中国テック大手「歩歩高(ブーブーガオ)」の強みと凄み。なぜ“元ファミコン互換機屋”の段永平は世界屈指の企業集団を作れたのか?

多くの日本人にとって、米欧IT企業と比べて馴染みが薄い中国テック企業群。「アリババ」や「ファーウェイ」は耳にしたことがあっても、最新動向はさっぱり…という方も少なくないのが現実ではないでしょうか。今回のメルマガ『知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード』ではITジャーナリストの牧野武文さんが、いま中国で急成長中の企業集団「歩歩高(ブーブーガオ)」を紹介。ユニークなスマートウォッチで子どもたちの心を鷲掴みにしているとのことですが、そのルーツのひとつには任天堂の「ファミコン」があるそうです。

プロフィール牧野武文まきのたけふみ
牧野武文(まきの・たけふみ):中国事情に精通するITジャーナリスト。著書に『Googleの正体』『論語なう』『任天堂ノスタルジー横井軍平とその時代』など。メルマガでは急速に発展する中国のITについて、企業・人物・現象・テクノロジーなど毎回1つのテーマを取り上げて深掘り解説している。

中国市場を席巻する子ども用スマートウォッチ「小天才」

今回は、中国の注目テック企業「歩歩高(ブーブーガオ)」と、その子会社が大ヒットさせた、子ども用のスマートウォッチ「小天才」についてご紹介します。

小さな子どもを持つ親の悩みとして、「何歳からスマートフォンを使わせればいいのか?」という問題があります。デジタルデバイスは確かに便利ですが、子どもの成長面でさまざまな弊害も指摘されているからです。親は二律背反する難問を解決しなければなりません。

そこで注目されるのがキッズケータイです。家族や登録した人としか通話やメッセージ交換ができない、GPSがついており親は子どもの居どころがわかる、写真が交換できるなどの機能を基本にしたものです。

中国にもキッズケータイに相当するスマホはありますが、圧倒的に人気なのがスマートウォッチです。スマートウォッチといっても、SIMを内蔵していて、通話、メッセージを送ることができ、写真撮影やビデオ通話もできるというものです。もちろん、GPSや中国の衛星測位システム「北斗」(ベイドウ)に対応していて、親のスマホに子どもの位置事情が表示できるようになります。

このキッズ用スマートウォッチの分野では、「小天才」(シャオティエンツァイ)というブランドが圧倒的なシェアを持っています。そこに華為(ファーウェイ)、小米(シャオミ)が続いています。

この小天才で見るべきことは、その頭のいい商品設計です。トップシェアを握るのも当たり前だなと思われる商品です。もうひとつは、この小天才という企業は、「歩歩高」(ブーブーガオ)の子会社で、歩歩高は中国のデジタルデバイス業界の大きな集団を形成している点です。スマホメーカーのOPPO(オッポ)、vivo(ビーボ)も歩歩高系の企業です。

この記事の著者・牧野武文さんのメルマガ

世の中の無知につけこむ警察とマスコミの“煽り”。日大「大麻問題」の印象操作

アメフト部員が逮捕され騒動になった日本大学の大麻問題。これに、メルマガ『和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」』の著者で精神科医の和田秀樹さんは、マスコミと警察が世の中の無知につけこんでいるのではないか?と持論を展開しています。

世の中の無知につけこむ悪辣マスコミと警察

警察やマスコミが一般市民の無知につけこんで印象操作をやっていることに大麻問題がある。

私も、最近、初めて知ったのだが、大麻は所持は罪になるが、使用は罪にならない。

もちろん使用していたということは所持していたことを意味するので、警察で事情聴取は受けることになるだろう。

大麻の常習者はこういうときの言い逃れを知っている。

「みんなと一緒にやったので、俺は持っていなかったけど、そいつにもらった」

現行の法律では、自分で持っていたことを証明しないと、起訴できないし、有罪にもできない。「そいつが誰か言わないと逮捕するぞ」とか「そいつが誰か教えないとお前が持っていたことになるぞ」という脅しはできない。そんな嘘を言っての自白強要は、逆に警察のクビが危うくなる。

ただ、一般の、常習もしていない、たまたま遊びでやっていた学生は、そんなことは知らない。

ひょっとしたら先輩から、「お前がもっていてやったといったら罪になるから、捕まったら仲間とやったと言え」くらいの知恵はつけられているかもしれない。

学生に大麻が蔓延している中、学生の間では、使用では罪にならないことくらいは常識なのかもしれない。

だから、平気で「やった」と告白するし、もっと賢い人間なら「仲間とやった」といいふらすだろう。

こんな人を抱える学校の側からしたらたまったものではないが、慣れている学校では、学長がHPで遺憾のコメントを出すだけで、記者会見などは開かない。めったにこういう事件が起こらない、まじめな学生の多い学校では、あわてて記者会見を開いて、マスコミの袋叩きにあう。たとえば、日大は7万人も学生のいる大学なのだから、今の大麻のまん延状況からみれば1,000人に一人くらい、使用者がいても不思議でないが、たった一人で大騒ぎになる。

それだけ学生が真面目だという証拠だと思うが、確率でものを考えないマスコミと国民には通じない。

マスコミも警察も、大麻の使用が罪にならないことくらい知っているはずだが、国民がそれが犯罪だと思っていることを利用して、煽り報道をする。

私の大好きな泉谷しげるさんも、おそらく無知のために、いい加減なコメントを出していた。

押収した大麻を提出しなかったことについて、「要は尿検査で使用した証拠が出ないようにしただけだろ。明らかに隠蔽」との話だが、尿検査で陽性が出ても逮捕はできない。

去年の7月に使用を認めた学生がいたのに、部内で処理したことになっているが、実は警察に相談している。そして、その警察から事件化が困難だから十分に注意をするように指導を受けたのが事実だ。その後、警察も動きを見せて講習会も行っている。

こういうことについては、記者会見でもはっきり伝えたことだが、警察にしても、使用では刑事事件化できないから、所持の事実が確認できないと動けないというのが本音だろう。

ただ、世論もあるし、世の中の、とくに大学生の間での大麻のまん延に手をこまねいている印象を与えたくないので、急に態度を硬化させ、7月に使用の自主申告をした人間がいたのに何もしなかったと、マスコミを使って日大を叩くことになったということなのではないかと思う。

この記事の著者・和田秀樹さんのメルマガ

image by: Shutterstock.com

仙台育英vs神村学園での“誤審”が話題も…「我々も責任感を持ってやっている」。現役審判の声

21日、夏の甲子園準決勝 仙台育英(宮城)vs神村学園(鹿児島)の試合が行われ、6対2で前回王者・仙台育英が勝利した。X(旧Twitter)では、選手たちへの賞賛の他、「誤審」についての意見も相次いでいる。具体的には、仙台育英の選手がホームに帰ってきたタッチプレイで、アウトのようにも思えた場面がセーフになったこと。これに、「高校野球もリクエスト制度を導入すべき」「誤審のせいで試合の流れが変わった」などと、審判への批判が相次いでいるのだ。

プロにもある「誤審問題」

野球の審判による「誤審問題」はアマチュアだけにとどまらず、プロの世界にも存在する。18日に行われたDeNAvs阪神では9回、DeNA三浦監督のリクエストにより阪神の同点のチャンスが幻となり、阪神・岡田監督が猛抗議したことが話題となった。

高校野球の世界も同様で、不可解な判定は枚挙に暇がない。21日午前現在で準決勝に残っている慶應高校と横浜高校の神奈川県地区予選決勝では、ベースを踏んだ踏まないで誤審疑惑となり、野球ファンの間で大きな議論となった。

審判といえども人間のやることである以上、ミスは間違いなく出てくる。それは誰もが分かっているとは思うが、必死にプレーをする選手に同情する気持ちから、つい感情的な審判批判をしてしまう事情もよく分かる。

審判側の意見

だが、実際に地方大会の審判を務めるという男性はこう話す。

「結果的に誤審になってしまったケースは申し訳ないですし、そういう場合は審判もずっと後悔するもの。しかし、ネットで〈〇〇高校贔屓〉などと言われると、正直辛いものがある。例えば、強豪校vs公立の弱小校との試合では、弱いチームに肩入れしたい感情はあります。けれど、だからセーフをアウトと言ったり、またその逆も絶対にありません」

高校野球の審判は「ほほボランティア」で運営されているのはよく知られているところだ。

「だからといって真剣にやっていないわけじゃない。ちなみに、地方大会でも観客席から〈今のはアウトだろ〉〈クソ審判が〉などといったヤジが飛んでくるケースもあります。ただし、それで審判を辞めたいとは、多くの人間が思っていないはず。なぜなら、我々はプロ扱いされていなくても責任感を感じているからです。選手の我々も必死で、暑い中やっている。若い選手と比べて私なんかは老いぼれだから、頭がボーッとすることもあります(苦笑)。それでも、極力間違いのないようやっています。だから〈クソ審判〉〈贔屓〉〈辞めちまえ〉といった意見を目にするのは、正直ツライですね」

とはいえ、アマチュアプロに限らず、選手は懸命にプレーしており、審判の判断が選手のその後を左右するケースも少なくない。そのため、プロ野球で導入されたリクエスト制度をアマチュア界でも取り入れる意見や、そもそも審判のAI化を…といった声もある。

「私も元高校球児で、やっぱり野球に関しては、AIにのような機械に頼るのに抵抗がある。でも、今みたいにネットで批判され、時には審判の名前まで晒されることがあるなら、若い人の“なり手”は減るでしょうね。そうしたら、自動的にそういった方向に進むのは理解できます。悲しい話ではありますが…」(前同)

緊張で早口、しかも聞き取りにくい…それでも「ロープレ大会」最高評価の理由

営業力を試すためにロールプレイングという手法は有効であり、さまざまな場所で使われています。今回のメルマガ『菊原智明の【稼げる人、売れる人に変わる知恵】』では経営コンサルタントで関東学園大学で教鞭を執る菊原さんが、ロールプレイングの審査をした際に見ている箇所をレクチャー。声は上ずっていて、早口。パッと見は「これはダメだな」と感じた挑戦者に最高評価を付けた理由とは?そこから得られるヒントがきっとあるはずです。

ロープレの審査員は営業スタッフの何を見ているのか?

人の営業力を評価する。これは簡単ではない。どこの部分をどう判断していいか迷う。

今まで、いろいろな場所で“ロープレの審査員”をさせて頂いた。

・会社のロープレ大会
・録画したものチェックする
・セールスグランプリ
・プレゼン大会

などなど。いろいろな場所でロープレを見てきた。ジャッジは難しいが、非常に勉強になる。

ある大会で他の審査員の方に「何を基準にジャッジしていますか?」と質問したことがあった。

その方は「質問から入っているか、ですね」と教えてくれた。これは一つの基準となる。

ロープレでは一定の条件が与えられる。それを相手役に対して売込みや説明をする。時間も限られているので難しい。

さらには人に見られている。緊張するのは当たり前だ。私もロープレは大の苦手だった。

中には場慣れしていて“こなれた雰囲気で明るく話す”という営業スタッフもいる。時には笑いを取って会場を盛り上げる。

こういった人は「結構いいんじゃないか」と一瞬思わされる。今まではこういう営業スタッフを高く評価していた。

しかし、冷静に考えると「内容的はあまり良くなかったのでは」と思うことも。表面的なことに騙されてしまう。

その点、“質問から入るかどうか”という基準があると、正確に見極めができる。これは便利だ。

ある営業スタッフの番になった際“誰が見ても緊張している”といった雰囲気だった。

声は上ずっていて、早口。パッと見は「これはダメだな」と思う。

しかし、その営業スタッフはお客様に対して「どうしてこの商品を検討しようと思ったのですか?」と質問していた。

こう聞かれたお客様が「ちょっと家が古くなってきましてね。水回りとか」と話し出す。

お客様が話すと流れが変わる。会話がかみ合うように。質問をきっかけにして落ち着きを取り戻した。

最後まで見て、私は“最高評価”のジャッジをした。

この記事の著者・菊原智明さんのメルマガ

運がいい人は、なぜ使い続けている無料のアプリに「課金」をするのか?

なんだか知らないけど偶然起こったことが原因で成功してしまった。そんなラッキーを起こす頻度が高められたらいいですよね。今回、無料メルマガ『サラリーマンで年収1000万円を目指せ。』の著者・佐藤しょうおんさんは、  偶然や運に関して自分の人生を振り返りながら、その頻度を高める方法を語っています。

良き偶然を手にするために

世の中って、理屈という柱の他にも、偶然とか運という柱もあるんですよ。

全く狙っていなかったのに、偶然、たまたま、自分の実力とは関係のないところで、なぜだか分からないけどそうなってしまったということがあるんです。もちろんこれはラッキーなことではあるんですが、そんなラッキーなことが起こる頻度を高めるにはどうしたら良いんでしょうね?

これは私が30歳くらいの頃からの大きなテーマでして、偶然とか運というメガネで人生を振り返って見ると、

 ● 理屈で生み出したことよりも強く人生に影響した

ことに気付くわけです。だから尚更、ここには慎重に対峙しなきゃならないと思うわけです。なぜならば、この偶然とか運が、ネガティブな方向で作用したら、理屈よりも強く、自分の人生が悪い方向にねじ曲がるわけですからね。

運が悪い人って、理屈を超越した悪いイベントが目の前に現れるわけで、それは理屈を超越しているからこそ、理屈の力で抗えないわけですよ。つまり、やっちゃいけない、手を出したらマズいって、理屈ではそう理解しているのに、止むに止まれずやってしまってドツボにハマるわけです。

そう考えたら、理屈なんて大した力を持っているとは言えないんですよね。だって偶然とか運に引き寄せられたことの方が、あなたを引き寄せる、行動させる力が強いんですから。

もしそのことが自分にネガティブに働いたら、これはめっちゃ怖いですよね。

そういうことを25年以上考え続け、そしてセミナー受講生を観察し続けて理解したことは、

 ● 良き偶然を手にする確率を高める方法は確実にある

ということなんですね。そのひとつが、

 ● 自分に後ろ暗い部分を持たない

ということなんです。つまり後ろめたいと思えることをやらないということです。私はいつでもお天道様の前に、愧じることなく出て行ける、疚しいところはないのだという気持ちを持って生きるのは非常に大事だと思うんですよ。

「ぶっちゃけ」をビジネスシーンで使う敬語に置き換えると何になる?

ビジネスシーンでの敬語、上手に使えていますか?今回の無料メルマガ『毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン』では、 敬語の基本とビジネスで役立つワンランク上の表現を学べる一冊を紹介しています。

ビジネスに役立つ敬語の本⇒『決定版!大人の語彙力 敬語トレーニング125』

81Syg72t8IL
決定版!大人の語彙力 敬語トレーニング125

本郷陽二・著 日経BP

こんにちは、土井英司です。

本日ご紹介する一冊は、ビジネスシーンで役立つ、敬語の本。

類書と比べ、語彙力に重きを置いた内容で、合っている/間違っているではなく、ワンランク上の表現を狙った内容です。

特に目上の方と話す時、モノを言うのは上級語彙。それもナチュラルに使いこなせていれば、一目置かれることは間違いありません。

本書では、ビジネスシーンで使うと評価が上がる、ワンランク上の語彙・表現法を紹介しています。

クライアントとの名刺交換やちょっとした連絡、依頼、会食などで威力を発揮する、手軽だけれどもしっかり重厚な内容です。

ビジネスマナーにまで踏み込んで書かれているので、とても勉強になります。

オビに書いている、以下の3つの表現、適切な言い換えが思いつかない方は、買って読むといいかもしれません。

「(誘いを断るとき)やめておきます」
「(お客様に)ここでお待ちください」
「(お通夜で)大往生でしたね」

随時、小クイズが入るので、自分の敬語の使い方が正しいかどうか、きちんとチェックできます。

尊敬語、謙譲語I、謙譲語II、丁寧語、美化語という5種類の敬語をきちんと使い分けたい方は、読んでおくといいでしょう。

尊敬語=相手を敬った表現
聞く→お聞きになる/行く→いらっしゃる など

謙譲語I=行為の向かう相手を立てる表現
届ける→お届けする/行く→伺う など

謙譲語II=自分側の行為・ものごとなどを相手に対して丁寧に述べる表現
言う→申す/行く→参る/小社/弊社 など

丁寧語=相手に対して丁寧に述べる表現
ます/~です など

美化語=物事を美化する表現
お花/お料理 など

 

側近さえも理解不能。プーチン大統領の頭に「終戦」の二文字はあるのか?

8月24日で開戦から1年半となってしまうウクライナ戦争。停戦に向けた要請が世界的に高まっていますが、その実現はまったく見えないのが現状です。一体何がそれを阻んでいるのでしょうか。今回のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』では元国連紛争調停官の島田さんが、自身の経験を交えつつ停戦協議がいかに困難なものであるかを解説。さらにウクライナ戦争を泥沼化させている原因を推測しています。

ウクライナ戦争はいつ終結するのか。困難極める「停戦」の本当の姿

2023年8月15日、日本は78回目の終戦記念日を迎えました。第2次世界大戦・太平洋戦争において生命を賭して国のために戦った御霊への祈りと、二度と戦争を起こすまいという誓いと覚悟を示す一日です。

しかし、「実は日本にとっての第2次世界大戦・太平洋戦争は1945年8月15日には終わっていなかった」と申し上げたら、皆さんはどうお感じになるでしょうか?

昭和天皇陛下が玉音放送にて“終戦”を国民に告げた日として、1945年8月15日は伝えられていますが、実際にこれは停戦命令でも降伏の命令でもなかったそうです。

アジア一帯に散らばっていた各部隊に停戦命令が出されたのは、8月16日以降に、数次に亘って行われたものであり、大本営の意識は「降伏が正式に連合軍に受け入れられるまでは、各部隊は臨戦態勢を取れ」というものであり、そのように現場の部隊には命令が伝えられていたという記録が残っています。

「新たな攻撃は慎むべきだが、自衛のためには攻撃やむなし」「中国(China)方面の戦線については、別途指示する」というように、大本営からは命令が出されており、8月終盤までは、実際に海外に展開されていた軍は武装解除も行っていなければ、停戦も行っていないというようにも解釈できます。

これを指して、ロシアの軍事戦略家は「日本軍は8月15日以降も降伏しておらず、武装解除も行っていなかったのだから、ソ連軍によるクリル4島(北方四島)への攻撃と占拠は、戦時状況に行われた正当な行為であった」と、ロシア政府が北方四島の領有・占拠を正当化する理由に挙げていると指摘しています。

「どの時点を以て、日本は降伏したのか」についてはいろいろと解釈が分かれるところのようですが、そこの検証は歴史家の先生方にお任せするとして、私は戦略上、降伏・停戦・終戦が成り立つまでにどのようなことが実際に行われるのかについてお話しします。

軍事戦略家の皆さんと、紛争調停官の仲間たちと話し合った際、「降伏・停戦・終戦を実行に移す時、実は戦闘相手に降伏・終戦・停戦の事実を認めさせ、合意するよりも、自軍の中の強硬派を納得させ、実際に武器を置かせることの方が、実ははるかに難しい」という結論に至りました。

私自身、紛争調停も行いますし、戦後体制の調整のための交渉も担いますが、その際にもめることが多い要素の一つが「DDR(Disarmament, Demobilization, and Reintegration 武装解除・動員解除・社会復帰)についての合意と合意内容の具体的な進め方について」です。

DDRは国家の復興や平和構築促進を目的とされた国連主体の国際平和活動で、 紛争地で行われ、特に紛争後の復興を目的とされており、平和構築に不可欠なプロセスともされていますが、これまでcombatに携わってきたものにとって、自らが所有する武器は自らの生命を守るものとも捉えられているため、なかなかそれを手放すことは出来ず、動員を解除することは、実質的に最終的な敗北を受け入れ、場合によって従属さえ受け入れることを意味するため、なかなか受け入れがたいものとなります。

この記事の著者・島田久仁彦さんのメルマガ

南シナ海でフィリピン輸送船に放水した中国がすぐ「矛を収めた」ワケ

8月5日、南シナ海のスプラトリー諸島で、中国海警局の巡視船がフィリピンの輸送船を放水銃で排除しようとする事案が勃発。領有権を巡る両国の対立激化が心配されました。しかし、実力を行使した中国側がすぐに抑制的な動きを見せ、事態の沈静化を図っているようです。メルマガ『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』では、多くの中国関連書を執筆している拓殖大学の富坂教授が、火種となっているフィリピンの座礁軍艦の問題を解説。今回、中国側が強い措置を取らなかった理由については、中国の専門家の「西側諸国の落とし穴を避けるため」との指摘に注目しています。

南シナ海で再びフィリピンと緊張を高めた中国が抑制的な対応をした理由

8月5日、6カ国・地域が領有権を争う南シナ海で、くすぶっていた火種が再燃した。現場となったのは南シナ海のスプラトリー諸島仁愛礁=アユンギン礁(英語名セカンド・トーマス礁)。同海域にはフィリピンの座礁した軍艦、シエラ・マドレがある。フィリピン側が同艦への物資輸送のため派遣した2隻の輸送船と巡視船に、中国海警局の巡視船が放水銃を使用し、排除を試みたことが対立激化の発端となった。

フィリピン沿岸警備隊は早速「中国が放水銃で攻撃してきた。国際法違反だ」と反発。一方の中国海警局は、フィリピン側の行動を、「国際法と『南シナ海行動宣言』に違反する行為」と反論。さらに「われわれは何度も警告したがフィリピンの船は無視した。われわれは衝突回避のため放水銃で警告した。現場での行動に非難されるべきところはない」(中国海警局報道官)と説明。自らの行動を正当化した。

中比の主張は真っ向からぶつかり合い、非難の応酬は海から陸へと場所を変えて激しさを増した。

フィリピン政府は、排他的経済水域内における物資の輸送は「国際法で守られた権利」としてフィリピンに駐在する中国大使を呼び抗議。シンガポールのテレビ局のインタビューに応じた安全保障会議のジョナサン・マラヤ報道官は、「フィリピン政府はこれからも国家主権及び領土の保全を維持し、すべての領土、その一切を失わないことをフィリピン国民に約束する。アユンギン礁の軍事拠点についても兵員と物資を補給するという決意が揺らぐことはない」と強気に応じた。

妥協の余地のない領土問題に引火し、両者が一歩も引かない姿勢を示せば、中比関係が劇的に悪化する可能性は高まる。メディアの報道も一気にヒートアップした。しかし、その後の展開は案に反して落ち着いたものとなった。

実は中国は「領有権争いが続く海域で平和を維持するため」の対話を求めるための特使をいち早くフィリピンに派遣して(シンガポール『CNA』8月8日)いたのだ。もちろん領有権争いが背後にあれば、問題が簡単に解決へと向かうはずはない。だが、それでも一時的な安定を取り戻すという意味で中国側の動きは確実に功を奏した。

なぜ中国が妥協的な動きをしたのかについては後述しよう。その前に少し今回の中比対立の背景にある仁愛礁の軍艦座礁と同艦への物資輸送の問題について詳しく見てみたい。

この記事の著者・富坂聰さんのメルマガ

テレワークは本当に「生産性」を落とすのか?Google日本元社長の考察と提言

新型コロナの流行により、日本でも一気に普及したテレワーク。しかし現在世界的にその割合が急減し、「オフィス回帰」の流れが進んでいると言います。そんな現象を取り上げ論じているのは、『グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた』等の著作で知られる辻野晃一郎さん。辻野さんは自身のメルマガ『『グーグル日本法人元社長 辻野晃一郎のアタマの中』~時代の本質を知る力を身につけよう~』で今回、テレワークが生産性を落とすのか否かを検証した複数の調査結果を紹介するとともに、このタイミングで企業と社員の双方が働き方を巡り考えるべき「重要事項」を提示しています。

テレワーク率が減少してオフィス回帰へ。なぜ企業のテレワーク離れが進んでいるのか?

3年前の半分以下となった日本のテレワーク実施率

8月7日に配信された朝日新聞デジタルの「テレワーク実施15.5%、コロナ禍後で最低 オフィス回帰浮き彫り」という記事が目に留まりました。

同日、日本生産性本部が発表した調査結果によると、働く人のテレワーク実施率が15.5%となり、新型コロナ禍以降で最低になったそうです。半年前の前回調査時の16.8%から1.3ポイント低下し、最も高かった2020年5月の初回調査時の31.5%と比べると半分以下の水準になりました。

テレワークを活用していると答えた人は、従業員1,001人以上の企業で22.7%、101~1,000人の企業で15.5%、それ以下の企業では12.8%となりました。特に大企業での低下が目立ち、前回調査の34%から11.3ポイント減少しています。

週5日のすべてをテレワークする人の割合も14.1%と、半年前の調査からほぼ半減しており、テレワークを継続する人の間でも出勤日数が増える傾向にあります。

同調査は今回が13回目で、国内企業などで働く20歳以上の1,100人を対象に、7月10から11日にかけてインターネットで行われました。

日本生産性本部によると、政府が今年5月に、新型コロナの感染症法上の位置付けを5類に移行したことを受け、コロナ禍での緊急対応としてテレワークを導入していた企業で、オフィス回帰を求める動きが活発になっているそうです。

この記事の著者・辻野晃一郎さんのメルマガ