといって、接続料でビジネスが成り立っているMVNOにとっては、「使えば使うほど接続料を支払う」仕組みになっているわけで使い放題プランの提供は難しい。

そもそも、接続料を基本とするMNOとMVNOの関係でいいのか。もうちょっと議論が必要なのではないだろうか。5Gの浸透によって、これから5G SAをMVNOに開放するという話も具体的になってくるだろう。まさに5Gでデータが大量に流れる時代に、3Gのころから変わらない「接続料」という考え方をベースにしていていいのか。

総務省がこれからもMVNOに対して、MNOの対抗軸として競争政策を進めていくのであれば、そろそろ「5G時代のMVNOのあり方」について、向き合わなければならないのではないか。

この記事の著者・石川温さんのメルマガ

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なぜ、靴の中なのに「靴下」なの?校閲のプロが教える正しい日本語

私たちが普段、疑問を抱くことなく使っている「靴下」という言葉。靴の下にはないのに、なぜ「靴下」なのか、考えたことはありますでしょうか? メルマガ『前田安正の「マジ文アカデミー」』の著者で朝日新聞の校閲センター長を長く務めた前田さんが「靴下」という日本語について、詳しく解説しています。

靴下は、どうして「靴中」と言わないの?

靴下は、どうして「靴中」とか「靴上」あるいは「足下」と言わないのか。どう見たって靴の下にはないじゃないか。

かつての春日三球・照代さんの地下鉄漫才ではないけれど、「これを考えてると一晩中眠れないの」という感じになってしまいます。

着物を着ていた時代は、足には足袋をはいていました。足袋という字は「足に袋」と書きます。足元をすっぽり袋に包むというイメージが字からも伝わります。先人はどうして「靴」と「下」を組み合わせたのか。

今回は「下」の意味するところを考えてみます。

位置関係で示された「下」

僕たちの感覚では「下」という漢字は、通常「上下」の関係で考えます。中国の字書『説文解字』にも「ものの最も低い部分」であると記されています。

ですから「低い位置、底部」「身分の低いもの、庶民」「部下、手下」「時間や順序の後ろ」「中心から離れたところ=付近、のち」といった具合の意味になります。

「荷物を下に置く」は、位置関係で低い場所を言います。人間関係で言えば「下々の者」「部下」「臣下」などということばに、上下関係が表れています。「下にも置かないもてなし」といえば、丁寧に扱って下座にも置かないもてなしという意味になります。

動詞としての「下る」は、「高いところから低いところへ行く」「降りる」「川の上流から下流に行く」という意味になります。さらに「落ちる」という意味も生まれてきます。「身分を抑えて人に対応する」「へりくだる」という意味や、「屈服する」「降伏する」という使われ方も生まれてきました。

「閣下」ということばは、身分や地位の高い人を敬っていうものです。ここに「下」が入っているのは、「高殿(たかどの)の下(もと)」という意味がもとになっています。高殿とは高貴な人の居所をいいます。高貴な人を直接いうのをはばかって、その居所をさしていう語なのです。昔から高貴な人は、大きく立派な居所を構えていたのですね。

この記事の著者・前田安正さんのメルマガ

なぜ「外に出せない」のか?質の高いアウトプットができない理由

ビジネスシーンで重要視されるアウトプットを質の高いものにするためには何が必要だと思いますか? 20代の頃に開催していたビジネス塾で「外に出す」ことの大切さを学んだ接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさんは、Shop business mindfulness (SMF)を主宰し、メルマガ読者がアウトプットできる機会を創出しています。なぜそのような場を作ったのでしょうか。その理由を『販売力向上講座メールマガジン』で解説しています。

そもそも、アウトプットする機会がない

これは僕が20代半ばの頃に在籍していた会社で経験してきたことです。

当時のリーダーが塾長となって実施していたものでして、僕はそのメンバーとして参加しました。業務外のことでしたが、挙手制だったので「やってみよう」と思い参加をしたところ、これがまぁ、難しいのなんの。

それまで、自分の頭の中ですらまともに考えられていなかったところへ、さらにアウトプットまでやることになり、最初は全然考えがまとまりませんでした。

でも、何度かやっていくうちに次第に感じたことは、「外に出す」ことをしない限りは、人は成長できないということです。

「外に出す」作業のことをビジネス界隈では『アウトプット』と呼びます。

例えば接客に置き換えてみると、「商品知識を勉強する」のがインプットだとしたら、「覚えた商品知識をお客様に伝える」のがアウトプットという見方もできるでしょう。

ご存知の通り、商品知識をいくら覚えたところで、お客様に伝える機会がなければ意味はありませんよね。

また、伝えようとしてもうまく言葉にできず説明がグダグダになれば、それもまたアウトプットとしては質が低いとなってしまいます。

だから質の高いアウトプットができるようトレーニングが欠かせないのですが、その機会を持っている人はほとんどと言っていいほどいないのです。

日々の仕事が忙しいこともあるでしょうが、それ以外にも理由はあります。

そもそも外に出す習慣がないので、出す機会自体がないわけです。

そんな機会を誰かが作ってくれるのを待つだけの人もいますが、それにしたって強制参加でもない限りは結局やらないまま終わっていくでしょう。

だから一度くらいは、アウトプットの機会に自分から飛び込むことをしてもらいたいと思います。そのためにSMFを作りました。

別にそこで正しいか正しくないかを決めるわけではありません。

今回に限っていえば、自分の考えを出してほしいというだけですから、さまざまな考え方が出てくる方がむしろ学びにもつながります。

今回のSMFはたった10回ですが、これまでの経験上、その10回すらできない人が大半でしょう。

それで、「お客様のために」とか言っているのは甚だ疑問でしかありませんが、そのくらいの意識の人が世の中にはほとんどなのです。

「できるかどうかわからない」も必要ありません。できるかどうかわからないから、やらないとできないままです。考えを外に出す機会を作ってください。

今日の質問です。

  • この一ヶ月でアウトプットの機会を作るとしたら、何をしますか?

出典:メルマガ『販売力向上講座メールマガジン

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リーマンショック級の金融危機は起きるか?米銀行の経営破綻が相次ぐ理由

3月10日のシリコンバレー銀行に続き12日にはシグネチャー銀行が事実上の破綻に追い込まれるなど、大揺れに揺れる米金融業界。この好ましからざる流れが全米に拡大してしまう可能性はあるのでしょうか。今回のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』では米国在住作家の冷泉彰彦さんが、上記2行の経営破綻が避けられなかった理由を分析するとともに、今後のシナリオを考察。さらに米国経済が抱える数々の不安要素や問題点を取り上げ、それらに対するアメリカ政府の施策を紹介した上で、そこから読み取れるバイデン政権の思惑を解説しています。

※本記事は有料メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』2023年3月14日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

米で銀行が相次ぎ経営破綻。リーマン級の「金融危機」?

3月9日の木曜日、カリフォルニアの中堅地銀であるシリコンバレー銀行(SVB)の株価が突然急落しました。それまでは270ドル前後で安定していた株価は、一気に106ドルまで下がったのです。つまり1日で60%という厳しい下げでした。SVBはエツイ、エアB&Bなど大小様々なテック系のベンチャーを取引先としている普通銀行です。

このSVBに関しては、巨額の資金不足が発生しているという噂が流れ、預金の引き出しが始まりました。SVBが当局に報告した「引き出し額」は1日で42ビリオン、つまり5兆円以上が木曜日1日で「消え」、結果的に現預金のバランスはマイナスになったとされています。

これは大変です。勿論、これは破産法申請ということではないし、デフォルト、つまり債務不履行が起きたわけではありません。ですから正確な意味での「破綻」ではないのですが、もう払い出すキャッシュがないというのは、事実上の破綻を意味します。

警戒を強めた市場は、先週末にかけて神経質な動きをしました。SVBについては、まず金融当局は「FDIC(預金保険機構)」の管理下に起きつつ、休業(close)という措置を取りました。つまり預金の引き出しを含む業務を停止し、株の取引も凍結したのです。その上で「経営を引き受けてくれる」つまり「買収先」を探す動きとなりました。

そこで13日の月曜になって、もしも買収してくれる銀行が見つかれば、預金は全額保全されて金融システム全体への影響はないだろうという楽観論が出ていました。これが、12日の日曜の昼ごろまでの状況で(いずれも現地時間)したが、夕方になって「SVBの財務内容がかなり悪い」という話になり、そう簡単には行かないという雰囲気になっていました。

同時に、これは東海岸になりますが、「シグネチャー銀行(SBNY)」も12日に休業となっています。

こうした状況を受けて、13日の月曜日早朝にはダウ先物がマイナス300ドルというかなり悲観に傾いた状況となっていました。そこへ現地朝8時過ぎにバイデン大統領が緊急会見を行って以下の措置を明らかにしました。

1)SVBとSBNYについて、預金は全額保全。原資はFDIC。したがって公的資金の投入は一銭もなし。金融システムは安泰。

2)株主の救済はなし。自己責任。また、両行の経営陣は罷免されるであろう。

非常にシンプルなメッセージですが、市場はこれを好感して一気に株の先物は上昇しています。では、これで一件落着かと言うと全くそうではなく、今度はサンフランシスコの地銀「ファースト・リパブリック銀行(FRC)」の株が12日1日で61%下げるなど叩き売られています。その他にも2から3の地銀で、株価が大きく下げているケースがあります。こうした銀行の場合は、SVBやNYSBと同様に、預金の流出が起きていると考えられます。

この記事の著者・冷泉彰彦さんのメルマガ

「エホバの証人」元信者の男女6人が射殺。なぜ“かつての仲間”は狙われたのか?

かつては輸血拒否による死亡事故が社会問題となり、つい先だっては教団内の虐待行為が明るみに出た宗教団体「エホバの証人」。ドイツでは現地時間の9日夜、集会に集まっていた信者たちを元信者が銃撃し6名が命を落とすという事件が起きています。このショッキングな事件を受け、カルト教団が過剰に敵視される理由を考察しているのは、かつて旧統一教会の信者だったジャーナリストの多田文明さん。多田さんは自身のメルマガ『詐欺・悪質商法ジャーナリスト・多田文明が見てきた、口外禁止の「騙し、騙されの世界」』で今回、強い敵愾心を抱かれても「自業自得」と言わざるを得ない、カルト教団に共通する複数の特徴を列挙しています。

「エホバの証人」6人死亡銃撃事件の深い闇。なぜカルト団体は敵視されるのか?

1.自らの行動のブーメラン。カルト宗教団体が過剰に敵視されるワケ

なぜ、カルト団体といわれるところは敵視されてしまうのでしょうか。

3月9日夜、ドイツのハンブルクで「エホバの証人」の施設で銃撃事件があり、男女6人が死亡しました。

銃撃したとされる容疑者は1年半前に教団をやめた元信者とされており、すでに自殺をしているとの報道です。

組織に恨みを持ったための犯行なのかはわかりませんが、いずれにしても、元信者でこれだけの人を殺害したのですから、少なからずエホバの証人を敵視して犯行に及んだとみて良いかと思います。

昨年7月にも山上徹也被告による安倍元首相の銃撃事件もありましたが、もともとは旧統一教会の韓鶴子総裁を狙いましたが、それが難しいために教団とのつながりが深いと考えた安倍元首相を狙ったといわれています。

なぜカルト思想を持つ組織は、強い敵愾心を抱かれてしまうのでしょうか。

結論からいえば、自らが一般の人たちを敵視して行動するゆえ、その逆の結果を生んでいるのだと考えます。

2.「自分が救ってやらなければ」。上から目線のカルト教団

多くのカルト団体は「自らの組織の人間こそが、神に選ばれた存在と考えて、一般社会の人たちを救わなければならないという、下に見たような行動を取ります。いわゆる「選民思想」です。

また、敵か味方と物事を二分して考える傾向もあります。「二極思想」ともいいますが、自分たちの思想に沿う考えの人は「善」(神の側)であり、反対する者は「悪」(サタンの側)であるとして排除します。

旧統一教会の教えでいえば、文鮮明教祖夫妻の教えを受け入れた者こそが、神の側の人たちであり、その他はサタン側としています。サタン世界の人間は、万物(もの)以下の存在であり、救われなければならない存在であるとしています。

旧統一教会の田中富弘会長は年頭の信者に向けた言葉のなかでも「我々がぶれない限り、サタン側が必ず崩れていく」とも話して、教団に反対する者たちを「サタン」と呼び、敵視させる方向に信者を持って行っていることからも、彼らの真意がわかると思います。

この記事の著者・多田文明さんのメルマガ

シリコンバレーに勝てるのは「高専」だけ。世界的エンジニアが重大提言、日本を救うIT学園都市構想の中身

あらゆる物事のデジタル化が猛スピードで進む昨今、日本に不足しているのがそれらを自在に操る人材。そんな我が国の存亡にかかわる大問題を解消する妙手はないものでしょうか。今回のメルマガ『週刊 Life is beautiful』では、Windows95を設計した日本人として知られる中島聡さんが、自らが温めていた「IT学園都市構想」を紹介。日本中に作るべき、即戦力の「英語が使えるソフトウェア・エンジニア」を大量に生み出す仕組みを具体的に解説しています。

プロフィール中島聡なかじま・さとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

私が考えた「IT学園都市構想」と日本の問題点

先日、シンギュラリティ・ソサエティ経由で、超教育協会というところから、オンラインシンポジウムでの講演の依頼がありました。主な視聴者は、教育関係者、自治体、保護者とのことなので、以前から考えていた「IT学園都市構想」を話そうと考えています。このメルマガでも、一度「質問コーナー」で「ソフトウェア学園都市」として以下のように紹介したことがあります。

これからますます重要になるソフトウェア・エンジニアを養成するための高専(5年生)を、全寮制で、日本各地(10~20箇所)に作るというアイデアです。それも、東京近郊、大阪近郊などはあえて避け、少子高齢化と過疎化に悩む地方自治体に、国のお金で立派な教育施設を作るのです。

 

最初の2年間は徹底的に英語と数学を叩き込み、残りの3年間は Coursera などのオンラインコースを活用して、コンピュータ・サイエンスの英才教育を施すのです。オンラインコースを活用する理由は、英語で学んで欲しいのが一番の理由ですが、コンピュータ・サイエンスを教えることが出来る教師不足を補う面もあります。

 

門戸は理数系の強い子供たちに大きく開き、成績が良い子には返済不要な奨学金を渡します。それと並行して、各学校の周りにオフィスパークと住宅地を作り、そこにベンチャー企業を誘致します。

 

卒業した子供たちが、それらのベンチャー企業で働くことはもちろんのことですが、そのままその場所に残って、海外のソフトウェア企業でリモートで働くことも可能なので、そんなライフスタイルを魅力的にするための工夫もとても重要だと思います。

 

ちなみに、学園都市の中は、一般の自動車は入れず、乗り放題の自動運転バスが24時間提供されており、歩行者・自転車・車椅子が安全にどこでも移動出来る環境が整備されています。

 

学園都市の外側には、農作地が広がり、地産地消の維持可能な社会を目指します。ただし、労働者の高齢化が進む日本の農業は、今の形のままでは成り立たないので、彼らの持つ(野菜や食肉を作る)ノウハウを失わずに、いかに大規模化・自動化するかが成功の鍵を握るだろうと思います。

この記事の著者・中島聡さんのメルマガ

プーチンの大嘘。国民が餓死しないだけの国に成り下がったロシアの落日

西側諸国によるロシアへの経済制裁開始から1年余り。この間、「返り血覚悟」とも言うべき厳しさをもってプーチン政権と対峙してきた民主主義国家サイドですが、その効果は十分に発揮されているのでしょうか。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、アメリカの有名大学教授が語ったロシア経済の実状を翻訳・要約して紹介。さらに北野さんがロシア在住時の友人知人から得た現地の情報と併せて、ロシア国民の暮らしと国家としてのロシアが置かれている現状を考察しています。

イェール大学教授「ロシア経済」の実状を語る。いまロシア国内はどうなっているのか?

ロシアは昨年2月24日、ウクライナへの侵攻を開始しました。それで、日本と欧米は、ロシアに厳しい制裁を科した。1年以上が過ぎて、ロシア経済はどうなっているのでしょうか?

私は、モスクワや極東の知人、友人からいろいろ聞いています。皆口をそろえていうのは、「インフレはあるが、物が不足していることはない」ということ。つまり、日常生活で困っていない。

その一方で、自動車、電車、航空機などは、どんどん大変になっているようです。ウクライナ侵攻前、ロシアでは日系、欧米系を含む20の自動車工場が稼働していましたそれが今では、ロシア系2、中国系1工場しか操業していません。しかも、ロシアの国産自動車にはエアバッグがついていない。技術がないので、そうなっているのです。

また、ロシア国内を飛んでいる旅客機は、ほとんどボーインクとエアバスです。ウクライナ侵攻後、リース会社は、「航空機を返してください」と要求した。するとロシア政府は「返さなくてもいい」、つまり「盗んでもいい」とお墨つきを与えてしまいました。

ですが、部品が入ってこないのは致命的です。JALの友人から聞いたのですが、JALの従業員は会社から、「絶対にロシア・アエロフロートの飛行機に乗ってはいけない。落ちる可能性が高いから!」と警告されているそうです。皆さんも覚えておきましょう。

イェール大学ジェフリー・ソネンフェルド教授の意見は? ←h3タイトル

これに関連して、ドイツDW3月5日付にイェール大学経営大学院のジェフリー・ソネンフェルド教授の見解が載っていました。

Профессор из Йеля: Путин выдумывает данные о ВВП России

内容を要約しておきましょう(※ 逐語訳ではありません)。

DW 「世界銀行は昨年4月、ロシア経済は2022年、11%減少すると予測していました。しかし、実際は2.1%の減少にとどまっています。IMFによると、今年は0.3%成長するそうです。ロシアは、制裁に対応できているということでしょうか?

 

ソネンフェルド教授 「世銀やIMFのデータは完全に間違っています。というのも彼らは、ロシア国家統計局のデータに基づいているからです。

 

IMFや世銀の幹部は言いませんが、彼らはロシアの現在の輸出入量についてまったくわかっていないのです。なぜなら2022年の第2四半期、ロシア政府は統計を公表するのを止めたからです。

 

つまりIMFと世銀が受け取っている数字は、勝手に作られたものなのです」

このソネンフェルド教授の指摘は本当です。NRI2022年9月9日付(「ロシア経済指標の信憑性」)を見てみましょう。

ロシアの主要な経済指標はウクライナ侵攻後に公表が停止されたため、ロシア経済の実態は外から見えなくなっている。ロシア国家統計局、ロシア中央銀行などの公的機関は、輸出入、債務、原油生産量、銀行、航空会社や空港の利用者数など、それまで定期的に公表していた指標の公表を次々に停止した。先進国側に手の内を見られないよう、弱みを見せないようにするための戦略である。

アジアから“厄介者扱い”される日本。台湾問題で「取るべき態度」とは?

3選を果たした習近平国家主席が、13日の全国人民代表大会の閉会にあたり演説した内容について、日本のメディアは「台湾統一」を見出しにして「有事」を匂わせています。しかし、中国が軍事力を行使する可能性があるとすれば、台湾側が独立を宣言する場合だけと解説するのは、多くの中国関連書を執筆している拓殖大学の富坂教授です。今回のメルマガ『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』では、台湾側にそうした動きをしないように諫めることこそ日本が取るべき行動で、米国に加担し争いを煽るような行動は、中国だけでなくアジア諸国からも疎まれると警告しています。

いよいよ台湾が変わり始めたなか、日本が「台湾有事」を叫ぶことの不思議

昨秋の20大(中国共産党第20回全国代表大会)が閉幕した後、日本では強面・習近平が強引に台湾を取りに動くともちきりになった。多くのメディアは中台を「侵攻ありき」で報じるようにもなった。

だが筆者は、むしろ逆に習近平政権が、台湾に対して融和的なシグナルを送り続けていると伝えてきた。代表的なのは近著・『それでも習近平政権が崩壊しない4つの理由』で詳しく記した。とくに2019年から、中国に顕著に見られる変化だからだ。

この融和の流れは今月開催された全国人民代表大会の李克強総理による政府活動報告にも引き継がれた。台湾に触れた部分は淡白で素っ気ないものだった。ではなぜいま中国はそうした選択をしたのだろうか。一言でいえば、それが「合理的」だからなのだ。

習近平には、自らの手で中国を世界一の大国にするという野心があり、その目標の実現の可能性は決して低くない。中国を世界一にした指導者として歴史に名を残す栄誉は、台湾統一の功績にも勝るとも劣らない。それを成し遂げるためには、中台関係が静かである必要がある。つまり現状維持ならば御の字なのだ。

中国がそう考えれば、基本的に現状維持を望む台湾の人々のニーズとも合致する。逆にもし、中国が統一を迫れば、台湾の人々は抵抗は必至だ。侵攻などすれば中国が被るダメージは計り知れない。もちろん「中国を世界一にする夢」は絶望的になる。損得を考えれば侵攻のメリットはない。

だが、それでも最後の最後の手段として武力行使の可能性はわずかながら残される。最も危険が高まるのは、どんなときなのか。端的に言えば、「台湾が『自分たちは中国ではない』と宣言し、台湾人が中国人ではなくなる」ときだ。

台湾が焦土化する可能性さえある宣言なので、民進党とて軽々にできることではないはずだが、内政という変数が絡めばやっかいである。総統がその地位を脅かされたり、与党が下野の危機に直面したときには、生き残りをかけて毒まんじゅうを食らうことも考えられるからだ。つまり、台湾海峡の平和は国民党と民進党の争いをいかに理性的な範囲にとどめられるかにかかっているのだ。

この状況下でもし日本が、口先だけではなく本当に台湾有事を懸念し、地域の大国としてアジアの火種をコントロールする責任を果たそうとすれば、すべきことは一つしかない。

この記事の著者・富坂聰さんのメルマガ