上昌広医師が緊急提言。日本のワクチン追加接種を“後ろ倒し”にすべき理由

第6波のピークアウトが見えてきたとする専門家の声もあるものの、2月15日には1日の死亡者数が過去最多となるなど、未だ猛威を振るう新型コロナウイルス。岸田首相は追加接種の加速を指示しましたが、闇雲にスピードを早めるだけではワクチンの無駄遣いとなる可能性もあるようです。医療ガバナンス研究所理事長の上 昌広先生は今回、高齢者や基礎疾患のある人を除き、ワクチン追加接種を急ぐべきでない理由を解説。さらにワクチンを最も有効に活用できる追加接種実施時期を提示しています。

プロフィール:上 昌広(かみ まさひろ)
医療ガバナンス研究所理事長。1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

OECD加盟国では最低な「追加接種」遅れの日本

新型コロナウイルス(以下、コロナ)の追加接種の遅れが国民の注目を集めている。2月14日現在、追加接種を終えたのは、国民の10.3%に過ぎず、経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国で最下位だ(図1)。

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追加接種は、オミクロン株対策の中核だ。2月1日、米ロサンゼルス市の公衆衛生当局は、追加接種により感染が44%、入院が77%減少したことを米疾病管理センター(CDC)が発行する『MMWR』誌に報告している。感染予防効果はいまいちだが、重症化のリスクを77%も減らすことは大きい。

現在、「コロナ死者急増の大阪府、高齢者対策見直し急ぐ 山際担当相に要望も」(朝日新聞2月15日)、「オミクロン株で高齢者が重症化肺炎悪化、都内の病床逼迫の懸念<新型コロナ>」(東京新聞2月14日)など、高齢の重症患者が増えていることが、連日のように報じられているが、他の先進国並みに追加接種が進んでいれば、事態は違っていたはずだ。

追加接種の遅れの責任を追及された岸田文雄総理は、2月7日、2月末までに1日あたり100万回の接種を達成できるよう後藤茂之厚労大臣に指示したことを明かした。総理からの命令を受け、政府や自治体は、接種体制の強化に努めている。2月14日から15日かけて、自治体の入力に基づく接種数は、約110万回増えたという。2月11日~13日にかけての三連休の接種分がまとめて登録された影響もあり、この数字は額面通りには受け入れられないが、追加接種が加速していることは間違いないだろう。

私は、このような動きに懸念を抱く。それは、いま急いで追加接種を打っても、無駄になってしまう可能性が高いからだ。2月11日CDCの研究チームは、追加接種の効果は時間の経過とともに減少することを報告した。この研究によると、オミクロン株に対する追加接種の外来受診および入院予防効果は、接種後2ヶ月では、それぞれ87%と91%だったが、接種後4ヶ月までに、66%および78%まで低下していた。

これは、2回接種の経験とも合致する。昨年10月13日、福島県相馬市は、ワクチン接種を終えた相馬市民500人から採血し、中和活性を測定した結果を発表した。中和活性は、2回目接種から30日未満で2,024 AU/mL、30~90日で753 AU/mL、90日以上で106 AU/mLと急速に低下していた(図2)。

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コロナワクチンによる免疫は、麻疹や風疹などのワクチンのように、一回うつと効果が永続するのではなく、接種から時間が経つと減衰する。状況はインフルエンザワクチンに類似する。インフルエンザワクチンの効果持続期間は5ヶ月程度と考えられている。それなら、接種の時期が大切だ。インフルエンザワクチンは、流行が拡大する12~1月に対応するため、秋以降に接種する。同じ議論がコロナワクチンにも必要だ。

Xデーは2月21日?北京五輪閉会翌日に決まる「ウクライナ危機」の行方

各国首脳や外相が最悪の事態を回避すべくプーチン大統領と交渉を重ねるも、一向に出口が見えてこないウクライナ危機。我々はこのまま座して成り行きを見つめるほか手はないのでしょうか。今回のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』では著者で元国連紛争調停官の島田久仁彦さんが、対ロシア交渉の戦略についてアドバイスを求めてきたという、“とあるリーダー”に向けレクチャーした内容を紹介。ロシア側に選択を迫る3つのオプションを、誌上で特別公開しています。

 

ウクライナ情勢、もしプーチン大統領と交渉するなら?

先週号でもお話いたしましたが、ウクライナ情勢をめぐる欧米諸国とロシア・ベラルーシとの対立は日に日に緊張を高め、双方に対する非難合戦が激化しています。

ベラルーシ国内で行われたロシア軍とベラルーシ軍との合同演習が終わり、ロシア軍が撤退を始めたという情報が流れたり、16日にはロシアはウクライナに侵攻するらしいという噂が流れたりと、情報面でも混乱が深まり、ウクライナ情勢は当事者と周辺国、そして世界のマーケットを巻き込んだ心理戦の様相も強まってきました。

ロシア軍の“撤退”については、どの観点から見るかによって分析は変わりますが、ロシアはただ単に軍の再編成・再配置を行っているだけで、実際にはウクライナ包囲網は変わっていません。

欧米メディアが伝えるとおり、確かにいつでもウクライナに北側・東側・南側の大きく分けて3方面から侵攻が可能になる陣形を取っていると言えます。

とはいえ、さすがプーチン露大統領。軍事的な圧力をかけ、目先を変えつつも、いつでも侵攻できる状態をキープしつつ、外交的な解決、つまり交渉も諦めていません。

これまでのところ、マクロン仏大統領のモスクワとキエフ訪問に始まり、英国外相とラブロフ外相との外相会談、ドイツのショルツ首相のモスクワ訪問、そしてジュネーブで継続される米ロ外相会談、さらには電話会談という形式ながら、米ロ首脳会談も行われています。

欧州の首脳・外交筋は、「ロシアとの対話によって緊張緩和への道筋を開いた」とそれぞれの“調停”努力の成果をアピールしていますが、実際のところ、上手にプーチン氏の掌の上で踊らされ、ロシアに時間稼ぎのタイミングを与えているように思われます。

その間に真偽が分からない情報が乱れ飛び、世界はロシアが演出するショーに右往左往させられています。結果的に、最近ずっと脆弱でかつ不安定だったエネルギー価格が乱高下を繰り返し、各国の株式市場では投資家たちが見事に情報と、それによって作られる印象と心理に踊らされています。

見事にハイブリッド戦争を展開しているわけです。2014年のクリミア半島事変の再来です。

そのような中、「もしあなたがプーチン露大統領を相手にウクライナ情勢の解決について話し合うのであれば、どのようにするのか?」とアドバイスを依頼されました。

具体的な相手は明かせないのと、どちらかというと中立の調停人というステータスを好むものとしてはなかなか困難な宿題だったのですが、以下のように戦略を描いて見せました。

具体的な内容については明かせないのですが、要点のみをご紹介いたします。

「あなたは交渉の相手であって、決して本件の調停人ではないことを自覚してください。つまりロシアとアメリカ、欧州各国との間に立って、本件を仲裁する立場にあるのではなく、NATO加盟国のリーダーとして、NATOとしてのポジションを代表する立場にあることを肝に銘じてください。決して調停人のようにふるまわないことです。調停プロセスは、UNやOSCEのような“中立”である国際機関や、スイスのように永世中立の立場を堅持する国、もしくはプロの調停人に任せてください」

このように「立ち位置」の再確認をしました。これは、マクロン大統領をはじめ、これまでにモスクワやキエフを訪れたリーダーたちがものの見事に調停役を買って出て、プーチン露大統領などの戦略に踊らされたのを見た結果、たどり着いた“あるべき立ち位置”です。

 

軍事アナリストがデジタル庁に「伝説のハッカー」の雇用を勧める訳

2021年、当時の菅政権の看板政策としてデジタル庁が創設されましたが、我が国のネットワーク・セキュリティに対する認識や専門家のレベルは、決して高いとは言えない状況にあるようです。そのような現状を打破すべく思い切った試みを提案するのは、軍事アナリストの小川和久さん。小川さんは自身のメルマガ『NEWSを疑え!』で今回、日本において後手に回っている「ソーシャルエンジニアリング」の概念と重要性を解説するとともに、その対策としてデジタル庁に「伝説の米国人ハッカー」の雇用を進言しています。

 

デジタル庁はケビン・ミトニックを雇え

何気なく過去の出来事を羅列した年表を眺めていたら、1995年2月15日に米国の伝説のハッカー、ケビン・ミトニックが逮捕されたという記述にぶつかりました。

ミトニックは、カリフォルニア大学サンディエゴ校のスーパーコンピュータセンターに侵入し、データの改ざんなどをした結果、センターの研究者・下村努に追い詰められたものです。その様子は映画『ハッカー』(邦題)にも出てきます。ちなみに下村は2008年にノーベル化学賞を授与された下村脩博士の息子です。

実は私も電力会社、電話会社などのネットワーク・セキュリティのコンサルタントをしていた2004年、ミトニックへのヒアリングをしようと申し込んだのですが、ミトニックがヨーロッパ諸国を移動して仕事する時期に当たり、どうしても日程が合わずに断念したことがありました。

そこで、いま、なぜ、ミトニックなのか。

ハッカー(クラッカー)といっても、ハッカー出身者たちの評価は「ミトニックはソーシャルエンジニアリングに優れている」ということで一致しています。システムの隙間から技術的に侵入したりするのとは違い、まるで特殊詐欺のように騙しのテクニックを駆使して管理者パスワードを盗み取り、そこから侵入していくのです。

日本でもいま、サイバーセキュリティの強化が声高に叫ばれ、政府与党の鳴り物入りで取り組みが進められようとしています。デジタル庁も設置され、牧島かれんさんが担当大臣になりました。

しかし、2004年に総務省の委託で米国との格差を調査し、報告書『米国のネットワーク・セキュリティの現状』を提出した立場でいいますと、日本のセキュリティ会社や専門家のレベルは国際水準をクリアしているとは言いがたいし、なによりも、すべてがサイバー空間で完結していると錯覚している点が、ほかのIT先進国からの立ち後れを物語っています。

コンピュータネットワークに侵入したり攻撃したりする立場で眺めると、サイバー空間から侵入できず、目的を遂げられないときは物理的側面のセキュリティホールを探しますし、サイバー面、物理的側面の双方に跨がって侵入や攻撃のカギを握る管理者パスワードを盗もうとするのは自然の流れです。

だからこそ、自分の特技を逆手にとってセキュリティ会社を経営するミトニックのビジネスも成り立つ訳です。

日本では、そうしたソーシャルエンジニアリングへの対策が後手に回っています。おまけに技術的にも低レベルです。その現状に対する自覚が生まれないことには、デジタル庁も、デジタル田園都市構想も、絵に描いた餅です。ミトニックを雇うくらいの取り組みを進め、安全と繁栄を実現できる国に生まれ変わってほしいものです。(小川和久)

 

image by: Twitter(@デジタル庁

駅弁につまった日台の歴史。「台湾のコシヒカリ」を作った日本人

かつて統治していた台湾で、ダムや水道、鉄道などを整備すべく力を尽くした日本。同じ時期に持ち込んだ「駅弁文化」も台湾に根付き、独自の進化を遂げていることをご存知でしょうか。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、台湾の駅弁事情と、弁当に欠かせぬ台湾産の「蓬莱米」が日本人の努力により生み出されたという史実を紹介しています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2022年2月16日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄こう・ぶんゆう
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

 

【台湾】日本が台湾に残した弁当文化の素晴らしさ

錦糸町から消える「台湾鉄道弁当」 「劉の店」1月末に閉店 店主の劉俊茂さん

東京で味わえる台湾の味が、ひとつ消えました。ただ、店主の味は名古屋の店に引き継がれたとのことです。「劉の店」で販売されていた台湾鉄道弁当は、台湾でも最もベーシックなスタイルで、台湾人にとっても懐かしい味でした。私も台湾に帰るたびに駅弁を食べていました。先にショウガを食べて口の中をスッキリさせてからご飯を食べるのが通の食べ方です。

今でこそ台湾でも様々な駅弁が登場しており、日本と同じく台湾でも駅弁は旅を彩る重要な要素となっています。報道によれば、台湾鉄道の弁当販売個数は年間1,000万個だそうです

台鉄駅弁フェア、12もの推薦弁当新登場

台湾では弁当のことを「飯包」とも言いますが、多くの人は「弁当」と言います。駅弁は日本時代に日本人がもたらしたものだからです。そして、駅弁と深い関係にあるのが米です。台湾の弁当の主役とも言うべき米は、台湾東部の池上という穀倉地帯で獲れる「池上米」。台湾のコシヒカリとも言われ、日本のコメのようにもちもちとしたいわゆる「蓬莱米」です。

そして、「蓬莱米」の生みの親は、かつて台湾総督府農事試験場で活躍していた磯永吉、末永仁の二人です。日本領台当初の台湾の米作付面積は、約20万余甲(1甲=2,934坪)で、収穫量は150万石(1石=150キロ)に過ぎませんでした。1899年になると作付面積36万余甲、収穫量250余万石となり、1904年には収穫量415万9,000石と増加しています。

34年の作付面積は68万7,600甲、収穫量は908万8,000石となっています。これほど収穫量が増える前は、人口増による米不足が発生し、輸入に頼らざるをえない状況でした。たとえば、1888年に中国から輸入した米は4万6,800担(1担=60キロ)、90年は3万7,000担でした。

日本領台初期、台湾の米作の単位面積における収穫量は、当時の日本と比べると極めて少なく、当時の日本は1町歩(=3,000坪)あたり平均17余石の収穫がありました。しかし、台湾では年に二毛作や三毛作ができるといっても、1899年の数字を見ると、1甲当たりの収穫量の平均は5.688石で、日本の約3分の1に過ぎません。

この状況を改善するため、台湾総督府が行った品種の改良、施肥の普及、灌漑の完備、土地の改良などにより、台湾の米収穫量は年々増していきました。磯永吉と末永仁の試行錯誤を重ねた努力の結果、生まれたのが台湾産の蓬莱米でした。

そして、1910年前後から台湾米の輸出量は、台湾輸出品の第2位を占めるまで増えたのです。その10年後には、台湾の総輸出額の20%も占めるようになり、米と砂糖は戦後60年代まで台湾の二大輸出産品として最重要産業へと成長したのです。

 

米ロに恩を売る習近平。ウクライナ危機で漁夫の利狙う中国「孫子の兵法」

専制主義国家の二大大国としてその繋がりの強固さが常々語られている中国とロシアですが、ことウクライナ危機に関しては一枚岩とは言い難い状況のようです。そんな証拠を挙げているのは、国際政治経済学者の浜田和幸さん。浜田さんは自身のメルマガ『浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』』で今回、中国とウクライナの知られざる関係と、この危機の裏でアメリカが中国に対して強めている意外な働きかけを紹介するとともに、米ロ双方に恩を売る中国の強かな戦略を明かしています。

 

ウクライナ危機で漁夫の利を狙う中国

北京冬季五輪の開会式に合わせて、ロシアのプーチン大統領は訪中し、習近平国家主席と会談しました。

プーチン大統領の宿泊先は中南海の迎賓館ではなく、北京市内のホテルであったため、一部の中国ウォッチャーからは「中露関係が上手く行っていないのでは」といぶかる声も聞かれました。

とはいえ、これは中国の巧妙な対米メッセージに過ぎません。

アメリカのバイデン政権は国際社会に対して「外交的ボイコット」を呼びかけましたが、応じたのはイギリス、カナダ、オーストラリアなど少数で、プーチン大統領はあたかもバイデン大統領を無視するかのような姿勢で北京に乗り込んだものです。

そのため、中国はロシアに対して距離を置いているとの印象をアメリカに伝えようとしたと思われます。

いずれにせよ、印象的だったのは会談後に発表された中露の共同声明でした。

30ページを超える長文で、恐らく全文に目を通した人はほとんどいなかったはず。

しかし、この共同声明には「アメリカとの対決姿勢」もにじみ出ていますが、大きなポイントは「国際社会の大転換」を受け、これからの時代を動かすのは「一部の豊かな国ではなく、国連のような国際機関を通じて世界的な課題を解決しようとする中小国家の連携」だと定義している点です。

また、アメリカが関与するウクライナ危機への言及はありませんでした。

アメリカはEU諸国や日本に呼びかけ、ウクライナ危機にかこつけ、ロシアへの経済制裁を強化しようと動いています。

その場合、中国はロシアからの天然ガス輸入量を拡大するなど、ロシア支援に回ることは既定路線です。

とはいえ、中国がロシアとの経済関係を強化するにしても限度があります。

実は、ウクライナにとって中国は最大の貿易相手国なのです。

中国初の空母「遼寧」も元はウクライナから洋上ホテルにするといって輸入したものを改造しただけのこと。

小麦など穀物はもとより旧ソ連時代の核ミサイル技術などもウクライナから調達しているのが中国なのです。

その点を見越して、アメリカは中国に働きかけを水面下で強めています。

何かと言えば、経済危機に陥っているウクライナを支援するため、中国に対してウクライナへの投資と人材交流、そして貿易拡大を要請しているのです。要は、ロシアとアメリカの双方に恩を売るという戦略に他なりません。

「孫氏の兵法」極まれり、といったところでしょうか。

 

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不毛な争いを回避。公証役場で遺言状を作ると費用はいくら掛かるのか?

2012年には流行語大賞でトップテンに選出され、今やすっかり市民権を得たと言っても過言ではない「終活」という言葉。その一環として遺言状の作成に関心を持つ若い世代も増えているようですが、一体どれほどの費用がかかるものなのでしょうか。今回のメルマガ『上杉隆の「ニッポンの問題点」』では、先日遺言状作成を終えたというジャーナリストの上杉隆さんが、顧問弁護士に手続きを依頼せず公証役場に出向いた理由を綴るとともに、政令で定められている作成料や手数料について詳しく紹介しています。

 

遺言状を作ってみた~費用とその効用

遺言状を作ってみた。齢53。地震、雷、火事、コロナ…。人生、何があるかわからない。

知人が死んでいくと死が身近に感じられるものだ。ニューヨークタイムズ時代、毎日のように意見交換をしていた外交評論家の岡本行夫さんが逝った。幼き頃、同じ団地に住んでいたKが家族もろとも逝った。中学同級生の美容師のHと運動神経抜群だったがうるさいMが相次いで逝った。鳩山事務所の同僚だったKさんも逝った。

そして、石原慎太郎さんが逝った。20年前、都庁記者クラブを開放し、私自身のジャーナリスト・デビューのきっかけになった処女作の執筆を認めてくれた人…。そうか、人は死ぬんだ。改めて思った。

久しぶりに『平家物語』を読んでいる。世の中は無常であり、盛者は必ず滅びるというのは、この古典が教えてくれた。少年時代は現実感がなかった。まだまだ人生は長いし、夢もある。平家の栄華と滅亡は圧倒的に自分のものではなかったからだ。

しかし、今は違う。栄華はなかったが、自らの滅びは必ずやってくる。これが歳を取るということなのか。いや、もしかしたら、3年前の得度以来修めつつある承認欲求の滅減、そこからくる諦観のようなものなのか。

まぁ、理由はどちらでもいいじゃないか――。そんなことを思い巡らせながら近所の公証役場に向かった。

遺言状の作成にはお金がかかる。遺言者の財産額や遺産を分配する人数にもよるが数万円になる。弁護士や司法書士、行政書士にも依頼できるが、公証人よりも高額になることが多い。私も、自身の顧問弁護士などではなく、公証人に依頼した。

公証役場に出向いての遺言状作成がお勧めするのは、政令で遺言作成料や手数料などが定められているからだ。

たとえば、相続する遺産額が500万円未満だと手数料1万1,000円、3,000万円未満だと2万3,000円、1億円未満だと4万3,000円といった具合だ。10億円を超えるとベースの24万9,000円に、遺産額が5,000万円増えるごとの手数料8,000円が加算される仕組みになっている。もしかして、100億円を超える遺産となると弁護士の方が安くなるかもしれない。

 

世界的エンジニアが喝破。トヨタが「Tesla」と同じ土俵で戦えないワケ

電気自動車で世界をリードするTeslaの決算が発表されました。市場予想を上回るとされる数字が並ぶ中でも「粗利益率」に注目すべきと語るのは、メルマガ『週刊 Life is beautiful』著者で「Windows95を設計した日本人」として知られる世界的エンジニアの中島聡さん。トヨタの直近の粗利益率約16%に対しTeslaが30%に達している理由として「自社製チップ」の存在をあげます。この自社製チップにより自動運転においてもその優位性は拡大し、トヨタは同じ土俵で戦うことすら難しいと厳しい見通しを示しています。

プロフィール中島聡なかじま・さとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

 

自社製チップと粗利益率

先週、TeslaとAppleの決算が発表されました。Teslaの決算結果についての細かな話を知りたい人は、Voicyの「Teslaの決算を分かりやすく解説」を聴いて下さい(メルマガとVoicyをどう使い分けるかは模索中です)。

決算発表の中で、私が最も注目していたのは、「売り上げ(revenue)」の伸びと「粗利益率(gross margin)」です。成長が落ち着いた成熟した会社においては、「営業利益(income from operations)」や「利益(net income)」が重要ですが、Teslaのように成長が著しい会社の場合、営業利益や利益にはノイズが多いので(Teslaの場合、CEOのElon Muskに対するボーナスが最も大きなノイズです)、まずは「売上」と「粗利益率」を見るべきなのです。

粗利益率とは、売上から売上原価(cost of goods)を引いて求めた粗利(gross profit)を売上で割って求める数字です。
粗利益率=(売上-売上原価)÷売上
自動車の場合で言えば、さまざまな部品や素材のコスト、消耗品、人件費、光熱費、機材のリース費用など、自動車を製造する際に直接必要な費用をすべて合わせたものが売上原価です。「直接費用」であることが重要で、研究開発費、宣伝広告費、営業費、事務費、(建物の)減価償却費などは含みません。

粗利益、もしくは粗利益率が重要なのは、研究開発や建物に対する投資を粗利益によって回収し、その後は利益を出す、というのがどんなビジネスにおいてでも基本だからです。

日本でタケノコのように作られた「タピオカ屋」の場合、店舗の設置コスト(初期費用)が高々300~500万円なのに対して、1杯500~600円するタピオカの粗利益率がとても高いのです(材料費だけだと80~90%、人件費を含めても50%以上)。そのため、数ヶ月間で初期費用が回収出来て、その後は継続的に利益を生み出すことが出来るのです。

こんなビジネスの累積損益をグラフにすると下のようになります。最初は初期投資分だけ赤字ですが、売り上げをあげるたびに粗利益の分だけ赤字が減り、ある時点からプラスに転じます。実際には、売上原価以外に、広告宣伝費や営業・事務費用がかかるため、もっと複雑ですが、ビジネスのベースには、この「初期投資を粗利で取り返して、黒字に転じる」ことがあることを覚えて下さい。

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粗利益率が大きいということは、このグラフの傾きが大きいことを意味し、その分だけ、早く初期投資を取り戻すことが可能なことを示します。逆に言えば、粗利益率が大きなビジネスは、大胆な初期投資をすることが可能だし、広告宣伝や営業活動に回すお金も潤沢にあることを示しています。

 

ホンマでっか池田教授による「絶滅とはそもそも何か?」という考察

先日、オーストラリアが東岸一帯に生息するコアラを絶滅危惧種に指定したとの報道がありました。誰もが知る愛くるしい姿が地球上から消えてしまう事態は極力回避したいものですが、長い地球の歴史を見ると、コアラも人類もいつかは絶滅する運命にあるのかもしれません。今回のメルマガ『池田清彦のやせ我慢日記』では、生物学者でCX系「ホンマでっか!?TV」でもおなじみの池田清彦教授が「絶滅とはそもそも何か」を考察。個体の死から単為生殖種の存在や系統の絶滅まで、さまざまな角度から論じています。

 

絶滅についてちょっと深く考える

2019年に上梓した『もうすぐいなくなります-絶滅の生物学-』が文庫化された。生物の絶滅についての書と言えば、カンブリア紀以来現在までに起きた5度の古生物の大量絶滅について論じたものか、近年になり人類の活動により絶滅したり、絶滅に瀕していたりしている野生動植物について論じたものがほとんどで、絶滅とはそもそも何かといった本質的な考察にまで立ち入っているものは少ない。

発売直後にアマゾンのカスタマーレビューが2点出ていたが、一つは余りにもヒドイので、無視すればいいとは思うけれども、ここにその全文を載せておく。

「年代順に生き物の歴史をダラダラと並べているだけ。こんなもん誰が面白いと思うのか。買って後悔している」

この人は本当に本を買って読んだのだろうか。そもそもこの本は、生物の絶滅に焦点を当てて、様々なレベルの絶滅について論じたもので、年代順に生き物の歴史を並べてなどいない。どんな罵詈雑言のレビューを書かれても文句はないけれども、悪口を言うためだけに読んでもいない本のレビューを書くのは、さすがに勘弁してもらいたい。

というわけで、本題に入る。絶滅とは集団に起こる現象で、1個体が死んでも絶滅とは言わない。しかし、個体を構成する細胞のレベルで考えると、個体の死は細胞集団の絶滅と考えることもできるのだ。多細胞生物の個体は、通常受精卵から発生する。人の成体は37兆個の細胞の集団である。個々の細胞は基本的に受精卵と同じゲノムを持ち、DNAのレベルではほぼ同質の集団である。細胞をユニットと考えると、個体の死は、受精卵から始まり分岐して多様化した細胞集団の絶滅と考えることができる。

ゾウリムシのような単細胞生物は細胞=個体で、それ以下の生物学的なユニットはないので、ゾウリムシの1個体が死んでも絶滅する集団はない。絶滅とはあくまで、何らかの生物学的な同一性を有するユニットが全滅することで、種の絶滅はその典型例にすぎない。すなわち、同じ種という同一性を有するユニット(個体)が全滅すれば、その種は絶滅したということになるのだ。

 

コロナ陽性で保険金が下りる。1人につき10万円?今すぐすべき申請手続き

新型コロナウイルスが再び猛威を振るいだし、どんなに気をつけていたとしても誰がいつ感染してもおかしくはない現状となっています。今回のメルマガ『豊福公平の夢を叶えるハート&マネー』では、著者で、外資系生命保険出身の元ライフプランナー・豊福公平さんがコロナに感染した際に申請できる可能性が高い保険金やその他の補助について紹介しています。

 

新型コロナウィルス感染症に感染したら保険金の申請をお忘れなく!

ふたたび猛威を振るいだした新型コロナウィルス感染症。みなさんのまわりにも感染した人が増えているのではないでしょうか?

今回は、コロナに感染した方に向けて、申請するともらえるお金についてご紹介します。

実は、あまり知られていないのですが、新型コロナウィルス感染症に感染した場合、医療保険に入っていたら保険金が下りる場合があります。医療機関への入院や通院などはもちろんのこと、自宅やホテルでの療養も対象になります。

保険会社によって異なる場合がありますが、陽性者1人につきおよそ5万円から10万円ほどの給付金が支給されます。まずは、お住まいの自治体のホームページ、または保健所のホームページにアクセスし、そこから保健所が発行する就業制限通知書などを申請します。

現在、混みあっているため発効までに2か月ほどかかるかもしれませんが、申請したら自宅に証明書が郵送されます。

それを保険会社に提出し受理されれば給付金、保険金等が支払われることがあるので、一度医療保険を申し込んでいる保険会社に連絡してみてください。

申請期間は2年間ありますが、新型コロナウィルス感染症の第1波あたりに感染した人は、そろそろ申請期間が終わるころ です。まだ申請していない場合は、確認してみてください。

自治体からの食糧支援は自主申請!

また給付金とは別に、お住いの自治体で食糧支援などを行っているところもあります。

たとえば東京都では「自宅療養サポートセンター(うちさぽ東京)」で体調の相談とともに食料品やパルスオキシメーターの配送などを行っています。東京都の場合は、感染者1人につきおかゆや水、パスタ類など段ボール3箱分の食糧支援があります。こちらは自ら連絡しないと受け取れないので、必要な人は連絡してください。

新型コロナウィルス感染症に感染してしまったことは残念ですが、医療保険の対象になる人は、申請して食料支援を受け取ってくださいね。

【参照】東京都福祉保健局/自宅療養サポートセンター(うちさぽ東京)のご案内 

 

「ジャニーズ忖度」の存在を裏付けた“証拠メール”。香取慎吾主演ドラマの裏で行われた恐ろしい報復

芸能界でよく聞かれる“忖度”という言葉。特に大手の事務所や大物芸能人に対して気を使うテレビ局などがする行為だと捉えられています。中でも一度は耳にしたことがあるのが“ジャニーズ忖度”。実際にいつ、どんな現場で行われるのでしょうか?芸能記者歴30年のベテランジャーナリスト・芋澤貞雄さんが、ある一通のメールで証明されてしまったジャニーズ忖度について解説していきます。

“ジャニーズ忖度”の存在を裏付けてしまったメール

3年前の夏、公正取引委員会がジャニーズ事務所に『新しい地図』のテレビ出演に際し各局に圧力をかけた疑いがあると注意処分を下した騒動が再燃しています。

『文春オンライン』がその証拠となるメールを公表したからです。この騒動、当時芸能マスコミの間では“忖度”という表現が流行語にもなりました。

そこまではしないと思いますが、もしこれが捏造ではないとしたら、それを裏付ける、今までになかった証拠の公開になるわけです。

そのメールは2020年10月頃、『King & Prince』をプロデュースする『ユニバーサルミュージック』の執行役員が部下に送ったとされるものでー

邦楽MD各位

お疲れ様です。
大変デリケートな話をさせて頂きます。

で始まるメールです。

その内容は、この執行役員が香取慎吾主演のテレビ東京系のドラマのエンディング・テーマから、『ユニバーサル~』所属のアーティスト『HY』が“ジャニーズと弊社との関係性を鑑み”辞退することを伝えているものです。

ドラマの主題歌に関しては今までも度々トラブルが発生することはありましたが、“忖度”が理由としたら極めて異例の出来事でしょう。

私も長い間、ジャニーズ事務所の取材をしていますが、こんな重要なことが1本のメールで処理されていたことに正直驚きました。

こういった“秘め事”は証拠は残さないこと!…が大原則だからです。

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携帯やスマホのメールはその場で消去できても、復元できる方法はある事をこの執行役員は知らなかったのでしょうか、それとも誰が見るかわからないメールをそんな重大な“秘め事”に使うことを全く気にしていない人物なのか…。