京アニ事件への海外応援でわかる、日本アニメの世界的評価

海外のメディアのニュースを、日本のマスコミではあまり報じられない切り口で本当はどういう意味で報じられているのか解説する、無料メルマガ『山久瀬洋二 えいごism』。今回は、京都で起きた京都アニメーションスタジオでの事件についでの海外報道に触れられています。

京都アニメの惨劇と世界の反応に触れて

訳:京都アニメーションは世界で最も才能のあるアニメーターと、その夢を追いかけている人々のふるさとだ。今日おきた破壊と悲劇は日本だけの損失をはるかに超えている。京アニのアーティストたちはそんな作品を通して世界に世代をこえた楽しみを拡散している。心よりご冥福をお祈り致します。(Tim CookのTwitterより)

【ニュース解説】

京都アニメ放火事件が海外メディアの注目を集めていることは、様々な報道機関が伝えています。
私個人としては、あまり京都アニメについて詳しくはありませんでした。しかし、アップルのCEOティム・クック氏が、ここに記したように哀悼の意を日本語で伝えるなど、世界中が今回の悲劇に反応している背景はよく理解できます。

80年代のこと、出版メディア大国アメリカでは、コミックは一ランク下の出版物とみなされていました。バットマンなどのコミックはコレクターの特殊な読み物で、出版社がそれを扱うことはありませんでした。私がニューヨークで最初に日本の漫画を英文で紹介しようとしたときも、出版社のセールスマンの激しい抵抗にあったことを覚えています。

しかし、そんな状況が次第に変化してゆきました。日本の漫画の質の良さストーリー展開の面白さが少しずつアメリカでも浸透を始めたのです。それは「グラフィックノベル」と呼ばれ、90年代には書店でも堂々と置かれるようになったのです。

その頃、フランスのグルノーブルで開催されたヨーロッパの書籍フェアに参加したことを覚えています。たくさんのフランスやドイツの版元が、日本発のグラフィックノベルの版権を購入しようと日本の作品をみている様子に接し、初めて日本の漫画が世界を席巻するのではと本気で考えたものでした。すでに「漫画」は「Manga」として英語化していました。とはいえ、アニメーションの世界でいうならば、映画と合体した映像産業で圧倒的な強さを誇っていたのはディズニーなどアメリカの大手に他なりませんでした。ですから、日本でも英語のAnimationをカタカナで「アニメ」と訳し、次第に漫画と映像文化との融合がはじまったのです。

その後、「マンガ」は世界に輸出されました。当時私も出版人としてそんな「マンガ」の英文書化に何度かかかわったことがありました。やがて、「マンガ」が世界で市民権を得るのと並行して、今度はさらに進化した日本の「アニメ」が「アニメ」という日本語のまま世界で流通するようになったのです。それから10年以上、私は国際出版事業から離れていました。そして、先週の京都アニメの事件に接したのです。

京都アニメの損失は世界的な損失であると、海外の人は思っています。今年フランスでノートルダム大聖堂が消失したときと同様、世界中の人が人類の貴重な遺産が失われたことに涙したのです。京都アニメに代表される日本のアニメ産業は、日本の顔として世界で評価されていたのです。

もっとも、こうした日本のビジュアルアートへの評価は今に始まったことではありません。実は、世界で最も有名な日本人は誰かという問いに対して、海外の多くの人が思わぬ答えをしてくれています。それは葛飾北斎なのです。

葛飾北斎に代表される浮世絵が、19世紀終盤のヨーロッパで印象派に大きな影響を与えたことは周知の事実です。そんな浮世絵は日本では全く評価なく、明治初期には輸出用の包み紙として使用されていたといわれています。日本政府が世界に紹介しようとした工芸品などを包んでいた紙に描かれていた版画に、ヨーロッパの人々が注目したのです。皮肉かつ痛快な話です。それから100年以上の年月を経て、全く新しくなった日本のビジュアルアートが再び世界に紹介されたのです。

「君は本気でバットマンやスーパーマンを書店で売りたいのか。冗談じゃない」

ニューヨークのセントラルパークに面したホテルのカフェで現地の出版社の営業担当者に初めて日本の漫画に興味はないかと問いかけたときに返ってきた言葉を私は今も忘れません。京都アニメの再生に向け海外の有志によるクラウドファンドが立ち上げられ、二日間で180万ドルもの基金が集まった事実をみるとき、まさに隔世の感を覚えるのです。

一方、京都アニメの消失事件は、日本でおきたテロ事件であるという認識をどれだけの日本人がもっているでしょうか。テロは海外でのこと、日本は安全な国なのでそんなことはありえないと、日本人の多くは日本の安全神話を信奉しています。放火事件はテロ行為以外の何物でもないことを、メディアはちゃんと伝えているでしょうか。海外の多くの人は京都アニメは非道なテロ行為の犠牲になったと思っているはずです。

今回紹介したTimCookのTwitterを検索すると、事件がおきる前日に彼がSNSなどで使用される絵文字について語っていることに気づきます。
彼はTwitterで、多様な絵文字が作成されていることを賛辞していました。そのメッセージの中で彼は「Emoji」という言葉を使い、日本語の絵文字が「Emojiとして世界で通用していることをくしくも我々に伝えてくれたのです。

「Manga」そして「Anime」から「Emoji」に至る世界で市民権を得てきた日本語を並べてみると、そこに一つの共通項が見えてきます。管制の「おもてなし」や「匠の世界」などといった肩を張った日本文化の押し売りとは違い、人々が権威とは関係なく、本当に面白いと思い、没頭し、苦労を重ねながらも、じわじわと市民権を得たものがまさに文化として世界に拡散するのだということが。TimCookと同様、犠牲者、そして失われた作品や才能に向け、心を込めて合掌したく思います。

image by: 京都アニメーション公式HP

【書評】蒙古襲来で攻めてきたのがほぼモンゴル人ではなかった訳

 歴史の授業で「蒙古襲来」を、「モンゴル人が攻めてきた」と教わった方も多いのではないでしょうか。ところがどうやら真相は、そう単純なものではなかったらしく…。今回の無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』では編集長の柴田忠男さんが、文永の役と弘安の役、この2つの歴史的大事件に関わった「民族」たちを解き明かした一冊を紹介しています。

偏屈BOOK案内:宮脇淳子『世界史のなかの蒙古襲来』 

91TNIl12fbL世界史のなかの蒙古襲来
宮脇淳子 著/扶桑社

モンゴル帝国5代目の皇帝フビライ・ハンは東アジアへの支配を拡大し、独立を保っていた日本も征服しようと企てた。フビライは、まず日本にたびたび使いを送って、隷属するように求めた。しかし、朝廷と鎌倉幕府は一致してこれをはねつけた。幕府は、執権の北条時宗を中心に、元の来襲に備えた。元・連合軍は、1274(文永11)年に対馬・壱岐を経て博多に来襲した(文永の役)。

さらに7年後の1281(弘安4)年には、大船団を仕立てて日本をおそった(弘安の役)。日本側は、略奪と残虐な暴行の被害を受け、元軍の新奇な兵器にも悩まされた。しかし、鎌倉武士は、これを国難として受け止め、果敢に戦った。元軍は、のちに「神風とよばれた暴風雨にもおそわれて敗退し(略)日本は独立を保つことができた。この2度にわたる元軍の来襲を、「元寇」という。

これは自由社 中学社会『新しい歴史教科書にある元寇の説明である。この程度が日本人の一般常識といっていいだろう。大正時代に小谷部全一郎が『成吉思汗ハ源義経也』を著し、義経=成吉思汗説が世間に流布した。戦後、高木彬光が推理小説『成吉思汗の秘密』を著し、最近では義経説のコミックがあるらしい。井上靖『蒼き狼』は日本人的なチンギス・ハーンを描いてる。

ロシア映画『モンゴル』で、チンギス・ハーンを演じたのは浅野忠信だった。司馬遼太郎の『韃靼疾風録』は満洲人とモンゴル人を混同している。日本人の描くモンゴル人や満洲人は「日本的なものの再生産であった。この本では史実に基づきモンゴルやモンゴル人の姿に迫っていく。鎌倉時代に「蒙古来襲」といっていた出来事は、江戸時代に「元寇」という呼び名になり定着した。

元という国が攻めてきたのは確かである。それを「蒙古襲来」ともいうから、蒙古すなわちモンゴル人が攻めてきたと日本人は思っている。モンゴル型の鎧や兜を身につけていても、それがどんなモンゴル人だったのか、本当に草原の遊牧騎馬民だったのか、大きな疑問が浮かぶ。そもそも何を「モンゴル」と考えるのか。文永の役弘安の役は本当に蒙古襲来と呼ぶものだったのか

正解は「蒙古来襲は決してモンゴルが主になって攻めてきたのではなかった」である。日本討伐を担当したのは「征討行省」が置かれた東の地域の、特に遼陽行省を含め、モンゴルの家来になったもとの女真族と契丹人金の漢人そして高麗人らだった。モンゴルの中央にいた「羊を飼って遊牧する草原の人」であるモンゴル人には、ほとんど関係のないところで行われた遠征だった。

その担当部署が自分たちの領分で、仕事として日本征伐を行って功績をあげれば、自分たちの取り分が多くなり、役所も大きくなって地位も上がるというのが理由だった。モンゴル帝国をよく知った著者が再検証してみると、「蒙古来襲」というが、モンゴル人はほとんどいなかったという実態が見えてくる。元軍が勝てなかった理由は一つでなく、いろいろな要因が積み重なったからだ。

元は二度の日本遠征の失敗にもかかわず、日本を征服する気満々で、三度目も企画されたようだ。13世紀後半、フビライ・ハーンの命で日本に遠征してきたのは、モンゴルだけがやってきた蒙古来襲ではなく元寇だった。元朝にモンゴル人はいた。それより多くの種族がいたのだ。リアル「蒙古襲来」は大相撲である。元大関照ノ富士はいま幕下、捲土重来を期す。がんばれー。

編集長 柴田忠男

image by:  Katiekk / Shutterstock.com

部屋の中で見つけた「青いボタン」の正体がわかったときの衝撃譚

日常生活において不思議に思ったり、ちょっと気になったあれこれについて考察するメルマガ『8人ばなし』の著者の山崎勝義さんが、つい先日まで気になっていたのは、2か月前に部屋で発見した「青い飾りボタン」のことでした。そして、このボタンの正体がわかったときの衝撃を語るとともに、自信を持っていた能力に対し懐疑的になったと述懐。自己弁護のためにある一つの真理を導き出しています。

青いボタンのこと

書斎の床で青いボタンを見つけた。2か月前、ちょうどゴールデンウィークのことである。 「青い」と言っても、ただ青いだけの普通のボタンではない。青色の糸が経緯をなして小布を作り、それがボタンのおもて面全体を覆っているのである。形状はマーブルチョコレートのようで大きさはそれよりも一回り大きい感じである。裏側は白いプラスチック製で、中央部分の留め具のようなパーツが折れているように見えた。

困ったことに、これが何のボタンなのか皆目分からない。既に説明した通りの飾りボタンである。きっとコートやジャケットなどの上着類か、あるいはバッグなどの小物類から取れてしまった物に違いない。そう考えてあれこれ思い出してみる。 あり得ない。大体「青い飾りボタン」である。自分の持ち物の中にこのボタンの出所となるような物はない筈だ。一応念のためクローゼットの中も確認する。やはり自分の物ではない。となると、誰かの物ということになる。

発見場所の周辺を捜索して手掛かりでも見つけられればいいのだが、あいにくそれは私の書斎の状態、というより常態が許さない。それこそ足の踏み場もないのである。そこここに書類や郵送物が堆く積まれており、不用意に手を出したら大惨事を招きかねない。 そういう危険もあって、この部屋には基本的に自分以外には入ることはない。かと言ってまたゼロとも言い切れない。仕事関係で訪ねて来た人に書類などを直接部屋まで持って来てもらうことも時にはあるからだ。 それに該当する可能性があるのは男性1人、女性2人の計3人である。どうにも無視する訳にはいかなかったので、全員にボタンの写真を送って確認してもらった。誰も見覚えがないと言う。

ここにおいて万策が尽きた次第だから自分としてはもう打っちゃっておく他ない。青いボタンはキーホルダーなどとともに小物入れの中に安置されることとなった。
それから2か月が経った7月のある暑い日に私はその答えを知ることになる。

意欲が低下した子どものやる気を引き起こす「成功インタビュー」

高校3年の受験生の息子さんが勉強の意欲をなくした様子だという親御さんから、メルマガ『子どもを伸ばす 親力アップの家庭教育』の著者で家庭教育のプロの柳川由紀さんの元に相談が届きました。高校3年生ともなると親からの働きかけをためらってしまうこともあるようですが、柳川さんは、上手にやる気を引き出すための声掛けのコツや、5つの質問からなる「成功インタビュー」の方法を教えてくれました。

すぐに実践!やる気アップコミュニケーション

Q. 受験生として勉強に頑張っている息子がいます。しかし最近、やる気がなくなってしまったようです。何が原因なのかわからず、「どうしたの?」と聞いても「何でもない」と答えるばかりです。 今からやる気がなくなってしまったら、大学受験に差し支えます。けれど、親としてはなるべく口を出したくありません。(高校3年男子のお母様より)

柳川さんからの回答

受験生の親として心配ですね。やる気がなくなった原因が何かあるとは思いますが、お子さまが話したくないのであれば、アプローチ方法を変えましょう。親としての声掛けのコツをご紹介します。

1.原因論ではなく目的論へ

なぜやる気がなくなったの?」と原因を探す投げかけ(原因論)は、過去に起きた何かが今に影響していると考え、その原因を追究します。けれども追及したところで、それを変えることはできません。 一方、「どうしたらやる気が上がる?」という投げかけ(目的論)は、過去に何があったとしても、未来の目標を持つことで今の状況を変えたり、選んだりすることができます。

2.未来にフォーカス

人は目的を持つと前向きになる傾向があります。それが長い人生の目的であったり、数年先の目的、或いは来月、今月などの近々の目的でも同じです。そこで、1で問いかけた答えを目的に定め、子どもと一緒にその目的のためにできることを建設的に積み上げていくのです。 「わかんない」という答えが返ってきた場合は、何をしているときが一番楽しいのか、嬉しいのか、気分が良いのか、などを尋ね、それを足掛かりに目的を定めましょう。

それでもやる気が湧いてこないときがあります。子どもの「自己効力感」が下がっているときです。自己効力感とは、「自分がある状況において、必要な行動をうまく遂行できると、自分の可能性を認知していること」を言います。 自己効力感が下がっているときには、まず、その自己効力感を高めるところからです。次回、自己効力感の高め方についてお伝えします。

子連れお客様の子どもの気を瞬時に惹きつける販売員の2つの仕草

学校が夏休みに入ったこの時期、さまざまなお店でたくさんの家族連れのお客様をみかけます。今回の無料メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』では接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさんが、子連れ客の場合、お子さんの気を上手く惹きながら接客することがポイントであるとし、身につけておくと役立つ2つのコミュニケーション方法を具体的に記しています。

子どもと目線とハイタッチ

そろそろ、小中学校あたりは、夏休みに入っている時期かと思います。ちょうど原稿を書いている今も、いつも通っているカフェのスタッフさんがお子さんを連れてきていて、「先週終業式でした」とおっしゃっていました。

ということは、これからの時期は、(お店にもよるでしょうが)お子様連れのお客様やお子様同士での来店が増える時期になります。ですから、お子様への対応力もしっかりと身につけておきたいところですよね。

ちなみに私はと言いますと、いつの頃からか、お子様と仲良くなるのが得意になりました。お客様がお子様を連れてこられたりすると、なぜかあっという間にお子様が懐いてくれて、それがお客様にも喜んでもらえるのです。

自分でもなぜなのかがよくわかっていなかったのですが、よくよく考えると、2つのことをやるようになってからそうなっていました。それが、「目線を合わせること」と、「ハイタッチをすること」です。なぜこの2つをやるようになったのかは、よく思い出せないのですが、確かに今も、お子様と会うとよくやってしまいます。

目線を合わせるというのは、まぁよくある話です。お子様はまだ身長が低いので、大人からすればものすごく低い目線で立っています。そこに、大人が普通に立ったままの状態で話しかけても、なぜかうまく話せません。ですが、お子様の目線と同じ高さに腰を落としたりしゃがんで話をすると、お子様は話をしてくれるようになります。

子どもが実際にどう感じているかはわからないので、どうとも言いようがないのですが、子どもではなくても目線を同じにして話をするというのは、大事なことなのでしょう。それだけでも、子どもは話しやすい人だと思ってくれるようです。

そしてもう1つ、よくやっているハイタッチ。シチュエーションで言いますと、お客様からお子様のことをご紹介いただいた時などに、「こんにちはと挨拶をした後などにやります。「ハイタッチしよう」なんて言うわけではなくて、普通に話していて、会話が終わりそうな時などに、「イェイ」みたいな軽いノリでハイタッチをするのです。これも面白いもので、ハイタッチの位置に手を出すと、子どもたちは恥ずかしそうにしながらも、ハイタッチをしてくれます。

個人的には、このハイタッチができると、子どもたちとの距離感が一気に近くなる感があります。お客様の帰り際などにもよくやるのですが、楽しそうにハイタッチしてくれる子が多いのです。

お客様だって、自分の子どもが楽しそうにしているのを見て嫌になる人はまずいないので、笑顔で見守ってくれます。すると、子どもとの距離感だけではなくて、親であるお客様との距離も近くなります

まぁこの2つはあくまでも、私がよくやっていることなだけであって、読者の皆さんに合う方法かどうかは何とも言えません。しかし、これからの時期だけではなく、お子様と仲良くなる方法というのは持っておいて損はしないコミュニケーションスキルです。

ぜひとも、ご自身ならではでいいので、お子様と仲良くなる方法を見つけてもらえたらと思います。

今日の質問です。

  • 子どもと仲良くなるコミュニケーションスキルはありますか?
  • どんなことをすれば、子どもたちは喜んでくれるでしょうか?

image by: Shutterstock.com

「質問」が威力を発揮。子が親の言うことを鬱陶しがりはじめたら

日々成長している子供は、それまで素直に言うことを聞いていたのに、ある時期からうるさがるようになるものです。ではそんな中で、してほしいことを子供に伝える際、親はどんなところに気を配ればいいのでしょうか。今回の無料メルマガ『子どもが育つ「父親術」』では、「質問」の効用と成長に応じた使い分けについて、具体例を交えながら紹介しています。

質問で導く

前回、「その言い方が後あと祟る。子供にやってはいけないアドバイス」で、「言われたことは、自然とイメージしてしまう」「イメージすると、行動もそちらに向かう」という性質があるから、子どもの意識を向けさせたい点を話題にして声をかけてあげましょう──とお伝えしました。ところが、「思ったようにうまく行かない」とのご相談が、いくつか寄せられています。ご相談の内容を見ると、

  • ひとつひとつの行動の意義を伝えても「わかってるよ」などの反応しか来ない
  • 親にあれこれ言われること自体をうるさがる

など、こちらの期待する様子で話を聞いてくれない、という状況のようです。せっかく実践してくださったのに、うまく行かず思い悩んでしまった皆さま、ごめんなさい。もう少し、お伝えしなければいけないことがありました。

子どもが、親の投げかけを素直に聞かないことがあったとしても、これはこれで、仕方のないことなのです。どんな子にも、親にあれこれ教え示されることに反発する時期がありますし、子どもによっては、何歳であってもそういった働きかけを嫌うタイプの子もいます。

このことを、残念に思う必要はありません。裏を返せば、こういう時の子どもは、親がいちいち教え示すことを必要としていない──つまり、自分で考えて見つけられる力を発揮しようとしている、ということ。成長したなぁと感慨深く喜んで、見守ってあげていれば、OKです。

とは言え、まったく親が関与する余地がないというわけでも、関与する意味がないというわけでもありません。そんな子であっても、時には、親からの働きかけで意識の向け先を変えてあげることが効果的な瞬間もあります。

そんな時に便利なのが、“質問を使った働きかけです。

親から「…だよ」と言われることに抵抗感がある子でも、質問されたことに答えるのは平気ということは、よくあります。人に答えを言われるのは嫌だけど自分で考えたことを言うのは問題ない、そんな感覚ですね。

「夏休みは合宿とかキャンプとか予定がいろいろ入っているから、暇なうちに宿題をやっておけると、最後にいっぱい遊べるよ」

こう言われると、お説教臭くてイヤだ!と思う子には、

「夏休みは合宿とかキャンプとか予定がいろいろ入っているけど、宿題のペース配分は考えてあるんだっけ?

と、軽く質問するだけでいいでしょう。この時、子どもの返事を聞いて、さらに突っ込みたくなることが頻繁にありますが(笑)、そこは子どもの自主性に任せておきましょう(もしそれで失敗するのであれば、それは必要な経験だったんだと受け止める度量を持ちましょう!)。

大事なのは、子どもの自身の意識がどこに向いているか、です。言い換えれば、子どもの意識が適切な方向に向きさえすれば、言って諭すでもいいし、質問して思い出させるでもいいし、そういった直接の働きかけでなくても、いいのです。

ある程度大きくなってきたら、親自身が見本を見せるだけでも充分──という時期がやってきます。そうなったら、子どもにあれこれ口を挟む必要はありません。「今のうちに仕事を済ませて、気分よく旅行に出られるようにしておこう」と独り言をつぶやいて、黙々と作業する姿を見せるだけで、充分です。

近づくな危険。人を不幸せにする「不幸依存の人」の4つの特徴

心身ともに健康で生きてゆくためには、予見できるリスクは避けたいもの。それは「人間関係」にも同じことが言えるでしょう。今回の無料メルマガ『東北NO1メンタルトレーナーが送る『自信をはぐくむ、幸せな自分のなり方』』では著者で心理カウンセラーの吉田こうじさんが、他人を不幸せや惨めな出来事に巻き込みがちな「不幸依存の人」が持つ4つの特徴を紹介しています。

不幸依存の人の見抜き方

「不幸」や「惨めさ」がないと生きていけないというか、自分を保てないと思い込んで「不幸惨めさに依存している人がいます。この不幸(惨め)依存の人は関わる人に対しても、「同じように不幸惨めになって欲しいという無意識の願望があるので巻き込まれるとかなり厄介です。

じゃあ、どうすれば見抜けるのかってことですが、これまでの経験から不幸惨め依存の人に共通する特徴をいくつか列挙しますので、まずはチェックしてみてください。

ただし、注意していただきたいのは、「あの人は不幸依存だ!という決めつけのバイアスで人みることはくれぐれもやめましょうね。あくまでも「注意の目安」くらいに頭の片隅入れておくと、人間関係で余計に消耗することを防げると思います。

1.行動する前から不幸な結末を予知する

例えば、

「このままだと離婚されて孤独な人生になります」
「私みたいな人間なんてどこも雇ってなんかくれません」

こんな感じで、まだなんのアクションも起こしていないのに、何か絶望的な未来がやってくることを最初から確信しているのです。

こういう人は何かと情報通だったりして、ああでもないこうでもないと、さももっともらしい理由を語りますが、とにかく行動しないというのが特徴です。行動しないので、残念ながらいつまでたっても現状は変わりません。

2.楽しいことや感動したことが話題に出ない

私たちは習慣の生き物です。慣れたくはないのですが、不幸や惨めさにも慣れてしまうものです。なので不幸(惨めさ)依存の人は楽しいことや感動するようなことにほとんど触れるとか体験することがないのです。

別次元の話くらい、楽しいことや感動することに縁がないというか自らそういう場所に飛び込もうとしないので、話題にも登ってこないということですね。

3.突出した自己愛(プライド)がある

このプライドについてはかなり屈折した表現方法をとります。どういうことかというと、他者を攻撃したり非難することで自分の尊厳を満たそうとする傾向がかなり強いです。

「これこれこういうことを言ってくるなんてひどい!」
「これこれこういうことをしろだなんてひどい!」

など、何かとその人の悪口を言ってはその悪口に対して「あなたもそう思うでしょといちいち共感を求めてくるなら、不幸(惨めさ)依存人物として要注意でしょう。

4.自己犠牲を強要してくる

不幸(惨めさ)に執着する理由は、自分が犠牲者というポジションを取ることで同情でも憐れみでもなんでもいいからとにかく構ってもらいたい認めてもらいたいからです。

多くの場合、不幸(惨めさ)依存の人は「これをしてくれたらお礼にあれをしてあげる」という一見美味しそうな餌に飛びついてしまい、それを裏切られるという痛い経験をたくさんしています。そうした経験をベースにして

「私はこんなにも痛い経験をしてきた。あなたは何も苦労していないじゃないの!」

こんなふうに罪悪感を刷り込んだりしつつあなたも犠牲になりなさいということを遠回しに言ったりやったりしてくるんです。

以上の4つが不幸(惨めさ)に執着しているというか、依存しちゃっている人に共通する特徴です。特に自己肯定感が低い人や共感力が人一倍高い人はこうした不幸惨めさ依存の人に何かと巻き込まれやすいので十分注意してくださいね^_^

image by: Shutterstock.com

ドラゴン桜の指南役が伝授、集中力のない子は椅子を変えてみよ

宿題をしようと机に向かったのはいいけれど、どうも集中力が持続しない…。お子さんに対してそんな悩みをお持ちの親御さん、もしかしたらその原因、「椅子」にあるのかも知れません。今回の無料メルマガ『親力で決まる子供の将来』では、著者で漫画『ドラゴン桜』の指南役としても知られる親野智可等さんが、子どもを勉強に集中させる際に重要なパーツとなる「椅子」について論じています。

椅子によって勉強への集中力が変わる

子どもが勉強に集中できないとき、その理由にはいろいろありますが、意外に見落としがちなのが机と椅子のことです。

例えば、リビングやダイニングで勉強する場合、テーブルや食卓が机の代わりになりますが、それらが勉強に適した高さになっていないことがあります。あるいは、これらはよくても椅子が勉強に適した高さになっていないこともあります。

身体に合わない高さの物だと、文字の読み書きがしにくくなり姿勢が悪くなったり疲れやすくなったりします

特に大事なのは椅子です。椅子が高すぎて座ったとき足がブラブラしている状態だと、身体全体が安定しません。当然、勉強に集中できません。

クッションが柔らか過ぎる椅子も身体が安定しませんし、固すぎる椅子だとお尻が痛くなります。

今は人間工学を活用した身体に優しい椅子の研究が進んでいて、長時間の勉強や作業でも疲れない椅子が市販されています。身長に合わせて高さが変えられる椅子、疲れにくい背もたれの椅子、足置きステップがある椅子、座ると自然に背筋が伸びて姿勢がよくなる椅子、などです。

従業員の椅子を変えただけで業績がアップした会社もあるそうですから、子どもの椅子を変えることで成績が上がるということも大いにあり得ることだと思います。

親御さんたちの中にも、椅子の大切さに気づいて、机やテーブルでなく椅子だけ買い替えるという人がいます。

私は仕事柄、塾や習い事の教室を見学する機会が時々ありますが、机や椅子への配慮がまったくない教室もけっこうあります。

みなさんの教室はいかがでしょうか?子どもたちの勉強中の姿勢を見ながら机と椅子について再考してみてください。

初出『Smile』(学研エデュケーショナル)

image by: Shutterstock.com

韓国が日本に譲歩しなければならない。韓国人弁護士の冷静な論理

「徴用工問題」「対韓輸出規制」でこじれにこじれ、冷え切ってしまった日韓関係。韓国人の中には、日本製品の不買に走る人々も少なくありません。今回の無料メルマガ『キムチパワー』では韓国在住歴31年目を迎えた日本人著者が、韓国人弁護士による「不買運動や韓国政府の対応」に対する批判的なインタビューを紹介し、韓国にも落ち着いた考えをもつ人もいることを忘れてはいけないと記しています。

日本製品不買運動の陰には

韓国・中央日報に新しい切り口の記事が載っていた。簡潔にご紹介したい。梁三承(ヤン・サムスン)という法曹人とのインタビュー記事である。以下の内容は、この梁三承さんの述べた話をもとに筆者の文章でお届けする。

この人は、2005年に盧武鉉(ノ・ムヒョン)政府が作った「韓日会談文書公開の後続対策関連の官民共同委員会(以下、官民共同委員会)」の共同代表を勤めたひとである。共同代表のもう一人というのは、現在韓国のトブロ民主党の党首をしている李海瓚(イ・ヘチャン)氏である。

2005年、「官民共同委員会」が、「個人の請求権は1965年、韓日請求権協定に反映された」つまり個人の請求権はすでに解決済みという発表をした。この発表に対して、2012年5月、韓国の大法院(最高裁判所)がこれを覆す判決をした。2018年10月に大法院がこれを確定する判決を出すや、2019年7月1日、日本政府は韓国に対する一部品目の輸出規制策を出した。

梁三承さんは、「大法院の判決は尊重すべきだ」としながらも「日本企業の財産差し押さえに走っては困る。韓国政府は早急に日本政府と会って外交的に解決しなければならない」と強調する。

梁三承さんの基本的なスタンスは、1965年の韓日請求権協定に関して、賠償問題は解決済みという考え。ただし、1965年の韓日請求権協定では、日本軍慰安婦サハリン朝鮮人朝鮮人原爆被害者問題の3つの項目は除外されているそうで、これが問題をこじらす元凶になっているのではないかということ。

ただし同協定に対して法律的・合理的にアプローチするならば、1965年協定当時強制動員された人たちの私的請求権まで解決されたと見るのが正しいというのが支配的な考えだったようだ。

決定当時、委員会内で葛藤はほとんどなかった異見や論争もあまりなかった。梁三承さんはその後も、強制徴用などの問題に関して関心を持ち続け、2010年12月、日本弁護士連合会ととともに韓日政府の日本植民地支配期の被害問題の解決を促す共同宣言を発表したりもした。

そうしたなか、韓日両国政府と企業が共同で基金を作ろうといういわゆる「2+2解決策を提案したこともある。「2+2」というのは、日本政府+日本企業(2)、韓国政府+韓国企業(2)の「2+2」である。

今は、「1+1+α韓国政府)」というアイディアもある。これは日本企業(1)、韓国企業(1)、それに韓国政府(α)の「1+1+α」である。でもこの案は、今の日本政府に届きそうにない。後々、両国関係が好転した時に提示できるだろうということ。