大前研一「市場規模62兆円。位置情報ビジネスの可能性」

【連載第2回】スマートフォン、SNSの普及に加え、測位技術の発展、さらにはドローンなどの新技術出現によって「位置情報ビジネス」が飛躍的に進化している。そう、世界は今「位置情報3.0」時代に突入しているのだ。 本連載では位置情報を活用したビジネスを取り囲む様々なテクノロジーの現状を大前研一氏が解説します。

GPS登場から現在まで。位置情報の変遷

1.0〜2.0時代を経て、暮らしに密接した位置情報の時代が到来

「位置情報」という言葉そのものは、まだ聞き慣れない方もいらっしゃるかもしれません。しかし現実には、この位置情報はすでに、私たちの暮らしと切っても切れない存在になっています。

位置情報は、スマホやSNS、センサー技術、測位技術等を利用して取得する、人やモノの位置に関する情報です。そうした対象物の位置情報を利用し、事業に展開したのが位置情報ビジネスです。位置情報ビジネスは1990年代後半あたりから現在まで、主に3つの段階を踏みながら発展してきました(図-1)。 

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図-1:位置情報・地理空間情報ビジネスの進化

 

位置情報ビジネスの黎明期、1.0時代と呼ばれるころのビジネスは主に、GPS(全地球測位システム)技術の利用が中心でした。GPS機能を使ってカーナビが進化してきた時代で、地図の電子化が始まったのもこの時代です。この頃はまだ、パソコンでの利用が中心でした。

その後、位置情報とソーシャルメディアが連動したのが2.0時代。“SoLoMo”=ソーシャル、ローカル、モバイルが三位一体になったスマホ中心の時代です。たとえば、Foursquare というSNS(現在はWebとアプリで展開)の場合。2009年当時、Webサイトを通じて、登録した利用者同士がパーティーなど大勢の人がいる場で出会い、アプローチし合うことができる位置情報共有サービスを導入しました。位置ゲームの普及など、人と人をつなげる用途で活用されるようになったのがこの頃です。

さらに、私も多用しているGoogle マップ。「うまいラーメン店」と入力して検索すると、自分の現在地付近にあるラーメン店がずらりと出てきます。私の場合はさらに「日曜日に空いている店」というキーワードも付け加えて検索し、出てきたところに自転車で行っています。位置情報の中にそれだけ詳細な情報があるのは、大変便利なものです。

3.0時代、近距離・屋内測位が多様化している

そして現在の3.0時代。位置情報ビジネスは、どのように進化しつつあるのでしょうか。身近なところから、その進化を検証してみたいと思います。3.0時代では、近距離・屋内測位の手法や種類が増え、より身近なものの測位が可能になりました(図-2)。
 
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図-2:Bluetooth(Beacon)を用いた近距離測位方式/その他の主な屋内測位・近距離測位方式

 

まずは、ビーコンを使った測位。これは昔から無線技術の中にありましたが、代表的なものにアップルのiBeaconがあります。iPhoneなどのデバイスにこのiBeaconが埋め込まれており、室内で1メートル以内、数メートル以内、10メートル以上など、距離が測定できます。

用途としては例えば、店頭にiBeaconのモジュール端末を設置しておくことで、来店した客のスマホが一定の距離に入ってモジュールを感知すると、「お客さん、ここに30%ディスカウントの商品がありますよ」などと通知できる。さらに、そのディスカウント商品の棚まで誘導する。そんなことができるようになっています。

ビーコンの他にも、①Wi-Fiの複数のアクセスポイントから発せられる電波強度などから測位する、②あらかじめカメラで撮影した画像とデータベース化した周囲の画像情報とを分析して測位する、③さらにKinect を使ってその奥行きまでを測定し、対象物までの距離を測る、④LEDなどの可視光を人間が感知できない速度で点滅させて信号を送り測位する、など屋内測位・近距離測位の方法は実に多様化しています。

私が学長を務めるBBT大学では、スマホなどの加速度センサーを利用した測位で、出欠確認を行うことも可能です。さらに、先生の話したことを「その通り」と思えばスマホをタテに振る、違うと思えばヨコに振る、とすることで、学生の意見を認知できる技術も導入しています。

身近に普及する位置情報技術

自動運転、物体の検知など、車に利用される位置情報

測位システムとしてはGPSの精度も上がってきてはいますが、今日本でも盛んに研究されている準天頂衛星システム では、さらに精度が上がります(図-3)。

この準天頂衛星システムが、三菱電機の車の自動運転システムに活かされています。ただ、文字通り空から見ているので、道路状況が分かるとはいっても、枯れ葉が落ちているような時に走行可能かどうかまでは判断できない、といったケースもあるようです。

一方、トヨタ自動車や日産自動車の車には、こうした準天頂衛星システムとは違った方法で、自動運転にアプローチしているものもあります。いずれにしても車の自動運転システムは、位置情報技術の進化によって実現され始めたと言えるでしょう。

また、自動運転まではいかないまでも、人やモノを感知して警報を鳴らすなど位置情報を利用した技術を搭載することは、昨今の車においては主流となりつつあります。

 
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図-3:測位システムの精度とカバーエリア

位置情報の高精度化で広告やデータ解析などの価値も変化

よりきめ細かな位置情報の取得が可能になることで、位置情報そのものの価値も変化しつつあります(図-4)。

大きな変化のひとつは、これまで「全国のみなさま」といったブロードキャスティングであったのが、「今ここにいるあなた」というポイントキャスティングに変化したことでしょう。ポイントキャスティングが可能になったことで、たとえばある特定の街を歩いている人だけに対して、「今来店すれば、こんな値段で食べられます」というような、ピンポイント広告・販促通知も行われるようになりました。

また、位置情報データ解析や遠隔操作・遠隔モニタリングも重要性が高まりました。身近なところでは、交通量情報や道路混雑状況の解析および最適化に位置情報を利用することで、交通渋滞の回避も可能にしています。農業、警備・防犯、保守メンテナンスなどの分野は、もはや遠隔操作・遠隔モニタリングなくしては、成り立たなくなりつつあります。

さらに医療分野では、患者の遠隔モニタリングだけでなく、手術においても3Dで立体的にマッピングを行い、腫瘍の位置を正確に測ったうえで専用のメガネをかけて手術するといったことまで実現され始めています。

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 図-4:位置情報の価値の変化

位置情報ビジネス加速の理由

日本のGDPの13%を占める日が来る?

近年、位置情報ビジネスが急速に拡大し始めたのは、なぜでしょうか?

まず、位置情報ビジネスそのものがまだスタートしたばかりの新しいビジネスであるために、隙間もチャンスも多く、未知の可能性を秘めていることが理由として挙げられます。

さらに、「こんなことができるよね」「こんなものがあればいいよね」といった具合に、自らがユーザー目線に立ってアイデアを出し合い、個人やチームの業務改善から運用をスタートできるフットワークの軽さも魅力となっているのでしょう。

このまま位置情報ビジネスが加速していけば、2012年時点に約20兆円であった市場規模は一気に膨れ上がり、2020年には約62兆円になるとも予測されています(図-5)。つまり、日本のGDPの12%~13%をこの位置情報関連産業が占めることになる。そんな展望が開けているからこそ、今、位置情報ビジネスを考えない手はないのです。

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図-5:国内の位置情報関連産業の市場規模

(次回に続く)

 

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この記事の話し手:大前研一さん

 
株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長/ビジネス・ブレークスルー大学学長1943年福岡県生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、東京工業大学大学院原子核工学科で修士号、マサチューセツ工科大学(MIT)大学院原子力工学科で博士号を取得。日立製作所原子力開発部技師を経て、1972年に経営コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク入社後、本社ディレクター、日本支社長、常務会メンバー、アジア太平洋地区会長を歴任し、1994年に退社。以後も世界の大企業、国家レベルのアドバイザーとして活躍するかたわら、グローバルな視点と大胆な発想による活発な提言を続けている。現在、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長及びビジネス・ブレークスルー大学大学院学長(2005年4月に本邦初の遠隔教育法によるMBAプログラムとして開講)。2010年4月にはビジネス・ブレークスルー大学が開校、学長に就任。日本の将来を担う人材の育成に力を注いでいる。
 

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リントン氏は記事の中で、自らを現地の戦争に巻き込まれた「長く天使のように細い髪を持つ、痩せた白人の外国人」と表現し、滞在中かわいがっていた「すきっ歯でHIVに感染した」ジンバという名の少女の最大の喜びは、「私の膝に座りコカコーラを瓶から飲むことだった」などとも述べている。他にも「マラリアにかかった」、「至近距離でゾウ、ライオン、ワニ、ヘビに遭遇」などの記述もあり、リントン氏の著書は不正確さと人種差別的表現に満ちた妄想、横柄な「ジャングル物語」だと、ザンビア人のみならずアフリカ中の読者から大批判を受けているとウェブ誌『クオーツ』は述べている。

ソーシャルメディアには、「アフリカにはインターネットがないと思われているのかな?どうせやつらが俺らについて書いたことなんか絶対読まれない『ジャングル』だからね」、「今ザンビア旅行中だけど、途中で反乱軍の銃撃に合わないか不安」、「白人の特権は事実かどうか確かめられない経験で本が出せるってことね」など、痛烈なコメントが寄せられている(クオーツ)。

「白人救済者」の物語は今も健在。真実は自分の目で

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(山川真智子)

 

記事提供:ニュースフィア

対談する小林よしのりとケント・ギルバート

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『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』などを代表作に持つ漫画家の小林よしのりさん。特に時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」では、漫画を通して今の社会に問題提起を続けています。そして、米国カリフォルニア州弁護士でありながら、日本のマスメディアでもコメンテーターとして人気のケント・ギルバートさん。ともに社会問題、政治問題に対して独自の意見を述べ続けてきたお二人が、様々なテームについて熱く語り合うスペシャルトーク第二弾。お二人の有料メルマガ『小林よしのりライジング』『ケント・ギルバートの「引用・転載・拡散禁止!」』をご購読いただいている読者限定で公開する対談を、今回は特別にほんの一部だけお見せいたします。好評だった第一弾のインタビューに続いて、第二弾では「都知事選騒動」について熱く語ってくれています。公費を使い込んだ舛添氏を批判しながらも「貧困層が広がってしまってる」と民衆側にも問題があると発言、果たしてその意味とは……?

 

まぐまぐ:ちょうど舛添氏の話題が出て来たのでお聞きしたいのですが、今回の都知事辞任騒動に対して、お二人はどう思われましたか。

小林:結局、貧困層が広がってしまってるもんだから、全員がケチなのよ。本当にセコイ金額には反応するんですね、自分が分かる金額だから。回転寿司の話とか、全部自分の経済の感覚のレベルだから、反応するんですよ。じゃ、石原都知事はどうだったんですかと。ケタが違うんですよ、ぜいたくやってたケタがもう全く違ってて。ガラパゴス諸島かどっかへ行ったときなんか、クルーザーを出したりとかして。逆にここまで来ると桁違いの金額が、国民の見当に及ばないんですよね、そこまで使われると。だからもう分からないから、批判のしようがない。

ケント:(笑)。

小林舛添は“貧乏人の性”が出ちゃってるんです。せこい金しか使えない。いわば“コソ泥”なんですよね。コソ泥の金の使い方を少しずつ少しずつやってたら、それって庶民には丸分かりでしょ、金額的に。だからみんな怒るんですよ。……だけど、「無駄な税金使うな」って言うことはいいですよ。でも「辞めろ」って言うのはおかしい、たかがそんな金額で。そんで選挙やったら、50億使うんだから。しかも、この3年で3回目でしょ。だからもうそれって150億の無駄遣いを、おまえらがやったんじゃねえかっていう話でしょ。しかも東京都民は彼を、40パーセントぐらいの圧倒的な得票率で都知事にしたんですよ。それなのに、なぜその都民が文句言ってんのかと。おまえ自分のほほを張り飛ばせ、と。

まぐまぐ:ケントさんはどう思われましたか?

ケント:本当にリンチだと思うんですよ。ただ、それは本人にも問題がありますよ。僕が思うには、まず態度に謙虚さが見当たらないんですよね。例えばファーストクラスの件ですけど、今までの知事たちもみんなファーストクラスですよね。

小林:みんなやってますよ。

ケント:だからそれを言えばいいんですよ。「そうですか、今までもみんなファーストクラスだったんだけど、そういえばそれは確かにぜいたくだね。必要ないね。じゃそれやめます」って。それなのに「トップだから何が悪いんだ」って。何なんですかね、この態度は。

小林:その態度は、石原都知事のほうがもっとすごかった。もっと傲慢だった。

ケント石原さんの場合は許したんですよね、僕だって。でも舛添さんの場合、もうこれ駄目だと一番思ったのは、韓国に行って朴槿恵大統領の前にペコペコしてたとき。あれは「これじゃ駄目だね」って思った。

小林:けれども、また他の都知事が出てきたら、もっとみっともないナショナリズムゼロのことばっかりやりますよ、どうせ。

ケント:そうなの。だから不思議なんですよ、僕としてはね。……だって大した金額じゃないでしょ、だって。

小林:全然大したことないわ。

ケント国益を考えるんだったら、沖縄の翁長知事のほうがよっぽど悪い(笑)。

小林:……まぁ、そういえばそうだ。そこは特に反対はしないけど(笑)。

ケントマスコミは舛添さんに対して何か恨みがあったわけ?

小林:ないですよ、そんなの。だから、貧乏人のひがみですよ。全員が貧乏人になってるからですよ。

ケント:なるほど。その分析は面白いね。

小林:舛添は本当に傲慢だったら、もっとお金使ってますよ。それが、なんでホテル三日月なの(笑)。そんなところ泊まったことないわ、普段都内の高級ホテルに泊まってるから……。しかも、なんで芋を洗うような状態のプールに都知事が入るのかって。信じられないわって話で。もうセコイんですよ、やってることがね。貧乏症が抜けない庶民なんですよ。そんなちっぽけなコソ泥しかできなかった人ですよ。でも石原都知事なんか最初から金持ちだから、もっとでっかく失敗してますからね。新銀行東京とか……これもう千何百億かつぎ込んで失敗ですからね。

ケント:よっぽど大きな問題ですよね。

天皇陛下「生前退位」の意向を示される。宮内庁次長は報道を否定

天皇陛下が、天皇の位を生前に皇太子さまに譲る「生前退位」の意向を宮内庁の関係者に示されていることが分かったと、NHKなどが速報で報じた。数年内の譲位を望まれているということで、天皇陛下自身が広く内外にお気持ちを表わす方向で調整が進められているという。

報道によると、天皇陛下は82歳となった現在も、憲法に規定された国事行為などの公務を続けられているが、天皇の位を生前に皇太子さまに譲る「生前退位」の意向を宮内庁の関係者に示されていることが分かったとしている。

天皇陛下は、「憲法に定められた象徴としての務めを十分に果たせる者が天皇の位にあるべきだ」と考え、今後、大きく公務を減らしたり代役を立てたりして天皇の位にとどまることは望まれていないという。こうした意向は、皇后さまをはじめ皇太子さまや秋篠宮さまも受け入れられているとしている。
天皇陛下は、数年内の譲位を望まれているとし、天皇陛下自身が広く内外にお気持ちを表わす方向で調整が進められている。

海外では、3年前、ローマ法王などが相次いで退位を表明して注目を集めていた。

日本でも124代の天皇のうち、半数近くが生前に皇位を譲っていたが、江戸時代後期の光格天皇を最後におよそ200年間、譲位は行われていない。
皇室制度を定めた「皇室典範」に天皇の退位の規定はなく、天皇陛下の意向は、皇室典範の改正なども含めた国民的な議論につながっていくものとみられているという。

なお、朝日新聞や時事通信などの報道によると、宮内庁の山本信一郎次長は13日夜に各社の取材に応じ、今回の「生前退位」報道を全面否定。「そうした事実は一切ない。陛下は憲法上のお立場から、皇室典範や皇室の制度に関する発言は差し控えてこられた」と話しているという。

 

 

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夏休み、外出だけがイベントじゃない。特別な夜更かしで子供は大喜び

もうすぐ子供たちが待ちに待った夏休み。規則正しい生活を送らせるのはもちろん大切ことなのですが、無料メルマガ『子どもが育つ「父親術」』では「たまには夜更かししてもいい」と提案しています。その日だけはお子さんと一緒に夜更かしを全力で楽しんでみてはいかがですか?

夜更かししたい

夏休みなどの長期休暇になると、生活リズムの維持が大きな課題になります。学校からの配布物にも「夜更かしをせず、早寝早起きしましょう」と必ず書いてありますよね。必ず書いてあるということは、裏を返せば、なかなか守れないということですが(苦笑)。

もちろん、生活リズムの維持は大切なこと。健康管理のためにも重要なのは、言うまでもありません。ですが、長期休暇中は、たまには夜更かしをしてもいい! というのが私のスタンスです。

ズルズルと夜更かし癖がつくことは防ぎたいので、あくまでも「特別なお楽しみ」として、子どもに許可してあげましょう。可能であれば、事前に「この日は『夜更かしする日』ね」とイベントとして計画しておければ、なお完璧です。普段の日にはなかなかできない楽しい時間を、子どもと一緒に共有しましょう!

  • 映画DVDを借りてきて観る
  • 家揃って、人生ゲーム
  • 子どもの歌・踊りの発表会
  • 徹底的にトランプ三昧、ウノづくし

その日は、夜更かしを親子共に、心から楽しんでしまいましょう。

「なんか、いつもと違って、ウキウキするねー」
「まだあと1時間も遊べるよ! うれしい~」

と、楽しい気持ち・ワクワクした気分を認めてあげたいです。間違っても、夜更かしを許可しておきながら、

「こんな時間まで起きてるなんて」
「朝、起きられなくなっても知らないからね」

なんて小言を言うなんて接し方はしないでくださいね(笑)。柔軟に夜更かしを認めてあげることで、それ以外の日はリズムを守れるよう促す、そんな接し方を意識してみてください!

image by: Shutterstock

「うちのルンバが家出しました」迷子の張り紙がネットで話題に!

とある“迷子の張り紙”が話題になっている。

宮地ゆう Yu Miyajiさん(@yumiyaji)がTwitterに投稿した、その画像がこちら!

なんと、ルンバが迷子に!! 

動物ならわかるが、まさかロボット掃除機が迷子になるなんて……。

Twitterでは以下のような反応がみられた。

■反応の声

 

 

 

 

 

 

見つかるといいな!

 

※本記事内のツイートにつきましては、Twitterのツイート埋め込み機能を利用して掲載させていただいております。

記事提供:ViRATES

 

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