大阪2歳女児車中置き去り死が示す、“人”が最も不確かなものという事実

大阪府で11月12日に起きた、2歳の女児が車中に取り残され亡くなった事故。父親は「保育所に預けたつもりだった」と説明しているとのことですが、なぜこのような事故は発生してしまうのでしょうか。今回のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』では健康社会学者の河合薫さんが、「にわかに信じ難い事故」が無くならない原因を解説。さらに「ヒューマンエラーはゼロにはならない」ことを前提とした上で、惨事を防止する方法を考察しています。

プロフィール河合薫かわい・かおる
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

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「信じられない!」は起こる。大阪2歳女児車中“置き去り死”に思う

「保育所に預けたと思い込んでいた」――。またもや痛ましい事故が起きてしまいました。

12日の夕方、大阪府の保育所の駐車場に止めた乗用車内で、保育所に通う2歳の女児がぐったりしているのを33歳の父親が見つけ、119番通報。女児は意識不明の状態で、搬送先の病院で亡くなりました。

父親の説明では12日の朝、3人の子どもを車に乗せて自宅を出発。4歳の長女と1歳の三女を市内の認定子ども園に預けた後、保育所に2歳の女児を預けるはずだったが、車に残したまま帰宅しました。

父親は午後5時すぎ保育所に迎えに行ったところ、保育所側から「今日は来ていない」と言われ、車の中を確認しぐったりした女児を発見したそうです。

そんなこと、あるのか?預けたと思い込んだって、どういうこと?不審に思った人も多かったかもしれません。

しかし、20年6月にも茨城県で同様の事故が起きています。40歳の会社員の男性が、朝、8歳の長女と2歳の次女を車に乗せ家を出発。長女を小学校に送り届けたあと、次女を乗せたまま自宅に帰宅。在宅勤務をしたのち、夕方に再び長女を迎えに行った際、後部座席のチャイルドシートでぐったりしている次女に気づいた。男性は「朝、保育園に預ける予定を忘れた。仕事のことで頭がいっぱいだった」と説明したと報じられました。

日本だけではありません。19年にはニューヨークで、ソーシャルワーカーの男性が4歳の子供をデイケアに預け出勤し、1歳の双子を後部座席に置き去りに。「保育園に預けたつもりでいた」と話したそうです。ある調査によれば、98年から21年の間に米国では少なくとも887人の子供が車内に置き去りにされ熱中症で亡くなっていると報告されています。

どれもこれも痛ましい事故であり、事件です。しかし、「大切な子供を忘れるなんて絶対にない!」と言い切れるほど、人間は絶対的存在ではないのもまた事実です。一時的な記憶障害は誰にでも起こるし、重大な事故の8割はヒューマンエラーです。そこに「人」が存在する限り、ヒューマンエラーは必ず起きる。私たちの心は常に周囲の状況に無意識に操作されています。目の前に存在する絶対的な物体でさえ視覚機能をコントロールし、見えるはずのものと見えなくなしてしまうのです。

そこに「慣れる」という環境に適応する「人」の性質が掛け算されると「ヒヤリハット」も見えなくなってしまうのですから、人間の心は実にやっかいです。

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匿名コメント不使用。上杉隆『週刊SPA!』の五輪汚職連載が大好評な理由

『週刊SPA!』で連載中の五輪汚職追及連載が大きな話題となっている、『悪いのは誰だ!新国立競技場』の著書もあるジャーナリストの上杉隆さん。その連載を始めるにあたり、自らに課したルールが存在すると上杉さんは言います。今回のメルマガ『上杉隆の「ニッポンの問題点」』では、なぜ自身が「実名クレジット」という日本において困難な取材方法を採ったのかを解説。さらに我が国のジャーナリズムが崩壊の危機に瀕している理由を明らかにしています。

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ジャーナリズムの崩壊

10月より『週刊SPA!』で始まった五輪汚職事件をテーマとした連載は、さまざまなところで反響を呼んでいる。

都議会議員や都庁職員のみならず、国会議員からも反応をもらっている。7年ぶりの連載とはいえ、随時情報を仕入れていたテーマだったので、かなり詳細な話も入っている。

「すごいですね、よく名前を出してここまで答えてくれましたね」

今回の連載を開始するにあたって、筆者はひとつのルールを自らに課していた。それは、捜査関係者以外の匿名コメントは使用しないというものだ。つまり、すべて実名でコメントしてもらい、実名で掲載するというものだ。

当然にリスクもある。しかし、「わかった」や「関係者」など、いくらでも創作できる日本のマスコミ報道に疑問を感じていたことや、SNSの台頭によって、それがいまや、一般人にまで広がっていることに強い危機感を覚え、自ら手本を示すつもりで、(日本において)困難な取材方式を採ることを選んだのだ。

海外において、実名クレジットはジャーナリズムの基本原則のひとつでもある。筆者の働いていたニューヨークタイムズでも、匿名コメントは使用してはならないという厳格なルールが存在していた。

もう、20年も前のことである。日本のマスコミは現皇后(当時雅子妃)のご懐妊報道一色に染まっていた。朝から晩まで国中、お祭り騒ぎである。

「この現象は日本のマスコミ特有のものなのか?一般の日本人は実際はどのように感じているのか?特集を組みたい。街の声を拾ってきてくれ」

当時のハワードフレンチ支局長からの指示を受けて、新米取材記者である私は街に飛び出した。

ニューヨークタイムズ東京支局は築地の朝日新聞本社にある。銀座まで歩いて5分ほど、ペンとメモ帳とICレコーダーをもって、手当たり次第に買い物客や観光客にコメントを求める。

4時間ほど聞きまくって、計20名ほどのコメントが取れた。さっそく支局に持ち帰り、英語にまとめて、支局長と本社に送った。

「ちょっと来てくれ」

データ原稿を送って10分もしないうちに、別室に呼ばれた。これだけの短時間で20人ものコメントを集めたのだ。中には、日本人の私ですら興味深いコメントがある。きっと褒められるのだろう、と期待をもって別室のソファーに座った。

「ひとつも使えない。なぜ、職業と年齢と性別しか書いていないのだ。氏名はどうした?」

苗字は書いてある、と反論したが、支局長は了解しない。これでも、相当苦労して氏名を聞いたんだが、誰も教えてくれないんだ、と私。まだ日本に着任して日の浅い支局長は、私の反論に対しても明らかに疑っている。

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「鳥貴族」大倉社長も登場した連載コラムの“再現ドラマ動画”が今アツい訳

とある人材採用総合サービス企業がネット上で公開している、飲食業経営者たちの生い立ちから修行時代、さらに独立に至るまでの道のりを描いた再現ドラマをご存知でしょうか。そんな動画の誕生秘話と人気の秘訣に迫るのは、フードサービスジャーナリストの千葉哲幸さん。千葉さんは今回、株式会社キイストンが再現ドラマを制作するきっかけを紹介するとともに、彼らが「娯楽動画」を通して作り出そうとしているものについて考察しています。

プロフィール千葉哲幸ちばてつゆき
フードサービスジャーナリスト。『月刊食堂』(柴田書店)、『飲食店経営』(商業界、当時)両方の編集長を務めた後、2014年7月に独立。フードサービス業界記者歴三十数年。フードサービス業界の歴史に詳しい。「フードフォーラム」の屋号を掲げて、取材・執筆・書籍プロデュース、セミナー活動を行う。著書に『外食入門』(日本食糧新聞社発行、2017年)。

あの「鳥貴族」大倉社長も登場、連載900回超えコラムの再現ドラマ動画が今アツい理由

飲食業界のweb媒体に『飲食の戦士たち』という連載コラムがある。内容は飲食業経営者が社長になるまでの生い立ちから修業時代をまとめたもの。登場する経営者は上場企業から数店舗の社長まで。さまざまな人生模様が綴られている。

この第1回は2008年2月のこと。そして2022年9月に900回を迎えた。飲食の経営者のコラムが900回となると飲食業経営者のデータベースとして捉えていいだろう。

実際に飲食業分野のライターをしている筆者の経験を述べる。筆者は初めて取材をする経営者はどのような人物かを把握するために、まず『飲食の戦士たち』を検索している。するとたいてい知りたい経営者のことが掲載されている。こうして取材の準備は首尾よく進む。

登場人物で目を引くのは、いま飲食業界をけん引する鳥貴族ホールディングス(HD)の大倉忠司社長、世界戦略を大胆に展開する「丸亀製麺」トリドールHDの粟田貴也社長、外食産業の継承者としてはすかいらーくHDの谷真会長兼社長、吉野家HDの河村泰貴社長等々名だたる外食企業の実話が社長のリアルな発言で綴られている。

飲食の戦士たち

この『飲食の戦士たち』はこの度動画版となる“再現ドラマ”をスタートさせた。これは約10分間のドラマ仕立て。主人公が、おいしそうな飲食店に入り、ビールを飲むと目の前の写真の人物の過去にタイムスリップして、現在の社長になるまでの道筋や料理へのこだわりを知ることになる――というストーリーである。

ほらを吹いたら厳重処罰。北朝鮮「ほら吹き防止法」の中身とは?

北朝鮮で「ホラ吹き防止法」が制定されました。この法令は、虚偽が増えている農業関連だけでなく、経済や社会全般にも適用されるといいます。この詳しい内容について韓国在住歴30年を超える日本人著者が発行するメルマガ『 キムチパワー 』が解説しています。   

ホラ吹き防止法

北朝鮮で農業関連の「虚偽報告」を処罰するために新たに制定された「ほら吹き(=ホプン)防止法」が農業分野はもちろん非常防疫、人材養成、災害防止、民間防衛事業など全社会的な分野に適用される法であることが12日、初めて確認された。

「ニュース1」が入手した北朝鮮の「ほら吹き防止法」の全文によると、同法は第1章「ほら吹き防止法」の基本、第2章=経済計算でのほら吹き防止、第3章=農業生産でのほら吹き防止、第4章=社会全般でのほら吹き防止などで構成されている。

これによれば「法の使命」は「全国的、全社会的に虚勢を張る現象(つまりほらを吹いたり嘘をついたり)との戦いを強力に推し進め、国家の政策を正確に執行し人民の利益を保護するのに貢献するため」と明示されている。

「ホラの定義」は「公明心と利己心、責任回避といった古い思想にどっぷりとつかり、自分の部門、単位(家族あるいは隣組のようなものをいっているのであろう)の実態を虚偽で報告し、国家の政策執行と人民生活に厳重な害毒的な影響を及ぼす反国家的、反民族的行為」と規定されている。

これまでは、ほら吹き防止法は「食糧難」にともなう穀物生産、すなわち農業と関連した数値を虚偽報告したり糧穀流通過程で収穫量の不正搾取や縮小報告などを防ぐために制定されたとされていた。

しかし実際には農業を含めた経済はもちろん、社会全般の各分野に幅広く適用される法としてこの度新しく制定された。経済計算はもちろん統計部分、非常防疫、科学技術人材養成、民間防衛事業、生産文化、生活文化、災害防止、国家表彰など多様な分野に適用される法条項が含まれただけに、社会全般的に蔓延した「死角地帯」を根絶するために制定されたものと見られる。

特に同法には「統計数字の科学性と公正性を保障しなければならない」という内容も明示されているが、これは執権後から着実に統計化・数値化・科学化などの過程を通じて透明かつ合理的に国政を運営しようという金正恩の意志が盛り込まれたものと解釈される。

 

駅伝の青山学院が教えてくれた、日本経済がちっとも成長できない理由

コロナ禍、円安など逆境に立たされている日本経済。そこから立ち上がり成長するヒントが隠させているとメルマガ『毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン』で土井英司さんが紹介するのは、意外なことに「駅伝」の話でした。

青学・原晋監督が説く、逆境力の鍛え方⇒『「挫折」というチカラ』

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「挫折」というチカラ』原晋・著 マガジンハウス

こんにちは、土井英司です。

本日ご紹介する一冊は、青山学院大学陸上競技部監督、原晋さんによる逆境力の鍛え方。

ご存知のように、青山学院大学陸上競技部は、著者が監督に就任して5年後に、33年ぶりの箱根駅伝出場、2015年に初の総合優勝、そこから2018年にかけて4連覇を果たし、2022年には大会新記録を更新して6度目の総合優勝を果たしています。

多くの選手を成長させ、成功に導いてきた著者が語る、挫折論と逆境力の鍛え方。これが面白くないわけがありません。

著者は、「挫折」と「失敗」は明確に区別すべきだと述べ、それぞれこう定義しています。

挫折:自分が精一杯に努力したにもかかわらず、コントロールできない外部の要因によって目標が達成できなかった経験のこと

失敗:現状に甘んじて行動を起こさない、あるいは何も考えず前と同じことをして、結果がでないこと

この定義からすれば、多くの日本企業は、「挫折」を恐れ、みすみす「失敗」しているのかもしれませんね。

著者は「はじめに」でこう述べています。

「挫折」を恐れる人間に挑戦はできません。それにもかかわらず、この社会には「挫折」が足りない。いや、「挫折」する機会が圧倒的に足りないのです

どうすれば、挫折を恐れず、成長や自己信頼に変えられるのか。

本書には、その秘訣が書かれています。

河村たかし市長の“セクハラ仕草”は故意か過失か?日常のふとしたハンドサインに潜む罠、他人事では対策難しく

名古屋市でおこなわれた「韓国フェスティバル」のある1枚の写真で、河村たかし市長(74)がまたも炎上しているようだ。どうやら、アイドルの隣で決めた「ハンドサイン」がセクハラではないかというのである。金メダルをカジったり、アイドルをおさわりしたりと、過去にいろいろヤラかしている河村市長だが、今度ばかりは濡れ衣という噂もある。この「ハンドサインで誤解が生まれ破滅に陥る」という事例は、決して他人事ではないようだ。

指1本で別の意味。ハンドサインの罠に嵌まった河村氏

問題になったのは、12日におこなわれた「韓国フェスティバル」における記念写真だ。河村氏は女性アイドルと一緒に仲良く写真を撮っただけのつもりだったが、指の形が「全く違う意味」のように見えたため「明らかにセクハラだ!」と、この写真がSNS上で拡散され、物議を醸すこととなった。

この指の形、隣に写っている女性アイドルは河村氏とは別の形を作っているように見える。そう、今どきの若い世代にはお馴染みの、親指と人差し指でハートを作る「キュンです」を河村氏が作り間違えた可能性があるのだ。

ハンドサイン「キュンです」とは?

指でハートを作る「キュンです」とは、韓国アイドルがファンサービスで行っていたもので、2020年にTikTokで活動しているシンガー・ソングライターひらめの楽曲「ポケットにキュンです」のミュージックビデオから広まったようだ。

現在74歳になる河村氏が、そもそも「キュンです」を知っている可能性は低い。正確にハンドサインを出すことを要求すること自体が難しいのかもしれない。

しかも、今回はハンドサインを間違えて出したことよりも、若い女性とみるやピッタリとくっつくのが「支配欲を満たす行為」「若い女性へのマウンティング」だと批判されたり、「こいつは分かっていてワザとやっている」などの確信犯説も出たりと、相変わらずネットでは散々な言われようだ。

しかし、こうして批判されるのにも、過去に河村氏が数多く「ヤラかしてきた」であり、自業自得と言われても仕方がないだろう。

河村たかし市長ヤラかしの歴史

河村氏は2021年8月、2020東京オリンピックで金メダルを獲得したソフトボール日本代表の後藤希友選手が名古屋市役所に表敬訪問した際、持ってきた金メダルをカジったことで一躍その悪名が轟いたが、同年4月には名古屋城の天守から降りた金のしゃちほこにもカジりついていた。どうやら「金色のものには何でもカジりつく習性」があるようだ。

また、若い女性がいると「必ず肩に手をまわす習性」もあるようで、声優の伊藤美来、上坂すみれ、SKE48の高柳明音(現在は卒業)、訪問した高校の女子高生などが犠牲になっている。

そして、自分の発言を他人が聞いたらどう思うか?ということを考えることができない人物のようで、女子小学生への「セクハラ発言」、名古屋で行われた北野武監督の映画の特別試写会で「ネタバレ発言」、国際芸術祭のオープニングレセプションで「中日ドラゴンズの替え歌」で芸術祭の名前を熱唱などなど枚挙にいとまがない。いずれも空気を読めない言動をヤラかしておきながら、まるで反省する様子がないのが特徴だ。

それでも今回の「キュンです」ミスだけは“濡れ衣”の可能性が高い。なぜなら、ハンドサインは誰でも誤解を生む可能性があるからだ。

中国「独身の日」セールで売上横ばいも大きく変わった中身とは?

「1」が4つ並ぶ11月11日は中国では「独身の日」。毎年ネット通販大手のアリババが大セールを行い、24時間の売上が日本円で数兆円に及び、日本のメディアも例年その熱狂ぶりを伝えていました。しかし、今年はあまり派手なニュースは聞こえてきません。今回のメルマガ『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』では、著者で多くの中国関連書籍を執筆している拓殖大学教授の富坂さんが、上海や北京からの情報として、セールに浮かれて出費額が膨らむのではなく、より現実的になってきていると、買い物の内容の変化を紹介。取引総額は昨年並でもゼロコロナの影響が確かに出ていると伝えています。

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いよいよ緩和の日が見えてきたコロナ対策と独身の日の大セールの中身の変化

例年ならば中国全土が大騒ぎをするはずの11月11日。いわゆる「独身の日」だ。このメルマガの読者にはあえて説明する必要はないだろうが、1がから「独身の日」だ。そして90年代の末にネット通販最大手のアリババが大セールを始めたことで、世界的な「大セールの日」となり、毎年凄まじい爆買いの様子がニュース配信されてきた。

ところが今年はなぜか振るわない。日本の新聞の見出しを見ても「中国、熱狂なき『独身の日』 ゼロコロナ政策で消費低迷」とか、「習政権が冷や水浴びせる 中国「独身の日」セール」と、目立つのはネガティブな記事ばかりだ。テレビの報道も大差ない。アリババがGMV(取引総額)を非公開としたことも、熱気の下降に拍車をかけたと考えられている。

変わったのは熱気だけではない。消費者の買い方にも変化が起きていた。とくに注目を集めているのが、中高年の「独身の日」の使い方だ。上海の会社経営者が語る。
「実は今年、我が家は去年の2倍から3倍の買い物をしています。周りの友人と話していても事情は同じみたいです。うちは2万元も買い物をしましたから例年の4倍です」

それならば、やはり中国人の購買意欲は相変わらず旺盛だということになる。だが現実は必ずしもそうではないらしい。謎解きのカギは買い物の中身だという。「今年はみな年間を通して使う消耗品や日用品をまとめ買いする傾向なんだそうです」と語るのは北京のコンサルタントだ。

「今年の『独身の日』は11月11日にスタートしたというよりも、だいたい10月の末から少しずつ始まったというイメージです。そのころから補償金を少しずつ入れて、本番で大きく買う。例えば、1年分の洗剤とかティッシュペーパー、トイレットペーパ─、食用油、醤油などです。置き場所のない家庭にはできませんが、これは一つの流行です。ですから、買い物の狙いは消費を楽しむことではなく、節約なのです」

実際、共同通信は今年の「独身の日」の総取引額が概ね去年並みだったとアリババグループが発表したと報じている。つまり数字だけみれば、過去最高額を記録した昨年と同じで、その数字はコロナ禍を考慮すればまずまずの出来となるはずだ。

しかし、実態はそうではない。前述したように消費の中身が生活用品であれば、1年分の消費を一気に吐き出しただけで、トータルで伸びているわけではないからだ。現実はむしろ冷えている可能性が指摘されるのだ。

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コロナの影響で閉店した老舗中華料理店が奇跡の復活を果たした「秘策」

いまだコロナの影響は大きく、飲食店は経営難を解消できずにいるところも多いのではないでしょうか。今回のメルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では、 一度コロナによって閉店に追い込まれた老舗中華料理店が、とある秘策によって奇跡の復活を遂げた話を紹介しています。

秘策で復活!?閉店しても、味と雇用を守った中華料理店

2022年4月。大阪府箕面市に、冷凍食品専門店「FROZEN Lab」が開店しました。

「薬膳麻婆豆腐」「薬膳お粥」「黄金だしちゃあはん」「牡蠣塩とんこつらーめん」「濃厚とまとらーめん」「生餃子」など、中華料理を中心とした品揃えです。

手軽さで流行となっている冷凍食品専門店であることと、商品の美味しさが評判となり、いま大きな注目を集めています。

実は、このお店に並んでいる商品は、すべてオリジナルで、しかも製造ラインではなく、普通の厨房で作られています。

料理人が、中華料理店と同じ作り方をしているのです。

たとえば、麻婆豆腐は大量に作ると味がブレるので、3人前ずつ作っています。

スーパーに並ぶ冷凍食品とは、まったく違う作り方なのですが、なぜ、これほど手間を掛けた作り方をしているのでしょうか。

それは、このお店が誕生した経緯に関係しています。

お店の商品に中華メニューが多いのは、このお店の前身が中華料理店だからです。

1963年創業の老舗だったのですが、コロナの影響を受け、今年4月に閉店してしまったのです。

「安倍派を中心に」統一教会教祖・文鮮明が信者に指示した政界工作の手段

先日ネット上に流出していたことが明らかになった、旧統一教会教祖・文鮮明氏の全615巻にも及ぶ発言録。その過激な内容が話題となっていますが、教団内部を知る人物はどのように受け止めたのでしょうか。今回のメルマガ『詐欺・悪質商法ジャーナリスト・多田文明が見てきた、口外禁止の「騙し、騙されの世界」』ではかつて旧統一教会の信者だったジャーナリストの多田文明さんが、文氏の発言内容を自身の教団内での体験と照らし合わせつつ検証。現在も継続中と思われる旧統一教会の政界工作の実態も詳しく綴っています。

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文鮮明教祖の発言集「マルスム選集」から、信者時代の指示内容の意図がみえてきた!

1.文鮮明教祖の語録からみえてくる教団の野望と思惑。信者経験と重ね合わせると、見えてくる…

文鮮明教祖の発言集である『文鮮明先生マルスム選集』(成和出版社)615巻がネットにあがり、各社からその内容が報道されています。そのなかで、教団の政治活動への指示が明らかになりました。その指示の流れが今日まで続き、教団の関連団体を使っての自民党をはじめとする、国会議員・地方議員らとの関係は深まっていったことがよくわかります。

私が信者として中にいた頃に聞いた話とつき合わせながら、報道された文鮮明教祖の発言内容をみてみます。

これは当時、私が教団内で、幹部や責任者から聞いている話がそのまま載っている感じです。

「神の言葉です」文鮮明氏“発言録”明らかに 「安倍派を中心に数増やす」政界工作も判明(11/7 FNN)

「安倍元首相の父親である、安倍晋太郎元外相が当時率いていた安倍派を中心に、国会議員との関係強化を図るよう、信者に語った」という内容が報じられています。

本来、信者として文鮮明教祖の指示は神様の言葉として絶対に守るべきもので、果たさなければならない使命です。それにもかかわらず、教団側の「日本では使われておらず、信者の行動指針というわけではない」というコメントはありえません。再臨主である教祖の言葉をどう捉えているのか、まったく理解できません。

公式ヤフーコメントでも、「中曽根裁定」の話を書きました。これは、当時総理大臣だった中曽根康弘氏が、87年10月20日に次の首相として、竹下登氏指名したという話です。ここでは文字数制限もあり、89年までの流れまではすべて書けませんでしたので、続きを話します。

教団としては、関係の深い安倍晋太郎氏が総理になることを願っていました。

「安倍総理が誕生すれば、親しくしていた当時の久保木修己会長(統一教会初代会長)が副総理になる道もある」と会長の政界入りを果たせるとまで言われてきました。それにより、教団の思想が一気に政治に反映されて、ローマ帝国時代にキリスト教が国教となったように、統一教会が国教になる日がやってくる。そう教えられ信じていました。しかしながら、その思惑は中曽根裁定により、いったんはついえることになります。当時の教団の信者らの落胆ぶりを、今でも覚えています。

ですので、中では中曽根元首相は、神様の摂理に失敗した人物となっていました。しかし後に92年に教祖が入国し彼と会談することで、その汚名はそそがれます。今になってみれば、教団の野望を中曽根氏が打ち砕いたことになります。しかし、教団は政界工作を諦めていませんでした。それが教祖の89年の発言につながります。

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トランプの大統領選出馬示唆にドン引き。米中間選で共和党苦戦の訳

共和党圧勝を意味する「赤い波」が起きるどころか、上院では民主党が多数派を維持するに至ったアメリカ中間選挙。何がメディアの「共和圧勝」という予想を覆す要因となったのでしょうか。今回のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』では著者で米国在住作家の冷泉彰彦さんが、「現時点で納得がいく10の仮説」を紹介。各々について詳細かつ解りやすい解説を記しています。

※本記事は有料メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』2022年11月15日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

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米中間選挙結果に関する10の仮説

現地時間の11月8日(火)に行われたアメリカの中間選挙については、ほとんどのメディアの事前の予想が「ハズレ」となりました。共和党による「ビッグ・レッド・ウェーブ」は不発に終わり、現時点では、ほぼ「痛み分け」かあるいは「民主党の辛勝」という結果になりつつあります。

上院では、現時点では民主党50、共和党49で、残りのジョージア州の1議席については、12月6日の「再選挙」の結果を待つことになりました。どういうことかというと、民主党の現職、共和党の挑戦者双方が両者が50%を確保できないことが確定しており、州法により改めて選挙を行う必要があるからです。

この再選挙については、民主党の組織的な動員力が発揮されると言われていますし、共和党のウォーカー候補にはスキャンダルばかりで魅力がないので、「そのためだけの選挙」となると、民主現職が勝利すると言われています。仮にジョージア再選挙で現職のワーノック候補が勝つと、最終結果としては上院は民主51議席対共和49議席となります。ハリス副大統領の最終投票を行わないでも、民主党が過半数になるし、仮に中道派の造反が1名出ても勝てるわけで、選挙前とはかなり風景が異なることになります。民主党としては勝利と言えます。

下院は、どうやら僅差で共和党が多数になる見通しですが、現在でもカリフォルニアを中心に議席の確定が遅れています。本稿の最終時点でも、共和党が212議席に対して、民主党は205議席となっており、どちらも過半数ラインの218には届いていません。多くのメディアは共和党が219か220ぐらいに着地するという予測をしており、仮に共和党が勝つにしても1から2議席という僅差になる模様です。

下院435議席のうち、219というのは過半数ではありますが、極めて不安定な過半数になります。まず、重要法案の場合は徹底的に禁足をかけないといけません。また、健康問題等で1人とか2人や辞めて欠員が出ることは下院では良くあるのですが、そうなると簡単に多数派から陥落します。勿論、民主党も同じことですが、とにかく不安定です。

一番の問題は、造反です。と言いますか、アメリカの議会には造反という概念はあるようでないような感じであり、とにかく「党議拘束がない」ので、民主党でもバイデンの補正予算に反対する議員はいますし、共和党の側からも賛成票が入ったりするのです。つまり、1とか2という差での多数というのは、本当に二大政党ががっぷり四つに組んで対決するような法案ならともかく、通常の法案や補正予算などではほとんど意味がありません。つまり、このまま共和党が過半数ライン218の下院で、219あるいは220の議席を取ったとしても、日本の国会とは違ってその意味合いは薄いのです。

では、上院はどうかというと、例えば最高裁判事の承認であるとか、閣僚人事の承認といった非常に大きな人事権限を上院は持っているので、こちらでは1議席でも、あるいは両派同数であってもとにかく過半数を持つことには大きな意味はあります。一方で下院はそうでもないというわけです。

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