地方より大都市圏の公立小中学校こそ問題。学力や経済力ある家庭の子が“上から順に抜けていく”異常事態

現代の日本社会において大きな問題となっている教育格差。一見、地方にハンディがあるように思えますが、米国在住の作家でプリンストン日本語学校高等部主任も務める冷泉彰彦さんは、むしろ大都市圏の方が深刻とします。冷泉さんは自身のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』で今回、そう判断せざるを得ない理由を具体的な数字を挙げつつ解説。その上で、日本のエリート教育やエリート選抜のシステムが今、危機的な状況にあると指摘しています。

※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:教育の地域格差、問題は大都市圏(教育論)

首都圏がもっとも“いびつ”。現代日本の教育格差問題

21世紀に入って、日本における教育の地方格差の問題はかなり話題になってきたように思います。現場からも声が上がるようになったし、実態を調査して分析した研究も進んでいます。その結果として、大学への進学率は、家庭の経済力や地域の経済力が反映しているという深刻な事実が明らかとされつつあります。

その他にも、地方で育った若者は都会の若者と比較すると情報の格差や、芸術などに触れる教養の格差があるという訴えも広まってきました。その他にも、高校生のアルバイトに関して大都市圏では比較的寛容な学校が多い一方で、地方では一律禁止が多いなど、校則などの制度に差があるという問題も指摘されています。

その結果として、若者の社会経験の蓄積に格差が生まれるわけであり、例えば18歳の時点では大都市出身者の方が「ませている」というのですが、相当以前からそのような現象は指摘されています。更には情報社会化に伴う、情報リテラシーや、外国語教育などでも大都市と地方には格差があるとされていました。

けれども、こうした中等教育段階における都市圏と地方の格差については、現場や地方自治体の努力により少なくとも改善に向かっているようです。例えば、ICTの推進がいい例です。教室における大型ディスプレイの装備率にしても、デジタル教科書にしても、大都市圏よりも地方における普及が先行しているのです。

高校生に対するアルバイト禁止なども、経験が職業意識を育むという認識は広まっており、各県あるいは各高校で個別の事例を見ながら許可する例も増えてきているようです。勿論、地方の場合は大都市圏に比べると予算も限られるし、何よりも過疎高齢化に直面している自治体も多いわけです。

そのような中ではあるがのですが、極めて多くの教育現場で、あるいは教育行政において、地方と大都市圏の「教育格差」については意識がされ、具体的な取り組みがされているのは事実だと思います。では、教育の地方格差については解消に向かっているのかというと、決してそうではないのも事実です。

問題はむしろ大都市圏の方にあると考えられます。まず首都圏ですが、確かに経済力は他の地方を圧倒しており、その結果としての大学進学率も高いわけです。例えば2020年の文科省の調査を元に計算した研究によれば、東京都の場合は大学進学率は75%に達しており、最下位の数県と比較すると率として2倍となっています。

これは東京の経済力を反映しているのは間違いありません。けれども、このことは東京の初等教育と中等教育が成功していることを意味しているのかというと、そうではないのです。問題はここにあります。

この記事の著者・冷泉彰彦さんのメルマガ

タワマン刺殺女性「命を賭けて金を搾り取る」証拠動画が物議。色恋営業論はなぜ和久井容疑者に通用しなかったのか?

新宿タワマン刺殺事件で、被害者の女性が生前、和久井容疑者に対する“復讐計画”を語っていた動画が注目されている。女性は和久井容疑者を「平気で人を殺すような」人間と認識しながら、その資産を「命を賭けて搾り取る」と宣言していた。

被害者女性はインスタライブで何を語ったか?

東京・新宿区のタワーマンション敷地内で8日、20代女性がナイフで刺されて死亡した事件で、被害者の女性が生前、和久井学容疑者(51)のストーカー行為に対する“復讐計画”を生々しく語っていた動画が注目を集めている。

被害者女性本人が2022年3月、インスタライブで配信したもの。ビジネス論接客術色恋営業のコツ、美容法将来の展望などについて、視聴者の質問に答えながら持論を展開していく内容となっている。

現在はYouTubeにもその動画が再アップされており、事件をうけて「悲劇か?それとも自業自得か?」の議論が活発化する中、“衝撃の新事実”としてネット上で波紋を呼んでいる状況だ。

和久井容疑者に同情の余地はないが――

女性は、2022年3月23日のインスタライブの前段で、和久井容疑者を「シャンパンタワーをしてくれた」ヤバいストーカー客として紹介。

店が満卓だったところ、和久井容疑者がタイマーをセットし、「他の客には女の子がたくさんついているのに、自分は放置されている」といった旨の理不尽なクレームを入れてきた、というエピソードを披露した。

女性によると、和久井容疑者は「こんなにお金を使ったのに手も繋いでくれない、デートもしてくれない、付き合ってもくれない」と不満を募らせていたとのことで、営業中に大声を出すなど他の客の迷惑になるため帰らせたとのこと。

その際、店内の男性スタッフが、和久井容疑者から「女性を殺していいですか」と真顔で脅される一幕も。男性スタッフが「殺しても得るものはない」と反論したところ、和久井容疑者は「もう失うものは何もない」と返したという。

女性は、和久井容疑者について、「ストーカーのお客さんはたくさんいるし、過去にもいた。でもその人だけは匂いが違う」と判断。「格好をつけて言っている『殺してやる』ではなくて、本気。本当に殺す人の感じなの。それはもう断言できる」と分析していた。

以上は、和久井容疑者が、同情の余地がないストーカーであることがよくわかる“被害者の証言”と言って差し支えないだろう。

「命を賭けて、搾り取る」被害者女性の致命的判断ミス

だがその一方で、被害者女性は、和久井容疑者が「本当に人を殺してしまうタイプ」であると正しく認識していたにもかかわらず、自分を苦しめたとして、大胆な“復讐”を画策してしまった。

これこそ、女性が意図的に詐欺を仕掛けた証拠ではないか、との指摘も少なくない。

視聴者からの「普通、そういう頭のおかしいお客さんって切るのに、切らない理由は何ですか?」との質問に、女性は次のように回答している。

(和久井容疑者は)普通にいわば“きちがい”だから、精神的苦痛を与えられているわけだからさ。

お店に入ったらセット料金が発生するのと同じで、迷惑料って感じかな。

だから、普通はみんな切ると思うんだけど、私はそこで切らないかな。

ここまで自分を精神的に追いやって傷つけたんだから、迷惑料はいただかないと、みたいな。自分がえぐられたぶん、倍でもう搾り取るみたいな感じ。

その人に関しては、もう命を賭けてやってる。もともと何だろう、平気で人を殺すような人なんだろうなと思うし。でも命賭けてやって。それでもその人にどれだけ傷つけられたかって考えると、命を賭けてその人には――

ただ、ただね、キャストとかそのスタッフとかには、絶対に迷惑はかけないようにする。

だいたい、店に乗り込んできて殺す、とかはないと思うのね、何となく、その人の性格的に。(和久井容疑者が襲撃を計画するとすれば)私が1人のときにとか――

その後の展開は、これまで弊サイトでも既報のとおり。被害者女性は和久井容疑者から資産を搾り取り、経済的に破滅させることには成功したものの、「もう失うものは何もない」容疑者に刺し殺されてしまった。

命と金を天秤に乗せた結果の悲劇。ストーカーの和久井容疑者に同情の余地はないが、その一方で被害者女性の“自業自得”を指摘する声も尽きない所以だ。

動画内で「そろそろフィナーレって感じかな」とつぶやいていた女性は、なぜこのように危険な橋を渡らなければならなかったのか?

中国が奪うのはカネだけではない。「偽オンラインショップ」で欧米人から個人情報抜き取る習近平政権の狙い

未だ被害が相次いでいる「有名人なりすまし投資詐欺」。名前を利用された前澤友作氏は詐欺広告の掲載を許可しているMeta社とFacebook Japan社を提訴しましたが、この「犯罪」の裏には中国が絡んでいるという見方も否定できないようです。台湾出身の評論家・黄文雄さんが主宰するメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では今回、これらの広告主の多くが香港の秘書会社で、彼らを中国企業が利用しているとするニュースを紹介。さらに欧州で発覚した中国企業が関わる大規模な「個人情報不正取得詐欺」の実態を取り上げ、世界中からカネだけでなく情報までをも抜き取ろうと画策する中国の狙いを考察しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:【中国】中国は金も情報も抜き取ろうとしている

中国は金も情報も抜き取ろうとしている

中国企業が「世論工作システム」開発か、Xアカウントを乗っ取り意見投稿…ネットに資料流出

中国政府と関係のある上海のIT企業が、X(旧ツイッター)のアカウントを乗っ取り、世論工作を仕掛けるシステムを開発した疑いがあることが明らかになりました。そのシステムの営業資料がインターネット上に流出したことで発覚したそうです。

流出したのは上海に本社がある「安洵信息技術有限公司」のもので、同社は2010年に設立され、スパイ摘発などを行う中国の国家安全省にIT製品を納入する業者に選定され、さらには公安省や地方警察の公安当局ともパートナーとなっているといいます。

読売新聞が入手した同社の文書には「ツイッター世論誘導統制システム 製品紹介資料」という題名が書かれ、システムの目的として、中国国外の好ましくない世論を検知し、世論をコントロールするためだと書かれていたそうです。

このシステムを使ってXのアカウントに不正URLを送信し、それをクリックさせることでアカウントを乗っ取ることができるといいますから、ユーザーにとってはかなり危険です。

記事には日本政府関係者の話として、近年は他人に乗っ取られたと見られるXのアカウントが、中国の反体制派を批判するケースが相次いでおり、こうしたシステムが使われている可能性が指摘されています。

加えて、最近はSNSなどで有名人になりすまして投資を勧誘し、資金を騙し取る投資詐欺が話題になっています。TBSのnews23がこうした広告主15社を調べると、香港が12社と最も多く、しかも、現地取材してみると会社の登録をしているだけの「秘書会社」であり、営業実態がありませんでした。専門家によれば、中国企業が香港の秘書会社を利用している可能性が高いとのことです。

有名人を騙るSNS投資詐欺 直撃!ニセ広告の業者が香港に…プラットフォーム側の規制しないと「2024年に日本人の資産奪われる」【news23】

この記事の著者・黄文雄さんのメルマガ

不足している料理とのマリアージュ情報が肝。人気コンサルが教える日本酒の知識をビジネスにする方法

我が国が世界に誇る日本酒。今や世界各地で「SAKE」として親しまれ大人気となっていますが、その知識を役立てるにはどのような切り口で発信するのが最適解なのでしょうか。今回のメルマガ『永江一石の「何でも質問&何でも回答」メルマガ』では人気コンサルの永江さんが、読者からの質問に答える形で「日本酒の情報発信を将来のビジネスにつなげる方法」を伝授。「マリアージュ」「海外発信」をキーワードにレクチャーしています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:日本酒の情報発信をするのに最適な方法とは

日本酒の情報発信をするのに最適な方法とは

Question

shitumon

はじめまして。44歳、公務員の者です。9年前の12月から毎週楽しみにメルマガを拝見しております。また、ブログも同時期から拝見し、しばらく更新がないとお元気にされてるかな、と勝手に心配したりしております。

枯渇されているとのことで、初めてご質問します。私は20年ほど前から日本酒が好きで、イベント参加を含めれば年に300種類は飲んでいるように思います。好きなので自然と知識もつき、妻や日本酒仲間からはブログ等発信すればよいのに、とよく言われます。ただ、今更ブログかぁ、と思ってしまうほか、そもそも日本酒好きな皆さんが欲しい情報は何か、まだピンときません。

ターゲットは日本酒初心者~中級者として、考えられる項目としては、

  • これまで実際飲んだ銘柄と味の感想や採点(直近では而今20種、新政10種を飲み比べています)
  • 酒屋さんで臆せず好きな日本酒を買う方法
  • マリアージュの基礎
  • 家で日本酒会を開く時のコツ

といったことが浮かぶのですが、永江さんならどのように発信されますでしょうか。英語併記も頑張るつもりです。

将来、あわよくば副業にならない程度のお小遣いが得られればと思うのですが、まずは何か始めたいので、向かうべき方向を定めたいです。ご回答いただけましたら幸いです。

この記事の著者・永江一石さんのメルマガ

クレムリンで繰り広げられる熾烈な勢力争いに決着か。反逆を恐れたプーチンが降格させた「ロシア実質ナンバー2の権力者」

3月17日に行われたロシア大統領選で、過去最高となる87%の得票率で圧勝したプーチン氏。5月14日に発表された通算5期目の高官人事ではショイグ国防相の退任が明らかとなり、我が国でも大きく報じられました。しかし、この人事最大の衝撃は「ショイグ退任」ではないとするのは、国際関係ジャーナリストの北野幸伯さん。北野さんは自身の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』で今回、安全保障理事会書記のニコライ・パトルシェフ氏が降格となったことこそが注目すべき最大のポイントだと断言し、その理由を詳細に解説しています。

※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:プーチン人事、本当の衝撃は?

プーチン人事、本当の衝撃は?

今回は、まさに「ロシア政治経済ジャーナル」といった内容です。プーチン人事の衝撃について。

2024年3月、プーチンは、大統領選に勝利しました。2024年5月7日、大統領就任式が行われ、プーチン【 5期目 】がスタートしました。そして、現在人事が行われています。

日本の報道で一番騒がれているのは、ショイグ国防相が交代したことでしょう。ショイグは、プーチンの側近中の側近で、2012年から2024年まで12年間国防相を務めました。

なぜ彼は解任されたのか?二つの理由が語られています。

一つは、ショイグ国防相の右腕だった国防次官が4月、収賄容疑で逮捕されたこと。『NHK NEWS WEB』4月24日付。

ロシアでは、ショイグ国防相の側近でもある国防次官が収賄の疑いで逮捕されました。プーチン政権は、ウクライナ侵攻が長期化する中、国防省の綱紀粛正を図ろうとしているとみられます。

 

ロシアで重大事件を扱う連邦捜査委員会は23日夜、ロシア国防省のイワノフ国防次官を収賄の疑いで拘束したと発表し、モスクワの裁判所は24日、イワノフ氏は逮捕されたと明らかにしました。

二つ目の理由は、ショイグが「ウクライナ戦争に勝てない国防相だから」です。

わりと広く知られていることですが、ショイグは「軍人出身の国防相」ではありません。彼は、クラスノヤルスク工業大学を卒業し、専門は「建築学」です。

ショイグは1994年、エリツィン大統領から「非常事態相」に任命されました。「自然災害があった時に、ショイグが助けに来てくれる!」と人気者になっていきます。

政治的野心が薄い人と思われ、大統領がエリツィンからプーチンに代わっても、非常事態相のポジションにとどまりました。彼は、1994年から2012年まで、18年間このポストにありました。

2012年、国防大臣に就任。ショイグは軍事の素人である。それで、国民の支持は高くても、軍人は彼を支持しませんでした。それでも、大きな戦争が起こらなかったので、それほど問題にはなりませんでした。

プーチンは、ショイグが2012年に国防相に就任して以降、「シリア内戦介入」「クリミア併合」「ウクライナ内戦介入」「ISとの戦い」など、戦争を続けていきます。しかし、どれも「大きな戦争」とは言えず、ショイグの「素人さ」が目立つことはなかったのです。

パンデミック期間中の医療従事者の精神サポートは効果があったのか?

同僚同士のサポートは、そのほかのサポートに比べて精神状態の悪化を防ぐ効果はあるのでしょうか? 今回のもりさわメンタルクリニックの無料メルマガ『精神医学論文マガジン』では、パンデミック期間中の医療従事者に対する精神面での介入を評価した研究を紹介しています。果たしてその結果とは?

パンデミック期間中の医療従事者に対する精神的サポートに効果はあったか?

◎要約:『心的外傷等からの回復促進を図るピア(=同僚どうしの)サポートは、方法を順守すれば、通常の方法よりも、精神状態悪化を防ぐ効果があるかもしれない』

COVID-19によるパンデミック期間中には、危機的状況の感染症に対応する多くの施設で、医療従事者の精神への影響が懸念されました。

今回は、パンデミック期間中の医療従事者に対する精神面での介入を評価した研究をご紹介します。

Testing an Intervention to Improve Health Care Worker Well-Being During the COVID-19 Pandemic

A Cluster Randomized Clinical Trial

COVID-19によるパンデミック期間中の医療従事者の福祉に関する介入を評価する

アメリカにおける研究で、連邦認定保健センターを含む28施設、2,077の参加者が対象となりました。

今回、評価された介入方法は、同僚どうしのサポートによって、心的外傷・喪失・他の逆境体験からの回復、安全に関する感覚促進、静寂、自己の効力感、集団の効力感、希望に焦点を当てた枠組みを持っています。

結果として、以下の内容が示されました。

・それぞれの施設における通常の介入を受けたグループと今回の介入法の比較で、全体としては、精神状態の悪化(distress)やPTSD症状を評価する尺度で、明らかな違いを認めませんでした。

・介入方法を実際に実施できた(介入に対する遵守、いわゆるアドヒアランスが保てた)割合は連邦認定施設と通常の病院で開きがありました(70% vs 32%)。

・実施後の分析では、対象を30歳以下の連邦認定施設に限定すると、今回の介入法の方が、精神状態の悪化やPTSD症状が軽減していました。

通常の病院では何らかの実施が困難である要素があったのかもしれませんが、方法を守った場合には一定の効果が期待される介入であると思われました。

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京都で三百年続く老舗を背負った父がお風呂屋さんで教えてくれた「商いの心得」

致知の人気連載だった「三百年続く老舗の訓え」。多くの老舗の訓えを紹介してきたなかで、今回のメルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、京都の地で三百年以上にわたり麩屋を営んできた半兵衛麩の玉置辰次氏のお話を紹介しています。

三百年続く老舗の訓え。麩屋を営んできた半兵衛麩、玉置辰次氏のお話

以前、『致知』で連載されていた「三百年続く老舗の訓え」。

歴史の荒波を乗り越え、今日まで守られてきた訓えを紹介する連載で読者の皆様から好評を博していました。

石田梅岩の訓えを商いの根幹に据え、京都の地で三百年以上にわたり麩屋を営んできた半兵衛麩の玉置辰次氏のお話をご紹介します。(『致知』2009年10月号より)

脈々と息づく石田梅岩の訓え

幼い頃、父と一緒に行った近所の風呂屋で、こんな話をしてもらったことがありました。

「新しい手拭いで顔を洗ったら気持ちええやろ。

でも汚れて薄くなったからと言って、すぐに捨てたらあかん。

折り畳んで縫えば、雑巾になる。

その雑巾がボロボロになったら、干して機械の油拭きにすればいい。

その油拭きは火にくべるとよく燃えるから、風呂を焚く時に使えばいい。

そこまで使い切って、やっとお終いや。

だから新品を下ろす時には、ほんまにいま、それを下ろさんとあかんのかをよぉく考えなさい。

新品を下ろす時が『始まり』で、捨てる時が『終わり(末)』。

だから『始末』と言うのや。

この始末をしっかりするかせんかで、大きな違いが出てくる」

この時は洗い場の曇った鏡に指で、ある時は火鉢の灰に火箸で字を書くなど、父はその時、その場に応じた分かりやすい例え話を用いながら、商いの心得を聞かせてくれたのでした。

すでに「頂き女子」がいた⁉ 大正時代のトレンドは現代に酷似している

あなたは最近、読書をしていますか? スマホばかり見てしまって本を読まなくなったな…なんて思っているのではないでしょうか。今回、無料メルマガ『毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン』の著者である土井英司さんが、文芸評論家の三宅香帆さんが日本人の読書の変遷や、ベストセラーになる本の考察について語った一冊を紹介しています。

【労働史と読書史から現代の読書を考える】⇒『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』

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なぜ働いていると本が読めなくなるのか

三宅香帆・著 集英社

こんにちは、土井英司です。

本日ご紹介する一冊は、文芸評論家、三宅香帆さんによる話題の新書。

明治時代から2010年代までの労働史と読書史を振り返り、われわれ日本人の読書がどう変遷してきたか、どんな背景でどんな本がベストセラーになったかを考察する、興味深い内容です。

ちなみに目次はこうなっています。

第一章 労働を煽る自己啓発書の誕生 --明治時代

第二章 「教養」が隔てたサラリーマン階級と労働者階級 --大正時代

第三章 戦前サラリーマンはなぜ「円本」を買ったのか? --昭和戦前・戦中

第四章 「ビジネスマン」に読まれたベストセラー --1950~60年代

第五章 司馬遼太郎の文庫本を読むサラリーマン --1970年代

第六章 女たちのカルチャーセンターとミリオンセラー --1980年代

第七章 行動と経済の時代への転換点 --1990年代

第八章 仕事がアイデンティティになる社会 --2000年代

第九章 読書は人生の「ノイズ」なのか? --2010年代

日本初の(男性向け)自己啓発書『西国立志編』に始まり、日本における自己啓発書の歴史とそのメッセージ、社会への影響などを考察しており、興味深く読むことができました。

「教養」=エリートが身につけるもの

「修養」=ノン・エリートが身につけるもの

という、大正時代に生まれた図式の話、この時に生まれた「修養」の延長線上に、現在ビジネスパーソンが読む教養本があるという指摘は興味深く、激しく頷きながら読みました。

源氏鶏太氏のエンタメサラリーマン小説やカッパ・ブックスの隆盛、大ヒット雑誌「BIG tomorrow」の分析などを読むと、なぜ当時、長時間労働していたサラリーマンがこれらのコンテンツを消費したのか、よくわかると思います。

さすが文芸評論家が書いているだけに、『窓ぎわのトットちゃん』『ノルウェイの森』『サラダ記念日』の共通点や、「私」視点の物語がどんな時に売れるかという話は、読み応えがありました。

ミリオンセラーの考察などもあるので、著者や編集者は、読んでおくと企画のヒントになるかもしれません。

「褒めて伸ばす」は本当に有効か?厳しく指導しないと組織が守れなくなる現実

最近の風潮として、叱らずに「褒めて伸ばす」というものがあります。ミスや問題を指摘することでハラスメント扱いされたり、仕事を辞めてしまうことも多いようです。無料メルマガ『飲食店経営塾』の著者で飲食店コンサルタントの中西敏弘さんは「褒めて伸ばすだけでは組織は守れない」と持論を展開しています。

「長所を伸ばす」「褒めて伸ばす」だけでは組織は守れない!

「ほめて伸ばそう」「長所を伸ばそう」というのが、最近の風潮。

今の時代の社員さんは、小さい頃から「怒られる」ことに慣れていないため、厳しくするよりも、褒めて伸ばそうという考えの人がほとんど。逆に、「指摘」したり、「厳しく」接したりすると、すぐに不平不満を言ったり、最悪の場合は辞めてしまうということが起こっているようです。

こういう背景もあり、多くの経営者さんが「叱る」ことや「厳しく指導する」ことを怖がり、言いたいことも言えず、「どうやって社員を指導すべきか」と悩んでいる方が多いように感じています。

確かに、私の感覚的にも、叱るまではしませんが、「厳しく」指摘したりすると、こちらの言うことに全く聞く耳を貸さなかったり、ひねくれて何もしなくなるというスタッフもいます。

しかし、こういうスタッフは、そもそも仮に「褒めた」としても、結局は指摘したことを守ったり、言われたことを素直に受け止めるとは思えないのです。(実際に、「褒めた」としても人の意見を素直に聞き入れない人はたくさんいます)

やはり、”できる”スタッフは、こちらが真剣に指摘したり、相手のことを考えて厳しく言ったりしたとしても、それを素直に受け止めて、行動したり、自分の行動を変えようとします。

つまり、すべての人に対して「褒める」「厳しくする」のではなく、相手の「階層」(スキル、経験、意欲など)に併せて、指導方法を変えることが重要だと思うのです。

組織論で「262の法則」というのがあります。

2割の意欲の高いスタッフ。6割の普通のスタッフ。そして、最後の2割は、意欲の低い(スキルが足りない、仕事ができない)スタッフに、どんな組織でも別れてしまう。そして、それぞれに対して適した対応が重要である、というもの。

きっと、この最後の2割の「意欲のないスタッフ」は、色々な面で課題があり、このスタッフへの対応をどうするのかが課題だと思います。

習近平国家主席「欧州3カ国訪問」はなぜ中国外交の“理想形”なのか?

中国の習近平国家主席が5月上旬にフランス、セルビア、ハンガリーの3カ国を訪問。5年ぶりのヨーロッパ訪問で成果はあげられたのでしょうか。今回のメルマガ『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』で、多くの中国関連書を執筆している拓殖大学の富坂聰教授は、習近平氏の笑顔が随所にあふれていて「中国が考える首脳外交の理想形」と評価。訪問先での習氏の言葉から今回の外交で中国が何を重要視し、欧州に何を求めているのか解説しています。

なぜ、いま習近平はフランス、セルビア、ハンガリーに向かったのか

習近平国家主席にとって今回の外遊は、中国が考える首脳外交の一つの理想形だったのではないだろうか。普段は滅多に見られない笑顔が随所にあふれていた。

最初の訪問地のフランスでは、エマニュエル・マクロン大統領に加え、再選を控えたウァズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会(EU)委員長が加わる三者会談となり、いつも険しい表情をのぞかせる場面もあった。だが、マクロンが幼少期を祖母と過ごしたフランス南西部のオート=ピレネー県の別荘に場所を移して以降は、終始上機嫌に見えた。

ハイライトは、セルビア、そしてハンガリーへの訪問と現地での大歓待であった。どちらも領空に入るころから戦闘機が現れ、空港ではそれぞれの国のトップが出迎えた。

セルビアではアレクサンダル・ブチッチ大統領と会談。習は、「中国にとってセルビアは中東欧地域で初の包括的な戦略的パートナー(2016年)だ。双方は協力してそれぞれの発展と振興に力強い原動力をもたらし、両国民に確固たる利益をもたらしてきた。新たな情勢の下、セルビアが欧州で初めて中国と運命共同体を共同構築する国となった」と語った。

同じくハンガリーでは、オルバン・ヴィクトル・ハンガリー首相との会談で、「新時代における外的環境の変化に左右されない包括的な戦略的パートナーシップの構築を契機に、両国協力に新たな強大な原動力をもたらし、両国民のためにさらに素晴らしい明日を切り開く必要がある」と語った。

セルビアとハンガリーはそれぞれ、「全面的戦略パートナー」から「新時代の運命共同体」と「新時代の全天候型包括的パートナーシップ」へと、中国との関係を格上げしたことになる。概括すれば、従来から親しかった国々を訪れ、友好的な関係をさらに強化したという流れだ。

では、この外交に通底していたテーマは何だったのか。まず政治的には、ヨーロッパに対し米中対立で独自の立場を取ることを求める目的があった。そのことは習がフランスで「中国・EU関係には強大な内生的原動力と大きな将来性があり、第三者を標的とせず、依存せず、制限を受けることもない。EUが正しい対中認識を確立し、前向きな対中政策を定めることを希望する」と語ったことからもうかがえる。