戦争が金になる。バイデン3度の「台湾防衛」失言が意味するもの

5月23日、日米首脳会談後に行われた共同記者会見の席で、台湾有事の際の軍事的関与を明言したバイデン大統領。今回で少なくとも3回目となる台湾有事を巡る「失言」に中国側は強く反発していますが、果たしてこの発言をバイデン大統領の単なる失言として片付けてしまっていいものなのでしょうか。今回のメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤先生が、この件を取り上げた香港英字紙の記事を翻訳する形で紹介しつつその内容を解説。さらにアメリカは軍事的緊張を欲する国でもあるという事実を記すとともに、我が国の米国盲信追従の姿勢を疑問視しています。

 

バイデン大統領の失言は意図的か?

バイデン大統領、日韓訪問中にまた失言しました。

「中国が台湾に侵攻したら武力行使する」という問題発言です。

これについて香港サウスチャイナモーニングポストの5月28日の記事を紹介します。

バイデン氏は日本訪問中の記者会見で、中国が台湾を侵略した場合、軍事力を行使する用意があると宣言した。

 

これは長年にわたる「戦略の曖昧さ」の政策からの転換を示唆するものだった。

 

ホワイトハウスは直ちにバイデン氏の発言を撤回し、台湾に対する政策に変更はないと主張し、79歳のバイデン氏が再び失言したことを示唆した。

 

バイデンは昨年少なくとも2回、米国で同様の発言をし、ホワイトハウスはすぐにそれを撤回しなければならなかった。

 

中米関係を支えるおそらく最も重要な問題について一度だけ言い間違えたのならまだ理解できる。

 

しかし12ヶ月の間に少なくとも3回言い間違えたのは、失態というより意図的な行動に聞こえる。

解説

「戦略的曖昧さ」は、米国の長年の政策です。

台湾が中国に武力攻撃を受けた際に、米国がこれにどう対応するか明言しないでおくというものです。米国が台湾を武力で守る、と言えば、台湾は独立を宣言するかもしれません。

それは中国のメンツを完全につぶすことになり台湾進攻から全面戦争につながりかねません。それを避けるための政策です。

しかし本記事にもあるように、このバイデン大統領の失言、はじめてではありません。

2021年10月にも中国に台湾が攻撃された場合、アメリカが防衛する責任があると発言しました。ホワイトハウスは直後に「大統領は政策変更を決めたわけでもない」という声明を発表しています。

「こんな大事な問題で何回も失言するだろうか」というのがこの記事の趣旨です。
さらに記事は続きます。

このような扇動的な発言は、全面戦争の引き金となる危険性がある。

 

米国は実際に中国と戦うために軍隊を投入する準備ができているのか、またその意志があるのか。

 

中国と対立する場合、米国は地理的な距離の問題から、日本や韓国の軍事基地に頼らざるを得なくなるだろう。北京はこれらの基地の使用そのものを戦争行為とみなし日韓への報復をするかもしれない。

 

そうなれば、戦争が拡大し、誰もが壊滅的な被害を受けることになりかねない。考えるだけでも恐ろしいシナリオである。

 

“美味しい”をそのまま冷凍する「凍眠」で飲食の新業態を切り拓いたスゴい企業

コロナ禍で大きな打撃を被った飲食業界。居酒屋「筑前屋」を展開する株式会社カスタマーズディライトもその例に漏れませんでしたが、日本が世界に誇る、とある技術との出会いが新しい展開をもたらしたといいます。そんなストーリーを取り上げているのは、『月刊食堂』『飲食店経営』両誌の編集長を経て、現在フードフォーラム代表を務めるフードサービスジャーナリストの千葉哲幸さん。千葉さんは今回、株式会社テクニカンによる急速冷凍技術「凍眠」の開発秘話と、カスタマーズディライトが「凍眠」により切り拓いた飲食の新業態、そしてそこに同社代表が向ける熱い意気込みを紹介しています。

プロフィール千葉哲幸ちばてつゆき
フードサービスジャーナリスト。『月刊食堂』(柴田書店)、『飲食店経営』(商業界、当時)両方の編集長を務めた後、2014年7月に独立。フードサービス業界記者歴三十数年。フードサービス業界の歴史に詳しい。「フードフォーラム」の屋号を掲げて、取材・執筆・書籍プロデュース、セミナー活動を行う。著書に『外食入門』(日本食糧新聞社発行、2017年)。

「急速冷凍」技術によって“新しい飲食業の形”を切り拓いた企業「カスタマーズディライト」の展望

コロナ禍で大きな痛手を被った飲食企業が「急速冷凍」技術と巡り合って、新しい事業に踏み出したというお話。この企業は株式会社カスタマーズディライト(本社/東京都江東区、代表/中村隆介)。その「急速冷凍」技術とは株式会社テクニカン(本社/神奈川県横浜市、代表/山田義夫)の「凍眠」である。

カスタマーズディライトは2007年2月に創業。建設業としてスタートしたが、FCで飲食業を手掛けるようになり、事業基盤を固めてコロナ禍前に約140の店舗網を築いた。飲食業の主力は居酒屋「筑前屋」とハンバーグ&ステーキの「肉のはせ川」。どちらも事業譲受したもので、展開エリアは「筑前屋」が都心や住宅地、「肉のはせ川」はロードサイドという具合に守備範囲を広くして事業拡大を図ってきた。焼肉チェーン、焼鳥チェーンも擁して事業ポートフォリオを豊かにしているが、いずれも事業譲受によるものだ。

QUADの異端児インドだけじゃない。ロシアとの関係を断ち切れぬ国の名前

5月24日、東京で日米豪印4か国「QUAD(クアッド)」の首脳会合が開催され、岸田首相はウクライナ情勢を念頭に「法の支配や主権および領土一体性などの諸原則を確認した」と強調。しかし、ロシアとつながりの深いインドは「独自路線」へのこだわりを見せていたようです。今回のメルマガ『浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』』では、著者で国際政治経済学者の浜田和幸さんが、巷間言われているロシアへの武器依存以外の“人口大国”インドの事情を明かすとともに、欧米が主張するロシア批判に与しない国が数多くある実態を伝えています。

 

QUADの異端児インドがロシアを切れないワケ

ぶっちゃけ、もうじき世界最大の人口を有することになるインドは存在感を増しています。

今週、東京で開催されたQUADサミットでも、岸田総理がアメリカと共に「ロシア批判」を繰り返しても、インドのモディ首相は「独自路線」に固執し、ロシアを敵視する姿勢は見せませんでした。

巷間、インドはロシア製の武器に依存しているため、隣国のパキスタンや中国と軍事的衝突を想定すれば、ロシアとの関係が欠かせないとのこと。

しかし、それだけではありません。巨大な人口を抱えるインドにとって、食糧の自給自足は難題です。しかも、小麦に関しては世界第2の生産大国であったインドですが、このところの異常な熱波の影響で生産が思うに任せず、外貨獲得の柱であった小麦の輸出を全面的にストップせざるを得なくなっています。自国民の胃袋を優先し、輸出は後回しというわけです。

4月には140万トンの小麦を輸出し、5月には過去最大の150万トンを輸出する予定でしたが、全て中止となりました。苦境に陥るモディ首相に救いの手を差し伸べたのがプーチン大統領に他なりません。ロシアからは小麦のみならず、食糧生産に不可欠の化学肥料も大量に届けられました。これではインドはロシアに頭が上がるはずもありません。

実は、SWIFTから外されたロシアですが、インドをはじめ中国、フィリピンやイランなどともドルやユーロではなくルーブルや各国通貨での貿易決済システムの構築に動いているようです。

欧米諸国は「食糧危機もインフレも、その元凶はロシアだ」と非難を続けています。とはいえ、そうした批判の声には耳を貸さず、ロシアとの経済的関係を深める国は後を絶ちません。

ヨーロッパではロシアからの原油や天然ガスがなくては困る国が多く、表向きはロシアへの経済制裁に同意するポーズを見せているものの、裏ではロシアとの取引を続けている国もあり、ハンガリー、チェコ、ブルガリア、スロバキアなどが、その典型的な例です。

一時が万事。

アメリカ発の報道では、ロシアは経済制裁を受け、苦しい状況に陥っているように見られますが、ロシアからの食糧や資源の供給がストップして苦境に直面している西側諸国も多いのが現実です。

ぶっちゃけ、我慢比べとなれば、厳しい自然環境に慣れているロシア人の方が贅沢三昧のアメリカ人より強いかも知れません。インド人はそのことをよく分かっているフシがあります。

 

image by: Exposure Visuals/Shutterstock.com

日本は世襲に滅ぼされる。安倍晋三に麻生太郎、利権を食い物にする“ボンボン”たち

政治の世界では未だに『世襲』という時代遅れともいえるものが蔓延し、それぞれの子孫たちで牛耳られています。そんな人間が国のトップを牛耳っている以上、日本は何も変わらないと言わざるを得ません。今回のメルマガ『佐高信の筆刀両断』で評論家の佐高信さんは、世襲が日本を滅ぼすとして徹底的に批判。何も国の実情がわからないまま育ち、上に立つようになってしまった人たちの内情を晒しています。

 

「世襲」がこの国を亡ぼす

世襲という民主主義に反するものが女性議員の進出をも妨げている。

上杉隆氏の『世襲議員のからくり』(文春新書)に、安倍晋三の若き日の姿が次のようにとらえられている。秘書官だった晋三についての別の秘書の匿名での証言である。

「父親の死期が近づき、無念の臨終を迎えるという時期に、隣の部屋でゲームに興じていた。もちろん時間つぶしというのもわかるが、なにかしらやることはあるんだろうと思った。彼が後継者なのかと思うと、どこかしら頼りなさを感じた」

晋三はエスカレーター式の成蹊学園の高校生の時、創価学会の池田大作の次男と同級生だった。この次男は早くに亡くなったが、祖父の岸信介以来の学会との結びつきは、これによってさらに強められた。

社民党の福島みずほが格差是正について質問し、非正規雇用をなくすよう迫った時、世襲議員から、こんな野次が飛んだという。

「がんばって働いてマンションぐらい買え」
「がんばって正社員になれ」

がんばっても非正規の人が正社員になることが絶望的に難しいといったことがまったくわかっていないのである。

 

金正恩の涙にダマされるな。必ずある別の意図、今までの落涙と残忍な行動を検証

北朝鮮の軍人である玄哲海が死去し、その遺体のそばで涙を流したとされる金正恩─。この報道に違和感を感じた人も多かったかもしれませんが、やはりこれには何か別の意図があるようです。無料メルマガ『キムチパワー』では、韓国在住歴30年を超える日本人著者が、金正恩の涙には裏があるとして今までの涙を見せた際の行動をトレースしています。

ワニの涙。信用できぬ金正恩の落涙

玄哲海(ヒョン・チョルヘ)北朝鮮人民軍元帥の殯所(霊安室)。5月19日に死亡した玄哲海の遺体安置所をその翌日に訪れた金正恩(キム・ジョンウン)は、遺体を眺めながら悲痛な表情を浮かべ、ハンカチまで取り出して涙を流してみせた。

「喪失の痛みを禁じえなかった」(北朝鮮朝鮮中央通信の表現)金正恩は玄哲海の遺体が入った棺を直接他の幹部らといっしょに担ぎ、最後の礼を尽くした。

軍部の核心である玄哲海は、金正恩の権力引継ぎ業務を担当した。霊安室を訪れてすすり泣いたのは自然な反応であり、人間的道理だろう。

ただ、それを住民たちにそのまま露出したならば、話は変わってくる。北朝鮮メディアは映像の一場面、写真の微細な角度まで検証に検証を重ねて報道する。

「金正恩の涙」が伝えようとする意図や別次元のメッセージが、明らかにあるという意味だ。

2011年12月、父親の金正日(キム・ジョンイル)が死亡した時、ついに姿を現した20代の金正恩第1書記は、涙を見せた。

告別式の日、金正日の運柩車を護衛したこの後継者は、手袋もつけずに雪の降る平壌市内を沈痛な表情でとぼとぼと歩き、その姿はそのまま世間に流された。

その後金正恩は、忘れられそうになると涙を流し、それを拭いた。2015年の旧正月には、初めての訪問地として平壌(ピョンヤン)育児院を訪れ、涙を流した

2020年の党創建記念日の閲兵式では、住民たちを前に「申し訳ない」「ありがとう」を連発し、涙ぐんだのは記憶に新しい。

このような金正恩の涙に一貫したキーワードは「愛民」だ。「民を見下ろしている」イメージを演出したい時、金正恩は伝家の宝刀である涙を利用した。

ところが、金正恩の涙で特に注目すべき点は別にある。韓国当局者は、「金正恩体制宣伝政策の核心は、最高指導者の強穏両面を同時に露出し、効果を極大化することだ」と述べた。

強靭な将軍のイメージと涙に象徴される温かい親のイメージを同時に演出し、住民を惑わせようとしているという話だ。

これは、金正恩が、それほどまでに似たい、祖父の金日成(キム・イルソン)が掲げた宣伝扇動戦術ともつながっている。

吉村知事の“肝いり”が次々と失敗。60億円かけて利用者たった300人、コロナ施設閉鎖が物語る大阪が死者数トップのワケ

新型コロナウイルスの感染者数が全国的に減少し、海外旅行の出入国規制が6月から緩和されるなど、少しずつ明るい兆しが見え始めてきた。そんな中、大阪府が新型コロナウイルス対策で開設した国内最大の臨時医療施設「大阪コロナ大規模医療・療養センター」(大阪市住之江区)が、5月末で閉鎖されることがわかった。読売新聞が報じた。約60億円をかけて設置された施設だけに、吉村洋文知事の責任を追及する声が上がっている。

天下の愚策で60億はドブに 死者数が全国最大の大阪

国内最大の臨時医療施設「大阪コロナ大規模医療センター・療養センター」の開設を吉村知事が表明したのは昨年8月下旬。折しも第5派のデルタ株が猛威をふるい、自宅待機のまま症状が悪化して死亡する30代から50代の患者が相次いだ事態を受けてのことだった。

約60億円をかけて大阪・南港の大展示場「インデックス大阪」に無症状800床と中等症用200床を整備し、オミクロン株の流行を受けて、1月30日から運用を開始した。

しかし、実際はほとんど活用されず、読売新聞によると3カ月の稼働期間の間、利用者はわずか累計303人。ワクチン接種が進んだため重症化率が激減し、消灯時間など制約のある施設利用は敬遠され、ほとんどの人が自宅療養を選んだことが理由とされる。

一方、初期感染の初動の治療が遅れ、死亡に至るケースが相次ぐ不手際も多発している。

5月29日の朝日新聞では、大阪市保健所が感染者が86人の処理が適切に行われず、対応に1週間遅れたと報じた。府民のデータを管理するエクセルのファイルが不具合で移行できずに対応できなかったというお粗末な理由だ。

これは氷山の一角で大阪府全体の保健所が機能不全に陥っている裏づけとなる。

コロナ大規模医療センターでも高齢者の受け入れを模索したが、介護スタッフの確保や施設の段差などの問題を解消できず、受け入れを断念したという。

吉村知事は7月から、今度は新たに約20億をかけて、大阪区住之江区に新築の福祉施設1棟を借り上げて、高齢者向けのコロナ臨時施設を作ると公表している。目論見通りに機能するかどうかは未知数だと言わざるを得ない。

【関連】大手メディアが取り上げぬ橋下徹氏と上海電力の「ただならぬ関係」

感染者死亡ワースト1位を高齢者率を言い訳にしたが

オミクロン株の発生した2月には、大阪のコロナ死亡者数はついに東京を上回ってワースト1位になった。

この原因を吉村知事は「大阪の方が高齢者率と三世帯同居率が高いから」、「若者と年寄りが密着しやすいから」などと説明。そうしたことから、大阪よりも高齢者率と三世帯同居率が高い感染者数が増えていた都道府県の住民は死亡リスクが高まるのを警戒した。

ところがふたを開けてみれば、大阪のような勢いで死亡者数が増えることは実際にはなかった。

大阪よりも人口あたりの感染者比率が高く、高齢者率・三世帯同居率が高かった福井県でも死者数は増えなかった。つまり、大阪の死者数だけが飛び抜けて多いのだ。

改善すべきは施設を増やすことではなく、機能不全に陥っている保健所とコロナ患者の入院する手続き対応だといえるかもしれない。

大阪府と大阪市はカジノが含まれるIR施設の誘致を計画しているが、5月26日大阪の市民団体が誘致の是非を問う住民条例制定に賛同する署名が直接請求に必要な数14万6千人を突破したと発表した。

その背景には、もともと否定的な意見が多いだけではなく、昨年12月にリゾート整備費に約790億円かかると発表した試算が、翌1月には2300億円の追加費用がかかることが明らかになるなど、認識の甘さや対応のまずさも影響しているとみられる。

【関連】セクハラ疑惑の文春砲も出た細田衆院議長はなぜ「10増10減」に反対するのか

失策をしても言い訳ばかりで自らの責任をとらない吉村知事。今度の失敗は60億円では済まないかもしれない。

トライセラ和田唱ロングインタビュー。初の絵本、音楽、家族、そして「今一番言いたいこと」

今年でデビュー25周年を迎えたバンド「TRICERATOPS(トライセラトップス)」のボーカル・ギターで、ほとんどの楽曲の作詞・作曲を手がけるミュージシャンの和田唱(しょう)さん(46)。2018年には初のソロデビューを果たし、アルバム2枚を発表してソロライブツアーも敢行するなど、ここ数年はトライセラ以外での活動も目立ってきました。また、TwitterやインスタなどのSNSでも積極的に自身の意見や日常を発信し、妻で女優の上野樹里さん(36)とともに、その投稿は常に世間の注目を集めています。そんな和田唱さんが、トライセラ7年4ヶ月ぶりのニューアルバム『Unite / Divide』発売からわずか1ヶ月後の5月20日、初の絵本(原作・文)『ばぁばがくれたもの』を発表。その絵本のために書き下ろした新曲「オレンジ色のやすらぎ」も配信が始まりました。バンドにソロにライブに、そして絵本にと大忙しの和田唱さんに、今回の絵本に懸ける思い、そして家族、音楽、さらに現在もっとも関心を寄せているという「目にみえないモノ」についてまで、いろいろとお話をおうかがいしました。(於:パールブックショップ&ギャラリー 渋谷区西原2-26-5)

いま、和田唱が絵本の原作を手がけた理由

──本日はお忙しい中、お時間をいただきありがとうございます。この度はご自身初の絵本『ばぁばがくれたもの』(888ブックス)ご出版おめでとうございます。そして、今年はバンド「トライセラトップス」デビュー25周年のアニバーサリーイヤーでもあり、4月20日には7年4カ月ぶりのニューアルバム『Unite / Divide』も発売され、さらに6月からは全国ツアーも始まるということで、いろいろおめでたいことが重なる年になりましたね。まずは、おばあちゃんの死とそれを受け入れる孫の成長を描いた、和田さん初の絵本『ばぁばがくれたもの』を書くことになったキッカケを教えていただいてもよろしいでしょうか?

和田唱(以下、和田):こちらこそ、本日はありがとうございます。『ばぁばがくれたもの』を書くキッカケは、2020年に出した2枚目のソロアルバム『ALBUM.』に収録されている「さよならじゃなかった」という曲を書いたことですね。「この曲の世界観で何か出来ないかな」と思ったんです。

というのは、この曲のテーマが、「身近な人の死」を体験して悲しんでいる人、落ち込んでいる人に対して、少しでも気持ちを楽にさせてあげられるようなことが何か出来ないかなと思って書いた曲なんですね。そういう経験をする人を見てきたし、僕自身、もしかしたら親父と近い将来、別れが来るかもしれない(和田誠さん、イラストレーター・デザイナー。83歳没)という状況下だったのもあります。

──キッカケはソロアルバムの収録曲だったんですね。和田さんご自身を含めて、「身近な人の死」で悲しんでいる人の気持ちを少しでも楽にさせてあげたいということを、絵本のコンセプトに出来ないかと着想されたということですね。

和田:そうなんです。だから、当初は曲と同じ「さよならじゃなかった」というタイトルの絵本にする予定でした。その曲の絵本バージョンみたいな感じですね。でも、その前に「さよならじゃなかった」というタイトルのビデオを作る予定だったんですよ。NHK「みんなのうた」のアニメみたいな感じで。そこから、徐々に「これ、絵本にしたいな」って思うようになって、紆余曲折を経て今回の形になりました。

「カズくんに頼めばいいかもしんない!」

──では、歌のコンセプトはそのままに、少しずつ絵本としての構想が固まっていったんですね。

和田:そうです、そのコンセプトをもとにストーリーを考えました。絵は、僕が通っていた文化学院という専門学校の同級生だった佐々木一聡(かずあき)くん、僕はカズくんて呼んでるんですけど、彼に「絵を描いてほしい」って頼んだんです。

──今回、同級生の佐々木一聡さんに絵を頼もうと思った理由は何ですか?

和田:カズくんが文化学院時代に描いていた絵をずっと覚えていて、彼の描く可愛らしい絵がピッタリだと思ったんですよ。当時、学校の授業で絵を描くんですけど、彼はいわゆる美術の授業ではそんなに優等生ではなくて(笑)、もっと「独自の絵」を描くような青年だったんです。だから「可愛い絵を描くなぁ」と昔から思っていて。卒業した後も、ちょっとした同窓会があると、パネルみたいなモノの上に描いた絵をみんなにプレゼントしてくれたりして。

──佐々木さんは、もとから絵本作家だったわけではないんですね。

和田:カズくんは普段「おもちゃ職人」というか、妖怪のソフビとかを作っている人なんですよ。絵本も何冊かは出していて、それも見ていたから「いい絵を描くなぁ」ってことは以前から印象に残っていました。もちろん理想は自分一人で絵も描いて、ストーリーも書けたらカッコイイなとは思うんですけど、今回の絵本を構想したときに、自分で描くというよりは彼の絵が頭の中にパッとよぎって「カズくんに頼めばいいかもしんない!」って、すぐにLINEしました(笑)。「こういうの考えてるんだけど、もしお願いしたら描いてくれる?」って送ったらすごく喜んでくれて、即「やるやる」って返事がきたんです。

──それは嬉しいですね、もちろん頼まれた佐々木さんも嬉しかったのではないでしょうか。その後は、LINEで具体的なストーリーや構成を送り合って制作を進めていったんですね。

和田:そうですそうです。ほぼほぼLINEでやり取りしました、これも時代ですね。下書きができたら送ってもらって、何かあれば「ココもうちょっと、こういう風にして」とか。実際に掲載されたもの以上に、絵はいっぱい描いてくれたんです。残念ながらカットになっちゃった絵もあるし。絵のセレクト、ページ数、表紙の絵をどれにするかとか、絵本を作る工程って思いのほか大変なんだなっていうことが今回の『ばぁばがくれたもの』を作ってわかりましたね。

モデルは「昭和のおばあちゃん」と「母の実家」

──印刷所で刷り上がった現物の絵本を見て、最初にどんな印象を受けましたか?

和田:嬉しかったですね、まさにイメージしていた通りのものができたので感慨深いものがありました。やっぱりモノとしてあがってくると、LINEでやり取りしていたときに見ていた絵とは全然違って見えましたね。今回の絵本は、最初から「昭和感」というものを出したかったんですよ。僕らが小学生のときに図書室で手に取っていたような、あの頃の絵本のタッチ、テイストを出したいなと。最初、現代風の本にしようか、昭和風の本にしようか迷ったんですよ。カズくんは現代風のタッチでも描けるんです、おそらく。でもここは「昭和風でいきたいよね」って、そこはお互いに共通してましたね。

──お話の中にも昭和テイストのモチーフがけっこうな頻度で登場しますよね。駄菓子屋とか、お祭りとか、家の様子とか。

和田:そうなんです。それに、最近の「ばぁば」ってもっと若々しくて、あんまりおばあちゃんっぽくないと思うんですよ(笑)。でも、やっぱり僕らのイメージするおばあちゃんって、いかにも「おばあちゃんおばあちゃん」したあの感じじゃないですか。だから、カズくんにも「昭和のおばあちゃんにしてほしい」って、そこはあえて頼んで描いてもらいました。

──絵のテイストも、少し絵の具が盛り上がったようなタッチで昭和感がありますよね。

和田:最初からパネルに石膏のようなものを塗ってから描くと、こういうデコボコしたタッチの絵になるらしく「こういう感じで描いていい?」って聞かれたので「もう好きなようにやっていいよ」ってお願いしました。

──和田さんが絵本のあとがきに、「今回のお話は実際のおじいちゃん、おばあちゃん(料理愛好家でタレントの母・平野レミさんの父母)との思い出をミックスして、一人のおばあちゃんの話にした」というようなことを書かれていましたが、このお話はどこまで実際の思い出と重なるのでしょうか?

和田:部分部分、本当のことだったりします。ちょうど二人の思い出がいい感じにミックスされた感じかな。プラス創作ですね(笑)。お話に登場する家のモデルは、母がずっと住んでいた実家です。千葉の松戸にあったんですけど、いつも電車で1時間くらいかけて、母と弟と行ってました。従兄姉もよく一緒だったな。親父もたまーに合流して。いかにも昭和な日本家屋なんですよね。うちのおじいちゃん(平野威馬雄さん、詩人・フランス文学者。超常現象研究家でもあった。86歳没)が変わった人で、家中に自分で書いた詩の掛け軸が飾ってあったり、天狗や河童のお面がいっぱい飾ってあったりして。今思うと独特な家でしたよね。泊まりにいくと、その家の居間に母や従兄姉達と一緒にギッチギチに布団を敷いて寝てました。朝になってひとり目が覚めてキッチンの方へいくと、おじいちゃんもおばあちゃんも早起きだから先に起きてコーヒー飲んでるっていう、そのコーヒーの匂いと二人の絵がなんとも良くて。それが原風景ですよね、いまだに強烈に印象に残っていて、今もたまに思い出しますね。タイムスリップしてあの様子を眺めたいって気持ちになります。

プーチンも驚愕?欧州が中国と描く「ウクライナ停戦」の仰天プラン

ウクライナ紛争による物流の停滞と、厳しい対ロ制裁に起因する経済面の悪影響が広がる欧州各国。その負担の増大はもはや耐え難いレベルにまで達しており、各国の国民たちの中に、ウクライナへのネガティブな感情すら巻き起こる事態となっているようです。そんな状況にあって、水面下で「大きな企て」が進んでいると読むのは、元国連紛争調停官の島田久仁彦さん。島田さんはメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』で今回、企ての内容が「欧州と中国による停戦プラン」であるとした上で、自身が予見するそのシナリオを詳細に記しています。

 

泥沼化するウクライナ戦争と複雑化する国際情勢

「世界はいつまでウクライナに付き合えるのだろうか?」

このような声があちらこちらから漏れてくるようになりました。

ニュースでもインターネットでもウクライナ情勢について目にしたり耳にしたりしない日はないほど注目を集めていますが、伝えられる内容は次第に現在の戦況から終戦後の世界へ関心が移ってきているように思われます。

マリウポリのアザフスターリ製鉄所に籠って抗戦していたアゾフ連隊およびウクライナ軍が製鉄所から退避(ロシアの発表では投降)し、ロシアがマリウポリを完全制圧したと報じられたことで、一時は退潮が噂されたロシアが巻き返したという見方が出る一方、ロシアが掌握するウクライナ東部ドンバス地方におけるウクライナ軍の抗戦、そして北部ハルキウをめぐる攻防についての情報がでるなど、まだまだ戦況についての報道は健在ですが、次第にウクライナでの戦争による“影響”について懸念の声も聞かれるようになってきました。

例えば、戦争の長期化と欧米諸国による対ロ制裁の強化の影響で引き起こされる【供給不足からの価格上昇】は、確実に私たちの生活を圧迫し始めています。

国連機関による分析では、穀物や金属、石油・天然ガスなどのエネルギー資源、木材といった様々な商品や資源の流通が滞り、またロシア・ウクライナにおける混乱によって物理的な供給が止まる中、コモディティの物価がウクライナ戦争ぼっ発以来、平均で3割上昇しており、今後、このまま戦争が長期化する場合、さらなる上昇が見込まれると言われています。

世界経済は、コロナ禍からの復活基調が出始めていた矢先、再度悪化のスパイラルにはまり、確実にスランプに陥りそうな様相を呈してきました。

イタリアのドラギ首相の表現を借りれば「私たちは平和か、この夏のエアコンかを選択しなくてはならない」という厳しい選択を迫られる状況が現実化してきました。

ウクライナへのロシアの侵攻が始まった当初は1週間ほどで終わると言われていたため、ドラギ首相の表現もさほど深刻に取り上げられてはいなかったようですが、すでに開戦から90日余りが過ぎ、様々な対ロ制裁と物流の停滞の影響が、まるでボディブローのように各国の消費者に効いてくることになりました。

これまでウクライナへのシンパシーが前面に出ていた各国の消費者の心境にも変化が現れ、冒頭の発言のような「いつまでウクライナに付き合えるか」というマインドが前面に出てくるようになってきました。

欧州各国は、今でもウクライナから逃げてくる人たちの受け入れは続いていますが、電気代や燃料代、そして各家庭の食費の負担が増大してくるにつれ、自国政府への不満が累積し、プーチン大統領への怒りがこみ上げ、そして間接的にウクライナへの何とも言えないネガティブ感情が巻き起こってきているらしいのです。

「ウクライナの人たちが直面している状況にはシンパシーを感じ、できるだけのことをしたいが、まずは自分たちの生活が成り立たないことには…。ところで政府は何をしているのか?」

言い表せばこのような心情でしょうか。

 

ウクライナに学べ。国を守るため日本に必要な「攻撃を躊躇わせる」3つの能力

岸田首相は日米首脳会談で防衛費の増額を表明。ウクライナ情勢を受けて、防衛力強化の方針を打ち出しました。中国、ロシア、北朝鮮を隣国に持つ日本が危機感を抱くのは当然でも、何をどういう順番で備えるか整理が必要と説くのは、静岡県立大学特任教授で軍事アナリストの小川和久さんです。今回のメルマガ『NEWSを疑え!(無料版)』で小川さんは、相手に攻撃を躊躇わせる「平時の戦争」に必要な3つの能力を上げ、ウクライナのようにアメリカから必要な武器・装備を借り受ける具体的なプランを提示。何年先になるかわからない導入計画を練っている時間はないと、「平時の戦争」への自覚を促しています。

BMD艦とトマホークを友軍から借りる

ウクライナ戦争の戦況を眺めていて、気になってならないことがあります。

ロシアのウクライナ侵攻に触発されて、中国が従来の姿勢をエスカレートさせ、台湾にも軍事的な触手を伸ばしはしないか、日本にも狙いを定めはしないか、という懸念が生まれているのは、もっともなことです。日本は同様な考え方を持つ中国、ロシア、北朝鮮に囲まれているから、それに備えなければならないというのも、正しい認識です。

しかし、順序正しく備えるとなると、少し整理が必要になります。まず、中国、ロシア、北朝鮮とも日本を占領するだけの大軍を渡洋上陸作戦させるだけの能力は皆無です。一方、その気になれば日本を攻撃できるだけのミサイルの能力は備えています。

そのように考えれば、日本は(1)ミサイル防衛、(2)反撃、(3)サイバー防衛の3点について、同時進行で、それも可及的速やかに能力を備えなければなりません。

その場合、前提となるのは「平時の戦争を戦っている」という発想です。手出しを躊躇わせるだけの抑止力を備えるというのが「平時の戦争」の基本で、それを実現できれば血を流す戦争を避けることができ、外交的な発言力も強化することができるのです。

日本が平時の戦争の戦場にいると認識を持つことができれば、現状では不足している装備品や能力について、同じ戦場にいる友軍である米軍に借りるというのは当然のことです。日本が敵に圧倒されれば米国にとっても不利な状況が生まれるからです。逆の立場なら、米国は日本に能力や装備品の提供を求めるはずです。

これまでミサイル防衛については、イージス・アショアに代わるミサイル防衛用の艦船が実戦配備されるまでの5~10年ほどの期間、空白状態は許されませんから、米海軍の89隻のイージス艦のうち、50隻のミサイル防衛能力を備えたBMD艦から2隻を借り受け、東北地方と中国地方の日本海沖に展開し、艦長ら幹部要員以外の人員はイージス艦の運用とミサイル防衛の経験者を民間軍事会社から派遣させる形をとり、システムのバージョンアップを含む費用を日本側が負担することを提案してきました。日本政府が提案すれば米国が受け入れるのは間違いありません。