都知事選との同時選挙か7月後半か?有田芳生氏が読む岸田政権「総選挙」日程

裏金問題にハレンチパーティーと、やりたい放題の自民党の政治家たち。岸田政権の支持率は、当然低空飛行を続けています。このままでは選挙を戦えないと見た岸田総理が意見を求めたのは、今年98歳になる読売新聞社の渡邉恒雄主筆でした。今回のメルマガ『有田芳生の「酔醒漫録」』では、ジャーナリストの有田芳生さんが、この会合の目的を解説。自民党内では参議院の石井準一国対委員長が政倫審での世耕弘成議員の説明を批判するなど、総裁選や総選挙を睨んだ動きが出てきているとして、7月総選挙の可能性を伝えています。

岸田政権の行方と解散・総選挙をめぐる攻防

岸田文雄総理の3月21日の行動は今年後半までの政局に重要な意味を与えるだろう。午後1時45分、官邸発。午後1時57分、東京・大手町の読売新聞東京本社着。午後2時38分、同所発。

岸田総理は『読売新聞』の渡邉恒雄主筆(5月に98歳)と約30分ほど会談した。渡邉と岸田の父である岸田文武(元衆議院議員)とは、旧制東京高等学校時代の同級生だった。そんな個人的関係も渡邉にとっては感慨深いだろうが、それよりも日本政治の行く末に思いは至っているだろう。

岸田総理からすれば、裏金問題で二階俊博元幹事長をはじめ、安倍派幹部たちの処分をどの程度にするかで、国民世論も党内の力学も大きく違ってくる。党内の均衡を計算すれば世間の反発はさらに高まる。

自民党の処分には8段階ある。重い順に(1)「除名」(2)「離党勧告」(3)「党員資格停止」(4)「選挙の非公認」(5)「国会および政府の役職の辞任勧告」(6)「党の役職停止」(7)「戒告」(8)「党則の順守勧告」だ。

秋の総裁選で再選を実現するには、どんな一手を打つのが最適解なのか。その意見を聞くのが目的だった。岸田総理自身への処分は(7)か(8)だと見られる。

参議院自民党国対委員長は石井準一議員(元茂木派)だ。参議院の政治倫理審査会で世耕弘成議員(元安倍派5人組)が出席して語った内容について記者会見で苦言を呈した。「疑惑は解明されたと受け止められなかった」「(参議院安倍派の)代表たる立場で、自らのことしか言わない。非常に残念だった」。

石井議員で思い出すことがある。参議院の憲法審査会が開かれているときだった。野党の私たちの向かい側に自民党議員たちが座っていた。議員たちの発言が続いているときだ。いきなり石井議員の大きな声がとどろいた。「片山君、ちゃんとマスクをしなさい」。コロナ禍だった。鼻マスク姿の片山さつき議員をたしなめたのだ。あとで石井議員にそのときの対応を聞くと、委員会だけではなく、いくつかの問題が続いていたからだという。

安倍晋三元総理の「お友だち」だった世耕議員への批判の背景には、「安倍政治」を払拭したいとの意思が込められている。それは地方の自民党議員に寄せられる支持者からの厳しい批判の反映でもある。いずれ行われる解散・総選挙は、今後の日本政治の行方に大きなエポックをもたらす可能性が高い。

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大谷翔平vs水原一平、最長「懲役20年」の衝撃。メジャー永久追放もかかる崖ぷっち法廷闘争で“存立危機”のMLBオンライン賭博

弊サイトでも既報のとおり、ドジャースを解雇された専属通訳・水原一平氏(39)の違法賭博疑惑に関する声明を日本時間の26日に発表した大谷翔平選手(29)。臨時通訳を務めるウィリアム・アイアトン氏(35)を伴い報道陣の前に姿…

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“200人以上と不倫”の驚愕。女性にも歴史にも愛された男カエサルのモテモテ逸話

有名な皇帝が多いローマ帝国ですが、なかには異色な人たちも多く存在したようです。今回のメルマガ『歴史時代作家 早見俊の無料メルマガ」』では時代小説の名手として知られる作家の早見俊さんがローマ帝国の異色皇帝3名のエピソードを紹介しています。

ローマ帝国の異色皇帝

ローマ帝国の礎を築いた英雄ユリウス・カエサルは女性にモテました。生涯で四人の女性(一人はクレオパトラ)と結婚し、星の数ほどの愛人を持ちました。愛人と派手な交際を続けたため、莫大な借金を背負いましたがさすがは大物、債権者に向かって金を返すには出世するしかないと居直ったとか。

カエサルが女性にモテたのは、お金をたくさん使ってくれたからだけではありません。また、彼は決してイケメンでもありませんでした。彼自身、容姿にコンプレックスを抱いていたのです。では、なぜモテたのかというと、非常にマメであったからでした。

せっせと手紙を書き、プレゼントを贈り、甘い言葉を囁くことを忘れませんでした。カエサルがいかにモテたかを示す言葉が残っています。「すべてのローマの女の夫、すべてのローマの男の妻」これは、彼が同性愛者でもあったことを伝えています。

同性愛については置いておくとして、女性関係に絞って続けます。数多いた愛人たちはカエサルと深い仲になったことを隠すどころか自慢していたそうです。既婚者も多くいました。元老院議員の三分の一の妻を寝取ったという伝説もあります。

元老院議員は六百人でしたから、元老院だけで二百人と不倫していたのですね。カエサルが戦場から凱旋すると、「妻を隠せ、ハゲの女たらしのお通りだ!」という野次が飛んだとか。

モテたゆえ政治生命の危機を脱したこともありました。ある時、元老院で政敵であった小カトーから国家転覆を企んでいるという嫌疑をかけられました。追及の最中、カエサルに手紙が届きます。小カトーは陰謀の証拠が記されていると思い、手紙を開封させます。手紙は小カトーの姉からカエサルに送られたラブレターでした。小カトーは、「この女たらしめ」と激怒しましたが議場は爆笑の渦。カエサルは危機を脱したのでした。

多くの女性から愛されたカエサルは五十六歳で暗殺という非業の最期を遂げました。しかし、「カエサル」という名はローマ帝国の君主号となり、後にはドイツ皇帝の「カイゼル」ロシア皇帝の「ツアーリ」もカエサルに由来します。女性ばかりか歴史にも愛された英雄ですね。

世界一の脳外科医になるために。“神の手を持つ男”福島孝徳氏は何をしてきたのか?

先日、訃報が伝えられた「神の手を持つ男」として知られていた脳外科医の福島孝徳さん。脳外科手術を71歳の時点で年間600件もこなす彼のバイタリティはどこからきていたのでしょうか。今回、メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』が、福島氏の生前インタビューを紹介しています。

【追悼】「神の手を持つ男」福島孝徳氏は、なぜ世界一の脳外科医になったのか

神の手を持つ男と呼ばれる脳外科医・福島孝徳さんが2024年3月19日、アメリカで亡くなられました。81歳でした。弊誌にもたびたびご登場いただき、溢れんばかりのエネルギーで医の道に懸ける思いを語っていただきました。

福島さんのご冥福を心よりお祈りすると共に、弊誌に語っていただいたその外科医としての原点をご紹介します。

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〈福島〉
私は若い時からとにかく、日本一、世界一になりたかった。そのためには普通のことをやっていたらダメなんで、「人の2倍働く」「人の3倍努力する」という方針でやってきました。普通の人が寝ている間、休んでいる間に差をつけると。

そういう姿勢で若い頃から腕を磨いてきたんですけど、いま71歳(取材当時)になってみると、人生は短い。私に残された時間はもう少ない。だから、一刻も無駄にできないんです。

〈渡邉〉
いまは年間どのくらい手術をされているんですか?

〈福島〉
600回ですね。一番の盛りは三井記念病院にいた43歳の時で、900回はやっていました。

私は人間の年齢には暦の上の年齢と、生理学的な年齢の二つがあると思っているんです。私が本当に感心するのは、経団連の会長をされていた土光敏夫さん。80を過ぎても矍鑠としていましたよね。素晴らしい人でした。

で、いま世界でも、例えばモスクワの国立ブルデンコ脳神経センターというところは脳外科だけで2000床もあるんですが、ここの総帥がコノバロフという人で83歳のいまも毎日手術をしている。

〈渡邉〉
ああ、そうでしたか。それは凄い。

なぜ、哲学者たちの思考を学ぶとイノベーションのヒントになるのか?

常識や自身の成功体験は、時々イノベーションの邪魔となることがあります。無料メルマガ『毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン』の著者である土井英司さんが今回紹介しているのは、イノベーションを生むためのヒントを哲学者の思考法に学ぶという一冊です。

【知っておきたい。】⇒『「当たり前」を疑う100の方法』

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「当たり前」を疑う100の方法

小川仁志・著 幻冬舎

こんにちは、土井英司です。

以前、イノベーションを生む「型」が学べる本として、『進化思考』をご紹介しました。(2023年12月に増補改訂版が刊行)

進化思考[増補改訂版]──生き残るコンセプトをつくる「変異と選択」

本日ご紹介する一冊は、イノベーションを生むために、哲学の思考を使おうというもので、なんと計100個の「思考法」を紹介した一冊。

著者は、ベストセラー『7日間で突然頭がよくなる本』で知られる、山口大学国際総合科学部教授の小川仁志さんです。

7日間で突然頭がよくなる本

「はじめに」で著者が書いていますが、「イノベーションを起こすには、当たり前を疑うしかない」。

哲学者たちの思考法は、まさにこの「疑う」ための思考法だからこそ、イノベーションに効くのです。

本書では、「別の事実を突きつける」(ソクラテスの問答法)、「要素に分解する」(デリダの脱構築)、「逆から見る」(カントのコペルニクス的転回)など、計100個の思考法を紹介。

新書ではありますが、辞書的にパラパラめくって読める一冊です。

構成としては、前半のパートIが「当たり前を疑うためのワザ50」、後半のパートIIが「哲学者に学ぶ具体的な疑い50」となっています。

・どこまでも自由になれると考えてみる(ノージックのリバタリアニズム)

・満足はよくないと考えてみる(アリストテレスの中庸)

・他者が自分を決めていると考えてみる(レヴィナスの他者論)

後半に書かれた思考法は、自己啓発的にも読めるので、人生のイノベーションに役立つかもしれません。

大谷翔平は“アメリカの罠”を克服するか?水原通訳の危険なテキストメッセージ…野球賭博の有無 最大焦点に

大谷翔平選手の元通訳・水原一平氏による違法賭博スキャンダル。大谷選手は25日の会見で自身の関与を完全否定しました。これに関して米国在住作家の冷泉彰彦さんは、「水原通訳がどうやって大谷選手の銀行口座を操作したのかや、カリフォルニア州ではスポーツ賭博が違法であるといった点は、実はさほど重要ではない」と指摘。今後最大の焦点は「不自然なほど頻繁にスマホでテキストメッセージをやりとりしていたとされる水原通訳が野球賭博に関与、ないし胴元に内部情報を提供していたかどうか」であるとして、大谷選手をここまで追い詰めたアメリカ野球賭博の実態を紹介しています。(メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』より)
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:「水原元通訳、野球賭博への関与が問われる理由」

大谷翔平がハマった“アメリカ野球界の罠”

アメリカ野球界は、大谷翔平選手の専属であった水原一平元通訳のスキャンダルで大騒ぎとなっています。すでに国税当局(IRS)が捜査に動いており、メジャーリーグ(MLB)のコミッショナーも厳重な調査を命じています。

今のところ問題になっているのは、大谷翔平選手がどのような「被害」を受けたかのという点です。

水原元通訳が様々なギャンブルに負けて作った450万ドル(6億8千万円相当)の借金について、これを返済するために大谷翔平選手の銀行口座から「どのようにカネが動いたのか」という問題です。

この問題に関しては、3月25日(現地時間)に大谷選手が会見し、送金に関して自身の関与を全否定しました。

  • 自身は賭博に関わったことはない
  • 信じていた人間の裏切りとウソに怒り(言葉に表せない感覚)
  • まったく事情は知らず
  • 水原元通訳の依存症のことも知らない
  • 送金も、送金許可もしていない

と明言。これで水原元通訳による巨額窃盗という構図が確定しました。大谷選手には虚偽を述べることの合理性はなく、この線で事実認定がされれば、大谷選手は100%被害者ということで、ダメージは最も軽くなります。

そうではあるのですが、では、どうしてこの事件がアメリカでこれほどまでに重大視されるのかといえば、そこにはやはり「違法性」という問題があるからです。この「違法性」、問題は3つあります。

「窃盗」や「違法賭博」は本質ではない

1つは、水原元通訳の「窃盗という犯罪」です。どのように大谷選手のパスワードを盗んだのかなど、細かい点の確認は必要であるものの、窃盗とこれに関連した、詐欺、脱税など罪状はやがて確定してゆくでしょう。

2つ目は、違法賭博への参加という問題です。近年、アメリカの多くの州で解禁されて巨大な産業になっているオンラインによるスポーツ・ギャンブリング(スポーツ・ベッティング)が、「カリフォルニア州では州の憲法の規定により解禁されていない」という問題があります。

水原元通訳は、エンゼルス時代もドジャースに移籍してからも、居住地はカリフォルニアですから、オンラインでのスポーツ賭博に賭ける行為は違法です。

けれども、こうした「カリフォルニアなので違法」という指摘は、実は本質的な問題ではありません

「野球人による野球賭博」こそが最大の問題

もちろん、違法は違法ですし、立証されたら有罪です。ですが、深刻なのは3番目の問題、つまり「野球人が野球賭博に関与」という問題です。

水原元通訳は球団に雇われた職員、つまり野球界の内部の人間として全試合、全イニングにベンチ入りする現場の人間でした。

野球賭博について言えば、このような野球の現場の人間が関与することは、協約や個別の契約で厳格に禁止されています。「カリフォルニアでオンラインスポーツ賭博に賭けたから犯罪」というよりも、この違反の疑いのほうが深刻な問題です。

水原元通訳は、自分が賭けていたのはバスケやフットボールなど野球以外のスポーツだとしていました。これは、野球賭博をやったら重罪という禁止事項を意識してのことであることは明白です。

もしも水原元通訳がウソをついており、野球に関する賭けにも関与していたのであれば、少なくとも水原元通訳は野球界から永久追放になります。

大谷選手が全面否定をするまでの期間は、まるで「大谷スキャンダル」のような言い方をする人がアメリカでは見られましたが、それはこの問題があまりに深刻だからです。

二階元幹事長「不出馬」で“お咎めなし”の茶番劇。岸田独裁体制に利用される自民ウラ金問題イカサマ処分の本末転倒

自民党の裏金問題をめぐり、衆参両院で開かれた政治倫理審査会。しかしそこでは何ひとつ真相が明らかになることはなく、岸田首相が狙いとしていた裏金問題の幕引きは失敗に終わった形となりました。そんな首相サイドが次なる手として画策する「大物議員の処分」に異を唱えるのは、毎日新聞で政治部副部長などを務めたジャーナリストの尾中 香尚里さん。尾中さんは今回、この処分を「いかさま」と判断する理由を詳細に解説するとともに、国民に対して自民党の「やってる感」に振り回されぬよう警戒を呼びかけています。

※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:裏金問題と自民党の処分

プロフィール:尾中 香尚里(おなか・かおり)
ジャーナリスト。1965年、福岡県生まれ。1988年毎日新聞に入社し、政治部で主に野党や国会を中心に取材。政治部副部長、川崎支局長、オピニオングループ編集委員などを経て、2019年9月に退社。新著「安倍晋三と菅直人 非常事態のリーダーシップ」(集英社新書)、共著に「枝野幸男の真価」(毎日新聞出版)。

裏金問題を利用し党内の独裁体制作りを画策する岸田首相

自民党の派閥の政治資金パーティー裏金事件の焦点は、ここへ来て党内の関係議員の処分の行方に移っている。岸田文雄首相は4月上旬にも、組織的な裏金づくりをしていた安倍派の幹部に、何らかの処分を行う見通しだ。メディアは自民党の規約に基づく8段階の処分を図表で紹介し「どこまで重い処分になるのか」「処分は自民党内の力学にどんな影響を与えるか」を楽しそうに報じている。

あ然とするほかない。国会における一連の政治倫理審査会(政倫審)が、裏金事件の真相解明に全く寄与しなかったのは、衆目の一致するところだ。にもかかわらず岸田首相は、何を理由に処分するというのか。

だいたい処分の目的は、自民党という組織全体の「金権腐敗体質を一掃」することのはずだ。それがなぜ「党内政局」の文脈で語られるのか。岸田首相が目障りな勢力の力を削ぎ、自らの「独裁」体制をつくるために裏金事件が「利用」されるのなら、本末転倒もいいところだ。

自民党の権力闘争を楽しむ前に、このいかさま「処分」の本質を直視すべきだ。

最近の岸田首相は、裏金事件をいかに「幕引き」するかばかりに執着していたようだ。呼ばれてもいない政倫審に自ら出席するパフォーマンスを演じたかと思えば、自民党内でさえ慎重論があった「土曜日(3月2日)の予算委員会開催」を強行させ、2024年度予算案の「年度内自然成立」をゴリ押しした。

予算案の年度内成立が確実になれば、メディアなどが「野党はいつまで裏金をやっているのか」と騒ぎ立て、事態は沈静化する、とたかをくくっていたのだろう。

だが、首相が予算委本来の質疑時間を11時間も削って野党などから質問の権利を奪い、多くの官僚や記者の休日を失わせたにもかかわらず、裏金事件はいっこうに「幕引き」できない。首相の政倫審出席は、真相解明につながらなかったため、かえって国民の不興を買い、自民党は国会で「衆参両院に政治改革関する特別委員会の設置」を約束させられた。

首相にとって、こんな状況は耐え難いに違いない。そこで「大物議員処分」をメディアに盛り上げてもらい、幕引き「感」(「幕引き」でさえない)を演出したいのだろう。狙いは「処分」を終えた4月上旬以降、衆院解散のフリーハンドを得て、党内政局の主導権を握り返すことだ。

政治をゆがめ、民主主義への信頼さえ失墜させかねない自民党の裏金事件が、つまらぬ党内政局の駆け引きの材料にされているのだ。

それどころか岸田首相は、単なる駆け引きの域を超え、裏金事件を「利用」して自らの独裁体制を作ろうとしているのではないか、とさえ思える。

「安倍さんのおかげで、生活が苦しくなったよ」国民いじめアベノミクスの発案者、リフレ派三流学者の遁走を許すな

故安倍元首相、黒田元日銀総裁のコンビが推し進めた「アベノミクス」と「異次元緩和」。安倍氏は生前、その“果実”を示すエピソードとして「給料が上がって、発泡酒がビールに変わったんだよ」という“市井の声”を好んで披露していた。ところが11年後の現在、国民の大半が実感しているのは「安倍さんのおかげで、生活が苦しくなったよ」だ。鳴り物入りの政策は、なぜ無惨な結果に終わったのか。経済に疎い安倍氏に頓珍漢なデタラメ理論を吹き込んだA級戦犯=リフレ派三流学者たちの大罪をジャーナリストの高野孟氏が暴く。(メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』より)
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:裏口からコソコソと出て闇に紛れて消えていくアベノミクス/「異次元緩和」の11年間とは一体何だったのか?

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

アベノミクスと異次元緩和 11年後の余りに無惨な現実

結局のところ、アベノミクスは、この11年間の政府・日銀の経済・財政・金融政策によって何が達成されたのかされなかったのかをキッチリと総括して国民に分かり易く説明し、この国の将来に確信を与えた上で、表玄関から堂々と「出口戦略」に従って退場していくべきであったが、そうはならなかった。

まるで、目立たないよう裏口からコッソリ抜け出て闇に紛れて消えて行こうとするかのような、3月19日の日銀金融政策決定会合での「マイナス金利解除」だった。

およそどこの国の政権でも、まず第一に達成すべきは、国民が少しでも暮らしが楽になった、豊かになったという実感が持てるようにすることである。

その最も単純明快な基準に照らすと、3月22日に内閣府が発表した「社会意識に関する世論調査」で「今の社会で満足できない点は?」との問いに対し、飛び抜けて多い答えが「経済的なゆとりと見通しが持てない」の63.2%で、この設問を始めた2008年以来最高だったというのは残念極まりない結果である。それに次ぐのは「子育てしにくい」28.6%、「若者が社会での自立を目指しにくい」28.2%、「女性が活躍しにくい」26.2%。

また同じ調査で「現在の日本の状況で悪い方向に向かっていると思う分野は?」の問いには、1位「物価」68.4%、以下「国の財政」58.4%、「景気」58.1%だった。

それだけではない。西野智彦が『ドキュメント異次元緩和』( https://www.iwanami.co.jp/book/b636775.html 岩波新書、23年12月刊)で書いているように、アベノミクスの11年を通じて、

▼日本経済の潜在成長率は0.8%から0.3%に低下、
▼1人当たりGDPはG7で最下位に沈み、
▼名目GDPもドイツに抜かれて4位になり、
▼1人当たり労働生産性はOECD加盟国38カ国のうち29位と低迷し、
▼平均年収では韓国にも追い抜かれ、
▼円安と資源高、そして産業空洞化で貿易赤字が常態化

した。

……これが、安倍さん、貴方が残した日本の惨状なのですよ。

“LGBT排斥主義者”は自分たちの情緒を守りたいだけ。ホンマでっか池田教授が断言する論理的理由

あらゆる多様性が尊重されるべき現代にあって、未だ存在するLGBT排斥主義者。もっともらしい理屈を並べ自らの主張を声高に叫ぶ彼らですが、その言い分は外来種排斥主義者の主張と同じく「論理的には底が抜けている」と言い切れるようです。今回のメルマガ『池田清彦のやせ我慢日記』では生物学者でCX系「ホンマでっか!?TV」でもおなじみの池田教授が、LGBT排斥主義者を「自分たちの情緒を守りたい」人々として、そのために他人の生き方に干渉することを「間違い」と断言しています。

※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです

文化的多様性の歴史的変遷について

前々回と前回に書いたように、LGBTをめぐる問題が社会を騒がせている。LGBTは性に関する多様性の話だが、そもそも多様性とは何か。なぜそれが問題となるのか。人間以外の生物にとっての多様性と、人間社会の多様性は何が同じで、何が違うのか、今回はそういった話をしてみたい。

生物学では、生物多様性というコトバが使われるが、もともとBiodiversity(生物多様性)はBiological diversityからlogicalを取って造ったコトバで、科学的なコトバというよりもむしろ政治的なコトバなのだ。したがって、自分たちの政治的な立場に都合がいいニュアンスで使われることが多いのだが、一応、3つのカテゴリーに分けて考えると理解し易い。

  1. 種多様性
  2. 遺伝的多様性
  3. 生態系多様性

である。

種多様性はある地域にどのくらいの種が棲息しているかという話で、種数が多ければ多いほど種多様性は高い。遺伝的多様性は同一種(あるいは同一個体群)の中で遺伝的なバリエーションがどのくらいあるかという話で、バリエーションが多ければ多いほど、遺伝的多様性は高い。クローンからなる種(あるいは個体群)はすべての個体の遺伝子組成が同じなので、遺伝的多様性は最小である。生態系多様性は、異なる生態系の種類組成の固有性の程度を示す指標だが、数値化することは難しい。

上記3つの中で、現生人類の生物多様性という観点から問題となるのは遺伝的多様性だけだが、人間にとっては上記の3つのカテゴリーに入らない文化的多様性の方が重要な問題となる。一方、遺伝的多様性を含めた3つの生物多様性は、人間が他の生物とどのように関わるべきかという観点からは大きな問題になり、論争が絶えない。

外来種排斥主義者は、外来種は在来種と競合して在来種を滅ぼす恐れがあるから、外来種の移入は禁止すべきと主張するが、少なくとも日本では、アメリカザリガニなどの一部の外来種を除けば、外来種による侵襲はそれほど大きくなく、外来種の移入によって、日本の生物相の種多様性は増大したわけで、種多様性の増加を善と捉える立場からは、外来種の移入を一律に排斥すべき理由はない。

ただ外来種が入ってくると、生態系の種類組成の固有性は減少するので、生態系多様性を維持するという観点からは、外来種の移入はマイナスということになる。また交配可能な外来種が入ってくると、在来個体群の遺伝的な固有性は減少するが、遺伝的多様性は増加するわけで、環境変動に対するリジリエンスは高まり、種の絶滅確率は減少する。外来種排斥主義者は同種の異所的個体群の交配を遺伝子汚染と称して忌避しているが、地域個体群の遺伝的固有性を守りたいのは外来種排斥主義者の願望であって、当の生物にとっては、自分たちの子孫の生存確率を上昇させることの方が重要で、その観点からは外来種との交配は善である。上述したことから明らかなように、外来種排斥主義者の主張は論理的には底が抜けていて、自分たちの情緒を守りたいために利用可能な理屈を恣意的に選んでいるだけのように思える。

LGBT排斥主義者も、自分たちの情緒を守りたいために、LGBTの生き方を制限しようとするので、その思考パターンは外来種排斥主義者と同型である。しかし、生物は外来種排斥主義者の思惑とは関係なくダイナミックに変化していく。LGBTの人たちもその人たちに一番快適な生き方をしたいわけで、それ以外の人たちが自分たちの情緒を守るために、他人の生き方に干渉するのは間違っている。

この記事の著者・池田清彦さんのメルマガ

中国の国有企業「東風集団」が赤字に転落。なぜ“ホンダと日産の不調”が原因なのか?

中国の国有企業である「東風集団」。傘下に東風ホンダ、東風日産という日系メーカーを抱える同集団が、2022年の2,000億円以上の黒字から一転、23年の最終損益が800億円を超える赤字となったことが伝えられています。その原因はどこにあるのでしょうか。日刊で中国の自動車業界情報を配信するメルマガ『CHINA CASE』が今回、国有企業を直撃した「報われない価格戦の影響」を解説しています。

※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです

中国の国有企業「東風集団」が23年は赤字転落。ホンダ、日産とNEVが原因

中国国有メーカー東風集団は2024年3月8日、2023年の最終損益は2022年の102.65億元(約2,098億円)の黒字から、40億元(約800億円)を超える赤字となると発表した。

注目すべきは、東風汽車ではなく、東風集団であること。つまり、日系の東風ホンダ、東風日産も関わっている、というより、現状はこの両日系が主力の企業と言っても良い。

「巻き」による報われない価格戦の影響が、中国国有企業を直撃した形。

東風の最終利益

東風集団はここ10年、毎年100億元(約2,000億円)以上の最終利益を上げていた。しかし2023年6月期の中間決算で最終利益は12.7億元(約260億円)にとどまり、前年比で急減していた。

ただ、中間決算の最終利益が低めに出ることは今までもあったことで、今回の発表まで、業界でもまさか赤字転落になるとは思いもよらなかった。

東風集団は今回の赤字転落について、二つの要因を挙げている。

ホンダ・日産の不調

一つは、東風ホンダ、東風日産の合弁が価格競争に巻き込まれ、かつ販売が伸び悩んだこと。東風集団の合弁は他に仏シトロエンなどもあり、これも不振だが、そもそも販売台数が極めて少なく、無視できるほど。

2023年から始まった中国自動車業界の価格競争は2024年も厳しさを増している。

数年前まで10万元(約200万円)を超えていた東風日産の完全な主力であるコンパクトセダン「シルフィー」は現在、エントリーで8万元(約160万円)台になっている。

また、両合弁の販売台数は2023年、前年比で東風ホンダが-6%、東風日産が-18%となっている。

NEVも不振

もう一つの要因は、オリジナルの新エネルギー車(NEV)が依然としてスタートアップ期であること。

東風集団の傘下には、ハイエンドNEVブランド「嵐図(VOYAH)」、ハイエンドオフロードNEVブランド「猛士」、ミニBEV「納米」などがあるが、いずれも販売台数は大きくなく、収益など望みようがない段階であることがある。

挽回厳しく

ここ数ヶ月、VOYAHや猛士でファーウェイと連携しているが、すぐに効果が発揮される見通しはない。

ホンダ、日産の両合弁のNEV強化も遅々として進まない状況であるし、客観的に言うと不得手なNEVよりはHEVを伸ばした方が得策だと思われる。

2024年も2023年と状況は変わりそうもなく、2期連続赤字に陥る可能性が指摘されている。

株価も大幅に下落しているものの、中央国有企業としては、国有資産を目減りさせるわけにはいかないというプレッシャーとも戦わなくてはならない。

出典: https://chejiahao.autohome.com.cn/info/14803205/

CHINA CASEは株式会社NMSの商標です。

この記事の著者・CHINA CASEさんのメルマガ

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