新型コロナで別れる明暗。なぜ日本はアビガンを使わせないのか?

新型コロナウイルスによる感染症の初期段階に投与することにより、症状改善に大きな効果があるとされるアビガン。しかしながら日本発のこの薬剤、同感染症の治療薬として認可されておらず、医師の判断だけでは使えないというのが現状です。なぜこのような状況が続いているのでしょうか。今回のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』では、著者で元全国紙社会部記者の新 恭さんがその真相に迫るとともに、政府の対応が招いた「宝の持ち腐れ」状態を強く批判しています。

アビガン投与される人、されない人の運不運はどこで分かれるのか

新型コロナウイルスに冒され、生き延びた人、亡くなった人。基礎疾患の有無とか年齢の違いもあろうが、その差に、運不運を感じる。ともに60歳代、二人の有名人のケースがそうだ。

岡江久美子さん。4月3日に発熱し、病院で診察を受けた。4、5日様子を見るよう言われ、自宅療養していたが、6日朝に容体が急変し、大学病院に入院。ICUで人工呼吸器をつけた。その後のPCR検査で、新型コロナ陽性が判明し4月23日未明、肺炎のため死去した。

石田純一さん。4月14日に病院で診察を受け、すぐにPCR検査を受けた。15日夜、文化放送のラジオ番組に電話で出演したさい、38.8度ほどの発熱が主な症状だと明かし、治療内容についても以下のように詳しく語っている。

「一刻も猶予がないのでアビガンでいかないか、というふうにお話をいただきまして。1回2回は大量投与だったですね。呼吸とかも弱くなってきたもんですから。…おかげさまでアビガンが効いて、4日間で平熱まできました」

岡江さんはPCR検査を受けられないまま自宅で様子見しているうちに重症化した。石田さんは迅速なPCR検査でコロナ感染が判明し、アビガンの投与で回復した。この明暗はあまりにもくっきり分かれている。

4月24日の衆議院厚生労働委員会で、小川淳也議員は加藤厚労相に問いただした。

「岡江久美子さんは4月3日に発症し6日まで自宅で様子見した。早期に病院でアビガンを投与すれば救えた可能性があるのではないか」

アビガンについては、安倍首相自身、4月27日の衆参両院本会議で「すでに2,000例以上投与され、症状改善に効果があったと報告を受けている」と効能を認めている。

小川議員の質問に対し、加藤厚労相は「個別についてはコメントを控えさせていただきたい」と安倍政権の閣僚らしい常套句でかわしたが、岡江さんと同じく、コロナ症状におびえ、PCR検査も受けられないまま自宅待機している人々にとっては、なんとも歯がゆい答弁であろう。

厚労省のホームページには、いぜんとしてこういう記述がある。

次の症状がある方は(1)(2)を目安に「帰国者・接触者相談センター」にご相談ください。

 

(1)風邪の症状や37.5℃以上の発熱が4日以上続いている。

(2)強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある。

日ごろから人一倍健康に気を配っていたといわれる岡江さんは発熱してすぐに診察を受けた。ただの風邪ではない自覚があったのかもしれない。しかし、その時点では息苦しさまではなかったのだろう。厚労省の指針に従って医師は4、5日様子を見ましょうと言った。

高齢者や基礎疾患のある方は発熱が2日程度でもセンターに相談を、ということになってはいるが、岡江さんはまだ高齢者とまではいえない。昨年末、初期の乳がん手術を受け、放射線治療を続けていたが、乳がん治療の専門家は、岡江さんの受けた放射線治療で免疫が低下していたとは思えないと言っている。

したがって、岡江さんを診察した医師を責めることはできないが、厚労省の指針には、いささか問題がある。「37.5℃以上の発熱が4日以上」という、PCR検査の要件に医師はしばられ、ろくに応援要員をもらえずに多忙を極める保健所はその要件を、検査数絞り込みの頼みの綱としているフシがある。

一方、石田さんの場合、病院の対応はすこぶる早かった。岡江さんと3歳違いではあっても、66歳だといちおう高齢者の部類に入るが、なにより迅速なPCR検査とアビガン投与が可能な病院にかかったことが幸運だった。宮藤官九郎氏もアビガンで快方に向かったという。

疑いのある患者に対して迅速にPCR検査をし、陽性ならどこの病院であろうと、軽症のうちにアビガンを試すことができるよう、厚労省は早急に指針を出すべきである。

世界で失業者16億人も。コロナ禍は、先進国も途上国も平等に潰す

全世界の人々に不自由な生活を強いている新型コロナウイルスですが、仮に収束を見たとしても、もはやこれまでの日常を取り戻すことは困難のようです。元国連紛争調停官で国際交渉人の島田久仁彦さんは今回、自身のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』で、ポスト・コロナの世界をプロフェショナルの知見で大胆に予測。コロナを生き延びた先にどのような未来が待ち受けているのでしょうか。

 

ポスト・コロナの世界の政治・経済・社会の行方

「どこの国がぬかるみからいち早く抜け出せるかの競争だ」

ノーベル生理学・医学賞受賞者の本庶教授がポスト・コロナの見通しについて述べた言葉です。

まさに今、世界はその言葉の通りに動こうとしています。

4月中旬には経済活動の再開を強行した中国の習近平政権。COVID-19の発生地とされる湖北省武漢市とその周辺の都市封鎖も解き、製造と物流を再開させました。

また、「コロナを克服した!」と宣言し、「その知見を世界のために役立てる」と医療スタッフを各国に派遣したり、マスクや感染防止衣をはじめとする医療物資を【支援物資】として欧州各国やアフリカ諸国などにばら撒いていますが、支援物資が不良品であったりするケースが相次ぎ、支援外交によってポスト・コロナの世界で主導権を取りたいとの思惑は、惨めなまでに躓いています。

代わりにアメリカのトランプ政権はもちろん、欧州各国からも非難の対象にされ、その矛先は、事務局長が中国をかばったWHOにまで向けられています。そのせいで、アメリカはWHOへの支出をストップさせ、欧州各国もWHOの機能不全を認める事態に発展し、国際機関を通じた中国の覇権拡大の目論見も外れています。

5月22日に、3月から延期されていた全人代が開幕することになりましたが、そこでどこまで中国の面子を取り戻すような提案ができるのか、非常に見ものです。

目を欧米各国に向けてみると、同じく【経済活動の再開による自国経済の正常化】を早める動きが目立つようになってきました。

4月中旬に経済活動の再開を始めたドイツや、下旬に一部産業セクター(特にインフラなど)に対する制限を緩和したスペインに続き、日本のゴールデンウイーク中には、欧州で最も酷い被害を記録したイタリア(5月4日)、そして11日にはフランスも経済活動の一部緩和に乗り出します。【段階的な経済活動の再開】と謳われていますが、消費者たちの購買意欲を掻き立てる外食産業や旅行産業(航空産業含む)の再開はまだで、実質的な消費者心理の向上による消費拡大と経済回復にはなかなか至らないのが実情です。

イタリアを抜いて世界トップの感染者数と死者数を記録しているアメリカでも、州によっては外出制限の一部緩和に乗り出すケースが出てきました。最大の感染者数を記録したNY州や、第二の規模の州であるカリフォルニア州は、まだ制限を緩める動きは目立ちませんが(NY州については、緩和を一部検討)、感染拡大がまだコントロールできているとは言い切れない状況下で、今、封じ込めの手を緩めるのは得策ではないとの意見も多く聞かれます。

欧州、そしてアメリカで拭うことが出来ない大きな懸念が感染の第2波の可能性です。すでに東南アジア諸国(シンガポール、タイ、マレーシア、インドネシアなど)では感染の第2波が襲っており、再度感染が拡大しています。

第1波の流れを辿るとすれば、その次には欧州で感染の第2波が広がり、そのままアメリカに流れてくるということになります。その場合、再度のLockdown(都市封鎖)は人々の心理に非常に重いプレッシャーを与えることになり、ジョンズホプキンス大学によると、「人々はそのプレッシャーに対して心理的に脆くなり、恐らく耐えることが出来ない人が急増するだろう。その場合、各国の経済に与える影響は計り知れない」という状況が待っている恐れがあります。そうなると、欧米各国の国民の心理はさらに冷え込み、それにより消費が控えられ、経済状況はさらに悪化するという負のスパイラルを辿ることになるでしょう。そうなると、すでに落ち込んでいる世界経済に対して、さらなる本格的な恐慌が襲い掛かる可能性が囁かれています。

その本格的な恐慌は、個人消費に高く依存する構造が特徴のアメリカ経済を襲うことになり、その影響は、確実に世界各国経済を襲うことになります。

すでに発表されているアメリカのGDPの4月から6月の落ち込み予測は年率にして40%とも言われ、それは、さらなる大量失業と消費行動の停滞、心理の悪化を招くのみならず、政府からの経済活動の再開要請を受けても、GMやボーイングといった大企業はフル再開を見送るとの情報が入っていますし、すでにコロナウイルスの感染拡大の影響で大損害を被ったアメリカの畜産業(特に豚)は壊滅的な影響を受けるとされています。11月の大統領選までにV字回復を!と謳うトランプ大統領の狙いは、恐らく叶えられることはないかと考えます。

年金「75歳繰り下げ」にまつわる大誤解。むしろあなたは得をするかも?

最近、ニュースなどで話題となった、年金「75歳への繰り下げ制度」改正の国会審議入りですが、はたしてマスコミで報道されているように「年金が75歳からしかもらえなくなる」という不安は事実なのでしょうか? メルマガ『事例と仕組みから学ぶ公的年金講座』著者で、年金アドバイザーのhirokiさんは自身のメルマガで、そうした報道はマスコミのミスリードだと一刀両断。そして、この改正で年金受給者が得をする可能性について解説しています。「年金75歳」問題の誤解と意外なメリットとは?

年金を何歳から受け取るか「自分で選べる」ことのメリット

最近、年金を貰う事を遅らせて、その遅らせた分を一定の割合で増額する年金の繰り下げ制度改正の審議入りというニュースがあった。

繰下げは現制度では65歳から70歳まで、最大60ヵ月遅らせる事が出来ますが、それをさらに75歳まで延ばそうという改正。

一ヵ月遅らせると0.7%ずつ増える制度ですが、65歳から年金貰うのを60ヵ月遅らせれば0.7%×60ヵ月=42%という事になり、75歳までの120ヵ月遅らせると年金が84%増えるという計算になる。

なお、支給開始年齢は今のところ65歳であり、この年金を貰うのを遅らせるというのは完全に個人の選択にゆだねられている。65歳から貰いたい人は65歳から普通に貰えばいい。

あと、65歳以降遅らせてたけど、やっぱり65歳に遡って年金を貰いたいという人は、65歳に遡って年金を今まで貰わなかった分が一時金として振り込まれる。途中気が変わった人はそうすればいいだけ。

ところで今は継続雇用が進んでるので、給与収入があるから年金をしばらくもらう必要は無いという人が増えているため、給与収入を貰ってる間はこの年金の繰り下げを利用するという方法もこれからは意義のあるものになるでしょう。

しかしながら、この年金の繰り下げを利用してる人は受給者の2%にも満たない。多くの人が年金を貰うのを遅らせる事に抵抗があるのか、そういう余裕がある人は少ないのであまり利用する人は居ない。

なので75歳まで繰下げ年齢を引き延ばしても、そこまで効果があるかは疑問。

マスコミのミスリードにご用心

さて、この75歳案は何年か前から改正案はありましたが、この話が出るたびにいっつも誤解される。

「最大75歳まで遅らせる事が出来ますよ、遅らせたら定期預金みたいに利子付けて支払いますよ」って話なだけなのに、「年金の支給開始年齢」が75歳に引き上げられると話がすり替えられてしまう。

メディアのタイトルはなんとなく誤解を招きやすいですが、記事の中身はちゃんと繰り下げの話になってはいるけども、SNSなんかでは国民がよく読んでないのか、ただ不安を煽りたいだけなのか結局「支給開始年齢」が75歳に引き上げられるっていう話に変わって拡散されてしまう。

毎回思うけど、ちょっと落ち着いてください^^;

支給開始年齢が完全に65歳に引き上がるのは2030年なので、今のところ支給開始年齢は65歳以上という事は無い。

もしかすると今後雇用が70歳までというのが普通になってきたら、70歳まで年金の「支給開始年齢」が引き上がる可能性はあるかもしれませんが、支給開始年齢の引き上げはそう簡単な事じゃない。

年金の財政を安定させるために、支給開始年齢の引き上げというのは非常に有効なものではありますが、今まで何度も反対され先延ばし先延ばしにされてきた。

年金の歴史を振り返れば――

ちょっと支給開始年齢の引き上げの歴史を振り返りますが、国民年金(今の老齢基礎年金)はそもそも昭和36年4月に施行された時からずーっと65歳支給開始年齢。

厚生年金は昭和29年5月に、この時は男子だけ55歳支給開始年齢から60歳支給開始年齢に引き上げられました。女子、船員、坑内員(炭鉱で働いていた人)は55歳支給開始年齢だった。

昭和29年頃の平均寿命は男子63歳の女子67歳。だから年金支給開始年齢も60歳支給というのはまあバランスは良い。

ちなみに女子を55歳支給開始年齢に据え置いたのは、昭和の時代は女子の就労期間が短かったから。

昭和の時代の厚生年金は基本的に20年以上を満たさないと貰えない年金でしたが、女子は寿退職をすると再就職という事は考えられない時代だったので、厚生年金期間を満たす人は少数派だからそのまま55歳支給開始年齢としていた。

その後、日本は少子高齢化の傾向が出始め、昭和45年に高齢化率7%に達して、高齢化社会となった(1994年に高齢化率14%の高齢社会となり、2007年に21%の超高齢社会に突入した)。

少子化傾向も女性が生涯に子供産む数の平均(合計特殊出生率)も昭和50年に2.0を下回ってきた。合計特殊出生率が2.0を下回ると、人口はいずれ減少に転じ始める。

2100年には今の人口1億2千万人が6000万~5000万人になると見込まれている。

人口が減りも増えもしないのは人口置換水準の2.08(令和2年度現在は1.4ちょい。最低は平成17年度の1.26だったからちょっと回復傾向ではある)。

このように少子高齢化となって、現役世代が減り、逆に年金を受給する世代が増えてしまうと財政が悪化してしまう。

現役世代の負担する保険料と国の税金(税金は毎年約11兆)が年金の主な財源なので、その財源を負担する人口が減って、高齢化で老齢人口が増えると現役世代の負担する保険料が際限なく増加してしまう事になる(今の制度は保険料上限の中で年金を支給するやり方ですが)。

だから、受給する側の人口を減らすために厚生年金支給開始年齢60歳から65歳まで引き上げなければならないと、昭和55年(大平正芳内閣)の時に引き上げの法案が提出された。

あと、平均寿命は昭和29年頃の男子63歳と女子67歳よりも、昭和55年時点では男子73歳で女子は78歳に急激に延びていた。年金支給開始年齢60歳に対して、寿命もバランスが悪くなっていますよね。

しかし、当時は定年がまだ55歳という会社が多く、自民党も労働組合も反対したため見送られた(選挙にも響くし^^;)。

この時期は昭和48年に起きた第四次中東戦争による石油危機のせいで、日本は昭和50年から赤字国債を発行するようになりました。

よって増税する前にまずできるムダを削減するために、昭和56年に行われた第二次臨時行政調査会(「増税なき財政再建」のための行政改革の方向性を示すもの)が設置されました。

第二次臨調では徹底した無駄を削減するために、社会保障改革としては昭和48年から70歳以上の老人医療費を無料にしていた老人福祉法に一部医療費負担してもらうとか、医療保険改革(健康保険に1割負担を導入)、年金改革が争点となりました。

特に70歳以上の老人医療費が老人福祉法で無料だったので、老人の多くが入っていた国民健康保険を運営していた市区町村なんかは悲鳴を上げていましたね^^;無料だからちょっとした事でも病院行きまくりだった。

だから、昭和58年に老人保健法(保健というのは健康も保つようにしましょうねって事)にして医療費の窓口1割負担が始まりました(2008年には75歳以上の人は後期高齢者医療保険に入り窓口1割負担だけでなく一部保険料負担も始まった)。その老人の医療費負担と合わせて、全保険者(国民健康保険、健康保険とか)と国庫負担で老人を支え合うというやり方に変えた。

あと、年金は昭和の高度経済成長で給付をバンバン引き上げすぎたし、平均寿命や平均余命も急激に延びたから、年金給付の抑制と保険料負担をあまり過大にしないためにも年金支給開始年齢の引き上げは重要な事だった。

しかし先ほど申し上げましたように引き上げは見送られてしまい、逆に配偶者加給年金等が月額6,000円から月額15,000円に大幅な引き上げがなされてしまっただけだった。

「支給開始年齢」の引き上げはこんなにも難しい!

その後に迎えた、昭和60年改正(中曽根内閣)の時に国民全員が国民年金に加入するという基礎年金制度ができた時に、支給開始年齢を60歳から65歳に引き上げようという話も同時に出たがまた見送られた。

とりあえず、女子がまだ支給開始年齢が55歳だったので、女子は昭和63年度から12年かけて55歳から60歳に引き上げられた。まあ、女子の雇用も進んできたし、男女平等の声も強くなってきたからですね(昭和61年4月に男女雇用機会均等法も施行)。

公務員が加入する共済も55歳支給開始年齢だったが、共済は厚年や国年より有利な事に対しての批判が多かったので、昭和70年(平成7年)までに55歳から60歳に引き上げられた。

そして次の平成元年改正の時も厚生年金の60歳から65歳引き上げの法律を通そうとしたが、次回の法改正の時考えようよって事でまたまたスルーされた。

支給開始年齢を60歳から65歳に引き上げないと国の負担が大きくなり、将来世代の負担を過剰にしかねないから引き上げようとしていたのにずっと見送られ続けてしまった。

平成6年改正になると、定年が55歳から60歳に引き上げとなった事、企業の60歳から65歳までの雇用努力義務がなされた事で年金もようやく60歳から65歳に引き上げる事が決まったのです。

とはいえ実際の引き上げは平成13年度からでした。つまり年金の60歳から65歳への支給開始年齢引き上げというのは20年間棚上げされ続けてきた。

まず男子は昭和16年4月2日生まれの人から昭和36年4月1日までの人が、生年月日に応じて20年かけて引き上げられている最中。支給開始年齢を60歳から65歳に引き上げるといっても、いきなり5年飛ばすわけではないです。

いきなりポーン!と5年引き上げたら、生活設計狂うからですね^^;ゆっくり時間をかけて61歳、62歳、63歳、64歳…とスケジュールを組んでゆっくり引き上げるんです。

昭和36年4月2日以降生まれの男子からは完全に65歳支給開始年齢となる(2001年から引き上げ始めて、2025年に引き上げ完了)。

女子は昭和21年4月2日以降生まれの人から昭和41年4月1日生まれまでの人が生年月日に応じて20年かけて61歳から64歳まで引き上げられている最中。

2006年から引き上がり始め、2030年にやっと65歳に引き上がる。

というわけで支給開始年齢自体は65歳支給開始年齢にまだ引き上げ最中なんです。現在の平均寿命が男子81歳、女子87歳にもかかわらず。

本当は昭和55年(1980年)から支給開始年齢引き上げ着手していたほうが財政としては安定していたでしょうけど、散々反対反対とばっかり言われて20年先延ばしにされてようやく平成13年(2001年)から着手開始となった。

年金というのは雇用と一体的なところがあり、支給開始年齢を引き上げる際は雇用の確保も一緒に議論となる事が多い。

昭和55年当時も単に年金の支給開始年齢を引き上げよう!というわけではなく、年金の引き上げもしながら雇用もその間に確保していきましょうという事だったのに見て見ぬふりをされてきてしまった。

なんでもそうですが、今取り組まなければならない問題は結局将来取り組まなければならない事になるのに、とにかく反対反対とゴネ得をやる。政治は選挙に影響するからと、都合の悪い事は引き延ばしにする。支給開始年齢を引き上げると直に選挙に影響するからですね。

じゃあ先延ばしにし続けた問題のツケは誰が払うのかというと今の子供や赤ちゃんなんですよ。

今は国の借金が1000兆円超えてますが、借金が増えれば増えるほど将来の増税要因となり、じゃあその増税された税金は誰が払うのかというと将来世代という事になります。

国が予算組むため国債使って借金して、お金返す時はまた借金やら税金から返す事になるからですね。

ツケを払わされるんですね。

だから、年金というのは今現在の人さえ良ければ、先の事は知らないというのではなく、今の子供世代にも同じく利益を共有しなければならない。

「持続可能な社会」という言葉がよく取り上げられますが、これは将来は資源が無くなるかどうかとかそういう意味じゃない。

将来世代の幸福と現在の世代の幸福が両立できる社会の事です。

この持続可能な社会の中で絶対にやってはいけない事は、限りある資源を全部自分の代で使ってしまう事です。

「繰り下げ」と「開始年齢」を混同してはならぬ

旧民主党政権時に、年金を貰うための期間が25年は長すぎるといって10年に短縮したり、消費税増税した分を年金に上乗せで給付金に回したり、未納の部分を支払った事にしようとしたり(3号不整合記録問題)、大衆迎合的な年金を壊すような事ばかり決めました。増税した消費税をこんなところに使っていいのかって話です。

というわけで、話を戻しますが75歳引き上げというのは「支給開始年齢」の事じゃない。

あくまで年金制度として存在する「年金の繰り下げ」を70歳から75歳までできるようにしたらどうか?という事です。そして年金貰うのを65歳以降遅らせるのは受給する本人の自由で選択なんです。

支給開始年齢と混同してはいけない。

支給開始年齢を引き上げる際は、平成6年改正時のように定年を60歳未満は禁止にして年金の引き上げにようやく着手したように、70歳未満に定年を引き上げるとかそうしないと年金の支給開始年齢自体は引き上がらないでしょう。

そもそも歴史的に、支給開始年齢引き上げというのは法案を通すのが本当に難しい事だったので、簡単には実施できない。

たとえ実施できたとしてもいきなり引き上げる事はできないから、65歳から70歳に引き上げるなら最低20年はかかってしまう。

とにかく現段階で75歳という年齢が出てきたら、支給開始年齢の事ではないという事です。勘違いしないようにしましょう^^

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「国民一律10万円」はどうすればもらえる?損をしないコツ4つ

新型コロナウイルス の影響で全国に出された「緊急事態宣言」も、5月いっぱいまで延長する可能性が出てきました。二転三転した上でようやく落ち着いた「国民一人当たり一律10万円」の特別定額給付金ですが、実は知らないと損する給付のコツがあることをご存知でしょうか? チャンネル登録者数10万名超の税理士YouTuberで、メルマガ『ヒロ税理士のYouTubeでは喋れないお金と税金とYouTubeの話!』の著者であるヒロ税理士さんが、今回の「10万円定額給付金」に関するお得な情報を自身のメルマガにて公開しています。大変な時だからこそ、損をしないために誰もが知るべき「4つのコツ」とは?

特別定額給付金・国民一人当たり10万円間もなく支給開始!

国民一人当たり10万円が満遍なく支給される『特別定額給付金』が先日、閣議決定されました。当初は世帯あたり30万円の支給予定でしたが、あまりにも受給要件が複雑過ぎてわかりにくいという声もあり、急遽このようなシンプルな形に変わりました。

この制度の概要をまとめると次のようになります。

〇 給付対象者

  • 基準日(令和2年4月27日)において住民基本台帳に記録されている者。
  • 年齢や所得制限等は一切なし。
  • 国内に住民票がある外国人も対象となる。

〇申請手続き

  • 世帯全員の氏名等が印字された申請用紙が各家庭に郵送される。
  • 世帯主が代表して申込みを行う。
  • 受給辞退も可能。
  • 郵送による申請用紙の提出かマイナポータル経由でのオンライン申請となる(マイナンバーカードが必須)。
  • 後日、申請者本人の口座に振込支給される。

〇申請期間

申請受付開始日(5月開始の見通し)から3か月以内。

〇税金

所得税法上、非課税。課税されない。

以上が制度の概要です。政府は12兆もの予算を準備した上で来月から申請が開始される見通しです。特に、申請期間が3か月というのが意外にタイトです。受給漏れがないように気を付けて頂きたいと思います。

家族や友人にこんな人はいませんか?4つの注意点

この特別定額給付金については他に気を付けておくべきことがあります。以下の各項目についてご留意下さい。

(1)DV世帯の特例

いわゆるDV、家庭内暴力で配偶者と別居している場合でも事前申請により別世帯扱いとして受給を受けることが可能です。泣き寝入りして諦めることなく、必ず申請しましょう!

(2) ネカフェ暮らしで住所不定の場合等

この場合は申請書類を郵送しようがないため、各市区町村の窓口での申請をしなければならない可能性が高いです。

(3) 現在妊娠中。5月以降に生まれる子は対象となるのか?

残念ながら対象となりません。4月27日生まれの子までとなります。住民基本台帳への登録が必要となりますので、もしこの基準日ギリギリの出産となった場合は早めの手続きが出来るよう段取りをしておきましょう!

(4) 詐欺多発! くれぐれもご注意を!

こういった助成金や給付金の申請が活発になると必ず現れるのが詐欺です。この特別定額給付金は、まず郵送により申請書が届きます。市区町村や総務省がわざわざ個人宅に電話し、通帳やキャッシュカードの暗証番号を聞き出したり、ATMでの操作を依頼するなんてことはまずありません!怪しいな、と思ったらすぐに総務省のコールセンター等に問い合わせましょう!

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元国税が教える「タワマン節税」のスゴイお得度!ただし相続時に罠も

成功者の証ともいえるタワーマンション。都心や湾岸地域の至る所に建つようになりました。そんなタワーマンションはもちろん物件価格もお高い。庶民にはなかなか手が届きませんが、富裕層がタワーマンションの高層階を好むのは、税制面でのメリットもあると、元国税調査官で作家の大村大次郎さんは語ります。自身のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』でその理由を明らかにしています。

富裕層がタワマンの「高層階」を好む本当の理由

前号まで、高級マンションは相続税、固定資産税などが安くなるということをご紹介してきました。今回からは、タワーマンションの「高層階」はさらに税金が安くなるということをご紹介したいと思います。

タワーマンションの高層階は、資産価値に比べたときの固定資産税が非常に安くなっています。固定資産税というのは、土地や建物などの「固定資産」にかかる税金です。マンションを所有している場合、マンション全体の固定資産税を、各所有者の所有面積割合に応じて、案分されることになっています。その按分割合には、これまで階層の違いは考慮されませんでした。

つまり、低層階であっても、高層階であっても、所有している面積に応じて、固定資産税が課せられるのです。が、ご存じのようにマンションの場合、低層階と高層階では、販売価格に大きな違いがあります。特にタワーマンションの高層階と低層階では、大幅な開きがあります。にもかかわらず、面積比では同じ固定資産税しかかかってこないのです。

しかも、固定資産税の評価額というのは、相続税の算出基準にもなっています。固定資産税の評価額が、マンションが相続資産となった場合の評価額の基準にもなるということです。つまり、高層階であっても、低層階であっても、同じマンションの同じ面積ならば、相続税の評価額は同じということになるのです。

高層階と低層階であれば、場合によっては倍近い価格差が生じることもあります。にもかかわらず、相続資産としての評価額は同じになるのです。ざっくり言えば、タワーマンションの高層階を買えば、固定資産税や相続税が低層階の半分になるということです。それを狙って金持ちたちは、高層階のマンションを競うようにして買っていたのです。

規制強化後もまだお得!ただし相続税には要注意

このタワーマンション高層階の節税策は、雑誌などでも紹介されました。税務当局もさすがにいつまでも手をこまねているわけにはいかなくなりました。明らかに不公平ですからね。

そのためタワーマンションの高層階は、2018年度から固定資産税の評価額が改正されました。20階以上のマンションの高層階に対しては、階を上がるごとに高くなるように設定されたのです。この改正により、最大で1階と最上階の差は、10数%程度になりました。

ただ、この程度の改正では、まだタワーマンションの実態からはかけ離れているといえます。ほとんどのタワーマンションで、高層階と低層階の価格の違いは、わずか10数%ではすみません。マンションによっては、2倍以上の価格差が生じる場合もあります。50階建てマンションの50階と1階を比較して、価格差が10%などということはあり得ないといえます。

またこの新しい課税方法が適用されるのは、2017年4月以降に販売されるマンションです。それ以前に販売されたものは、以前のままの固定資産税が適用されるのです。

これを見ても、タワーマンションの高層階というのは、節税アイテムとしてはまだまだ使えそうですね。ただし、このタワーマンション高層階を利用した「相続税」の節税には非常な危険もはらんでいます。

次回は、タワーマンション高層階を使った相続税節税の仕組みと危険性についてご紹介したいと思います。

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人事評価を高める“直談判”のお作法。これが通じない会社は辞めてOK!

米国公認会計士でフリー・キャピタリストの午堂登紀雄さんが様々なビジネステクニックや頭の使い方を紹介する、メルマガ『午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門』。今回は、よく「自分は頑張っているのに、なぜ評価されないんだ」という口癖の多いビジネスマンに対して、厳しい言葉と的確な助言を使いながら、その「仕事観」を変えるよう促しています。仕事の目的を勘違いしているビジネスマンへ贈る、午堂さんの掲げた「仕事7訓」とは?

「がんばったつもり」というカン違い

「会社で認められない」「こんなに努力しているのに上司は評価してくれない」「自分より劣っているアイツが先に昇進するなんて会社は見る目がない」という悩み(嘆きや不満)があります。

そこで2つの側面から私の考えを紹介します。それは、「本人がポンコツの場合」と、「本当に上司や会社がポンコツな場合」です。

まず「本人がポンコツの場合」ですが、そもそも仕事は他者に評価されるものであって、自分で自分を評価するものではありません。

趣味なら「自分はまあまあがんばっている」「かなり上達したな」という自己満足は大いに結構なのですが、仕事とは基本的に自分以外の誰かのためにやるものです。

たとえば営業職なら顧客のため、事務職なら顧客は上司や自社の従業員です。そして自分の仕事は、彼らが喜ぶ成果を出すことです。

なのに「自分は頑張っているのに」というのは、仕事観を180度間違えているということ。まずその認識を改めなければ、どの会社に行っても同じことの繰り返し。永遠に不平不満を言い続けることになります。

努力が認められるのは結果を出したあとであり、結果が芳しくないのに努力を認めてくれというのはかなりムリ筋です。なぜなら、その努力の方向性ややり方が間違っているから結果が出ないわけで、そんな不適切な努力など褒めようがないでしょう。

自分はサッカー選手なのに、「毎日バットの素振りをやって努力しているのに認めてくれない上司はおかしい!」というようなものです。

時給や給料を上げろと要求するのもこれに似ていて、周囲の従業員以上に会社の利益に貢献していることを証明できるならともかく、自分から言うのは会社から見ればうっとうしいだけ。

本当に認められた人というのは、「じゃあ辞めます」と言えば「わかった、いくらならいいんだ?」と引き留められるからです。

また、たとえば同僚や後輩が先に昇進したというのも、実は本人には見えていない彼らの陰の努力があったのかもしれません。だから嫉妬する前に、「ねえねえ、あなたの何が認められて昇進したと思う?僕もあとに続きたいんだ」と聞いてみてはいかがでしょうか。

あるいは、たとえば営業成績で比べたら自分の方が優秀なのに、という場合も、会社は売上高を評価しているのか、利益率なのか、新規顧客獲得件数なのか、後輩の指導やリーダーシップを評価しているのか、上司に確認してみなければわかりません。

そこで、自分の評価や待遇に不満があるのであれば、上司と話し合いの場を持つことです。人事評価は上司の仕事であり、会社から与えられた役職権限なので、上司には説明責任があります。

だから「私のどういうところが不足しているのでしょうか」「私がどのような力をつければもっと評価されるのでしょうか」と素直に教えを乞うてみるのです。

それでもし、その理由に明確な根拠があって納得できるならば、それでよし。上司のアドバイス通りの取り組みをしてみることです。

あるいはもし、はぐらかしたりごまかしたりなどまともに話し合いに応じない、あるいは説明に論理性がなく納得できないなら、ポンコツ上司の可能性が高いでしょう。

ポンコツ上司のあるあるが、たとえば「えこひいき」。仮にそうだとしたら、えこひいきされてポジションを得た同僚や後輩の方がむしろ気の毒です。なぜなら実力に見合わない仕事を任せられることになり、結果を出せず潰れる可能性が高いからです。

そこで次が「本当に上司や会社がポンコツの場合」ですが、それを確認するには、上司のさらにその上の上司に相談してみることです。

「自分の評価の根拠について上司に説明を求めましたが、納得できるきちんとした回答をもらえません。これでは自分がどのような努力や研鑽をすべきか、どのようなスキルを向上させて会社に貢献すればいいのかわからず困っています。」と助け船を求めてみる。

それでその上の上司が動いてくれて適切な場が設けられ、さらに納得できる説明が得られればグッド。

もしその上の上司が動かず、あるいはやはり適当に流されたとしたら、会社全体がポンコツということになります。そして、自分の身の振り方を考える。はっきり言えば転職です。

なぜなら、会社全体がポンコツなら、行く末の将来はかなり危ういし、本人も成長できず会社とともに沈む可能性が高いからです。それに、本人が有能であれば、どこの会社に行っても活躍できるでしょう。

在米医学博士が新型コロナ予防ワクチンが必ずできると断言する訳

日本では安倍首相が「ある程度の持久戦を覚悟する必要がある」と話し、緊急事態宣言の延長を示唆。新型コロナウイルスとの戦いに終わりがないのではないかと、不安は大きくなりますが、「免疫学的に必ず終息する」との力強い言葉がアメリカから届きました。発信するのは、メルマガ『しんコロメールマガジン「しゃべるねこを飼う男」』の著者で米国在住の医学博士・しんコロさんです。しんコロさんは、時間はかかっても必ず終りが来るとする根拠を分かりやすく解説。今は終息後を見据えてチャレンジするチャンスだと後押ししています。

みんなの不安

世の中の状況は相変わらずですが、皆さんはコロナ疲れで身も心もボロボロになってませんか?無理もないことですが、悪いことには何でも接頭語として「コロナ」がついている今日このごろですね。コロナ鬱、コロナ離婚、コロナ失業などなど。

「すぐに収束するだろう」「なんとかなるだろう」「対岸の火事だろう」などと多くの人がたかをくくっていたら、あれよあれよと状況が悪化してしまいました。今では「この状況がいつ終わるのだろうか」という疑問がさらに発展して、「一生このままなのか」「これがニューノーマルなのか」という不安や覚悟まで生まれてきていると思います。

免疫学的な近未来予測

免疫学的には感染症の広がりが「一生このまま」ということはないと思います。皆さんもワクチンを切望していると思いますが、安全性と効果が確認されたワクチンが完成すれば、徐々に感染も収束していくはずです。「そんなん当たり前や!しかしワクチンが効くかどうかわからんやろ!」というご意見があると思いますが、最もです。ワクチンはそこが肝心です。

ただ、僕がCovid-19のワクチンのうち効果があるものがそのうち現れるだろうとポジティブに思うのには理由があります。その理由は非常にシンプルなことですが、「感染しても治る人が多い」ということです。誤解をしてほしくないのですが、もちろんこのウイルスは非常に危険な側面があり、重症化した場合にあっという間に命を奪ってしまうことがあります。その意味で、僕はこのウイルスは「ほとんど治るから大丈夫」と言っているわけではありません。

僕が言いたいのは、「治る人が多い」ということはつまり「免疫がウイルスを駆逐できる」という点です。そもそもワクチンはみなさんの体がウイルスに対する免疫を獲得するためのものです。Covid-19に関しては、感染した患者さん達がそれを証明しています。つまり、正常に免疫が立ち上がれば治癒することができるということです。

逆のケースを考えると、この意味が良くわかります。ウイルスや感染症の中には、「免疫ができにくい」ものがあります。たとえば、HIVはその一例です。体がウイルスに対する免疫をうまく作れないのです。HIVは免疫からうまく身を隠す上に、免疫細胞自体を攻撃します。したがって、免疫がうまく立ち上がらないのです。

そういう感染症に対しては、基本的に効果あるワクチンを作るのが難しいのです。Covid-19は多くの人が治癒するので、免疫システムがウイルスを認識して抗体と免疫記憶を作ることができるわけです。つまりこれは、ワクチンが有効だということを示唆していることでもあります。

日本の家庭料理の6割がフライパンで欧米の6割がオーブンを使う訳

外出自粛や休校の影響で、家族のために毎日三食しっかりと作り続けるお母さん方から悲鳴が上がっています。世界を見渡してみると、毎日異なる献立を考え調理するのは珍しいのだとか。今回の無料メルマガ『おやじのための自炊講座』では著者のジミヘンさんが、そんな日本のお母さん方に敬意を表しつつ、世界から見ても特異な日本人の食文化について考察しています。

日本の食文化

皆さん、お元気ですか。ジミヘンです。

テレビをつけると、勿論「新型コロナウイルス」の話題ばかり。情報過多になると、私たちの判断がにぶってしまう。誰が感染したかじゃなくて、わが国政府の進め方が誤っていないか、各国の対策の中にわが国が取り入れるべきものはないのか、私たちの役割分担はこれでよいのか、そういったことを議論すべきだろう。「全国放送」という名の「東京ローカルテレビ」は東京都の話題ばかり、関西ローカル局は大阪府の話題が多い。だから、私は「兵庫県下のニュース」を詳細に発信する「サンテレビ」を見ている。

4月以降、わたし達の日常生活も激変している。つまり、学校の休校や在宅勤務が増えて、家で食事をする機会が圧倒的に増えた。リタイア組の私は、週に2~3度の外食・外飲みが減ったくらいだが、毎日のように外食をしていたサラリーマン達は困惑しているだろう。何より家庭のお母さんたちのご苦労が想像できる。毎日三度の食事を真面目に作ろうとすると、アイデアも体力もパンクしてしまう。肩の力を抜いて、メリハリを付けた家庭食を続けていくしかないだろう。

そこで、今回こんなことを考えた。それは、ずっと以前から温めていたテーマで、「日本人と食」というもの。世界から見ても特異な「日本人の食文化」について考えてみたい。

人気料理家のコウケンテツ氏が以前、こんなことを言った。

「日本のお母さんは大変ですよ。毎日、朝・昼・晩とバラエティに富んだ料理の献立を考えなくちゃならない。海外の家庭料理なんて、毎日同じものばかり食べてますよ」

まさにその通り。世界を見渡しても、日本だけがひとり「今日は和食、明日は中華、あさってはイタリアン、その次はエスニック料理」という具合に、世界中の料理を食べている。本当に珍しい国だ。

最近、読んだ漫画家・ヤマザキマリ氏のエッセイ本「パスタぎらい」の中でも、イタリア人と日本人の食文化の違いについて書いている。曰く、食通の日本人がレストランで各国の高級ワインをグラスに注ぎ、グルグル回しながら「利き酒」している様に驚いた。ずっと暮らしているイタリアでは、1本数百円のワインを、それも地元のワインしか飲んでいないから…。

イタリア人の「食に対する保守性とナショナリズム」、日本人の「多様で多国籍などん欲さ」は対極にあると言える。土地に根ざしたシンプルで食べ飽きない質素な料理を食べ続けているイタリア人に対し、日本人は「ハレの日・ケの日」に関係なく、毎日バラエティに富んだごちそうを食べなければ気が済まないという「飽食の日々」を過ごしている。

小生が続けている食べ歩きブログ「ジミヘンのおいしいもの探し」を書いていて困ることがある。それは料理の「カテゴリー」だ。一応、和食・中華・洋食・居酒屋・お好み焼きなどのジャンルに分けているのだが、毎回悩む。

例えば「とんかつ屋のロースかつ定食」、「ラーメン屋の味噌ラーメン」、「カレー屋のカツカレー」、「精肉店の揚げたてコロッケ」等。「これって、ぜんぶ和食じゃないか?」と思ってしまう。私たちが日常食べているトンカツ・カキフライ・カレーライス・オムライス・ラーメン・天津飯・焼き餃子などは外国ではお目にかかれないものばかり。明治時代以降、日本人が創意工夫をして開発した「日本食」である。ローカライズと応用力、「改善(KAIZEN)」の精神で切磋琢磨して作り上げた「日本の料理」である。

一日中悪口の言い合い。企業再生のプロが見たヤバい会社の共通点

立ち行かなくなる企業の役員や社員には、不思議な共通点があるようです。今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』でそんな興味深い事実を語っているのは、数々の赤字企業を救い続けてきた長谷川和廣氏。企業再生のプロが目の当たりにした彼らの「特徴」とは、いったいどのようなものなのでしょうか。

再建が必要となる会社に共通していること

企業再生のプロとして、2,000社を超える赤字会社の大半を立て直してきた、会社力研究所代表の長谷川和廣氏。

2010年9月号の『致知』にご登場いただいた際にお聞かせいただいた「再建が必要となる会社に共通していること」という興味深いお話をご紹介します。


再建が必要となる会社に共通する部分として、例えば、業績の悪い会社の社員は廊下の端っこをうつむいて歩いています。やはりちゃんとした会社の社員は堂々と胸を張って真ん中を歩いていますよ。これは見事なものです。

あとは、再生会社に行って社員の出社の状況を見ていますと、大体出勤状態が悪い。そして決まって朝が遅いのですが、その中でも始業時間ギリギリに来る人たちがいる。急いで走ってくればまだいいのですが、まったく慌てる風がなくテレテレ歩いてくるんです。

要するに危機感がないんですよ。得てして会社がおかしくなるのは、会社に余裕がある時です。危機感を忘れ、それぞれが欲を出し始める。

私たちが再建に入ると、最初はその会社の重役など主要なメンバーの会議に出席しますが、一日中悪口の言い合いですからね。製品から上役から会社の制度からお客様にいたるまで、すべてです。結局、会社への誇りを失っているんです。

だから、私が落下傘で降りていって必ずすることは、最初に全社員に一堂に集まっていただいて、「皆さんのご家族の方々が『うちのお父さんが、お兄さんが、息子が、孫があそこの会社で働いているんだよ』と胸を張って言えるような会社をもう一度つくりましょう」とお話しします。

その後、会社にもよるのですが、社員さんの1時間の個別面談をしていきます。

最初はよそ者の私に本心は言いません。ところが、最後の5分、3分くらいになると感情を見せるようになってくるんです。そしたら、

「あなたはこの会社の問題を分かっているんだから一緒に解決しよう」

とか

「そこまで会社を好きなら一緒に再建していこう」

と言って心を合わせていくのです。

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