コロナ禍は3年目突入。スペイン風邪と同様に終息まで4年かかるのか?

ゴールデンウイークが終わり、新型コロナウイルスの新規感染者数は、心配されていたように対前週比では増加傾向になっているようです。いまやワクチン接種をしても感染を防げないほど変異し、期待された「集団免疫」獲得は叶いそうもないこのウイルスと、どう対峙すればいいのでしょうか。今回のメルマガ『石川ともひろの永田町早読み!』では、著者で小沢一郎氏の秘書を長く務めた元衆議院議員の石川知裕さんが、北欧や英国の例をあげ、規制を緩める「次の一手」があっていいと持論を述べています。

 

集団免疫には至らないのか…/コロナ対策「次の一手」とは

コロナ禍になって3年目に入っている。スペイン風邪が終息まで4年かかったのでそろそろと期待を持っているが、まだ出口は見えない。

しかし、世界中の人々の不満は爆発寸前であり、いつまでも規制をかけているわけにはいかない。だから世界各国はそれぞれ社会実験として出口戦略を取り始めており、とくに北欧諸国の積極さが目立っている。

集団免疫の獲得によりコロナを克服しようとしていたスウェーデンは、死者数の増加などが起きて、失敗したと批判を受けた。政治的発言をしない国王が批判したことでも知られている。そのスウェーデンは2月9日からほぼ全ての規制を段階的に解除した。ワクチン接種は進めるようだが、マスク着用義務や集会の人数制限などを撤廃する。欧米人のマスク嫌いは日本人には理解できないほど拒否感が強い。デンマークやノルウェー、フィンランドも撤廃の予定だ。

では集団免疫は実現できるのだろうか。人口の一定割合以上の人が抗体を持つと、感染症が流行しなくなる集団免疫の状態になるとされていた。しかし、自然感染とワクチン接種で「集団感染」はしているのにもかかわらず、現状は「集団免疫」には至っていない。例えば英国はワクチン接種と自然感染によって国民の大半が抗体を獲得したにもかかわらず、感染者数は激増した。最良の出口戦略が何なのか、いまのところ、まだ見えていない。

ワクチン接種が進んでも劇的な改善には至っていない。とはいえ、死者数や重症化率は下がってきている。未知のウイルスとの戦いは、壮大な社会実験を続けていくしかないということである。最近、飲食店などが発生の最大原因でなくなってきていることがわかりつつある。高齢者施設や学校が感染源となっていることも多い。

感染対策をしつつ規制は緩める政策をとっていく。それで重症化率や死者が増えないのであれば、普通のインフルエンザとまではいかないまでも「中間」に位置付ける政策をとるのも一つだろうと思う。

 

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プーチンがG20出席で目論む悪巧み。「ロシア排除」しか叫ばない弱腰な西側を挑発する狙いとは

世界中から批判を浴び、制裁を受け続けてもなおウクライナへの侵攻をやめないプーチン大統領。今年11月のG20サミットにも出席の意向を示したようです。それに対しザワついたのは西側諸国でした。今回のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』では米国在住作家の冷泉彰彦さんが、周囲の国々がロシアを排除しようとしている動きについて語っています。

 

ロシアとプーチンを「排除」でいいのか?

今年11月にインドネシアで開催されるG20サミットですが、招待状を出したところロシアのプーチン大統領が出席の意向を表明してきました。ちなみに、議長国インドネシアのジョコ大統領は、ウクライナのゼレンスキー大統領も招待したと明らかにしています。

これに対して、アメリカのバイデン大統領は「ロシアの参加には反対」という立場を表明。これを受けた格好で、岸田総理は先週にインドネシアを訪問した際に、ジョコ大統領に対して「ロシア排除」を説得したようです。

しかし、毎年思うのですが、総理にしても各大臣、そして一部の議員などが日本のゴールデンウィークに外国出張するというのは、いつも不自然な印象を感じてしまいます。

本当に必要な出張なら、平日でも行くべきであり、役所と国会がスローダウンしている週にまとめて出張するというのは、結局は「不要不急」ではないかという印象を与えるからです。

それはともかく、今回のロシア排除ですが、賛成できません。ロシアが来るというのであれば、堂々と受け止めて批判の場、あるいは必要であれば交渉の場とするべきです。

仮に、バイデン大統領(高齢のため?)、岸田総理(政府のシステムのため)などが「ガチンコの交渉に向かない」ので、プーチンが来ると「引っ掻き回されて」不利になるというのなら、そのこと自体が問題です。

そんな体たらくではG20以外の場でも外交でロシアを追い詰めることは難しくなります。

例えばですが、G20にプーチンが来ると、BRICSなどはロシアと組んでしまって、G7+の方が押されてしまうという可能性を感じているのかもしれません。

これも同じことで、そんなことではダメであり、あの程度の横暴なレトリックに対しては、直球変化球交えて「退治」できるようにしておかねばダメでしょう。

とにかく「ロシア排除」という姿勢そのものに「弱腰」が透けて見えるというのは、これだけで外交失点だと思います。

 

2019年も被害額は11億円。あの「統一教会」は名前を変えて若者をだまし続けている

霊感商法などで1987年から2019年までに1224億円余りもの被害を生んだとされる統一教会。その悪名をごまかすためか、2015年に世界平和統一家庭連合(家庭連合)に改名し、2019年も被害額は11億円にのぼっています。この統一教会の問題はマスコミであまり報道されませんが、その背景について紹介するのは、メルマガ『佐高信の筆刀両断』著者で評論家の佐高信さんです。佐高さんは、フリーライターのいのうえせつこさんによる菅政権時の閣僚9人が統一教会に近いとする記述を引くなど、自民党と統一教会(現家庭連合)の深いつながりを明らかにしています。

 

統一教会は生きている

こども家庭庁設置法案なるものが、いま、国会で審議されている。野党はこれに反対すると「子育て支援に反対していると思われる」と及び腰らしい。しかし、国が家庭や子育てに口を出すことそのものが問題であることにどうして気がつかないのか。

もう15年以上続けている『俳句界』の対談で、有田芳生に出てもらったのは、統一教会がまだ生きていることを批判したかったからである。

先日、マンションの郵便受けに「ハッピーFamily講演会」のチラシが入っていた。「家庭の絆を深める為に」という見出しに、「『どうしたら幸せになれるか?』をテーマに、幸せのヒントを、ご提案する講演会です。どなたでも、お気軽にご参加下さい」と書かれている。

主催が「世界平和統一家庭連合」。つまり統一教会である。略称、家庭連合で、現在も霊感商法や合同結婚式をやっている。“親泣かせの原理運動”といわれたが、なくなってはいないのである。

有田はこれを取り上げ、闘ってきた。有田はいま、立憲民主党の参議院議員だが、2010年に民主党から出た時は、統一教会が「自民党の山谷えり子議員を応援しましょう。彼女を当選させることが、有田退治になります」と文書で指示を出したという。

有田によれば、純潔教育を唱え、夫婦別姓は家庭を壊すと主張している。特に選挙の時は、自民党を中心とした保守系の候補者の応援を無償でする。かつて、田中秀征がそれを断ったら、いきなり、選挙区のほとんどの家に「田中は容共だ」というビラをまかれたと聞いた。そうした声を背景にした「こども家庭庁」であることを忘れてはならないだろう。

いのうえせつこの『新宗教の現在地』(花伝社)には、菅義偉内閣の閣僚21名の中で次の9名が統一教会に近しいと書いてある。菅はもちろん、副総理の麻生太郎、総務大臣の武田良太、文部科学大臣の萩生田光一、防衛大臣の岸信夫、官房長官の加藤勝信、復興大臣の平沢勝栄、国家公安委員長の小此木八郎、デジタル改革担当の平井卓也。

いのうえは「これでは、現在も起こっている統一教会による霊感商法などについて、マスコミ報道されないのも無理はない」と嘆いているが、彼女が問題にして、『神奈川新聞』が2020年6月27日に、統一教会が公的施設を利用していることを取り上げた。

統一教会の霊感商法による被害は2019年でも79件、計11億円にのぼっている。また、2021年2月に韓国で行われた合同結婚式には、多くの日本人が参加したという。

統一教会は渋谷区松濤に本部を構え、「世界平和」から「家庭」にポイントを置き換えて、若者をだまし続けている。そして、それを黙認し、バックアップしているのが自民党なのである。

 

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深田恭子が再びメンタル崩壊の危機。結婚間近の恋人と破局目前?寝起きにシャンパン&酒浸り生活で婚約者から三下り半か

適応障害の治療で芸能活動を休止し、昨年9月から活動を再開した深田恭子(39)。映画の公開イベントやCMなどで姿を見かけるものの、それ以外では目立った活動がなく開店休業状態が続いている。最近キャッチされた近況では不安定な生活ぶりが露呈するなど、ファンの心配は尽きない。そんな中、「実はさらに状態が悪くなっているのではと?」の声まであがる事態となっているようだ。

深田恭子、酒浸り&昼帰りが続き恋人から三下り半?

女性セブンは10日、深田と婚約者である不動産会社社長とS氏が路上で大ゲンカしていたことを報じた。それは4月下旬の午前4時、東京・西麻布の路地裏での出来事だ。

記事によると、深田とS氏は芸能人御用達のバーで激しい口論を繰り広げ、店を出た後も路地裏で「もう無理だから!」「別れよう!」と人目をはばからず怒鳴りあった後、S氏は深田を残して1人タクシーに乗り立ち去ったという。

残った深田はそのまま店に残りシャンパンを飲み続けたといい、S氏は後日、親しい知人に「深田との関係は終わった」と語っていたとしている。

女性セブンは4月中旬にも深田が朝から酒を飲んだ後、渡部篤郎夫妻と合流し焼き肉店とカラオケバーをはしごする姿をとらえている。

2021年5月に適応障害による活動休止を発表したときの深田はドラマ、映画、CMにと明らかに出ずっぱり。オーバーワークは誰の目にも明らかだった。

「休養期間わずか3カ月の早すぎる復帰に疑問の声があがっていました。スケジュールの関係で仕方がなかったのかもしれませんが、案の定良い方向には進んでいないようです。もともとお酒好きで知られる深田さんですが、最近では日に日にアルコールの量が増えているといいます」(スポーツ紙の芸能記者)

深田の場合、前日の夕方から昼まで飲み続ける“昼帰り”を週に2~3のペースで繰り返していたといい、生活ぶりはかなり乱れていたとみられる。

S氏は深田に何度も注意したが収まらず、冒頭の大ゲンカになったと記事では伝えている。

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適応障害治療後の深田恭子の気になる酒量

厚生労働省の「健康日本21」では、アルコール依存症の発症リスクが少ない節度ある適度な飲酒は、壮年男性の場合、純アルコール量が1日20g以下としている。これはビールだと500mlのロング缶1本、ワインなら2杯程度が目安となる。

この3倍以上を接種すると飲み過ぎとなり、アルコール依存症のリスクが高まると言われている。

女性セブンの報道が事実であれば、朝帰りならぬ“昼帰り”を繰り返す深田が飲み過ぎであることは確実で、危険な兆候にあるとみられてもおかしくはない。恋人であるS氏が心配するのも当然だろう。

深田は動画配信サービスのドラマの主演が決定しており、撮影は6月から開始されるという。クランクインまで時間的にあと1カ月もないが、体調を万全に戻すことはできるのだろうか。

4月4日、イメージキャラクターをつとめる「午後の紅茶」のイベントに登場した深田。その姿はあきらかに以前よりやつれており、呂律も回っていないように見えた。

女性セブンが4月中旬に深田をキャッチしているが、デニムのショートパンツから見えた足はか細く、写真集「Blue Palpitations」「Brand new me 」などで見せた健康的な肉体美とはほど遠かった。

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ファンが何よりも見たいのは元気いっぱいな“深キョン”の姿。目の前の仕事をこなすことも大切だが、なによりも自分の体を大事にしてもらいたい。

なぜ、世界一の小売業「ウォルマート」は成功することができたのか

ビジネスにおけるイノベーションとは、実は新機能の製品というわけではありません。革新とは一体何を指すのか、そしてそれを実現させるために成功した企業は何をしてきたのか。今回の無料メルマガ『戦略経営の「よもやま話」』では浅井良一さんが、イノベーションについて語っています。

熱い思いが世界一をつくる  持たない方こそ有利

顧客はそれぞれの好みはあるものの、いつも一番を選びます。さらに、その一番は変化と競合の中で移ろい、止まることがありません。

だから、固定観がない“素人”が「知らない者の強みで、未知なる“機会”に挑戦して、我知らずして一番になる」こともあります。人の願い、欲望は、環境に応じて常に異質に変化し拡張するが故です。

イノベーション(革新)というと、まったくの新機能の製品の開発を思い浮かべますが、ドラッカーはおもしろい例をあげています。

「北極圏に住むイヌイットに対して凍結防止のために冷蔵庫を売ることは、新しい工程の開発や新しい製品の発明に劣らないイノベーションである。それは“新しい市場を開拓する”ことである」

コンビニエンスストアで“おにぎり”“おでん”を売り出すことも、これも立派なイノベーションであると言えそうです。

ドラッカーは「イノベーションとは、発明のことではない。技術だけのコンセプトでもない。経済的なイノベーション、さらに社会的イノベーションは、技術のイノベーション以上に重要である」と言います。

「イノベーションすなわち新しい満足を生み出すことである」

イノベーションは、新しい満足、より大きな満足を実現させるために行うもので、何も持たないどんな“素人”でも行えるもので「顧客を満足させるビジョン(アイディア)」と「熱意」があればできることです。

要点は「役立つアイディア」と「やりぬく実行」があればよいのです。

「新たに一番になる」ためには「時代の欲求を探り当てる」か「創造して」それを“イノベーション(革新)”することを求められます。それもガムシャラな意思を持ってやり通さなければなりません。

起業家に求められるのそれらのことで、誰でもが成功するチャンスがあるのですが、それがなければまったく縁がないと言えます。

後は、運に任せることになるのですが、多くの大成した経営者は「必ず成功すると確信してやり通す」としています。

その代表格である松下幸之助さんは「とにかく、考えてみることである。工夫してみることである。そして、やってみることである。失敗すればやり直せばいい」と、とうぜんのこととして語ります。

ちなみに、松下幸之助さんは「経営においての根幹的なイノベーションを行ったのですが、それらは主としてマネジメントでのもので、「経営理念を基盤とする経営」は特質されるので、その他に「事業部制」「本社の経理本部(マトリックス組織)」「管理会計制度」などがあり、“任せて任せず”の絶妙の“経営革新”であります。

もはや国家存亡の危機。イーロン・マスクが「日本消滅」に言及したワケ

実業家のイーロン・マスク氏が「いずれ日本は消滅するだろう」とツイッターに投稿し話題となりましたが、なぜわざわざマスク氏が加速する日本の人口減に警告を鳴らしたのでしょうか。そこで今回は、メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』の著者で健康社会学者の河合薫さんがマスク氏のツイートを紹介しながら、宙ぶらりんのままになっている「出生率」の問題について迫ります。

 

イーロン・マスク「日本はいずれ存在しなくなるだろう」の衝撃

日本人が決して言えなかったことを、“あの人”が言ってくれました。

「当たり前のことをいうようかもしれないけど、出生率が死亡率を上回るような変化がない限り、日本はいずれ存在しなくなるだろう」ーー。

そうです。この“当たり前”を、米テスラCEOのイーロン・マスク氏がTwitterに投稿したのです。

この発信は、「2021年10月1日時点の日本の総人口が、前年から64万4000人減の1億2500万2000人で、過去最大の落ち込みになったことを伝えるニュースに反応したもので、瞬く間に拡散。

「産みたくない社会を変えろ!」
「専業主婦増やせばいいだけ」
「女は働くなと教育しろ」
「子供産むのにカネかかりすぎ」
「移民を受け入れればいい」
「男の賃金上げろ!」
「老人対策にばっかカネ使ってるからだよ!」
「カネがないので結婚できません」
「もう限界。無理」

などなど、SNS上にはここに書ききれないほどの多種多様な意見が飛び交いました。

日本の少子化問題、出生率の低さは、ずーっとずーっと社会問題でありながら、本メルマガのVol.269「“閉じゆく国”の未来」で書いたように、夢物語を追い続けている。マスク氏が指摘した、当たり前に向き合ってこなかった末路が「今」です。

2021年の出生数は84万2897人で、1899年の統計開始以降最少です。

また、4月1日現在、15歳未満の子供は1465万人で前年より25万人も減り、全人口に占める子供の割合はたったの11.7%。年齢階層別では12~14歳が323万人、0~2歳は251万人と、若くなるほど少ないのです。

一方、2021年の死者数は145万2289人で、前年比で6万7745人増加。戦後最多です。日本の65歳以上人口は、2042年にピークを迎えるとされていますので、出生率が死亡率を超える日は・・・来ない、と思います。

マスク氏のTweetは「This would be a great loss for the world」とありましたので、「世界にとって大きな損失だ!」と惜しまれる中で、いつの日か日本は閉じていくのです。「私」たちが考える以上の確率で。

いずれにせよ、日本の少子化対策の夢物語ぶりは、Vol.269でお読みいただくとして「出生率を決めるのは、何か?」について、信頼性の高い論文をもとに今回は紹介します。

 

「ゲゲゲの鬼太郎」から「手のひらを太陽に」「いい湯だな」「チョコレートは明治」まで。没後30年を迎えた作曲家・いずみたく作品で振り返る、日本のスタンダード・ソングたち

あなたは「いずみたく」という作曲家の名前を知っているだろうか? 昭和生まれの人々にはお馴染みかもしれないが、たとえその名を知らない若い世代でも、彼の作品は誰でも一度は耳にしたことがあるはずだ。

「見上げてごらん夜の星を」「手のひらを太陽に」「いい湯だな」「ゲゲゲの鬼太郎」「ふれあい」「徹子の部屋のテーマ」「CM ハトヤの唄」「恋の季節」「夜明けのスキャット」「CM 明治チョコレート・テーマ」「太陽がくれた季節」etc…作曲家・いずみたくが遺した今も歌い継がれる名曲は枚挙に暇がない。

分かりやすく耳に残るメロディーという特徴はもちろん、時代を超えた「新しさ」と昔から伝わる民謡のような「懐かしさ」という、一見矛盾しているように思える魅力を内包した彼の作品群は、昭和から平成そして令和となった今でも決して「古くならない」のだから不思議だ。いずみの作曲作品は生涯1万曲を超えると言われている。

そんな昭和を代表するメロディー・メイカーのひとり、いずみたくが亡くなってから、5月11日の本日ちょうど30年目を迎えるが、彼の遺した名曲たちは、なぜ今なお日本のスタンダード・ソングとして愛され続けているのだろうか。4月には5枚組CD+DVDのボックスセット『いずみたく ソングブック -見上げてごらん夜の星を-』(ビクターエンターテイメント)も発売され注目が集まっている「作曲家・いずみたく」。没後30年という節目の日に、いずみ作品の魅力について、関係者からの証言などをもとに駆け足で辿ってみたい。

作曲家・いずみたく、その生い立ちと音楽活動

いずみたく(本名・今泉隆雄)は、1930(昭和5)年1月20日、東京・荒川区日暮里生まれ。一家は「五軒長屋」(今で言うところの2DKの団地住まい)で母の弟妹と祖母を加えた8人暮らしだったという。そんな賑やかな自宅にはポータブル蓄音機と母が収集したレコードが豊富に揃っていたといい、この環境が後の「作曲家・いずみたく」を作り上げたと言っても過言ではない。

14歳のとき都内の旧制中学から仙台陸軍幼年学校へ転属を志願し、軍人になることを決意したいずみは、同校に合格し寮生活に。しかし軍歌のメロディが性に合わず、軍歌の練習が一番苦手だったという。しかし、クラシックレコードを聴き、作曲やピアノ練習の時間になると、周囲が驚くほどの才能を発揮したそうだ。

やがて終戦を迎え、「特攻隊員として死ぬこと」を夢見ていたいずみは、戦時中とは真逆の「戦後の平和」による虚無感が重くのしかかり、苛立つ毎日を闇市の徘徊や映画鑑賞で潰しかなかったという。しかし、復学した旧制中学で演劇部に所属したことから、芝居に興味を持ち始め、鎌倉で開校した高等教育のための私立学校「鎌倉アカデミア」の演劇科に入学。同校で同期の前田武彦(タレント・放送作家・司会者)と出会い、前田の影響でジャズに傾倒するようになったという。その後、前田と「劇団小熊座」を創設し、いずみが脚本と演出、前田が主演で全国各地を上演して回るように。

「いずみたく」の誕生

そんな日々の中で、オペレッタ(普通のせりふと歌のまじった、軽い内容のオペラ)と出会い、感動のあまり繰り返し観賞した舞台のメロディを記憶するようになり、同時にジャズの楽曲をハーモニカで練習しながら紙にピアノの鍵盤を描いてバイエルの練習も始めたという。しかし、鎌倉アカデミアが経済困難などの理由で落ち着かなくなったことを機に、中央演劇学校・舞台芸術学院へ入学。声楽や体操、ダンス、アコーディオン演奏の技術を習得した。この頃、「和泉卓」(いずみたく)という芸名を名乗りはじめたという。

同校卒業後は、演劇集団劇座を結成し、そのかたわら生活費をかせぐためにタクシー運転手、トラック運転手などの職に就いた。仕事中に音楽を聴き、休憩中にアコーディオンを練習する日々をおくりながら、独学で作曲と管弦楽法を学び、ピアノの練習や作曲などに全神経を集中させていたという。

転機は三木鶏郎。CMソングから人気作曲家へ

27歳となった1957年、朝日放送(ABC)のホームソングコンクールに応募した「ぶどう」が入賞、それを聴いた審査員のひとり三木鶏郎(作詞・作曲家、放送作家、構成作家、演出家。ラジオ・テレビの主題歌やCMソングの制作、バラエティ番組の雛形を作った人物として知られる)からの誘いで、三木が主宰の冗談工房、主に音楽工房で音楽の仕事に従事することに。同所で盟友となる作家・野坂昭如と出会い、同所を2人そろって解雇されたのちに野坂らと「国際芸術協会」なる製作会社を設立。5年間で500曲近いCMソングを世に送り出して解散した。

1962年には、ついに自身の会社である「有限会社いずみミュージックオフィス」(現・株式会社オールスタッフ)を設立。歌謡曲界でヒット曲を連発しながら、自作ミュージカル公演や自身のリサイタルなどで大活躍する。作曲した作品で日本レコード大賞など数々の有名賞を受賞し、1969年には自身のレコード会社「フォンテーヌ・レコードkk」を設立。1975年には念願の「いずみたくミュージックアカデミー」を設立し、2年後にはそこで育てたメンバーを中心にミュージカル集団「いずみたくフォーリーズ」を結成し、劇団運営の才覚も発揮した。

議員と作曲家という“二足のわらじ”。そして、突然の死

ミュージカル『歌麿』は1988年に全米6都市で16公演を実現。その翌89年には、友人の参院二院クラブ青島幸男が議員辞職したことにともない、参議院議員に繰り上げ当選。政治家と作曲家という「二足のわらじ」で多忙を極めたが、3年後の1992年5月11日、動脈瘤破裂のため急逝した(享年62歳)。絶筆は、ミュージカル『アンパンマンと勇気の花』の挿入歌「進め!アンパンマン号」で、鉛筆を持つ力さえなくなったいずみが、夫人にメロディを聞かせて採譜させたものだったという。今年2022年は、そんないずみが亡くなって30年という節目を迎えたが、いまなお彼の遺した多くの作品は、現代の歌い手たちによって歌い継がれている。

参考資料:『いずみたく ソングブック -見上げてごらん夜の星を-』特製ブックレット(2022)

京大教授が警告。対ロシア制裁「欧米と歩調合わせすぎ」は危険なワケ

プーチン大統領によるウクライナ侵攻への対抗措置として、極めて厳しい経済制裁をロシアに科している欧米各国と、そうした動きに歩調を合わせる日本。しかし前のめりすぎる姿勢は、我が国に様々な危険をもたらす可能性もあるようです。今回のメルマガ『藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~』では著者で京都大学大学院教授の藤井さんが、ウクライナ紛争の「戦争当時性」の点から鑑みて、日本に不可欠なのは冷静な対応ではないかとの見解を示すとともに、ただただ欧米に追従する岸田首相を厳しく批判。その上で、国益にかなう客観的な姿勢を保つために必要な「4つの認識」を考察しています。

(この記事はメルマガ『藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~』2022年5月7日配信分の一部抜粋です)

 

ロシア非難は必要ではあるが、岸田総理や国内世論の過剰な「ロシア絶対悪ウクライナ絶対正義」論は薄気味悪い不道徳に過ぎない

最近では幾分ましにはなってきましたが、ロシアのウクライナ侵攻以降、テレビメディアでもインターネット上でも、連日「ウクライナ」の問題が報道されました。

これは、軍事大国があからさまな「フェイク」情報を発信しつつ隣国を侵略するという話なので、国内のメディアやネット上は、ロシア、プーチンが100%悪いという「ロシア絶対悪論」と同時に、そんな悪いロシアと戦うウクライナ側こそが「正義」だという「ウクライナ絶対正義論」に、席巻されました。

そうした報道に触れて当方ももちろん、ウクライナが大層気の毒だと感じましたし、大国の論理で軍事的に侵略され主権を蹂躙されようとしているウクライナを、尖閣の侵略を狙い続けている軍事大国中国と日々対峙している日本人として「応援」したい気持ちは確かにあります。

しかしだからといって、「ロシア絶対悪・ウクライナ絶対正義」論に染め上げられた報道やコメンテーター達の発言には、ただただ薄気味悪いと日々感じざるを得ません。

そもそも多くの国民はウクライナがどこにあるかも知らなかったし、どんな国なのかに至ってはまるで知らなかったのに、本来ならそんな国についていきなり「絶対正義」として扱うことなどできる筈などありません。

もちろんもしも我が国が、ウクライナと軍事同盟を組んでいたとするなら、ロシア絶対悪・ウクライナ絶対正義論が世論を席巻したとしても、致し方ないとも言えます。なぜなら、そうなれば日本が事実上の「交戦国」となるからです。

それはつまりロシアと「喧嘩」するという事なわけですから、その喧嘩に勝つために自分達を鼓舞していくことも半ば致しありません。事実、ゼレンスキー大統領やウクライナ政府は、そういう偏った情報を流しているわけであって、それはそれでしょうがないと言う風には思います。

しかし、日本はウクライナと同盟を結んでいるわけでも何でもありません。

つまり日本はこの戦争について、戦争当事国ではないのです。

もちろん、このウクライナ情勢に深く関わっているアメリカと同盟を結んでおり、かつ、同じく同情勢に当事者に近い形で関わっている欧州各国とも友好的な関係を取り結んではいるのは事実です。しかしそのアメリカですら、「米軍がウクライナで戦うことはない」と言明しているわけですから、当事国ではないのです。そうである以上、日本はもっともっと「戦争当事性」が低いのです。

いわばこのウクライナとロシアの戦争は、日本にとってあくまでも「第三国同志の戦い」つまり「他人同士の戦い」に過ぎないのです。

ましてや、ロシアとはこれから日本は数年程度でなく、何十年も、何百年ものスケールで隣国として好むと好まざるに関わらず付き合い続けていかなければならないのです。全く付き合いがないなら、何も考えずに「ロシアは悪だ~!」と適当に叫んでいたとしてもまぁ構わないでしょうが、そうでない以上、冷静な対応が不可欠な筈なのです。

 

ウソ、隠蔽、そして恫喝。秀岳館サッカー部暴力事件で判る現場の異常な腐敗ぶり

30代のコーチによる暴行、監督による虚偽報告及び部員への恫喝や謝罪動画の投稿強要など、次々と問題が明るみになった熊本県秀岳館高校サッカー部。教育現場の全ての負の要素が噴出したかの如き当案件を、識者はどう見るのでしょうか。今回のメルマガ『伝説の探偵』では、現役探偵で「いじめSOS 特定非営利活動法人ユース・ガーディアン」の代表も務める阿部泰尚(あべ・ひろたか)さんが、この問題を客観的に振り返るとともに、流出した暴行動画や恫喝音声から読み取れる、部員たちが置かれた異常な状況を解説。さらに国に対して、度を越した部活動への指導を含めた介入を求めています。

 

秀岳館サッカー部暴行事件の顛末をみる

秀岳館サッカー部問題とは

30代コーチが生徒に暴行している様子がSNSで拡散されたことをきっかけに様々な問題が生じた問題。

時系列

 

4月20日 30代コーチがサッカー部の寮の中らしき場所で、サッカー部員に蹴りや背中を叩くなどの暴行をしている様子がSNSから拡散される。
4月21日 熊本県警が関係者を事情聴取
4月22日 サッカー部員の生徒が謝罪動画を投稿する(段原監督の指示)。
4月23日 謝罪動画が削除される。
4月25日 段原監督が日本テレビ「スッキリ」に生出演。
      22日の段原監督の不適切発言の音声が流出。
      30代のコーチが書類送検される。
4月26日 段原監督が自宅謹慎処分となる。
5月2日   日本サッカー協会に秀岳館高校が事情を説明する。
5月5日   秀岳館高校が記者会見を行う。

コーチの暴行動画

問題となったコーチの暴行動画を観ると、部屋の奥を廊下側から撮影しているが、暴行している様子をある程度狙うということがないと、この動画はなかなか撮ることができない。

例えば、スマホで撮るにしてもスマホの用意、撮影するという行為はなかなか行動までに移せないという人間心理から、予測ができる範囲での経験が必要になってくる。

つまり、常々、同じ場で同じコーチが度々暴行行為を行っていたことを、この動画を撮った生徒は過去の経験から知っていて、周囲の安全をわかったうえで撮影に挑んでいたはずだ。

その実、生徒らの謝罪動画では、この動画を撮りSNSに上げた生徒2人は、SNSにあるように日常的に暴行などは無かったというようなことを言っているが、秀岳館高校が行った記者会見では、「サッカー部では38件、そのうち職員から生徒への暴行は25件、24件は30代コーチから」であったとされている。

つまり、暴行行為等は頻発しており、学校が急いで調査をし、否定できないと考えた数が38件であり、およそ同一の30代コーチはその6割の暴行行為者であったということだ。

結果、生徒が謝罪動画で話した内容は、事実とは大きく異なるものであり、誰もが首を傾げる内容であったことになる。極めて不本意な内容を発信させられたというのが、その実態であろう。

 

薄利多売から“差別化”へ。「洋服の青山」がオーダースーツを強化する理由

テレワークの普及等でスーツの需要が激減し、窮地に立たされていた紳士服業界ですが、ここに来て各社がさまざまな知恵を絞り打ち手を講じています。そんな中、一線を画す取り組みをスタートさせたのが、洋服の青山です。今回のメルマガ『理央 周の売れる仕組み創造ラボ【Marketing Report】』ではMBAホルダーの理央 周さんが、カジュアル路線を打ち出す同業他社とは逆に、オーダースーツを強化する洋服の青山の戦略を紹介。さらにその成否の秘訣をマーケティングのプロとしての目線で解説しています。

 

洋服の青山のブランド戦略に学ぶ、ブランド構築のステップ

スーツの業界各社が頑張っています。コロナ禍で在宅ワークが増え、対面での営業や仕事が減ったこともあって、スーツの需要が以前よりも減り、業界としては苦戦しています。

さらに、ユニクロやワークマンといった、これまではスーツに力を入れてこなかったアパレル各社も、カジュアルなスーツやジャケットを販売しはじめています。

私も持っていますが、ジャージ素材のジャケットやスーツも流行っています。結構使い勝手が良くて、ちょっとした打ち合わせにも着ていけますし、ZOOMなどでの打ち合わせでシャツの上に羽織って出席することもできるので、汎用性が高いアイテム、ということがいえます。

このコロナ禍で、スーツやジャケットに対する、ビジネス服としてこれまでの常識が変わりました。べつな表現で言うとすれば、仕事着というカテゴリーの幅が、とても広くなってきています。

そんな中で、スーツの大手各社も、頑張って自社の特徴を出した、さまざまな打ち手を売っています。

アオキは、スーツ中心から、カジュアル路線を強化していて、今流行りのパジャマスーツを販売しています。

ホームページによると、「パジャマ以上、おしゃれ着未満」というコンセプトで、お値打ちですが、遊びや仕事、旅行など、色々なシチュエーションで着ることができる、万能タイプのバリエーションを揃えています。

スーツのはるやまも、カジュアル路線を狙っています。やはり、オンとオフの境目をなくし、今までよりも仕事着をよりお得に買いたい、という市場が伸びるとの判断でしょう。

そんな中で、大手の洋服の青山は、オーダースーツを強化する、という戦略に出ています。

今まではこの業界はどちらかといえば、既製品のスーツをたくさん作りお値打ちに売るという、コストリーダーシップの戦略をとっていました。

アオキやはるやまが、カジュアルにシフトし、この路線の延長でいく中、洋服の青山は既製品を縮小して、少し値段が高くなりますが、ユーザーのニーズごとにカスタマイズできるオーダースーツを強化するという、差別化戦略に出たのです。

私もたまにオーダーをするのですが、私は背も高くなく、腕も若干短めなので、袖の長さとか、肩幅がぴったりするオーダーが、専門店よりもお値打ちに作れる、となると行ってみたい気になります。

先日も青山は、オーダースーツの老舗の麻布テーラーを買収しました。

日経MJによると、青山の自社内にも「シタテ」というオーダースーツのブランドはありますが、麻布テーラーの知名度と実績によるイメージを生かし、当面は麻布テーラーのブランド名は残して事業を行うということです。